皆様のご支援のおかげで念願の裏垢男の娘第一話アフターのオリジナル小説を作ってもらいました!!!!✨✨✨✨✨😂😂😂
この場を借りて御礼申し上げます🙏✨
文字数10000字オーバーの作品ですので楽しんでいただけたら幸いです😊
Novel. © 2022 夜空さくら 様
illus. © 2022 イコイコ憩
――見つかってしまった。
血の気が引く、という感覚はまさにこのことを言うのだと思う。
胸の奥で心臓が壊れそうなほど早鐘を打ち、全身から嫌な汗が流れていく。
それなのに、僕の体は極寒の猛吹雪の中に放り出されたかの如く小刻みに震えた。
自ら口に嵌めたボールギャグを噛み締めて、荒い呼吸を繰り返す。
とめどなく溢れる涎が顎を伝い、身体や床に落ちていくのを感じた。
後ろ手に回した手は、南京錠付きの手枷で拘束されていて、自由にはならない。
さらに首に嵌めた首輪からはリードが伸びていて、そのリードはトイレの手すりに南京錠で止められていた。
仮に腕が自由だったとしても、そっちを外さない限り逃げることは出来ない。
焦って腕を動かすと、ガチャガチャと五月蠅い音がその個室に響いた。
(どうしよう……! どうしよう……!)
僕は同じことしか考えられていなかった。混乱するばかりで思考が上滑りして、何も考えていないのと同じだった。
こういう時こそ冷静にならなくちゃいけないのに。
そんな僕の前で、その男の人はスマホを構えていた。
僅かな光がスマホについているカメラのレンズに反射し、僕の目を眩ませる。
カシャッカシャッ、というわざとらしいカメラのシャッター音が僕の鼓膜を震わせた。
(撮られ、た……っ!?)
こんな僕の姿を。
女の子の制服を着て女装している姿を。
ボールギャグを咥えて、涎を垂らして興奮している姿を。
両手を後ろ手に拘束され、首輪のリードをトイレの手すりに繋がれて逃げられない姿を。
そして。
壁に貼り付けたディルドを使って、お尻の穴を使った自慰を――アナニーをしている姿を。
撮られてしまった。
慌てて顔を逸らそうとした拍子に、体を捻ってしまい、お尻の穴を貫いているディルドが僕の体の中を抉った。
「ハゥ……ッ!」
普段ならその刺激は歓迎するべきものだったけれど、いまの状況ではあまりにも余計な刺激だった。
顔を逸らすことも出来ず、僕は前を向き続けざるを得ない。
そんな僕の無様な姿をずっと写真に収めている男の人は、実に楽しそうな笑みを浮かべていた。
「おお、超エッチだ……まさか本物のるり君だったとはね」
男の人がそう呟いたのを聞いて、僕は再度心臓が縮み上がる感覚を覚えた。
どうしてその名前を知っているのだろうか。
るり、というのは僕がSNS上に持つ秘密のアカウントの名前、つまりは裏垢の名前だった。
知り合いには誰にも教えていない、自撮りの写真をこっそりとあげるためだけに作ったアカウントなのに。
混乱の極みにある僕に対して、その男の人は囁いて来た。
「ねえ、るり君。この写真さ、拡散されたくなかったら……」
断れるわけもない、悪魔的な提案を。
「オレの遊びに付き合ってよ」
どくん、と僕の心臓がひと際大きな音を立てた。
男の人が近づいて来る。
僕は思わず体を後ろに引いて――すぐに背中が壁にぶつかってしまった。それと同時に、お尻の穴から衝撃を受ける。
「ングゥッ!」
お尻の穴にディルドが刺さったままなことを忘れていた。
咄嗟にお尻の穴に力が入り、ディルドを締め付けてしまう。目の前に星が瞬くほどの衝撃を受けていた。
男の人は僕の様子を見て、何かしていることに気付いたようだった。いままではスカートで覆われていたので、そこのことには気づいていなかったんだと思う。
「おやぁ……? 自縛しているだけかと思えば……アナルでお楽しみの最中だったわけか」
くすくす、と押し殺したような笑いを向けられ、死にたくなるほど恥ずかしい思いをさせられた。
笑われただけでは済まなかった。
男の人は僕に近づくと、僕の履いているスカートを捲り上げて、ディルドがアナルに挿入されているところをまじまじと眺めて来たからだ。
「フグゥッ!!」
咄嗟に体を逃がしかけたけれど、壁に張り付いているディルドは想像以上の強さで壁に張り付いていて、動かそうとした僕の身体の方がむしろディルドに抉られる形になった。
そのせいで体を逃がすことも出来ず、スカートを捲られたまま、男に挿入しているところを見られてしまう。
「うわ……結構エグイの入れてるねぇ」
(見、見るなぁ……ッ)
「なるほど、腰を前後することで、手が塞がっててもアナルで楽しめるわけだ。実に変態的だねぇ」
事細かに説明されて、そんな変態的なことを自分からしていたことをより強く自覚させられて。
僕は頭がどうにかなってしまいそうなほど、恥ずかしかった。
男の手がスカートから離れ、再びスカートがお尻を覆う。
「ガチャガチャうるさいなと思ったら、手錠じゃなくて手枷に南京錠がついてたんだね。これじゃあ、いくら外したくても外せないわけだ。こっちのリードの方にも鍵がついているし……よっぽど拘束が好きなんだねぇ、るり君は」
からかうように男はしきりに僕を煽ってくる。
反論しようにもボールギャグを咥えてしまっているので、言葉が形にならない。
「ウゥ……ッ、うぅう……ッ」
「何て言ってるのかわからないよ。もっとはっきり喋ってくれなきゃ」
どうして喋れないかなんてわかり切っているだろうに、男はそういって僕を笑いものにする。
男の目が、上蓋を閉めた便器の上に置いていた僕のカバンに向けられた。
「おっ、なんか色々見えてるけど……どれどれ~?」
「ンゥゥッ!」
(触るなぁっ!)
大事なものもたくさん入っているカバンを無遠慮に漁られてしまう。
必死に抗議したけど、男は無視してカバンの中のものを漁っていた。
最初に引っ張り出したのは、縄の束だ。よく嘗めされて肌触りのよくなっている縄で、SM用のロープだった。
手を縛る用途には使えないけれど、体をそれで縛ると気持ちよくなれるので、いつもカバンに忍ばせていた。
「結構上等なロープじゃん。それに……うわ。バイブまである」
男が手に取って示したバイブは、オナニー道具としてよく使っているものだった。面白半分に振って見せられ、羞恥と怒りが湧いてくる。
「ディルドに比べると細すぎない? ああ、振動機能がある分、余裕がある太さにしてるのかな? ふむふむ。このロープで縛られて、バイブでお尻の穴を責められたいわけかぁ」
(かっ、勝手なこというなっ……!)
「ウグゥ……ッ、ウゥッ……」
どうせ誰も来ないと思って、こんなにきつくボールギャグを噛むんじゃなかった。言葉が全く形にならず、男の勝手な言い分に噛みつくことも出来ない。
男はその後も僕の荷物をごそごそと漁っていたけれど、最初に取り出した縄を持って立ち上がった。
「せっかくだから、るり君の望みを叶えてあげるよ」
(な、なにをする気だ……?)
逃げたくても、逃げられない。男はリードを掴むと、無理矢理引っ張って僕を前傾姿勢を取らせた。
体の向きが変わって、ディルドが体の中をゴリゴリと抉るのがわかる。
「フグゥ~~ッ!」
「ああ、動いちゃダメだよ。そのままそのまま」
後ろに回した手が、捻り上げられながら上へと引っ張られる。うなじの下辺りまで引っ張られると、さすがに痛い。体の柔らかい女の子なら平気かもしれないけれど、僕の体はそこまで柔らかくなかった。
「ンギィ……ッ!」
悲鳴を上げる僕を力で無理矢理抑え込み、男は僕の手首に縄をかけ始める。
手首が重なった状態で固定され、動かせなくなってしまった。
今にも肩が外れそうなほどで、痛みで涙がポロポロと零れる。
「はい、これでよし、と。あとは……」
上半身を引き上げられ、僕は背中を逸らして胸を突き出すような姿勢を取らされる。
その姿勢だと、さっきよりはまだ腕の痛みはマシだった。マシだというだけで、かなり痛いことに変わりはなかったけれど。
ギシギシ、と肩が変な音を立てて軋んでいる。胸を逸らし、必死に耐えなければならなかった。
胸を逸らすと必然的に腰も前にずれてしまい、アナルに刺さっているディルドが半分ほど抜けてしまった。
お尻の穴はしっかりそれを締め付けて、その感触をハッキリと僕に感じさせてくる。
動かせる範囲で体を捩って、ブルブルと震えることしか出来なかった。
「ンギィ……ンッ」
そんな僕の体に、男は縄の余った部分を回して、縛り上げてくる。
腕が体から離せなくなって、さっきよりも遥かに自由度が少なくなった。
「はい、まずはこれで完成……っと。さて」
男の手が僕の腰を持った。
(ひっ……! や、やめろ……ッ!)
何をしようとしているのか理解した僕は、必死に頭を振って拒絶しようとしたけれど、男はますます楽しそうに笑うばかりで、僕の懇願を無視するのだった。
「まずはそれを抜かないと――ねっ」
想像通り、男は掴んだ僕の腰を思い切り引っ張って、アナルに突き刺さっていたディルドを引き抜いた。
脱力するのが間に合わず、僕は抜けていくディルドを締め付けてしまい、その形をハッキリと感じてしまった。
「フグウゥッッッ!!」
括約筋にディルドが擦れる凄まじい感覚が走り、僕は叫び声を上げてしまった。
アナルからディルドが擦れた余韻がじんじんと響いて来て、頭が変になりそうだ。
へたり込みそうになった僕の身体に男が手を回し、支えてくれたかと思えば、男は僕の体を蓋の閉じた便器の上に載せた。
結果、僕は男に向かってお尻を突き出すような姿勢になってしまった。
「さあるり君。こいつがここに欲しかったんだろ? 存分に楽しんでよ」
僕の背後に立つ男の手には、バイブが握られていた。
(や、やめっ、やめろぉ……ッ! い、いやだぁっ!)
スカートが捲り上げられて、僕のお尻が男に晒されるのがわかる。
お尻だけでなく、僕のアナルが外気に晒され、ひんやりとした感触が悪寒と共に背中を這いあがってくるのだった。
男の大きな掌が、僕の剥き出しになったお尻を無遠慮に撫でて来る。
「おお……すべすべだねぇ。いい手触りだよ」
(さ、触るなぁ……ッ!)
「ン"ッーーー!」
「可愛い男の娘の望みを叶えてあげる俺ってすごく優しいよね~」
僕の懇願を無視して、男は勝手なことを言いながら、手に持ったバイブの先端を僕のアナルに宛がってくる。
ぞわぞわ、とひと際強い悪寒が僕の背筋を駆け上っていった。
身体が勝手に震えてしまう。
(いやだ……やめろぉ……ッ)
必死にお尻の穴に力を入れて、挿入に抵抗しようとした。
けれど、さっきまでの一人遊びで十分に解れてしまっている。
いくら僕が頑張ってお尻の穴に力を入れても、男がバイブを押し込んで来る力に勝てるほどの力は出せなかった。
ズブ、ズブブ、とアナルにバイブが入ってくる異様な感触が走った。
「~~~~~~~ッッ!!」
絶叫し、声の限りに叫んだつもりだったけれど、個室の外まで響いたかどうかもわからないくぐもった叫びにしかならなかった。
男はそんな風に僕が声をあげるのが楽しいのか、バイブを抜いたり挿したり、角度を変えてみたり、とんでもなく乱暴に僕のアナルを弄び始める。
自分でやるなら絶対にやらないような乱暴な動かし方に、僕は目を剥いて与えられる刺激に耐えていた。
「るり君の弱いところはどこかな~? 男の娘のアナルにもGスポットみたいなものって存在するのかな?」
僕の大事なところを、男はおもちゃみたいに好き勝手弄ってくる。涙が出るほどの屈辱だった。
ぐちゅぐちゅ、と腸液を搔き回す音を響かせながら、男はついにそのスイッチに手をかける。
「そういえばこれ……バイブなんだよね。ちゃんと電池は入ってるのかな?」
「ンゥッ!?」
(だ、ダメッ、いま、スイッチを入れたら……!)
僕が目を見開いて首を左右に振るのにも構わず、男はそのスイッチを無造作にオンにした。
「ウ、グュ! ングゥッーーーーー!」
細かく振動するバイブの動きが、アナルから全身に広がっていく。
身体が勝手に震えて、僕は思わず持ち上げた上半身を便器の蓋に打ち付けていた。
「ははっ! いい反応するじゃないか! 気持ちいいかい?」
僕をひとしきり悶えさせてから、男は僕が噛んでいたボールギャグを外した。
感想を聞きたかったんだろうけれど、そんな期待に応えてやる必要はない。
「……ッ、このッ、変態! 犯罪者! バイブ抜いてよッ! 勝手に使うなぁ! 僕は玩具じゃないんだぞ!」
思いつく限りの罵倒の言葉を放つ。
それは感情に先走った、愚かな行為だった。
口が自由になっただけで、まだ体の自由も、アナルに突き刺さっているバイブすら――男の意思に委ねられているというのに。
男は目を丸くして僕の罵倒を聞いていたけれど、その顔から表情が抜け落ちる。
「へぇ……そんなこと言うんだ。ダメだよるり君。口の利き方には気を付けなきゃ」
言いながら、男の人が指先に摘まんだ銀色の何かを――拘束具の鍵を見せ付けてくる。
僕はそれを見て目を見開いた。いままさに僕が身に着けている拘束具の鍵だ。鞄に入れておいたのに、いつのまに抜き取ったのだろう。
「この鍵、トイレに流しちゃってもいいよね?」
血の気が引くという感覚を、僕は再び味わった。
それを捨てられたら、僕の拘束具は外せない。そこらの玩具ではなくて、本格的なものを使っているから、どうあがいても外せなくなってしまう。
ここの公衆トイレは夜は人気がないけれど、昼間なら普通に使用する人はいるだろう。
見つかったら警察に通報され、僕は破滅してしまう。
いや、それならまだマシかもしれない。
このまま夜の間ずっと放置されていたら、もっと危険な人物や団体に見つかることだってあり得る。
どちらにしても破滅するのは間違いない。
「そ、それは……それだけは……やめて、ください……っ」
男に対して下手に出るしかない。
そんな僕の態度に対して、男は相変わらず表情を消した不気味な無表情で迫る。
「じゃあ、どうしたらいいのか……わかるよねぇ? もう高校生だもんね」
男はそう言って、僕が高校生であること、どこの高校に通っているのか、そして――本名まで言い当てて来る。
どうして知っているのか、と一瞬思ったけれど、その答えは男の手の中にあった。
鍵を抜き取ると同時に、学生証も抜き取られていたみたいだ。
自縛している写真だけじゃなく、自分の本当の名前も、所属も、全部知られてしまった。
男がやろうと思えば、全ての情報を同時に公開することだってできてしまう。
僕はその結果齎されるであろう身の破滅を思い、体が勝手にガタガタ震えるのを感じた。
(ダメ、だ……ッ、絶対……そんな、こと……ッ)
男の機嫌を取らなければならない。理不尽な状況に対する悔しさで、涙が溢れる。
「ぼ、僕の……遊びに付き合ってくださって、ありがとう……ございます……っ」
男が求めているであろう言葉を絞り出す。
それが正解だったのか、男は途端にいままで浮かべていたような楽し気な笑顔を浮かべた。
「ははは。全く、本当に、変態なるり君に付き合わされて大変だよ!」
調子良さそうに声を弾ませながら、男がバイブを再度動かし始めた。
細かく振動しながらバイブが動き、それが体の中を抉っていく衝撃が全身へと突き抜けていく。
「ふぎぃ……ッ」
僕は声を出さないように必死に堪えた。
さっきまではボールギャグがあったから声を出したくても出せなかったけれど、いまはそれは外れている。
外にまで声が響いて、誰かがやってきたらそれこそ終わりだ。僕を助けてくれるとは限らない。
バイブでお尻の穴を解されてしまうのを、必死に堪えていると、男はまた僕のカバンを勝手に漁って、今度は拘束ベルトを取り出して来た。
「これを使って……と」
僕の体に書けている縄にそのベルトを引っ掛け、股間に対し縦向きになるようにベルトを通した。
そしてそのベルトが引き絞られ――バイブがひと際深くアナルに押し込まれる。
「あふっ!?」
「よし、これでいくら暴れても抜けないよ。良かったね」
ベルトでバイブが抜けないように固定されてしまったようだった。
確かに男は少し離れた位置にいるのに、アナルに突き刺さったバイブは全く抜ける気配がない。
「う、うぅ……! う……!」
軽く体を、お尻を揺すってみても、全くの無意味だった。それどころか、その動き分バイブが変に動いてしまい、余計にバイブがアナルを抉る感触を味わうことになってしまう。
ぶるぶる震えていると、男は腕時計に視線を落した。
「さて、と。そろそろ晩飯の時間だから、これ以上は付き合えないや。ごめんね?」
笑いながら僕から距離を取る男。
去ってくれるならそれでいい――と思いかけたけど、男に拘束具の鍵を取られていることを思い出した。
「あ、あの……ッ、か、鍵を……鍵を、返して、ください……」
そう言うと、男は実に楽し気に――僕にとってはあまりに嫌な感じに――笑った。
「あはは。もちろんわかってるよ。この鍵がないと、るり君破滅確定だもんね」
鍵についたリングを指でつまみ、ひらひらと揺らして見せてくる。
うっかり落としてしまいやしないかとハラハラしてみていると、男はそれを僕の手に握らせるのではなく、トイレのドアの取っ手にリングを引っ掛けた。
三度、血の気が引く。
緊張で喉を鳴らしながら、僕は努めて冷静に声を絞り出した。
「あ、あの……なんで、そんなところに……かけるんです、か……?」
ここで男を怒らせたらまずい。
僕は男を怒らせないように慎重に口を開いて、問いかける。
「そ、そこにかかってたら……僕には、取れない……んですけど……」
僕の行動範囲を限定している首輪から伸びたリードは、そう長いものではない。
結ぶために少し長さが減じていることもあり、とてもトイレの外には出られない。
扉に足が届くかどうか、というところなのだ。
「り、リードの長さ的に、絶対無理だから……っ、そんな……」
「はいはい、いいから、あーんして」
そう言いながら男はさっき外したボールギャグを僕に噛ませようとしてくる。
また声を発せなくなったら、懇願することも出来なくなる。
「るり君の遊びに付き合ってあげたんだから、次は俺の遊びに付き合ってよ」
そんな勝手なことをいう男。
僕は絶対に拒否したかったけれど、男の機嫌を損ねたら本当に鍵を持っていかれてしまいかねない。
どうすればいいのか、何が正解なのか、追い詰められた僕の頭はすっかりパニック状態になっていた。
「ほら、さっさと口を開けよ」
一段階男の声のトーンが下がる。
その事実に、僕は反射的に口を開いていた。
「ん、ぐぅっ……!」
すかさずボールギャグが押し込まれ、僕の言葉は奪われる。
必死に押し出そうとしたけれど、男は力で無理矢理ボールギャグのベルトを締めてしまい、僕は口を割り割かれる痛みと共に、ボールギャグを吐き出すことに失敗した。
(む、無理だ……! 届かないって!)
「ムーっ! ンぅーっ!」
僕が必死に明瞭にならない声をあげるのを、男は面白がっていた。
「ははっ、るり君何言ってるかわからないよ。それに、そんなに泣いてちゃ、可愛い顔が台無しだよ? 遊びはもっと楽しまなきゃ!」
(こんなの遊びじゃない! もういいだろ! 外してくれよ!)
そう必死に呼びかけて、訴えかけた。
「ンーっ! ンーッ!」
けれど実際に形になったのはそんなくぐもった声だけで、とても男に意志を伝える役目は果たせない。
男が僕から離れて、トイレの個室から出ていく。
ひらひらと手を振り、笑いながら男が扉を閉める。
「るり君脱出ゲーム、スタート!」
そんな男のふざけた一言が扉の向こうから響いて来て、そしてそのまま足音が遠ざかっていく。
(うそ、だろ……?)
本当に置いて行かれた。
静寂に満ちたトイレが、その実感を与えて来ていた。
男の存在自体が夢か幻であってほしかったけれど、僕が自分で施した以外の拘束や、アナルに突き刺さったままのバイブがそれが現実に起きたことだということを突き付けて来る。
トイレのドアに引っかかっている銀色の鍵が、チャリッ、と微かに音を立てる。
呆然としていた僕を弄ぶかのように、突如おしりのバイブのスイッチが入った。
男が去る前にスイッチを切っていたはずだけど、あるいはわざと中途半端なスイッチの切り方をして、僕が動けばスイッチが入るようにしていたのかもしれない。
どうあれ、アナルを貫くバイブが震えて僕のお尻の穴をさらに解してくる。
(はぐっ……!)
バイブの振動が解れたアナルに伝わり、背筋に快感が走って腰が砕けそうになる。
(く、ぅ……っ! な、流されちゃ、ダメだ……ッ)
とにかく拘束具を外して、自由を取り戻さなきゃいけない。
一端便座に腰掛けて休みたかったけど、お尻に固定されているバイブのせいで座れなかった。
座る前に気付いてよかった。もし何も考えずに腰を降ろしていたら、バイブによって突き上げられていた。
(手は……絶対届かないけど、足でなら……っ)
そう思った僕はまずリードが許すギリギリまでトイレの扉へと近づいた。
慎重に動いたから、首輪がリードに引っ張られてテンションがかかっても、首が締まるほどには引っ張らずに済んだ。
そこからゆっくりと片足を伸ばそうとして――ぐらぐら体が揺れて、首が締まった。
「んぐぅ……ッ!」
慌てて一歩下がり、首が締まるのを回避する。
(うぅ……手が縛られてなければ……片足立ちでもバランスがとれるのに……っ、ひゃぅっ)
体を捩った拍子に、バイブの先端が当たる位置がズレ、じんわりとした快楽が広がる。
必死に息をしてその快楽を受け流しつつ、僕は再度挑戦してみた。
ゆっくりと、体のバランスを崩さないように注意しながら、鍵のかかったドアに向けて足を伸ばす。
(くぅ……もう、ちょっと……っ)
爪先がドアから数センチのところまで迫る。希望が見えて来た。
(もう、少し……っ、首が締まるのを、少しだけ我慢すれば……っ)
僕はそう考え、首が締まるのも構わず、最後の距離を詰めた。
そして、届いた爪先が、ドアを蹴って揺らした。
引っ掛けられていただけだった鍵は、地面へと落下していく。
(やった!!)
地面に落ちれば、あとは上手く足で手繰り寄せられる。
そう僕は思い、解放される予感に歓喜した。
だけど、現実は僕の予想を遥かに超えて残酷だった。
たまたまそういう角度で落ちてしまったんだろう。
トイレの床に落ちた鍵は、トイレのタイルに勢いよく弾かれて、滑らかなタイルの上を滑っていく。
そして、その勢いは衰えることなく、まるで導かれるように排水溝の中に落ちていった。
一瞬、僕は何が起きたのか頭で理解出来なかった。
カシャン、と排水溝の奥から金属音が響き、ようやく頭が動き出し始める。
(な、なん、で……? なんで……!?)
慌てて排水溝のところに移動して、爪先で排水溝を蹴る。
しっかり固定されている蓋はびくともせず、そもそも開けたところで鍵は絶対に手の届かない深さまで落ちてしまっていた。
(うそ、だ……うそだよ……)
いまだかつて感じたことのない絶望感に打ちひしがれる。
足がふらふらと揺らめき、今にもその場に崩れ落ちてしまいそうだった。
(は、外さなきゃ……外さなきゃ……!)
すっかりパニックに陥って冷静な判断が出来なくなっていた僕は、全力を込めて体を暴れさせた。
けれど、こんな時に限って僕の体を戒める拘束具は、本格的な革製のもので、とても力で壊せる代物じゃなかった。筋肉ムキムキな大男でも無理なのに、非力な僕に壊せるわけがない。
(リードだけでも外れれば……!)
移動することが出来れば、何か別の手を打つことができるかもしれない。
そんな風に考えて、首輪かリードが外せないか躍起になったけれど、これも玩具ではなく本物の大型犬を繋ぎとめるためのものだったので、どうしようもならなかった。
首が締まって苦しい思いをするだけに終わる。
(だ、だめだ……もう、無理……っ、どうにも、ならない……ッ)
せめて拘束具が壊せる玩具だったなら。
リードをしっかり固定せず、引っ張って解けるような結び方にしておけば。
そもそもこんなバカなことをしなければ――後悔がとめどなく僕に押し寄せて来る。
それでなくとも、拘束具の鍵が変に跳ねて排水溝に堕ちなければ、と不運を呪う。
もっとも、仮に首尾よく拘束具の鍵を手に入れられていても、男によって追加された縄の拘束があるので、どちらにしても逃げられなかった。
そのことに、気付かないまま、僕は無力感と後悔に震えていた。
全身から力が抜け、トイレの床にへたり込む――と、同時にお尻に突き刺さっていたバイブが僕の体を突き上げた。
「はグゥッ!」
すっかり忘れていた。僕は自分の馬鹿さ加減を恨みながらも、振動するバイブに体内を突き上げられる快感に身を震わせた。
ゴロゴロと公衆トイレの床で転がり、悶える僕。惨めさが襲い掛かってくるけれど、それは全身に走る快楽をさらに強いものに昇華させた。
(うぁっ、うぅっ……だ、だめ……ッ、そんな場合、じゃない、のにぃ……ッ、い、いくぅ……ッ)
僕は破滅してしまった絶望と、愚かな行為に手を出した後悔に心を苛まれながら、お尻から広がっていく快楽に見悶えた。
いままでの自縛プレイでは感じたことのない、果ての見えない快楽。
それまでの自縛プレイが、いかにセーブした快楽だったのかを僕は味わっていた。
(あ……ああ……僕って……こんな、状況、なのに……ッ)
人生の終わり。破滅。
それが決定的になった状況にも関わらず、僕は興奮していることを自覚した。
何度絶頂しても、それで終わりが訪れない。ずっと持ち上げられ続け、快楽に振り回される。
汗や涙、鼻水や涎、そういったもので全身をドロドロに汚しながら、僕は何度も何度も絶頂し、地獄のような快楽に飲み込まれていった。
それから。
もう何度絶頂したかもわからない。
僕はトイレの床に転がったまま、荒い呼吸を繰り返していた。
「フーッ……フーッ……フーッ……」
絶頂の連続で体力はすっかり尽き果て、疲れ果てていた。
もう体を動かす気力さえない。
このまま意識を手放してしまおうか。そんな一周回って穏やかな気持ちにさえなっていた。
そんな僕の耳に、足音と話し声が聞こえて来た。
咄嗟に上半身を起こした僕は、体の中でバイブが動くのも構わず、目を見開いていた。
何を喋っているかはわからない。けれど、明らかに柄の悪そうな声だ。不良か、ヤクザか、暴走族か。
少なくともまともな集団じゃなさそうな、声。
多人数の足音と共に、それが迫ってくる。
(み、見つかる……見つかる……ッ、見つかっちゃう……っ!)
破滅の予感などという生易しいものではなく、破滅そのものが近づいて来る実感。
僕は何をされても抵抗できない、拘束されて無力な身体を震わせることしか出来なかった。
おわり
イコイコ憩💓
2022-04-10 15:23:26 +0000 UTCキョウ
2022-04-09 11:51:11 +0000 UTC