屋敷視点のクリスマスの朝の話(5700文字)
Added 2021-11-16 23:51:51 +0000 UTCクリスマスイブもクリスマスも、西洋ではないこの国では恋人たちのための日だ。 だから屋敷昴はイブの夜に自室へ恋人である中野聡司を泊まらせ、セックスした。中に挿れたまま何度も射精し、聡司が中だけで達してもなお離さなかった。何度も中で出し、やがて反応しなくなった恋人の体を抱きすくめ、それでも奥へと腰を打ちつけ、結腸で最後の射精を行なったときには既に窓の外が白み始めていた。 これは自室ゆえにできたことだった。 自室と言っても、昴のそれは本宅から少し離れた場所にある平家の一軒家だ。東京へ出た叔父から受け継いだそこは音楽が趣味だった前の主人に合わせて防音処理が施されていて、恋人を犯すのに丁度良かった。声をあげられても、抵抗の際に物音を立てられても、少々のことならば外へ漏れることもない。 昴の家は所謂名家と呼ばれる家だった。 祖父よりも前の時代から、代々屋敷家はこの地一帯を治めていたため、現在所有する土地も多く、そして広い。小高い丘の上に建つ豪邸は昔の風情を残しながらも、常に美しく整えられていた。 代々優秀な当主に恵まれ、屋敷家は先祖から受け継いだ資産をほとんど減らすことなく続いている。祖父の代で事業を起こして大きく成長した屋敷家は、今では東京に幾つかの関連会社を持つまでに成長していた。そのため両親は普段東京で暮らし、月に数回地元へ帰ってくるという生活を続けている。昴が小学生の頃からそのような生活になったので、今更何も思うことはない。それどころか高校生になった今となっては、両親がいないほうが過ごし易くて良いとさえ昴は思っていた。 そもそも、家のことなど昴にはほとんど関係がない。彼は三男で、上には優秀な長男と、親戚の病院を引き継ぐために医師の道へと進んだ次男がいる。昴が継ぐべきものは何もなく、彼は堅苦しい家の割に比較的自由を満喫していた。将来は長兄を助けるようにと言われてはいるが、仮に別の道へ進んだとしても特に何も言われることはないだろう。むしろ、昴と反りが合わない長兄などは、逆にそうしてくれたほうが有難いと思っているかもしれない。 煩わしい長兄の顔が頭に浮かび、眉根を潜めてしまったが、隣で眠る恋人の顔を見下ろせば自然と頬が緩む。 優しく抱くつもりだったのに、昨晩もひどくしてしまったことを少し後悔した。優しく触れてやったほうが聡司は感じることを、これまでの経験から知っている。ゆっくり焦らして尻を指で解し、中が熱くトロトロになってからじわじわと挿入してやると、突かずとも彼は絶頂するのだ。戸惑い、震え、それでも快感に抗えない表情はひどくそそる。以前そうして抱いてやったとき、根本まで挿入した途端、聡司の濡れそぼった陰茎からドロドロと白く濁った精液が射出されたのを目にしたときは、胸に甘い疼きを覚えたものだ。 昴は聡司の体を自分好みに育てたかったが、どうしても激しいセックスを好むようには変えられなかった。ガンガンと力任せに奥を突けば、強制的に与えられた性的な快楽から射精はする。しかしそれは生理的な反応であって、優しく抱いた場合に顔をとろけさせ、感じてたまらないと昴にしがみつき、甘い声を上げながら絶頂するそれとは全く異なった。 昴自身は相手の体のことなど考えない自分本位のセックスが好きだったが、聡司に関してだけは、何回かに一度くらいなら彼の好みの抱きかたをしてやっても良いと思っている。計算ずくではなく、愛情からそう思えるのは彼に対してだけだった。 そんな風に、聡司の体は既に手に入れたものの、心はまだ落ちてこない。 昴はいまだ眠る聡司の首を指でなぞる。これだけ愛して好きだと伝えても、聡司はまだ昴のことを好きになってはいない。無知だった体に男とのセックスを教え込み、深くメスイキまでさせて女を抱けなくしてやったのに、と思う。友人のいない聡司には、もう昴しかいないのだ。なのにまだ昴を拒む節がある。舌を絡め、アナルをペニスで犯しても抵抗しないのに、何故か自分が昴の恋人であることをまだ理解していない。 口では昴に対して、「好き」だの、「挿れて」だのと言うが、それは全て昴が教えた言葉だ。最初は嫌がりながらも昴を受け入れ、服従を示すそれらの言葉を口にするのことに昴はたまらなく興奮した。同じ男である彼を屈服させ、力ずくで蹂躙し、無理矢理犯すのはひどく昂る。今もそうだ。しかし、従順な聡司を手に入れた今、恋人としてーー体だけではなく、心まで昴を切に望む彼を見てみたい、と思ってしまったのだ。 「好きだ、聡司」 呟き、手のひらで首筋に触れる。 逃げないように首輪でもつけて、この部屋に囲ってしまおうか。そうすれば親にも頼れず、聡司にはいよいよ昴しか縋る相手がいなくなる。そんな状況になれば流石に聡司も理解するだろう。どれだけ昴が彼を愛し、望んでいるのかを。 昴はベッドから降り、自分の机へと向かった。そして一番上の引き出しから綺麗に包装された小さな袋を取り出す。手のひらに収まる大きさのそれを手に、昴はベッドに戻った。端に腰掛け、上体を倒して恋人の頬にキスを落とした。しかし彼は目を覚まさない。昴は少し笑うと恋人の顎をとり、上向かせて唇を吸った。 「ん、……っ」 柔らかい唇を舌で舐めたあと、中へと侵入する。そのまま舌を絡めつつ、袋をヘッドボードの棚に置くと、空いた手を布団の中に潜り込ませた。 「……んぅ……」 胸を撫で、腹をなぞって腰へと手のひらを滑らせる。昨晩抱いたあと服を着せなかったので、聡司は裸のままだ。 指を尻の間に入れ、ツプリと押し込む。精液はあらかた掻き出しておいたが、ローションはまだ残っていたから抵抗はない。 「……っ、ぁ……」 ゆっくりと指をすすめていくと同時に、聡司の意識も覚醒したようだった。だがキスは止めず、唾液を送り込んで飲み込ませる。起き抜けからそんなことをされているのに、この腕の中で身じろぎもせず耐えている恋人を、自分の体液で汚して犯してしまいたい。昨晩、散々好き勝手をしたはずだと言うのに、昴はそう思わずにはいられなかった。 指を増やし、動きを少し早める。聡司が喘ぎ始めたので昴は唇を離してやった。 「気持ちいい?」 いつもとは少し聞きかたを変えてやる。すると聡司は快楽にとろけた表情のままでコクリと頷いた。 二本の指を中で広げ、指の腹で前立腺を挟むように優しく揉み込んでやる。すると聡司は膝をガクガクと震わせた。 「あっ、あぁ、あ、ああっ」 「イキそう?」 「んっ、ん、あっ、い、イキそうっ」 昴の問いに対して必死に答えを返そうとする姿が愛おしい。イクときは言え、と最初に自慰をさせたときに命令したことを覚えていて、いまだに守っているのもいじらしかった。 昨晩のセックスで敏感になった体はすぐに快楽を思い出してしまったようで、いつもよりも絶頂は近そうだ。恐らく、もう一度キスをしてやればすぐにイッてしまうだろう。だから昴はそれをしなかった。 「ここか?」 「あっ、……ん、んんっ、ハァっ、そ、そこ、んっ……」 「ハハッ。気持ちよさそう。……可愛いぜ、聡司」 「あっ、あっ、駄目っ、あ、……ああっ」 聡司は自分から腰を浮かせ、背中を反らせた。足が震え、薄い腹がうねる。閉じた目には涙が滲み、頬は赤く染まっていた。 「い、イクッ、すばるく、あッ、……っ!!」 シーツに押し付けた頭を左右に振り、聡司はドライで達した。中に入れたままだった昴の指を直腸が絞るようにキツく締め付ける。たまらず唇に口付けようとすると、頭がうまく働かないのか、聡司は甘えるように自分から口を開いてそれを受け入れた。 クチュ、クチュッ♡ 互いに唾液を絡め、濃厚なキスをする。 達する際に聡司は自分の名前を呼んでいた。それは昴が強要したことではない。恐らく昴の行為を制止しようとして間に合わず、名前を呼んだ次の瞬間に絶頂してしまっただけのことだとは思うのだが、それでも昴は嬉しかった。恋人が自分の名前を呼び、達した。理由はどうあれ、それが事実だからだ。 唇を離し、恋人の顔を見つめる。閉じた瞼が開き、現れた黒い目は、もう理性を取り戻していた。 「好きだ、聡司」 「……ぁ、ぼ、僕も……」 それはいつものやり取りだったが、昴は微笑んでみせた。 ヘッドボードから箱を取り、起き上がってベッドの上に座っている聡司へと手渡す。聡司は不思議そうな顔をして昴に聞いてきた。 「昴くん、あの、……こ、これは……?」 「クリスマスプレゼント」 「えっ、あ……」 「恋人なんだから当たり前だろ? ほら、開けてみろ」 昴の命令に素直に従い、聡司は袋の口を閉じていた金色のリボンを外した。昴は聡司を背後から緩く抱きしめるように座り、その様子を楽しげに見つめる。 濃い緑の袋の中には小さな箱が入っており、聡司はそれを取り出した。戸惑うように昴を見上げてくるから、もう一度促した。 白い箱の中には紺色をした箱が収まっていた。それを見、プレゼントが何であるかを理解した聡司の指が震える。昴は両手で聡司の手を優しく包んでやり、耳元で囁いた。 「つけてやるから。ほら、開けろ」 箱の中には指輪が収まっていた。それを見た聡司は首を横に振る。 「ぼ、僕、こんなの、貰えない……」 「高いもんじゃねぇから気にするなよ。……これな、指だと学校につけていけないだろ? だから……」 昴は箱の底に入っていたもう一つの箱を取り出す。それには銀色のチェーンが入っていた。昴はそれを片方の指輪に通し、それから聡司の首につけてやる。少し赤く染まり、汗ばんだうなじへ吸い付きたいと思ったが我慢した。 「俺のもんだっていう印」 「…………」 「ん? 嬉しいだろ?」 「ん、うん……嬉しい……で、す」 俯き、小さな声で答えた聡司の胸に指輪が光る。首輪代わりにつけさせたそれを見て、昴の胸は満たされた。 「あ、ありがとう……、昴くん……」 「んー?」 言葉だけでは足りない、と言外に示す。聡司は少し戸惑いを見せたあと、恐る恐るといった様子で自分から昴に口付けた。それは舌も入れない、ただ唇を合わせるだけの拙いキスだったが、昴にとっては価値のあるものだった。 そっと触れられた唇が離れる。昴はそれを追いかけ、上から被せるように唇を重ねた。そのまま胸をまさぐり、やわやわと乳首を撫でる。ピクッと反応した聡司の胸で指輪が揺れた。 「あ、あっ」 聡司の足を左右に広げ、膝の裏を手で支えて体を持ち上げる。そしてそのまま、既に勃ち上がっている自分の陰茎を聡司の尻へと押し込んだ。 「ヒァッ、ああっ、な、んで、あっ」 頭を仰け反らせて昴の肩へ擦りつけるようにしながら聡司が喘ぐ。先ほど解したそこは、昴の陰茎を喜んで受け入れた。 「なんでって、ハハ、俺たち、恋人同士だからだろ」 唇を離し、答えてやる。そのまま背面座位の体勢で体を揺すってやると、聡司はあっけなく射精した。色も濃度も薄いそれは潮のように見える。量も少なく、一度出しただけで聡司の陰茎は萎えてしまった。しかし直腸はうねり、萎えたあともなお、昴を締め付けている。それはまるで中で精子を出してくれとねだっているかのようだった。 こんな体はもう男とは言えないだろ、と昴は思う。そしてこの体をそう変えてやったのは昴だった。だからこれは俺のものだ。そう思った。 「お前さ、プレゼント、用意してないんだろ? 俺へのやつ」 「あ、あ、あっ、ごめ、なさっ」 「いいよ。今日は……昨日か、勉強するって名目で呼び出したんだし」 「ご、ごめんなさ、いっ」 「いいって。……ならさ、欲しいもんがあるんだけど」 「ん、んぁ、あ、あ、あ、な、に? ん、んんっ」 「お前。俺はお前が欲しい」 聡司が好きな奥をこねるようにしながら言った。聡司はその言葉の意味も分からず、ただ喘ぐのみだ。 昴は一番奥まで陰茎を収めたあと、そこでグリグリと腰を回した。すると聡司は感じてたまらないというような声をあげ、腹がグニグニとうねる。 「なあ。俺にお前をくれよ」 「ん、あ、も、僕、昴くんの、あっ、だ、だから……っ」 「違うって。お前に言って欲しいの、俺は」 聡司の弱い部分に亀頭を押しつける。前を萎えさせたまま、聡司はひときわ大きな声を上げた。膝がガクガクと震え、中がキュウキュウと締まる。絞られ、締め付けられ、昴も限界が近かったがなんとか耐えた。 聡司は快感に細めた目で昴を見つめている。どう答えれば良いのか、昴の指示を待っているのだ。しかし昴は答えなかった。自分に言わされるのではなく、聡司自身の言葉で誓ってこそ意味がある。昴は黙ったまま聡司を見つめ、吸い付いてくる奥まった部分を亀頭でこねた。 「聡司」 言葉を促すように優しく言ってやると、聡司はようやく口を開いた。 「ぼ、僕っ、は、あのっ……、ん、す、昴くんの、あっ、昴くんの、もの、あっ、あっ」 「俺もお前にやるよ。お前だけのもんだ」 間近で目を見つめ、告げた。 「あ、ああっ、ん……僕、僕もっ、す、昴くんにあげ、あげる、全部、んっ、あっ」 激しく突くと、聡司の胸で指輪が跳ねた。チャリチャリと音をさせながら揺れる体を抱きしめ、犯す。きっともう、この体は女には反応しないだろう。男に挿れられてしか達せない体へと昴が変えてやった。 聡司はとうに昴のものだったが、自分で言わせ、自覚させることが大切なのだと昴は考えている。聡司に全て明け渡させ、委ねさせると誓わせることが重要だった。そうさせることで益々、己の恋人に対する愛が深まる。恋人もきっと自分への愛を少しは自覚するだろう。 「愛してる、聡司」 「ぼ、僕も……っ」 セックスの間に囁く睦言ではあるが、交わす言葉は愛しあう恋人同士のそれでしかない。 聡司を縛るために渡した指輪を指でなぞりながら、昴は幸福を感じた。
Comments
聡司が親に言われて渋々何かするっていうのはあるかもしれませんね〜 屋敷は多分、ー俺のこと段々好きになってきたのかなって思うと思います😀(割とポジティブ思考なのせ)
煉瓦
2021-11-23 21:17:07 +0000 UTC聡司くんがいつか自分から(親から言われてでも)何かをあげたり、お出かけに誘う姿が見てみたいですね その時の屋敷くんもどんな反応になるか気になります 今回もとても面白かったです!
りく
2021-11-23 05:41:38 +0000 UTC聡司は普通に嫌だなって思ってる気がします😀 ハハッは私が好きなので、ついつい書いてしまってます、お恥ずかしい。。。
煉瓦
2021-11-17 12:55:01 +0000 UTC