ここは…どこだ…?
硬くて冷たい床の感触で目が覚めた。
目を開けると視界に飛び込んできたのは、薄汚れた天井と、錆びた鉄格子。
あれ、俺確か会社から帰る途中だったはず…
まだぼーっとする頭で考える。
仕事がいつもより遅く終わり、終電に間に合わないと思った俺は、いつもと違う道を使って駅へと向かった。
途中広い公園を通るのだが、そこは最近行方不明者が多数出ている場所で…
「あっ…」
そこで思い出した。
嫌だと思いながらも仕方なく公園の中を進んでいたら、黒い服の男達に囲まれたんだ。
逃げようと思ったら後ろから変な薬を嗅がされて…
周りを見ると、さっきまで気が付かなかったが、俺と同じように捕まったらしい男たちが数人、絶望した顔で座り込んでいる。
どうやら若い男ばかり誘拐されていると言うのはほんとらしく、俺含めてこの牢屋みたいな場所には皆20代ぐらいの男しかいなかった。
「嫌だ…もう嫌だ…誰か、誰か…」
隣の男が小さな声で呻いていた。
顔色は土気色で、身体を震わせながら顔は恐怖に引きつっている。
そしてその呻く男の隣にいた男は、俺が目が覚めたのに気付くと俺を見て力なく笑った。
「お前も捕まったのか…ここは地獄だぞ」
暗い表情のままそう言う男。
「こ、ここはどこなんだ?俺はなんのためにここに連れてこられたんだ!?今から何をされるんだよ!」
俺は今の状況が分からな過ぎて、暗い表情の男を問いただしてしまう。
しかし男が答える前に、牢屋の外の廊下の奥から足音が聞こえてきた。
バラバラの歩幅で歩く複数人の硬い靴音と、時折聞こえる楽しそう笑う男達の声。
その音が聞こえた瞬間、牢屋の中の空気が一気に張り詰めたのを感じた。
そして牢屋にいた男たちは皆息を潜め、その音に怯えるように震え始める。
「来る…あいつらが…」
「あぁもう嫌だっ…!!だ、誰か助けてくれ!!」
「お願いしますお願いしますお願いしますお願いします」
大人である男達が恐怖に顔を歪め、泣きそうな顔で必死に祈るように言う姿に、その恐怖が伝染して俺まで不安で心臓がドクドクと早く鼓動し始める。
そして足音はついに鉄格子の前で止まり、牢屋の外には緑色の軍服のような服を着た男たちが現れた。
黒のブーツに制帽まで被った男達の手には、手の甲に3本線が映える真っ白なナイロン手袋がはめられている。
恐らくこいつらが誘拐犯だろう。
「さぁて、今日はどいつにしようかな」
男達の一人が牢屋の中を見ながら笑って言った。
その目が牢内を品定めするようにゆっくりと動く中、牢屋の中の男達は皆誰もが目を逸らして俯き震えている。
そして誘拐犯の視線が、俺の隣で震えていた男に止まった。
「今日はお前だ」
男はその白い手袋の人差し指を、静かに彼に向けて言い放つ。
「ひぃっっ…!! い、嫌だ! 嫌だぁあっ!!一昨日やったばかりじゃないか! なんでまたっ、 なんで!!」
男は怯えながら金切り声を上げ、座ったまま震えて後ずさった。
しかし鉄格子の扉が開いて二人の男が入ってくると、その白い手で彼の両腕を掴んでしまう。
「ひぃいいいっ!!嫌だぁあっ!!お願いしますお願いします!!もう嫌なんです!!ほ、他の奴にしてください!そこの新人とか良いじゃないですか!!あぁぁっ!!嫌だぁぁあっ!!」
男は俺を指さし訴える中、恐怖のあまり男の目からは涙が流れていた。
しかし誘拐犯達はその男から標的を変えることなく、泣き叫ぶ男を外へと無理やり連れ出していく。
「おい、新顔」
「っっ!!!」
誘拐犯が牢屋を出る時、急に俺の方を向いて俺を呼んだ。
「お前も来い。俺等のペットの扱いを見せてやる」
冷たい笑みを浮かべながら言う男に恐怖を感じた俺は、今は逆らってはいけないと本能で感じた。
今回俺は見せられるだけ。
牢屋にいた男達は怯えていたが怪我をしている様子も、衰弱もしてはいなかった。
それなら外の様子を伺い、逃げるチャンスもあると思ったのだ。
俺は恐怖で震える足をなんとか立たせ、誘拐犯の元へと向かった。
牢屋から出た俺は誘拐犯に囲まれながら、引きずられていく男の嗚咽と共に歩みを進める。
連れて行かれた部屋は殺風景で、なんだか冷たい空気が漂っていた。
中央には無機質なベッドが一つ。
そしてそのベッドには黒光りする革の拘束具が取付けられており、まるでアニメで見た拷問器具のようだった。
連れて来られた男は誘拐犯達によって羽織っていた衣服を奪われると、全裸の姿でベッドの上に乱暴に投げ出される。
ベッドの上で男が泣き怯え震える姿は痛々しく見えたが、五人の誘拐犯の男達はそれに感情を動かされた様子はなく、一切の容赦なく彼を手際良く拘束していった。
「嫌だっ、うぅっ、やめてくれっ、お願いだっ、あぁっ、怖いっ、誰か助けてっ!!うわぁぁぁっっ!!」
男の掠れた懇願と嗚咽が響く中、拘束具の締まる金属音が余計に冷たく聞こえた。
手首、足首、太もも、胴体、そして肩と額。
そこへ黒い革ベルトを取付けられて身動きを封じられる中、彼はただ涙を流しながら恐怖で浅く速い呼吸を繰り返している。
「さて、始めようか。今日はどこから虐めてやろうか」
「確かこいつは腋が弱点だったよな。なら最初に腋下で地獄見せてやるのも良いな」
「いや、まずは足の裏でじわじわ責めてやる方が面白いだろ」
「ひぃぃいいいいいいっっっ!!」」
誘拐犯たちはまるでこれから始まる遊びの相談でもするように、男の身体へと手袋の白い手を向けながら楽しげに言葉を交わしている。
手袋に包まれた白い指を男の身体にギリギリ触れない箇所で留め、クネクネと男を煽るように動かしていた。
その指の動きに本気で恐怖を感じるかのように、男は甲高い悲鳴を上げて怯えている。
誘拐犯の手には別に何か凶器が握られている訳でもなく、今から暴力を振るうようでもない。
しかし男からは感じるのは本気の怯えで、これから残虐な拷問でもされるかのように見えた。
誘拐犯達が今から何をするかは兎も角、怯える男を見て楽し気に笑う姿に俺は言いようのない嫌悪感と恐怖を感じる。
そんな中、誘拐犯の一人が顎で合図を送ると、二人の男たちが一斉に白い手袋に包まれた手で男の身体へと触れた。
続きは6月15日に他プランでも公開予定
現在タバコプランにて先行公開中
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