単身赴任で夫が不在の中ー、
反抗期の息子を前に、戸惑いの日々を送る詩織ー。
何とか、息子とコミュニケーションを取ろうとするものの、
お節介で心配性な性格故か、
さらにウザがられてしまう日々ー。
そんな中、”もっと仲良くなりたい”と、仏壇に願った翌日ー、
目を覚ますと二人の身体は入れ替わってしまっていて…?
★前回はこちら↓★

「ーーーあ~~~……」 藤村 洋平(ふじむら ようへい)は、ため息をつきながら、 手に怪我をした状態で、汚れた制服を見つめるー。 少しだけ舌打ちをすると、 自転車を引きずりながら、彼はそのまま自分の家へと向かっていくー。 ちょうど、今は学校の下校中ー。 汚れた制服を少しだけ払いながら面倒臭そうにため息を...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ぜ、絶対変なことすんなよー!?」
詩織(洋平)が戸惑いの表情で言葉を口にするー。
入れ替わり翌日になっても、
元に戻っていなかった二人ー。
その日の”洋平”の学校は休んだものの、
その翌日になっても元に戻っていなかったため
”このまま休み続けるわけにはいかない”と、二人で話し合った結果ー、
”洋平になった詩織”が、洋平として学校に向かうことになったのだったー。
がー、やっぱり不安になってしまった母・詩織になった息子・洋平は
そんな言葉を口にしている最中だったー
「ーあはは、大丈夫よ~
洋平のことは、お母さん、ちゃんと分かってるから
洋平のフリをすることぐらい、簡単よ~」
洋平(詩織)がそう言葉を口にすると、
「ぜ、絶対学校でそういう喋り方すんなよ!?」と、
しつこくそう言葉を口にしたー。
「ーしないしないー」
洋平(詩織)はそう言うと、何度か咳き込んでからー、
「ー俺に任せておきな!」と、男のような口調で、
そう言い放ったー。
「ーーー…マジで変なことすんなよ???」
もう一度釘を刺すようにして詩織(洋平)はそう言い放つと、
洋平(詩織)はそのまま学校へと向かったー。
「は~~~~~」
溜息をつきながら家の中へと戻ってきた詩織(洋平)ー。
母・詩織は今日も”パート”があったものの、
詩織になった洋平は”俺は絶対、母さんのフリなんてしないからな”とー、
昨日に続いて今日も欠勤ー、
母・詩織は”まぁ、クビになっちゃってもまた探すから~”と、
あまり気にしていない様子だったものの、
このまま休み続ければクビになるのは確実だー。
「ーったく」
そう言葉を口にしながら、「高校生なのに何で平日から
主婦みたいなことしないといけないんだよ」と、
愚痴を呟きながら、そのまま掃除機や洗濯物を始めるのだったー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーお、藤村!」
学校にやってきた洋平(詩織)は
”洋平のためにも、ちゃんと洋平をやらなくちゃ”と、そう心で
呟きながら、学校に到着していたー。
がー、到着早々、声を掛けられて洋平(詩織)は振り返ったー。
するとそこにはー
洋平の幼馴染である木下 栄治(きのした えいじ)の姿があったー。
「ーあらぁ~~~!木下くんじゃない~!
大きくなったわねぇ~~~!」
洋平(詩織)は、いきなりそんな言葉を発してしまうー。
「ーーーー…………ーーー え?」
栄治は、洋平(詩織)の突然の奇妙な言動に困惑の表情を浮かべながら、
「ーーー……え????」と、
もう一度、疑問の言葉を口にするー。
「ーーあ!!やだ!わたしったら!やだ!」
洋平(詩織)は一人でそう呟くと、何度か咳き込みながら
「お、おはよう!木下くん!」と、手をあげるー。
がーーー
洋平はいつも栄治のことは”栄治”と呼んでいるため、
栄治はさらに表情を曇らせるー。
「ーーあっ…え、え、え、えっとー!
今日はいい天気だなぁ~!はははっ!」
洋平(詩織)はいきなりの失敗に顔を赤らめながら、
「ーーそ、そ、そうだーわたーー…お、俺、
先生から呼ばれててー!」
と、そう言葉を口にすると、慌てた様子で
職員室とは全然違う方向に向かって走って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”木下くん、大きくなってたわね~
それで…木下くんのこと、普段何て呼んでるの?”
母・詩織から連絡が入りー、
詩織(洋平)は洗濯物を干す手を一旦止めると、
”ーー栄治だよ ってか変なことしてないだろうな?”と、
そんな返事を送るー。
「ーーー…は~~~…
っていうか、洗濯とか掃除とか、これ毎日かー
割ときついなー」
詩織(洋平)はそう言葉を口にしながら、
洗濯物を干し終えると、「あぁ~次は風呂掃除かー」と、
お風呂場の方を向きながら
お風呂場に向かって走り始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー洋平くんー
おはよ~!」
教室に入ると、可愛らしい子が
そんな風に声をかけて来たー。
咄嗟にスマホを確認するー。
昨日のうちに、洋平に用意して貰ったクラスメイトの集合写真と
名前の一覧を確認しー、
声をかけてきた子が、杉村 由美(すぎむら ゆみ)という子で
あることを確認するー。
洋平(詩織)は”あら…?この子はーもしかしてー”と、
少しニヤニヤしながら
「お、おはよ~!」と、そんな声をかけるー。
息子の洋平から”彼女”の存在は聞かされたことはないー。
が、もしかするとー…
そんな風に思っていると、「この前は大丈夫だったー?」
と、その子が言葉を口にしたー。
「ーーこの前ー?」
洋平(詩織)がそう返すと、
由美は「ほら…天坂(てんさか)くんのことー」と、
そんな言葉を口にしたー。
「ーーーえ……~~ あ~~え~~~…
て、天坂くんのほうはー…どうなった?」
洋平(詩織)は咄嗟に、ギリギリ不自然にならず、かつ、
何があったのかを聞き出そうと、そう言い放つと、
由美は「ー天坂くん、洋平くんに謝ってたよー”僕のせいで”ってー。」
と、言葉を口にし始めるー。
聞けば、隣のクラスに”天坂くん”という男子がいるらしく、
その子がいじめを受けていて、
偶然、その現場に居合わせた洋平が助けに入ったらしかったー。
入れ替わる前の日、洋平が腕に怪我をして、
制服も汚れた状態で帰って来たのは、
どうやら”いじめられている子を庇ったこと”が原因だったようだー。
「ーーあらぁ~~~……よかった~~~…」
洋平(詩織)は、由美から話を聞き終えると、
嬉しそうにニコニコし始めるー。
「洋平ってばー、喧嘩したり悪いことしてたわけじゃなくてー
いじめられてる子を助けてたのねー
うふふふふー
ふふふふふふふふー」
休み時間ー
男子トイレで洋平(詩織)は嬉しそうにそんな言葉を
口にしながら、
「小さい頃は、人見知りだった洋平がー、そんな立派になるなんてー」と、
うんうん、と一人で頷くー。
がーーー…
「ーーーーー…あ」
男子トイレに誰もいないと思っていた洋平(詩織)は
個室から出てきた男子生徒の姿を見て
気まずそうに青ざめるー。
「ーーーあらーーあららら…た、ただの独り言だから気にしないで!」
洋平(詩織)はそう言葉を口にすると、
そのままトイレから駆け出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーはぁ…はぁ…これがやっとだったー」
晩御飯をコンビニで買って、
やっとの思いで用意した詩織(洋平)は、大きく息を吐き出すー。
いつも、母の詩織は何かしら作って
晩御飯を用意してくれているー。
そんな、母に対して”あんまりこれ美味しくないなぁ”とか、
”今日はいいや”とか、適当な態度を取っていた自分の行動を
振り返りながら、詩織(洋平)は、
「こんな大変な中、そういうこと言われたらウザいよな…」と、
自分の行動を少し悔いるような言葉を口にするー。
正直、思った以上に”母”の1日は忙しくー、
しかも今日はパートを休んだ上に、いつもの母とは異なり、
コンビニ弁当で済ませようとしているのにも関わらず、
すっかり疲れ果ててしまったー。
「ーーーーーーー」
母親側の両親ー…洋平からすれば
祖父と祖母の写真を見つめると、
詩織(洋平)は少しだけ溜息をついたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーただいま~!」
洋平(詩織)が帰宅したー。
疲れ果てた様子で詩織(洋平)が出迎えて、
「なんかー…これしか用意できなかったー」と、
コンビニで慌てて買ってきた弁当を指差すと、
「ーふふ、大丈夫よー」と、洋平(詩織)は言葉を口にするー。
学校での出来事を色々嬉しそうに話す洋平(詩織)ー。
きっと、母にとって”久しぶりの学校”は楽しかったのかもしれないー。
そんなことを思いながら、
洋平(詩織)は「あ、そういえばーこの前の…腕の怪我ー」
と、そう言葉を切り出すと、
「ーーいじめられてた子を助けたんだってねー」と、
感心した様子で言いながら
「ーでも、どうして言ってくれなかったのー?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーーーー」
目を逸らす詩織(洋平)ー
「ーーーー……そんなこと、別にいいだろー?」
言わなかったのは、何故だろうかー。
とにかく心配性でお節介な母・詩織ー。
何かを言えばすぐに心配するし、
すぐにお節介を焼こうとするー。
だから、”洋平”は、次第に”余計なことを話さなく”なったー。
それが、一番”母”を心配させなくて済む、とそう思ったからだー。
最初はただー、”母さんを心配させたくない”
それだけだったー。
でも、年頃の洋平にはそれが上手くできずー、
いつの間にか、”母を避けるような”そんな感じに
なってしまったー。
心配性な母が、心配そうにしていると
つい、冷たく当たってしまうようになってしまったー。
「ーーーーーじ、じゃあ、気を取り直してご飯にしましょー?」
洋平(詩織)はそう言うと、学校から帰って来た
その身体で、晩御飯の準備をしようとするー。
「い、いいよー俺が母さんなんだからー。
そのぐらい、俺が準備するよー」
詩織(洋平)はそう言いながら、コンビニ弁当を袋から
取り出して、飲み物の用意などをはじめたー。
「ーーーー」
洋平(詩織)は、そんな詩織(洋平)の姿を見ながら
少しだけ笑うー。
”ーーーーー”
息子は、”わたしの想像以上に”ちゃんと成長しているー。
詩織は、そんな風に思ったー。
仏壇の方を見つめる洋平(詩織)ー。
今は亡き、詩織の両親は仕事が忙しく、詩織を放りっぱなしに
していることが多く、とても寂しい思いをして育ったー。
不安な経験もたくさんしたー。
だからこそ”わたしは息子にそんな思いをさせないようにしよう”と、
そう思ったー。
でもーーー
それが、洋平にとっては負担になりすぎていたのかもしれないー。
そんなことを思いながらいると、
ふと、詩織(洋平)が言葉を口にしたー。
「ーーー俺も、明日からパート、行くよ。
スーパーの仕事ぐらい、俺もできるからさー」
これまで”母・詩織のフリをしてパートに行く”ことを
拒んでいた洋平ー。
が、詩織(洋平)はそんな言葉を口にすると
少しだけ笑ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
詩織(洋平)は、母・詩織のパート先へー。
洋平(詩織)は、息子の洋平の学校へと向かったー。
教室に到着した洋平(詩織)は、
今日も自分の青春時代を思い出しながら、
学校生活を満喫するー。
「ーーー」
体育の授業では、若いイケメンたちの着替えに
鼻血を吹き出しそうになりながら
”い、いけないー…洋平の身体でそんなー”と、
ドキドキしたのはいつぶりかしら?と、そんなことを考えるー。
英語の授業が始まると、
”英語は、何歳になっても苦手ねー…”と、心の中で呟くー。
音楽の授業が始まり、
音楽室に入ると、
”木琴にシンバルー…これまた懐かしいわねー”と、
音楽室の楽器の数々を見つめながら、
過去を懐かしむー。
国語の授業では、
”この先生、随分若いわねー”と、
”身体”は年下なのに、まるで年下を評価するような、
そんな目線で見てしまうー。
そしてー、
昼休みを迎えた洋平(詩織)は、
最近放送されている、とあるドラマのリメイク版の話を
しているクラスメイトを見かけると、
嬉しそうに”原作”の話題を話し始めてしまったー。
原作が放送されたのはもう20年以上も前ー。
がー、”母・詩織”はそれを現役で楽しんだ世代だったー。
「ーでも、原作のヒロインの子のほうが
良かったよねぇ~」
おばさん口調にならないようにしつつも、
原作のことを夢中になって話してしまう洋平(詩織)ー
「ーーは…ははーお前、意外と古いやつ好きなんだなー」
ふと、友達が少し意外そうにそんな言葉を口にしているのを見て、
洋平(詩織)は「あ、え、えっとー、か、か、母さんの影響!」と、
そう慌てて言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”母さんから、話は聞いたしー、
去年のコンビニのバイトの経験も生かせるだろうしー
なんとかなるだろ”
一方ー、詩織(洋平)は、詩織の身体で、
詩織のパート先にやってきていたー。
閉店してしまったため、今はそのバイトはもうしていないものの、
去年、コンビニでバイトをしていた経験もあるー。
きっと、大丈夫だー、と思いながら
母・詩織として、パート先にやってきた洋平ー。
早速、仕事を開始するー。
がーー
「ーー今日も、宜しく頼むよー」
パート先の店長が近付いてきて、詩織(洋平)の身体をどさくさに
紛れて触っていくー。
「ーーー!?」
詩織(洋平)が、”えっ!?”というような表情を浮かべるー
”なんだコイツー、今、母さんをいやらしい手つきで
触らなかったかー?”
そう思っていると、
パート先のリーダー格のおばさんが近付いてきて、
「ーあ、藤村さん、これよろしくね」と、仕事を押し付けて来るー。
「ーーーーー」
母・詩織としてパートに臨む洋平ー。
がー、店長はセクハラ店長でー、
リーダー格のパートのおばさんは仕事を押し付けて
自分はサボり、しかも”詩織”に嫌味をグチグチと言ってくるー。
さらには、クレーマー客の出現ー
詩織(洋平)は困惑しながら、ようやくパート先での
1日を終えると、表情を曇らせながら
そのまま帰宅したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーあ!洋平ーおかえりなさいー」
先に帰宅していた洋平(詩織)がそう言うと、
少し戸惑った様子で言葉を口にするー。
「ーーあ、母さんー…」
詩織(洋平)は、そう言葉を口にすると、
パート先での出来事を相談しようとするー。
母から”悩みごと”のようなことを相談されたことは
一度もないー。
けれどー…あの店長に、あのパートのリーダー格のおばさんー、
毎日あんな状況なのだとすればー
「ーなぁ、母さん 話があるんだけどー」
「ーねぇ 洋平 ちょっと話がー」
「ー!?」
二人して、同時に”話がある”と口にするー。
二人とも少しだけ苦笑いすると、
詩織(洋平)は、パート先での出来事を口にしたー。
「ーー…そ、それはーー…
洋平に心配かけたくなかったしー、
それにー……パートクビになりでもしたらーー」
母・詩織は”洋平のため”に、パート先での理不尽な扱い・環境にも
文句ひとつ言わずに耐えて来たようだったー。
「ーーーーはぁ…ー」
不満そうに息を吐き出す詩織(洋平)ー。
がー、その前に、と
「ーそうだ、先にそっちの話ってー?」
と、洋平になった詩織も”話がある”と言っていたことを思い出し、
詩織(洋平)はそう言葉を口にするー。
すると、洋平(詩織)は
「あ…ぁ~~~~~…そのー…落ち着いて聞いてね?」と、
少し言いにくそうにしながらそう言うと、
「ーお母さんねー…5時間目と6時間目の間の休み時間にー
洋平の身体で間違えて女子トイレに入っちゃってー」
と、そう言葉を口にしたー。
「ーーぶっ!?!?」
飲み物を飲んでいた詩織(洋平)が、思わずそれを吐き出すと、
顔を赤らめながら
「は…はぁっ!?!?マジで!?俺の身体で女子トイレに入った!?!?」と、
困惑した様子でそう叫んだー。
「ーだ、だってー…つい」
それまでは意識的に男子トイレに入っていたものの、
うっかりと、癖で女子トイレに普通に入ってしまったのだと言う母ー。
「ーーは~~~~~~」
詩織(洋平)は、ため息を吐き出しながら
そのまま頭を抱えるのだったー。
③へ続く
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コメント
入れ替わったことで、親子の会話が増えたのは
いいこと(?)ですネ~!
元に戻ることができるのかどうかも含めて、
この先も楽しんでくださいネ~!
今日もありがとうございました~!☆