XaiJu
penguin
penguin

fanbox


頻尿な鮫ちゃんのnovel.1

『頻尿な鮫ちゃんのnovel.1』 ※独自の設定『XANXUSの定めた掟(決まり事)』等が都合よく出てきます。原作では食事中に乱闘したりしてましたが、あくまで二次創作、ご都合主義に生きます。 ※スカメインなのですぐ催したりすると思われます。 ※基本皆スクちゃんに優しくあれ…!って思いで書いてますので、CP要素はなくてもスクちゃん総受けぐらいの思いです。 大丈夫な方のみ閲覧下さい。  『ゆりかご』、ボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーのボスであるXANXUSが、クーデターを起こした後に現ボンゴレボスであり実の父親とされていた9代目によって氷漬けにされた日より丸1年の月日が経っていた。  現ヴァリアーのボスは、XANXUSという存在が現れるまで次期ボスの座は彼しかいないだろうと謳われていたスペルビ・スクアーロが代理という形でその席を守り続けている。XANXUSに誓いを立てた際に験担ぎにと伸ばし始めた髪も肩に付くほどには長くなってきていた。しかし、いくら腕の立つ剣士だからと言っても、スクアーロはまだ15歳だ。ましてや、それより幼い9歳の子供や赤ん坊だっている。少なくとも、赤ん坊は呪われしアルコバレーノの1人、マーモンである為、戦力としては申し分ないのだろうが。  そんな彼らが今何をしているかと言えば、やっと謹慎が解けぼちぼち仕事に復帰……というわけにもいかなかった。ボンゴレボスの命を、実子であるXANXUSが狙ったという事実は機密扱いとされ、上層部の者と主犯となったヴァリアーの面々しか知らないのだが、その上層部から長い謹慎を言い渡されている。謹慎で済まされているだけ優しいものだ。  しかし、スクアーロだけは違った。XANXUSと9代目が対峙している中、深手を負った彼は瓦礫の影に体を預け、薄れゆく思考の隅で聞いてしまったのだ。怒り狂うXANXUSが『己は9代目の実子ではない』と叫ぶのを。氷漬けにされてしまった己のボスを助け出す術も見つけられないまま、ぐるぐるとXANXUSの言葉が頭の中を巡り、彼の出生を調べた事により、その言葉はより深く重くスクアーロの身を蝕んだ。  それがきっかけで、スクアーロのXANXUSに対する忠誠心はより強固なものとなり、この暗殺部隊を潰されないよう維持し、いつでもボスを迎えられるように体制を整えておく事に全力を尽くした。謹慎の身ではあるものの、彼らの様な暗殺部隊が見張りをやり過ごせない訳が無い。ましてや、1年という月日が経ってしまい、少し手薄になりつつある警備など無いに等しかった。  幹部たちはスクアーロの指示の元、時折数人で外へ抜け出しては自分たちで諜報活動を行い、ボンゴレの管轄下で悪事を働き民間に恐怖を与える者たちを粛清という名の殺しで排除してきた。これに気づかないボンゴレではないが、何度か口を出したものの、結果的に良い方へ傾きつつあった事から最終的には謹慎の話はどこへやら、いつも通りの暗殺部隊がそこにあった。ただ一点、ボスが不在なのを除いて。  それが、スクアーロにとって良くない結果をもたらしているとは、本人も含め、誰もが想定してはいなかった。 コンコン 「スクちゃん、お夕飯の準備ができたわよ」  ノックの後に、柔らかくそれでいて凛とした声が聞こえ、スクアーロは肩の力を抜いた。ルッスーリアだ。幹部最年長の彼は大変な世話焼きで、こうして暗殺以外でも書類仕事に追われたりと何かと忙しくしている幹部たちの為に食事を用意してくれる。そればかりか、闇を駆ける自分たちにとって、任務に出れば使用することも無いというのに毎日ベッドのシーツを天日干ししたり、或いは血で汚れた服の洗濯までもしてくれる。まるで遠い日の記憶、姿すら思い出せないというのに、母を思わせるルッスーリアに少なからずスクアーロは懐いていた。  だからこそなのだろう。書類仕事が立て込むと食事を取ろうとしないスクアーロさえも嬉しそうに食堂へ現れるのだ。 「ルッス、今日は何だァ」  執務室から出てすぐ、待ってくれていたルッスーリアに声をかけ、食堂まで他愛のない会話を楽しみながらのんびり歩いて行く。わざと遅く歩くのは、ルッスーリアと長く話がしたいという可愛らしい理由だったが、本人はその事を口にした事は無い。無意識に行っている、というのもあるが、どうやらスクアーロにはこの時間が何よりも安らげる唯一の時のようであった。  無論、ルッスーリアもその辺は特に指摘せず、歩行速度を合わせて食堂への短くも長い道のりを歩くのだ。  しかし、半分程歩いた時だろうか。廊下に分かれ道が1本出来ている辺りでスクアーロが歩みを止めた。 「……と、悪ィ、先行っててくれぇ」 「はぁい。慌てなくていいから、怪我しないようにねぇ」 「大丈夫だって」  ここの所、スクアーロは食堂に着く前にトイレに寄る事が増えた。以前の彼ならば食堂の扉を開けるギリギリまで話に花を咲かせていたのだが、それ程までに好きなルッスーリアとのおしゃべりを中断してでもトイレを優先するのだから、始めのうちはルッスーリアも気にかけていたが、回数を重ねる毎に慣れてしまい、特に気にする事なく送り出すようになった。 「あれ? オカマ1人じゃん」 「まっ、失礼ねぇ! っていうかベルちゃん、あんた先に食堂行ってたんじゃないの? あら、もしかしてスクちゃんをお迎えに来たのかしら♪」 「だっ誰があんなカス鮫! 王子待つの嫌いだから先に食べようと思ったんだけどぉ、マーモンがうるせーから仕方なく呼びに来てやったんだよ」  余程空腹なのだろう。この自己中で怠惰な王子様がわざわざ自ら出向く程にお腹を空かせている。ルッスーリアは少し申し訳なさそうにしながら、もうすぐ皆揃うと思うから、と気休め程度の励ましで再び食堂を目指した。 「てかさ、スクアーロは? レヴィはほっときゃ勝手に来るけどさー」 「スクちゃんなら急ぎの書類にサインだけしてくるって。だからすぐ来るわよ」  本当はトイレに行ったのだと知っているのだが、敢えて嘘をついたルッスーリアを長い前髪の奥の目がじっと見つめた様な気がした。特に隠す事もないのであろうが、こうも頻繁だとどうしても引っかかる部分はあるようで、一般的に思春期と言われる年齢のスクアーロに、まだまだ子供なベルフェゴールを必要以上に近づけてしまうのは良くないとも考えての事だった。 「何それ、超怪しい」 「あらあら、何でも疑ってかかるのはこの世界で生きてくには十分だけど、疑い過ぎは身を滅ぼすわよ、ベルちゃん」 「チっ、カマのくせに」  オホホ、と上品に笑うルッスーリアに背中を押され、悪態をつきながらも齢9になったわがまま王子は渋々食堂へと吸い込まれて行く。正直なところ、ベルフェゴールもスクアーロの事を気にかけているのだ。半年という長いようで短い月日が、戦闘、訓練、作成会議、殆どがそれで埋まっていた中で、ほんのわずかな安らぎの時でさえ、ボスの剣として、或いはボスのいい玩具として生きた彼に、同情こそしないものの、何かそれに近い感情を幼い殺人鬼は抱いていた。  一方、ルッスーリアと別れトイレへ直行していたスクアーロは、まさかそんな嘘でやり過ごされているとは露知らず、白い陶器に負けず劣らず白く細身の太腿と小ぶりなお尻を便座に乗せ、安堵の溜め息と共に勢い良く黄色い液体を吐き出していた。じゃあじゃあととめどなく溢れる液体が、一体どれだけ我慢していたのだと思わせるが、実際の所我慢していた時間自体は実に短いものだった。  ルッスーリアとの会話中特に我慢していた訳でもなく、急に訪れた尿意がそこそこ切羽詰まった状態だったが為に、断りを入れる際、ポーカーフェイスで悟られないようにしたつもりだったが、内心トイレに行きた過ぎてどんな顔をしていたか思い出せない。  その場で別れてからは、自分の姿が見えなくなるぐらいの所で気配を消すのもそこそこに全速力で走った。ガキみたいだと思いながらも、無意識に伸ばされた両手はしっかり股を押え込み一直線に目的地へ急いでいた。その甲斐あって、被害は最小限に抑えられたものの、すなわち最小限の被害は被ってしまったのだ。 「はあ……」  今度は悲しい溜め息が出た。グレーの下着の中心にできた小さな染みが原因だ。  二重扉になっている完全個室タイプのトイレの鍵をかけようとして、焦りから上手くいかず尿意は膨れ上がり少しだけ出てしまったのだ。今まで同じように切羽詰まった状況は何度かあったものの、チビってしまうような事は無かったように記憶している。  もう出すものも出し切ったそこから滴る雫がぴちょんと断続的に音を立て、嫌にはっきり聴こえるものだから個室内の静けさがよく分かって余計に悲しくなった。そのまま目の前が霞そうになるのをぐっと堪え、トイレットペーパーで先端を拭き取り軽くずらし気味に下着とズボンを上げた。幸いにも上着の裾が長い為、多少のズレは気づかれないだろう。  水を流し、トイレから出てすぐの手洗い場で手を清めてから、1度鏡を見た。今にも泣きそうな情けない顔が映る。思わずルッスーリアを呼びそうになったが、瞬時に首を振って気持ちを切り替え廊下へと出る扉を開けた。すると、目の前を闇が覆った。否、食堂へ向かうレヴィ・ア・タンである。 「む、貴様か……」  スクアーロ同様、日常において少し鈍い所のあるレヴィはスクアーロの方を一瞥し、すぐにそっぽを向く……のが常なのだが、どうしたわけか今日は少し面食らった様子でスクアーロの事を見つめている。 「な、何だよ……何睨んでんだよ」  下着の事もあり、いつもより小さく弱々しい声に自分でも驚いた様子のスクアーロは、依然としてこちらを見たままのレヴィを不審に思いながらも次の行動に出られずにいた。元々あまりお互いに仲が良くない事もあり、こういった突飛な行動には弱いのだ。  お互い1歩も引かぬ睨み合いの末、レヴィがフンと鼻を鳴らし軽い咳払いの後に口を開いた。 「……っ、いや……あー、癪だが、貴様も食堂へ行くのだろう。ならばその暗い顔をどうにかしてから来い」  視線を彷徨わせつつ、それだけ言うと逃げるかのように急ぎ足で去って行ったレヴィに対し、数拍置いてから凄まじい怒りが湧き、思わず大声で叫びそうになった。要するに単純なのだ。  しかし、おかげで何だか強ばっていた体が解れたように感じ、すっと気配を消して食堂近くの自室へと急いだ。  執務室とは別で設けられた自室は、シャワーと就寝時以外は殆ど使用しないのだが、それはスクアーロが執務室に缶詰状態にされる事が多いというだけで、着替えは全てここにある為わりと頻繁には訪れている事になる。特に任務の多い日などは、そこそこ時間が開くような時はどうしてもシャワーと着替えが必要になってくる。  慣れた動作でクローゼットの下に備え付けられた引き出しから新しい下着を出して、その場でストンとズボンを下ろし脚から引き抜いた。未だ半端な位置で引っかかったままの下着はできるだけ考えないようにしながら、引っこ抜いた勢いのまま一旦洗濯カゴへと投げ入れた。そうして漸く新しい下着を身につけ、ほっと胸を撫で下ろした。 (……っと、いけねぇ。だいぶ待たせちまったかな)  ひと段落つき腹の虫が騒ぎ始めた事で、本来の目的である夕飯の事を思い出し急いで部屋を飛び出した。XANXUS不在の今も彼が掲げた掟は頑として守ろうとする幹部たちは、食事の際は皆が揃ってからでないと食べてはいけないというルールを毎食しっかり実行していた。それ故に、あのベルフェゴールでさえも1人で先に食べ始めたりはしない。揃っていなくても食べていいのは、任務に出ているとわかっている時とボスであるXANXUSだけだった。 「悪い! 待たせたなぁ!」  勢い良く食堂の扉を開けて中へ入ると、すぐさまスクアーロ目掛けて鋭利な刃物が飛んできた。『prince the ripper』、切り裂き王子として恐れられている最年少幹部のナイフだ。余程腹ぺこなのだろう。 「ゔおぉぉぉいベルぅ! 食堂でナイフ飛ばすなっつってんだろぉ!」 「うるせーよバカ鮫。王子超腹ぺこなんだけど、どうしてくれんの? しかもカマの話だと書類仕事がーとか言ってたのに、そこのムッツリがトイレから出てくるとこ見たって言うじゃん。どういう事なのさ」  捲し立てる様に一気に喋ったベルフェゴールは、やや息切れ気味にテーブルに乗り出した体を椅子へと預けた。その隣で、強欲な赤ん坊は暇そうに札束を数えている。  カマと呼ばれたルッスーリアは申し訳なさそうにスクアーロに視線を飛ばし、レヴィはムッツリという単語に対し立ち上がって怒りを顕にしている。 「だからねぇベルちゃん。さっきも言ったけど、お仕事片付けてからトイレに行っただけの事でしょ。ボスの掟にもあるじゃないの、食事中一切席を立ってはいけないって」 「はあ……それに、ちゃんとスクアーロも来たんだからもう食事を始めてもいいよね」  ルッスーリアとマーモンの言葉に、ベルフェゴールは思わず口ごもった。そんな中、スクアーロと鉢合わせているレヴィはあの時のスクアーロの表情を思い出し何か言いたげだったが、特にこれといって伝えたい言葉が思いつかないでいる。そもそも先程のスクアーロに対してどう思っているかも分からないままで、何かを伝えたいという思いだけが不完全燃焼で残り続けた。そこに、パンッと重たい空気を切るような乾いた音が鳴った。ルッスーリアが両掌を向かい合わせて胸元まで上げていた。 「皆お腹空き過ぎてイライラしてるのよね! 今晩はデザートに好きな物作ってあげるから喧嘩しないの! ね?」 「王子プリン・ア・ラ・モードがいい。アイスとホイップ乗ったやつな」 「僕はブルーベリージャムの乗ったジャンボパフェ」 「えー、マーモンずりー。赤ん坊の体にそんなに入るかよ」  ルッスーリアの思惑通り、デザートに釣られて1番手のかかる王子様が機嫌を直してくれたようで、皆でいただきますするわよ、という声掛けと共に食事が始まった。  大きな長テーブルの片方はレヴィとルッスーリアが、向かいにはマーモン、ベル、スクアーロの順に座っていて、上座は常に空いたままだ。今晩の料理には、アイツの好きだった肉はあんまり入ってないな、なんて思いながら、スクアーロはフォークでサラダを口に運んだ。 「そういや、この野菜ってルッスが育ててるんだったか?」 「あら、覚えててくれたの? うふ、そうよぉ。どれも私が丹精込めて育てた子たちなの。美味しく食べてあげて頂戴ね♪」 「あ゙あ、そのつもりだぁ」  ルッスーリアの料理の腕もあるが、意外にもベジタリアンの気があるスクアーロは、自分の分のサラダを粗方片した後でやっとメインに手を付け始めた。まだ十分温かい魚料理に思わず笑みがこぼれる。わざわざ温め直してくれたのだろうか、それとも自分が思う程時間が経っていたわけではないのだろうかと思考を巡らせながら、ひと口、またひと口と魚を口に運んでは顔をほころばせて、それこそ周りに花でも飛ばしていそうな程上機嫌で口を動かしている。 「スク、何ニヤニヤしてんの?」  隣に座るベルフェゴールの声に、はっと我に返ると幹部たちの視線は一斉にスクアーロへと注がれていた。途端に顔に熱が集中する様な感覚と、恥ずかしいという感情が全身を駆け巡り、まるで茹でダコの様に真っ赤になってしまった。いくら共同生活をしている本部だからと言えど、ただの本部ではない。暗殺部隊の本部だ。油断し過ぎていた自分が恥ずかしく、近くにあったカップを手に取ると、その勢いのままぐびぐびと中身を一気に飲み干してしまった。 「あらまスクちゃん、そんなに喉乾いてたのねっ。新しいお紅茶注がなきゃねっ」 「あははっ何それ照れ隠しかよ! 王子超ウケるんだけどーっ」 「その辺にしておきなよベル。今のは確かに隙だらけでだらしのない顔してたスクアーロが悪いけど、ベルだって好物食べる時ぐらい嬉しくなるだろう」  ダァンと空のカップを叩きつけるように置いたスクアーロに、ルッスーリアが慌てた様子で紅茶の入ったポッドを差し出した。本当なら注いでやりたいのだが、ボスの定めた掟がある以上、如何なる理由でも席を立てないのだ。ベルフェゴールは先程の光景を思い出してはゲラゲラと大笑いし、これには流石のマーモンも微弱ながら助け舟を寄越してきた。  未だ顔の赤いスクアーロは、ポッドを受け取るとカップに半分程注ぎ、一旦手を止めた。 「そういや、何で飯時にしちゃなんか妙な味の紅茶だなぁ」 「実はね、そのお紅茶に使ってる茶葉、今日のお夕飯に合わせた特製ブレンドなのよぉ♪ 次はじっくり味わって飲んで頂戴ね♡」 「ゔぉう、わかったぜぇ」  ポッドを戻し、試しにもう1度魚料理を口に運ぶと、スクアーロはさっきの比ではない程の幸せオーラを振り撒いた。それこそ、ぶわっという効果音でもつきそうな勢いだ。 「王子イカれちったかも。バカ鮫の周りに花飛んでる様に見えるんだけど、マーモンの幻覚?」 「悪いけど、僕は何もしてないよ。きっとスクアーロの放つオーラがそう錯覚させているんだと思うよ。まあ、ベルがイカれてるのは現実だけどね」 「何この赤ん坊超ムカつく。殺していいよね」 「やめなさい2人とも。食事の時ぐらい大人しくなさい」 「全く、いつまでかかっているのだお前たちは」  あまりの美味しさに、いつもの彼からは想像もつかない程静かに黙々と食事をとるスクアーロを他所に、口論を始めた2人を止めるルッスーリアの隣で、それまでひと言も発さずにいたレヴィが口を開いた。レヴィの皿は既に空になっていて、他の幹部たちが食べ終わるのをただ待ち続けるしかない。これもボスの掟だ。食事を終えるのも皆が揃って食べ終わってからなのだ。ただ、やはりボスは例外なのだが……。 「えー、だって王子野菜嫌いだしー」 「ムムっ、僕は体が小さいんだから仕方ないだろ……」 「それに、スク先輩だってまだ食べて……ってもう食べ終わってんの!?」  久しく食べていなかった好物の魚料理で大満足のスクアーロは、紙ナプキンで口を拭い、手を合わせてから食後の紅茶を楽しんでいる。 「ほらほら、後はベルちゃんとマーモンだけよ。早く食べなきゃデザート作れないわよぉ」  XANXUSの残した数々の決まり事の中でも、やはりこの食事中に席を立つべからずは強力で、XANXUSの気まぐれや命令以外で立つ事は許されない為、あの頃は皆時間との勝負で、キツキツなスケジュールをこなしていた。  しかし、XANXUSが不在の今、決まりは守れどだんだんと時間と心に余裕が出始め、のんびりと食事を取るのが常となっていた。おかげで1日にこなせる仕事の量は激減したが、元々謹慎の身だったのだから丁度いいぐらいだと割り切っている。  だが、いつまでもだらだらとしていられる訳でもない。ましてや、他人に合わせてずっと椅子に縛り付けられていなければならないなら尚更だ。文句を垂れたり喋ってばかりで食べようとしない幼子たちの隣で、スクアーロは両手で持ったティーカップを小刻みに揺らした。否、スクアーロ自身が不規則に揺れていた。 (やべぇ、トイレ行きてぇ……)  照れ隠しに煽った1杯目、食事と共に飲んだ2杯目、食後の3杯目、味は確かに美味しくて、その上ルッスーリアが喜んでくれるのもあり、スクアーロはついいつもより飲み過ぎてしまった。その事に気づいたレヴィは、「そんなに飲むと小便が出るぞ」と皮肉ってやろうとしたが、未だ一応食事中である為、大人しく口を噤んでいる。そもそも、時すでに遅しなのかもしれなかった。 続く


More Creators