アラトたち神原学園のライバル校、「西山軍立学園」の新キャラ……強すぎて「悪魔」と呼ばれる男「北條 ナギサ」に、ライバル同士のアラトとアキラが一時結託して挑む話となっております。
時系列的には、現在製作中のバトロワ企画の前の話になってます!
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「西山軍立学園」
位置的な条件により、神原学園と学区をかぶせるこの軍立の学園は、創立当初より軍立の学園の大手として神原学園に追随し、そのライバル校として認知されてきた。
だが、才覚溢れる多くの生徒の獲得に神原が成功した現在の世代において、少なくとも下級年同士では格下のような扱いを受けていた。とある時期に、下級年内の実力者である夕立 アキラが前畑 アラトにタイマンで敗北したことも大きく。
神原学園の下級年の間では、もはや西山学園は抗争相手にすら物足りない、そんなところにまで評判は落ちぶれていた……。
俗に、「鬼才」、そして「悪魔」と呼ばれる、そんな一人の青年が現れるまでは……。
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「アキラっ!!」
「へっ、ようやく来やがったかよ」
アラトが血相を変えて飛び込んだ、学区内のとある貸しリング。
「アラト……やっぱり来ちまったか……」
ボコボコにされたであろうアキラ。そして、見慣れない大柄な青年。
西山学園に最近やってきた青年、北條 ナギサは、自らアキラの存在を利用して呼び出したアラトを見つけると、笑みを深めた。
「前畑 アラト……、会いたかったぜぇ? 神原をしめるには、やっぱ悪目立ちしてる下級年のお前は必ず倒しておかねぇとな?」
すでにナギサもアキラもその鍛えられた肉体を晒して、タイマンを終えた後だった。
満身創痍でキャンバスに座り込んでいるアキラに対し、ナギサはほぼ無傷で涼しい顔をしている。
「そのアラトと、顔見知りだってのは本当らしいな。なぁ、アキラ?」
「はぁ……はぁ……、逃げろ……アラト……!」
「テメェ……! 北條 ナギサっ!
アキラはテメェと同じ学園の仲間だろうが、どういうつもりだっ!!」
「そりゃ、俺のセリフだぜ」
アキラはアラトとの衝突以降、友人でありライバルである関係を続けてきた。ナギサが神原の生徒を片っ端から潰していく方針を固め、真っ先にアラトに牙をむけようとしたとき、アキラはナギサに反抗した。
最終的に腕づくで止めようとまでしたものの……、その実力の差は圧倒的であり、今に至っている。アラトが血相を変えてこの場所にやってきたのも、アキラの窮地を聞きつけた故だった。
「同じガッコなのに。俺の邪魔をしようとしたんだからよ」
「すま、ねぇ……こいつが、お前を倒す、つって……俺がタイマンで止めようとしたんだけどよ……。
こんなザマだ……、……わりぃ、な……」
「アキラ……!」
「俺ぁ、お前の敵討ちをしてやってんだぜ? 西山は神原にやられっぱなしだったんだろ?」
ナギサはやれやれといった様子で言うと、アキラを軽く蹴って転がし、その腹を踏みにじる。
「ま、こんな弱ぇんだから、仕方がねぇよなぁ?」
「がぁぁぁ……」
「テメェっ!!」
あまりに不遜なその態度に、アラトがキャンバスに迫る。ナギサは鬼気迫る形相のアラトを見つめ、アキラを踏みにじりながら挑戦的な笑みを続けた。
「俺が入学したからには、西山が最強じゃねぇと納得いかねぇ。俺が今の力の差を覆してやるよ」
ナギサは自信たっぷりに言うと、骨太の指を鳴らし、アラトへと歩み寄る。
アラトよりも背が高く、汗ばんだ、その無駄がなく厚みのある肉体はやはり迫力がある。放たれる不良としての格を無視できず、同じ下級年だとは思えなかった。
「なぁ、アラト。よーく覚えとけ。
俺が、神原の天敵になる男だ」
「テ、メェっ……っ!!」
「おい、アキラ。お前は寝てるだけでいいぜ。俺が今からコイツを料理してやるよ」
アラトはきつく睨み、服を脱ぎ捨てる。ナギサ同様に鍛え抜かれた肉体を晒し、リングに飛び上がった。
アキラと戦った直後だろうに、ナギサはアラトと相対しても全く余裕を崩さなかった。
「昔、コイツに痛い目に遭わされたんだろ? 安心しろよ、」
「ま、て……っ!」
ガシッ……!
ナギサがいざアラトに拳を向けようとした矢先……、キャンバスを顎で這うアキラが、必死にナギサの足首を掴む。
「確かにアラトは敵だけどよぉ……、命がけでタイマンはった、ダチでもあんだよ……!」
「あー?」
「それに、アラトのライバルは俺だ……! お前なんかに譲らねぇっ!!」
ここまでになっても食い下がるアキラに、ナギサは舌打ちし、掴んできたその手を蹴り払う。
「神原を差し置いて、同じガッコの奴と戦いたくはねぇが。俺の邪魔をするってんなら仕方ねぇよなぁ?」
グボオオオォォォッ!!
「がああああぁぁぁぁ……っ!!」
ナギサは鼻を鳴らすと、アキラに迫り、その腹に肘を落とした。散々痛めつけられたろう腹がさらに深く陥没し、目を見開いて悶絶する。
「寝てろ、つっただろ?」
「っ!!?」
「これで邪魔者はいねぇ。前畑 アラト。二人きりで楽しもうじゃねぇか?」
腹を押さえて動けなくなるアキラを見下し、ナギサがにやつく。
だが、それでも。アキラは息を乱しながらナギサを押しとどめようとする……。
「アラト……逃げろ……、俺が時間を稼ぐ、から……」
「アキラ……っ!!」
「こいつは、マジで……やべぇ……、口だけじゃねぇんだ……、何度も倒された俺が……よく知ってる……っ!」
「…………。アキラ……下がってろ」
アラトは低い声色で言い、静かに拳を握る。
「どうやら、神原を潰していくのがお前の魂胆らしいなぁ……?」
神原の天敵を名乗る以上、ナギサは遠からず挑んでくるだろう。どのみちナメられっぱなしを放置するなどありえないし、喧嘩を避ける理由がない。
「上等だ、俺が相手になってやるよ」
「へっ」
友人のアキラを甚振られ、静かに怒りを燃やすアラト。それを前に、ナギサは格闘映画のごとくわざとらしく拳を身構えると、指を振って挑発した。
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「ふははっ! オラオラァッ!!
弱ぇ! 弱ぇなぁ! アラト!!」
グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!
「ぐっ! がぁぁあああっ!!」
「テメェら神原は西山学園を見下してたんだろうが……、それも今日までだぜ!」
アキラの目の前で、アラトが血気盛んに挑み続けては、無残にもナギサに痛めつけられていく。
アキラが、アラトがここに来ることを憂いていた理由は、単純に、ナギサのその実力を理解していたからだった。
間違いなく、アラトよりも強い。こいつは正真正銘の怪物……、「悪魔」だった。
「テメェをぶちのめしてレイプしてやりゃ、手っ取り早いよなぁ?」
グボオオオォォォッ!!
「ぐ、ぁぁ……っ!!」
幾度目か、ナギサのボディを深々と喰らったアラトはキャンバスに転がるようにして倒れこむ。ダメージで息を乱し、ぶれつつある瞳で必死にナギサを睨みつける。
アラトがまず異常を感じたのは、ナギサのその拳の重さだった。一撃で鍛えてきたはずの腹筋をねじきられるような、純粋な破壊力。
そして今では、ナギサの正体が、凶悪なまでの怪力の持ち主であったことを理解している。
常人離れした怪力、それに手の付けられない凶暴さと、卓越した喧嘩のセンス。アラトは早くも、ナギサとの力の差、……不良としての格の差を感じさせられてしまう。
「はぁ……はぁ……」
ガシッ
「あん?」
これ以上のナギサからの被弾を嫌い、アラトは図らずも、ナギサに組み付いた。
息を乱し、必死にナギサのたくましい体に抱き着く。まさか喧嘩相手の慈悲にすがるように密着を望むさまは、アラト自身にとっても非常に屈辱的なものだった。
「はっ、もうグロッキーかぁ? タイマン相手に抱き着きやがって。
さては、俺の男前さに惚れちまったか?」
「る、せぇぇ……誰が、好き好んで……!」
自分の実力はもちろんのこと、容姿にも自信があるのだろうか。鼻を鳴らすナギサに、アラトは悪態をつく。
しかしながら、密着は解かない。離れれば、また地獄が始まる。体はすでにナギサの圧倒的な力の前に恐怖ですくみ始めてしまっている……。
「仕方ねぇなぁ? 俺の胸を貸してやるよ。その代わり……」
グボオオオォォォッ!!
「ぐ、ぎぃぃぃいいいっ!!」
ナギサはその分厚い胸板を、アラトの頭を下から掬うように突き出す。そして、アラトの横腹を殴り潰し始める。
不安定な体勢からでも、その怪力は健在だった。アラトはまた苦しげに呻き始める……。
「……お前の横腹が死ぬかも知れねぇけど、なっ?」
グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!
「ごぁぁ……がぁぁああああっ!!」
(はぁ……はぁ……、く、そぉぉ……なんつー、破壊力、だ……っ!!)
(や、べぇぇ……! たまらず、クリンチ、仕掛けた……けど……、この、ままじゃ……っ!!)
ドゴォッ!! グボオオオォォォッ!!
ナギサはアラトの密着をむしろ歓迎するよう、アラトの方を掴んで支えながら、横腹を殴り潰し続ける。
寧ろナギサはこれを待っていたのかもしれない。きっと、自分と殴り合っている者が終いにはどういう行動に出るのか、この男はすでに分かっていたのだ。
(なぶり殺しに、されちまう……っ!!)
ドゴオオオォォォッ!! グボオオオォォォッ!!
「ぐぁぁ……がぁぁああああああっ!!」
「あぁ……、ア……ラト……ぉぉ……っ!!」
「どのみちお前の負けだし、好きなほうを選んでいいぜ?
俺から離れて、殴り合ってくたばるか。
このまま俺に抱かれながらくたばるか、をな?」
グボオオオォォォッ!!
ドゴオオオォォォッ!!
「ア、ラト……っ! や、めろ……、ナギ、サ……!」
「アキラぁ、お前はそこで見てやがれ。邪魔すんなら容赦しねぇから」
ナギサはアラトを抱き留めながら責めつつ、這う這うの体で足元にやってきたアキラをけん制する。このリングを暴虐で支配しているナギサは、もはや数の不利などものともしていなかった。
グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!
「……ほぉ? なかなか耐えるじゃねぇか」
「がぁぁ……ぁぁ……っ!」
何度もわき腹を潰されながらも、アラトは必死の形相で耐え続けている。それを見下したナギサは口笛を吹いた。
「プロでも俺の拳にここまで耐えられる奴は、そうはいねぇぞ」
グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!
ダメージはすでに限界だろう。ただ、負けん気のみで耐え続けている。喧嘩屋としてのアラトのその大きな強みが、今はナギサの嗜虐心を煽る材料と化してしまっていた。
「お前が神原じゃなけりゃ、舎弟にしてやりてぇとこだけど、な!」
グボオオオォォォッ! ドゴオオオォォォッ!!
「がぁぁぁっ! ぐぁああああああっ!!」
(もう、……限界、だ……わき腹……しびれて、きやがったぁ……!)
「はぁ……はぁ……」
苦くも、敵の胸に頬を預けたまま、アラトは熱い吐息を漏らし続ける。肌に返ってくる鍛え抜かれた上質な筋肉の質感は、なるほどナギサが百戦錬磨の男であることを感じさせた。
ナギサはふと、胸を突き出してアラトをより深く抱きしめると、アラトの耳元でささやき始める。
「そろそろ、俺が何で「強ぇ」か、理解できたか?」
グリュ、ゴリッ、グリッ……
「ぶ……がぁぁ……ぁぁ……っ!」
「単純に「パワー」があるからだぜ。所詮、喧嘩は力なんだよ」
潰れたわき腹に拳を突き刺したまま、深くへとねじりこんでいく。
自分に負けた不良が、痛めつけられ、最後には屈服し、泣きわめきながら許しを請う。軍立の学生なら誰しも抱くその本質的な野心に、ナギサも捕らわれ、従順に従っていた。
「はぁ……はぁ……っ!! まだ、やれんぞ……クソ、がぁぁ……」
「へっ!」
グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ…………
次回はこちら
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yukibou
2021-09-03 11:55:00 +0000 UTCantic
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2021-09-01 12:10:25 +0000 UTC