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【読書記録】無垢なる花たちのためのユートピア

こんにちは。最近の嬉しかった出来事は、バランスが悪かったガジュマルくんを剪定した際に、切り離した枝を水差しにしていたらなんと根が伸びており、これはもしかしてと鉢植えにしてみたらちゃんと若葉がぐんぐん生まれてきたことです。


さて、本日は先日読了した本の感想などを共有したいと思います。実は読了といってもとりあえず表題作のみなのですが、これが久々に非常に好みな作品でしたので、今すぐに感想を綴らなくてはと投稿しました。念のため、今後読む予定がありそうな方、ネタバレを避けたい方は以下、読むのを控えていただければと思います。



どのような物語かを物凄く端的にわかりやすくお伝えするのならば、約束のネバーランドと宝石の国を掛け合わせたような物語といった感じでしょうか。これはもうほぼネタバレかもしれないですね。


物語の外郭に花の名前の少年たち、空庭、花苑、楽園、礼拝堂など清廉で美しいイメージのモチーフが散りばめられており、終始強調されるこの清らかさが、次第に明るみになる真実のグロテスクさを際立たせています。  

素直で朗らかでいること、隠しごとはない方がよい、嘘はついてはいけない、これらが正しいことだと我々は皆教わってきたと思うし、間違いでもないのだけれど、その正しさだけで誰かを救うことはできない。

ということを、ある程度歳を重ねていれば気づけるしそうやって大人になってゆくはずなのに、彼らは半ば強制的(彼らにその自覚はないが)にそういった賢さに盲目になるように教育されている。


疑わないという行為は人を綺麗にみせるし、人は親しい間柄のひとを簡単に信じてしまう。そのひとが正しいということを前提で話を見聞きすることも多いと思う。自分に対して親切で親身なひとなら尚更そうであるし、疑いたくもないというのがきっと普通だ。

"白菫を信じることは、白菫に何の欠点もないと信じることじゃない。"

作中のこの台詞がとても好きです。信じる、という行いは言葉の意味に芯はあっても実際はとても曖昧で広いように思う。何の、どういった部分を、ということを具体的で明らかにしなければ少々投げやりな行いともとれる気がしている。だから正しい信じかた、それを諭してくれるこの台詞が好きです。


物語の結末については幻想文学あるあるな、もやりとした終わり方ではありますがそれが好きな人には合うと思います。個人的にはあと少しだけでいいからその先を…という気持ちがあったりしますが、想像で補うほかありません。この先どうなるの?どうなるの?と期待値高めで前のめりに読み込んでいたために、ばちばちの花火をジュッと水につけたみたいな終わり方に寂しさが残ります。


読後に表紙の英題の意味を知ると少しぞっとします。…はじめからそうだったのだ。

"The nowhere garden for the innocent"

まるでこの物語にも漂っている、"知らない方が幸せだったかもしれない"を象徴しているようです。


全て知ったあとで再読するときっとまた違った見え方となりそうなので、もう一度読み返そうと思います。終わりに、登場人物たちの何人かをイメージで描いてみました。

矢車菊は字面の影響なのか、どうしても短髪が浮かびます。白百合はもう私のイメージだとイエローおにいさまな感じです。(宝石の国)


幻想文学やっぱり好きだなぁと改めて思います。この作品の帯にも寄稿されている皆川博子先生の作品も大変に良作ですのでおすすめです。同じ幻想文学でも皆川先生の作品は頽廃的で霞んだ色味をはらんでいて、美しさは勿論この上ないのですが、とにかく重厚感が凄まじい。読み応えがあります。

 私は薔薇密室と死の泉が好き。薔薇密室はとある古びた僧院で、薔薇と人間との融合を実験する博士のあれこれなど…、あらすじだけでもう一目惚れです。


ご興味を持たれた方は是非読んでみてくださいね。(皆川先生の作品はほとんど図書館で読めます!)


今回も最後までご覧いただきありがとうございました。


次回もお楽しみに!



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