屋敷視点の独占欲の話(6000文字)
Added 2021-12-12 22:24:26 +0000 UTC予備校が終われば、今日も恋人が出入り口で出迎えてくれる。 チラつき始めた雪の下で愛しい恋人は、何も無いアスファルトの地面をじっと見つめながら手持ち無沙汰に立っていた。命じた通り、一日も休まず、遅れることもなく、毎日その場所で待っている。親に言われて渋々冬季講習へ通うことになったのではあるが、これはこれで良いかもしれない、と再来年に受験を控えた屋敷昴は感じていた。 「聡司」 名前を呼んでやると、付き合って八ヶ月になる恋人の中野聡司は俯いていた顔を上げ、少し緊張した面持ちでこちらを見る。未だ自分に慣れない様子が可愛くてたまらない。そんなことを思いながら近付いて笑みを見せると、昴を見つめる黒い瞳が揺れた。 「帰るか」 昴は親しい友人のように聡司の肩を抱き、並んで歩き始める。頭ひとつ低い恋人を見下ろすと、傘をさすほどでもない雪の中でいつから待っていたのだろうか、髪に雪がうっすらと積もっていた。それをそっと払ってやると、聡司はビクリと体を震わせ、昴の顔を見上げた。 「す、昴くん……?」 「なあ、いつから待ってた?」 「え……」 寒い中、あの場所でどれくらいの間立っていたのか。これから昴の家に連れ込まれ、自分に抱かれるというのに。昴は聡司が自分とのセックスを好んでいないことを知っていた。しかし抱けば喘ぎ、前を勃たせる。昴も聡司の中を犯すのは気持ち良かった。嫌がる素振りを見せるのは最初だけで、始めてしまえば昴から与えられる快楽に翻弄される。最後など、むしろこちらの体にしがみついて達してしまうことさえあるのだ。だから何も問題はない、と昴はそう考えている。 黒い眼を見つめ返しても聡司は視線を逸らさなかった。たかがこれだけのことに八ヶ月もかかった。長くかかったがそれだけの価値はあり、改めてこの存在は何者にも変え難いと感じる。セックスの反応に加え、今また硬い表情ながらもこうして自分を見つめてくるのは、以前に比べて少しは自分のことを受け入れつつあるのかもしれない、と昴は思った。 「雪。髪についてたから。結構待ってた?」 「……ううん、そんなには」 前を向いて答えた聡司の口から吐かれた白い息が溶けていく。聡司の全ては自分のものなのに、と、それさえも惜しいと感じながら、昴は肩に回していた手を離して聡司の手にそっと触れた。冷たい。手袋をせず、コートの袖に隠していた手は冷え切っていた。愛しさを抑えきれなくなった昴は聡司の手を握り、自分のコートのポケットへと誘い込む。すると聡司は思った通り、焦りを隠せない声で昴に訴えてきた。 「す、昴くん……っ」 「んー?」 「あ、あの、手……手、を」 つっかえながらも必死に言い募る聡司に、昴は鷹揚に笑って見せる。 「誰も見てねぇよ」 「で、でも」 「……何だよ? 嫌なのか?」 従わない聡司を黙らせるため、昴はわざと苛つきを声に乗せた。別に本気で苛ついているわけではない。ただ、こうすると聡司が素直になるからそうしただけだった。 「……嫌、じゃ……ない、です」 ポツリと呟くように言った聡司に対し、昴は大いに満足を覚えた。上機嫌のあまり自然と笑みが溢れ、浮かれた言葉がつい口から漏れてしまう。 「……ハハ。いーじゃん、俺ら、恋人なんだし」 「……っ、う、うん……」 「これからセックスすんだし」 背中を丸めて耳打ちするように言ってやると、聡司の耳は一瞬で赤く染まった。もう何度も抱いてやっているというのに、まだこんな様子を見せてくる。お互いの身体のうち、もう見せていない部分など無い。聡司に至っては、足を開いて尻の穴に陰茎を挿入される行為を数えきれないほどしているのに、今更何を恥ずかしがることがあるのだろう。 「お前、いつまで経っても馴れねぇよな?」 そこが良い。いや、そこも、良い。聡司は昴が過去付き合った女性たちとは全く異なる存在で、昴が望めばいつでも欲求を満たしてくれるのが良かった。 恥ずかしがる彼の足を強引に開き、寂しそうにクパクパと収縮を繰り返す穴へ自分の陰茎を埋め込んでやる瞬間を思い出す。そうしてやれば、口では嫌だ嫌だと言ってはいても涙を流して喘ぎ始める。前立腺を擦ってやると体は震え、聡司の好きな奥をトントンと突いてやれば中イキする。射精無しでイかせ、ぐったりした聡司の体を好き勝手に扱うのも昴は好きだった。イったばかりの敏感な体を犯し、強制的に何度も絶頂を感じさせてやるのも一興だ。セックスでも聡司は昴に抵抗できないのだと思い知らしめ、彼が泣いて謝るのも構わず自分が達するまで奥を突いてやるようなセックスが昴は好きだった。そう言う意味でも、体が慣れても心は未だ慣れることのない聡司との行為は替えの効かないものとなっていた。 「でも俺とするの好きだろ?」 まるでエロ親父みたいなセリフだな、と思いながらも昴は聞いてみる。すると聡司は昴の理想通り、頬を染めて目を逸らし、少し遅れて恥ずかしそうに頷いた。 「ハハッ」 上機嫌な昴とは裏腹に、聡司は鎮痛な面持ちで隣を歩く。昴を待っている間、余程寒かったのか小刻みに震え、今にも泣き出しそうな顔で、しかし必死に涙を堪えるように歩を進めていた。 ◆ 自室で今日の分の勉強を済ませたあと、聡司に体を洗いに行かせる。それを待っている間にベッドサイドへとローションのボトルを置く。聡司の体内を自分の精液で一杯に満たしてやりたいので、いつも通りゴムは用意していない。 バスタオルを二重に敷いたベッドの上に腰掛けると、下着とシャツだけになった聡司が戻ってきた。洗ったあとはセックスしかしないのだから裸で良いだろうと昴は考えているのだが、聡司がどうしても恥ずかしがるのでこの格好を許している。しかし、シャツからチラチラと覗く下着姿からは裸よりも卑猥な印象を受けた。 「聡司」 ドアを後ろ手に閉めたあと、その場所でモジモジとしている聡司に声をかける。 「来いよ」 命じると聡司は顔を伏せ、ようやくこちらへやって来た。 ベッドの際まで来た彼の手首を掴み、引っ張る。恥ずかしがり屋な恋人に対しては、これくらい強引にしてやったほうが良いと昴は考えていた。 「あっ」 ベッドに倒れ込んだ聡司の体にまたがり、上から体を押さえ付ける。 「脱げよ」 命じると目を伏せて戸惑いはしたものの、聡司は抗議ひとつすることなくシャツのボタンを外し始めた。しかし昴はその手を止め、下着に指を引っ掛けて引っ張りながら言った。 「違うって。こっち。下を脱げっつってんの」 「あ、ご、ごめんなさい……」 中途半端に外したシャツのボタンをそのままに、聡司は下着に両手をかけてずり下ろす。彼の意識の中では、羞恥よりも昴への服従が勝っているようだった。 昴はそんな恋人の行動に満面の笑みを浮かべる。高校二年生になってようやく出来た理想の恋人は、着々と自分だけのものとなりつつある。昴だけに従い、昴の嫌がることはしない。昴を畏れ、逆らわず、それでいて昴のことを好きだと言ってくれる存在。愛おしく大切で、離し難くて仕方がない存在だった。 用意しておいたローションを手に取り、聡司の尻へと垂らしてやる。冷たいと可哀想だからと温感タイプをわざわざ購入して用意しておいた。恋人に対し、こんな風に気遣うなど、昴はこれまでしたことがなかった。得難いからこそ大事にしなければ。昴はそう思っている。 「冷たいか?」 それでも念の為に聞いてやると、聡司はフルフルと首を横に振った。 洗ったばかりのそこは柔らかく、昴の指先は最も簡単に中へと入り込んでしまう。チュプ、と粘着質な音を立てて軽く抜き差ししてやると、聡司は顔を赤くして微かに喘ぎ始めた。 「……、んっ、……ぁっ」 「気持ちいいだろ?」 目元が赤い。聡司は、掃いて捨てるほどそこらにいるような至って平凡な外見だというのに、どうしてこんなに劣情を煽るような表情をするのだろう、と昴は思う。 彼は顔が良いわけでもない。かといって纏う雰囲気が良いわけでもない。地味だ。勉強だけは出来るが、それ以外はからきしだし、話していて面白い訳でもなかった。自分が聡司に惹かれる理由はそこに無いのだ。 聡司はただ従順で自分に逆らわないだけなのに、それが昴の目には魅力的に映ってしまう。暴力を振るっても、性的なことを強要しても逃げず、そこに留まった。しかしそれだけが理由で惹かれているわけではない。 「あ、いや、いや、だ……ッ」 指を少し中まで挿れてやると、聡司は目を閉じて微かに首を横に振った。 「嫌じゃないだろ」 言うと、聡司はハッと目を開いて謝罪の言葉を小さく漏らす。 「ごめんなさい……、あっ、の、僕……っ」 だから昴は優しく答えを導いてやった。 「本当は気持ち良いんだけど恥ずかしいんだよな?」 「っ……う、うん……ほ、本当は、気持ち、良い」 「これ。指挿れてるの、俺だから気持ち良いんだろ?」 「ひっ、ぁ……、うん、す、ばるくんっ……だからっ、ああっ」 否定することなく自分の言葉を繰り返す聡司に、昴は昂りを覚える。我慢できずに指を奥まで挿れると、聡司は痛がりもせず、喉を仰け反らせて甘く喘いだ。 「ハハッ……マジでかわいー……お前ってさ、どうしてこんなエロいんだよ」 「あ、ああっ、そ、そこ、やめ、あっ」 慣れた手つきで聡司が喜ぶポイントを擦る。そうしてやると、あまりに気持ち良すぎるのか、恋人はシーツを握って身を捩らせ、膝を閉じて涙を流した。 「おっと」 昴は慌てて聡司の中から指を抜く。まだセックスを始めたばかりなのに、指だけでイカせるのは勿体無い。一度イカせてから乱暴に突いてやるのも良いのだが、今日は寒い中ずっと待っていた褒美に聡司が気持ち良いことだけをしてやりたかった。 閉じた膝を強引に開き、間に体を割り込ませる。 「今挿れてやるからな♡」 指で尻たぶを引っ張ると、縁がふっくりと盛り上がった穴が少し開く。何度もヤッているのに締まりのいい、既に自分の形を覚えさせてしまった穴。そこへ亀頭をめり込ませたあと、聡司の両腕を掴んで動けないように押さえ付けた昴は、ゆっくりと体を進めていった。 「あ、あっ、……っ」 まだ狭い直腸の中を分け入っていく昴の陰茎はすぐに硬さと大きさを増す。完全に勃起した状態だと聡司の負担が大きいからと甘勃ちの状態で挿入を始めたのだが、あまり意味は無かった。愛しい恋人の体温を感じ、恋人もまた甘く喘ぎながら自分を受け入れているのだから、この反応は仕方がない。 少し開いた聡司の唇に自分のそれを合わせ、優しく吸ってやる。聡司はキスをしながら挿入されるのが好きだからだ。こうするとひどく気持ちが良いようで、今日もまた昴を包む肉壁が締め付けてくるのを感じる。 陰茎が奥まで届き、そこで前進を止めた昴は、亀頭をグニグニと押し付けるように刺激してやった。結腸の弁が亀頭に吸い付いて気持ちが良い。聡司もそれは同じようで、押し付けるたびに体が柔く震える。甘イキしてるのか、と昴はますます愛しさを募らせた。昴の陰茎で尻をいじめられ、それを快感と捉えてピクピクと体を震わせる聡司が可愛くてたまらない。そう思いながら舌を絡めて唾液を飲ませてやると、聡司はそれだけでイッたようだった。 体力の無いぐったりした体をしばらく抱き締めたあと、昴は聡司の両手と自分の両手を恋人繋ぎにし、緩やかに腰を振り始める。 「疲れたか?」 「う、ううん……」 「そっか♡」 体の下で恋人が控えめに微笑む。必死に取り繕った笑顔でも、昴にはひどく魅力的に映った。 「ふっ、あ、あ、んっ、あっ」 聡司の薄い唇から声が漏れ始める。セックスが好きではないのに、こんなに気持ちが良さそうな喘ぎ声を漏らすということは、相当気持ちが良いのだろうと思う。何度もドライでイク練習をさせたせいか、聡司の陰茎は緩く勃ち上がっているだけだ。先ほどの絶頂でも精液は出なかった。 ドライでイクと相当疲れるらしい。しかし聡司は昴のセックスに必死に応えている。それがまた昴には嬉しいことだった。自分のことよりも昴が射精するまで苦手なセックスに付き合おうとする、その姿勢が好ましい。 好きだ。 昴の中に温かい感情が生まれる。他人にこんな気持ちを抱けるなど、一年前の自分なら信じなかっただろう。 聡司のせいで自分は変わった。いつもどこか冷めた気持ちでしか人や物事に対して接することが出来なかった自分が、こんなにも人を愛せるだなんて。 「あっ、あっ、あっ、んぁっ」 自分の陰茎で聡司を気持ち良くさせられていることが嬉しい。彼の好きな奥を突いたあと、結腸まで抜き、そこで射精してやりたい。聡司はセックスが苦手なくせにそうされるのが好きで、昴の征服欲もまた満たされるからだ。 「あ、ひっ、んぁっ、あ、ああっ」 奥を突いて腰を回すようにしてやると、聡司の反応が変わる。行為に乗り気では無い恋人を気持ち良くさせ、感じ過ぎて仕方ないという風に喘がせるのはたまらなく良かった。自分とだから彼はこんなに乱れるのだ、と自尊心が満たされる。それは彼が自分を愛しているのと同義だろう、と昴は考えていた。 「気持ち良いか、聡司?」 「ん、んっ、きもち、いっ」 「ハハッ♡ お前、俺にこうされるの大好きだよな、ホント」 「い、きもちいいっ、あ、あっ」 涙を流して喘ぐ聡司の薄い腹を手のひらで上から軽く押さえてやる。 「ひぐっ……んっ、んんんっ」 体の外側と内側から前立腺を挟まれた聡司の反応が変わった。そのまま陰茎を抜き差ししてトントンと軽く奥も突いてやる。すると聡司の陰茎から透明な液体が噴き出した。 「……っ、あ……あ、ごめんなさ、ぼ、僕……っ」 もがこうとする体を押さえ付けつけ、昴はなおも聡司の体を犯した。奥を突くたびに透明な液体がプシャプシャと陰茎から吹き出される。 ドライでイき、いままた潮吹きするなど、もう今更聡司の体は男には戻れないだろう。そう思った昴の唇に笑みが浮かぶ。これは自分専用の体だ、と確信した。専用だからこそ、もっと可愛がって自分から求めさせ、そのうち自分の顔を見ただけで発情するような淫乱にしてやりたいと思ってしまう。そこまで躾ければ、昴以外の他の男へ目移りすることはないだろう。そこまでしてようやく昴は安心することができる。 「……好きだ」 「ごめ、ごめんなさいっ」 「好きだ、聡司」 謝罪を続ける唇をキスで塞ぎ、そのまま腰を振る。激しく、強く、それは昴が射精するまで続いた。
Comments
昴は終始こんな感じで変わらないです😀 聡司のことを可愛いと言ってくださってありがとうございます。嬉しいです😀 これからもたくさん泣かせていきたいと思います
煉瓦
2021-12-13 10:57:45 +0000 UTC