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一度勝負になってしまっては、蓮が引くことを期待するだけ時間の無駄なのは、この身をもって思い知っている。
アツホの安全のためにも、一刻も早く、蓮を痛めつけて動けなくする。それだけを考え、豪太は一心不乱に拳を突き出し続ける。
……グボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!
「うらぁっ!!」
「があぁっ!」
アツホに羽交い絞めにされた蓮は、ままに豪太からのラッシュをガードの許されるに受け続ける羽目になる。見事に割れた腹筋が赤らみ、いかに蓮が強くとも確かなダメージがあることを豪太たちに知らせていた。
だが。今まで二人を同時に相手にしてもものともしなかった蓮にとっては、二人への脅威よりはここまで追い込まれたことへの怒りが強く。蓮は屈辱のままに唇を震わせていた……。
「……調子、こいてんじゃねぇぞっ!!」
ゴキッ!!
「!? んがぁっ!!」
このまま勝負が終わる……、かに見えた瞬間に油断が生まれる。憤った蓮が足をかち上げ、容赦のない金的が炸裂する。
「豪太さんっ!!」
「他人の心配してる場合か、あぁっ!?」
反撃の攻勢から一転。豪太が激痛のあまり下腹部を押さえてうずくまる。アツホは愕然としたが、蓮は暴れ、ついにアツホを力づくに突き飛ばす。
グボオオオォォォッ!!
「んが、ぁぁっ!!」
即座に振り返った蓮は、アツホの顔面に早速一撃を見舞った。蓮にとって、戦いなれた豪太より、格闘技素人と見下しきっていたアツホに一矢報いられたことが不愉快で仕方なかった。
「雑魚のくせに! 調子に乗ってんじゃねぇよ!!」
「はぁ……はぁ……! クソ……! やってやんぞテメェ!!」
「はっ!」
のけぞりながらもアツホが拳を握る。蓮はそれを一笑に付し、同じように拳を握って向き直る。
ガッ! グボォッ! ドガァッ!! ゴッ! バキッ!
「オラァッ!! ただのチンピラ風情がよ! 先はふざけた真似しやがってっ! 覚悟はできてんだろうなぁっ!?」
ガッ! ドガァッ!! グボォッ! ゴッ! バキッ!
「ぐ、は……っ! ぶ、がぁ……ご、ぁぁ……ぐ、ぇぇ……っ! がっ! がぁぁ……」
蓮の怒涛のラッシュを、やはりアツホはさばききれずに体を揺らす。腹や胸に被弾し、筋肉がしわを作ってゆがむ。
油断していた、とはいえ。このような格下に羽交い絞めを許し、一瞬でも脅威を感じたことは絶対に許せない。
怒りがエスカレートしては拳を固く握りこみ、丸くなって身を守るアツホを構わず殴りつけ続ける。
「はぁーっ!はぁーっ! ……く、そがぁぁあ……! 」
「お望み通り、お前を先に始末してやるよ!!」
蓮の拳を受け続けて、痺れ切った腕を下ろす。
ガードが解け、後ずさり、ついには、コーナーまで追いやられてしまう。蓮はその鋭利な牙を噛みしめ、悪い笑みでラッシュを繰り出し続けた。
「ぎゃはははっ!! オラオラ!! マジで弱すぎだろ、雑魚がよ!」
バキッ! ゴッ! ドガァッ!! ガッ! グボォッ!
「がはっ! がぁぁ……ご、ぁぁ……ごほっ!」
「豪太さんは助けてくんねーぞ? たっぷり虐めてやるよ!」
ガッ! バキッ! ドガァッ!! ゴッ! グボォッ!
「ごっ! ぶ、がぁ……ぐ、は……っ!」
喧嘩慣れはしていても格闘技は素人に近いアツホにとって、人間離れした連の実力は恐怖でしかなく。
かといって、豪太を置いて逃げることなどできない。リングの支配者たるこの男に立ち向かうしかすべはなく。
怒り狂っていてもしっかりとそれを見通していた蓮は、これからどう料理してやろうかと嗜虐心のままに想像を広げていた。
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