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ごむらば
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9.マネキンになるお仕事【撮影編】

生きたマネキン人形となり木箱に梱包箱詰めされた私はコンテナに積み込まれて撮影が始まるのを待った。 ご丁寧にコンテナの扉まで閉められ、木箱に梱包された私の耳には外部の音は遮断されて全く聞こえなくなった。 気が狂いそうに長い待機時間。 実際にはそれほどではなかったかも知れないが、私にはそう感じられた。 そんな中、頭を過ぎるのは、もしこのまま本物のマネキン人形と一緒に海外に売り飛ばされたら… 、きっと誰にも分からないだろうとそんな怖いことを考えてしまう。 いいしれぬ不安の中、早く木箱から出してもらうことだけを願うしかなかった。 『ガンガンガン!』 コンテナを叩く音がして、人の声が聞こえる気がする。 撮影が始まったのだろう。 “早く私を見つけて出して!” 私は心の中でそう願った。 『ガチャガチャ、ギィー!』 コンテナの開く音がした。 同時に多くの人がコンテナの中へと踏み込んできた。 刑事役の人たちの声が近くで聞こえる。 バタバタと他のマネキン人形の入った木箱が運び出されているようで私のすぐ近くでも刑事の声が聞こえてきた。 「いません!」 「違います!」 そんな声を聞きながらも私は酸素が薄くなり、意識があやふやになり始めていた。 そんな私の入った木箱が浮き上がると運び出される。 電動ドリルの音がした後、真っ暗闇だった私の視界が白一色となった。 “助かった!” そう思っていると刑事の声が聞こえてくる。 「いました!発見!発見!」 「おい!大丈夫か!」 そう言うとすぐにビニール袋が破られて新鮮な空気が入ってきた。 普通の人ならとても新鮮とは思えない空気でも今の私にとっては凄く新鮮な空気に感じられた。 “あとはマネキン人形が解体されて生田 小夜に戻してもらうだけだ” そう思って安心すると急に脱力し、気を失ってしまった。 周りの慌しい会話や音で気がついた私は木箱から出されて立っていた。 どれくらい気を失っていたのか分からないが、とにかく撮影は続いているようだった。 慌しく動き回る人影を見ていると、こんな会話が聞こえてきた。 「あと4人を早く見つけ出せ!」 「はい!」 私がマネキン人形から解放された後は、途中までラバースーツを着ていた女性たちに差し替えられるのだろう。 そんなことを考えているとマネキン人形として恐怖と苦しさに耐え頑張った自分が惨めで涙が出てきた。 でも今はそんなことよりも無事にマネキン人形からも解放されたいと思った。 そんな私にまた大きなビニール袋が被せられる。 “えっ!ちょっと待って!” 私の思いなど届くはずもなく、私はビニール袋を被せられると、また体中にガムテープを雑に巻かれ始めるのだった。 つづく

9.マネキンになるお仕事【撮影編】

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