「うぁっ♥ そ、そんなことっ……んぉっ♥」
「そういえば、ココも出してたし、ココ、弄ったら感じてたよね?」
そうして、メアの両手がシオンの脇腹を撫で上がって、脇の下に至ると、その指先がゆっくりとそこを擽り始めた。
「ぅ、あっ♥ だ、ダメっ! そこはっ! んぅううううっ♥♥」
そして同時に、臍の周囲を舌が舐り始める。左右の脇の下、臍の、本来ならば性感帯でも何でもない三点が形作るトライアングルが奏でる快感が、シオンの脳髄をズクズクと犯す。再びシオンの身体は限界まで捩じれ、揺れ、しかしメアの舌技からは逃れることは出来ない。
「うぁっ、ら、らめっ♥ らめ、だめらめぇっ♥」
シオンは必死に首を左右に振って、拒絶の言葉を口にしようとする。だが、それは最早、快楽に蕩けて呂律の回らなくなりつつある言葉と、その蕩けた表情を見れば、誰が見ても拒絶しているようには思えない。それはまるで、『淫魔の餌』そのものの姿。自ら淫魔の餌となって淫魔を誘い、殺すとというシオンが築き上げてきた戦闘スタイルの末路とも言うべき、無様な姿。
「ほら、釣れてあげたよ? アナタのこんなにエッチな身体に誘われた間抜けな淫魔に巣に引きずり込まれて、お皿の上に乗せられたご馳走になっちゃったね?」
「うぁっ♥ そ、そんなっ♥ ああっ♥」
ピチピチと臍の肉を揺さぶる長い舌が、唾液を纏いながら挑発するようにシオンの目の前で蠢く。
「ほら、脇の下擽られながらお臍ぐちゅぐちゅってされるだけで、イッちゃいそうなんでしょ? ほら、今ならサービスしてあげるよ? ペットになるって認めなくていい。ただ、お臍がオマンコです、お臍でセックスしたいですって素直に言うだけで、いやってなるくらい、お臍の中まで、グップグップってしてあげる。脇マンコもたっぷり擽ってあげる。ほら、言ってごらん? 私のお臍はオマンコです♥って」
「うぅっ♥ うぁあっ♥ くぅっ♥ そ、そんなっ♥」
「ほら、言ってごらん? 間抜けな淫魔に舐められたい変態な雑魚お臍マンコが、ジュルジュプ激しく犯して欲しくてヒクヒク蠢いてます♥って」
「うぁっ♥ あ、あぁ♥」
メアの言葉に挑発され、意識よりも先に身体がそれを求める様に臍が蠢いて、股間から快楽の潮が飛沫がプシッと弾けた。
もう限界だった。性感帯を避けた全身へのリッピング、フェザータッチ、そしてとどめの様な臍への愛撫によって、シオンの身体を焼く情欲の炎は今や理性すらも焼き尽くし、シオンはメアの示した唯一の『逃げ道』へ向かって駆け出した。
「わ、私っ! 私のっ! お臍は……」
「うん」
「お、おマンコ、ですっ!」
「ここも?」
メアの指先が脇の下をなぞる。
「うぁああっ♥ あっ♥ お、おマンコ、ですっ♥ 私はおマンコ剥きだして歩いてる露出狂の変態なんですぅぅうっ♥」
「おマンコ、どうして欲しい?」
嗜虐心に爛々と輝く赤い瞳でシオンを貫きながら、臍のラインをくるくると焦らすようになぞるメアに、シオンは蕩けた表情を晒して懇願した。
「オマンコぐちゅぐちゅにしてっ! お臍犯してっ! 舌でグチュグチュに犯してくださいっ♥」
「はい、よく言えました! それじゃあご褒美あげるね……お姉さんの恥ずかし~い露出変態オマンコ、グチュグチュぐちゅぐちゅってして、いっぱい舐め回してあげるからね……」
「は、はひっ! はひぃいいっ♥ おかしれっ♥ おかしれ……あぁあああーーーっ♥♥♥」
メアがシオンの臍へと顔を埋める。舌の先端がズリュッと音を立てて穴の中へと侵入し、一気に臍の中を一杯にした。これまでにないほど深く、臍の最奥、腹膜までを貫かれ、そして同時に、脇の下を擽っていた指が、爪を立てて引っ搔くようにして動かされる。
「あっ♥ あぁあああーーっ♥ き、きらあああっ♥ おへそ、おへそまんこぉおおっ♥♥♥」
ぐぶ、ぐぶ、と、臍の中に侵入した舌が一層激しくその身を捩りながらピストンする。メアの言う通り、それはまさしくセックスそのもの。ザラザラしたメアの舌と腹膜が激しく擦れ合う度に、脳髄を掻き回されるような悍ましい快感がシオンを犯す。
「れりゅっ、ぢゅぱっ、ぐぽぉ♥」
「お、おへそっ♥ おへしょぉっ♥ きもひいいぃいぃっ♥」
シオンは快楽に蕩けた嬌声を上げながら、自ら身体を弓なりに反らして、メアの舌と臍を密着させる。
「んれろ、ぐぽぉ♥ んれろ、ぐぽっ♥」
「おへそっ♥ おへしょっ♥ んぉおおっ♥ おへしょまんこぉおっ♥♥」
臍の中で舌が暴れ回る。臍肉【膣壁】を唾液を纏った舌が擦り、腹膜【ポルチオ】を押し上げる。
臍の内部から押し広げられるような圧迫感に、シオンは一層舌を突き出し、天を仰いで泣き叫んだ。
「ああぁっ♥ きもひいいぃいぃ♥ んぉおっ♥ おへしょぉおおっ♥ きもひぃいいいぃいっ♥♥♥」
「んふっ、れろっ、ぐぽぉっ♥」
「ああぁあっ♥ んぉっ♥ おへそぉっ♥ んぉっ♥ おほぉおおっ♥ おへしょ、おへしょまんこイクぅううぅぅううっ♥♥♥」
背筋を一層弓なりに引き攣らせながら、ぶしゃあああ、と、強烈な潮を吹き散らし、シオンは絶頂した。待ちに待った絶頂。そして、これから待ち受けるであろう絶望の連続絶頂地獄の幕開けの合図。
拡張性に乏しい臍が、まるで侵入する肉棒を拒絶する未発達で強烈に締め上げる幼膣のようにメアの舌をきつく包み込んでいるが、メアの舌はそれを凌辱し、蹂躙し、そしてそうする間にも左右の脇の下に爪を立てて引っ掻き、擽って、三つの性器を同時に責め上げる。
「うぁあ♥ イッてるのにぃいぃっ♥ おへそっ♥ おへしょぉっ♥ ああぁあっ♥」
「ぐぽっ♥ ぐぽっ♥ ぐちゅるる、んくっ、れりゅりゅっ♥」
「あっ、あ~っ♥ おぉおほっ♥ おへしょぉぉおっ♥ おほぉおおおっ♥♥」
獣のような咆哮を上げながらシオンは何度も連続して身体を痙攣させて、絶頂の波に溺れ続け、脳内が真っ白に染まり上がったまま戻ってこない。
そして何度目かの絶頂の後、舌の動きが弱まる。呼応するように、脇を擽る指の動きが情熱を纏う。
「ちゅぷぅぅっ♥ んふ、今度は、こっちー♥」
「うぁあ♥ あっ♥ あぁああ♥♥♥」
左右の脇を責める十本の指が、それぞれが意思を持った悍ましい蜘蛛の怪物にでも変身したかのようにばらばらに動いて、シオンの中に快楽の糸を紡ぎ、編み上げていく。
「ああぁっ♥ らめぇえっ♥ わき、わきまんこきもひぃいいっ♥♥ いく、いくぅうううっ♥♥♥」
臍で絶頂する。脇で絶頂する。何度も絶頂する。臍から突き上げられる快感が左右に分かれて脇に伝搬し、そして左右の脇で増幅された快楽が左右から脳髄を挟みこんで、万力のように締め上げる。それはまるで、メアが獲物を嬲る為だけに作り上げた拷問装置。シオンはただ、その装置の中で泣き叫び、悶え狂う事しか出来ない。
シオンには最早自分がどうしてこうなっているのか分からない。頭の中が白と闇の光が交互に走り抜け、意識は完全に飛び飛びだ。ただただ与えられる快楽に啼かされ、身を捩りながら身体を弓なりに反らし、法悦に狂い悶った。
「ちゅぷっ……ほら、今度はどこでイくのかな? ん、ぢゅるうううっ♥」
「あっ♥ ああああっ♥ いくぅうううっ♥ おへそれいくぅううっ♥ あっ♥ ひゃぁああっ♥ ち、ちが、ちがうっ♥ わき、わきれすぅうううっ♥ あっあっあ……あはあああああああああぁああああーーーーーっ♥♥♥」
もう何度目か分からない潮を一層強く噴水のように噴き上げながら、絶頂した。
「あ、あへぇ……♥♥♥」
最早意識は消えかけている。快楽漬けの身体は未だがくがくと痙攣を繰り返し、呼吸するために胸が膨らむ度に快楽の余韻のように甘い吐息を吐いてしまう。
そして、シオンにとって永遠ともいえる、拷問のような夜が過ぎ去る。
「そろそろ朝だから、今夜は解放してあげるね。一晩で堕とせるなんて思ってないから」
そう言うなり、メアはその指先に赤い魔力の光を宿し、シオンに見せつけるように揺らしてから、身体の上で重力に従って歪に歪んだ乳房の先端とヴァギナの上でクルクルと円を描くと、指先から流れるように零れる光の粒子が寄り集まっていく。やがて光が収まって現れたそれは、ヌメッとした質感の黒のハート型の二プレスと、ハート形の前張りだった。
「外からの感覚を遮断しちゃう貞操具だよ。お臍と脇で絶頂出来ちゃう変態女には、乳首とオマンコは必要ないよね?」
「い、いやぁああっ……」
シオンはその小さすぎる布地で辛うじて乳輪とヴァギナを隠すだけの、裸よりも卑猥な衣装に、快楽地獄から帰還しかけている白濁した意識の中に理性を取り戻し、しかしその余計な理性が羞恥心を生み出した。四肢を戒められていなければ、両手で隠していただろう。
メアはその淫靡な姿に満足げに笑って、シオンの身体に纏わりつきながら、乳首に手を伸ばす。カリカリ、とその指先で二プレス越しに乳首を擦ってみせる。いつもならば身体が跳ねるほどの快感が弾ける性感帯からは、何の感覚も発生しない。
「うぁっ♥ く、ぅうっ♥」
だが、黒い二プレスの周囲、僅かに赤く色づいた乳輪をなぞられると、ある意味慣れ親しんでいる、ゾクゾクとしたもどかしい快感がシオンを襲った。
「明日からもっともっと、たっぷりと焦らしてあげるね。私のペットにさせて、って心から尻尾を振っちゃうまで!」
そうして一層強く乳首を弾いた瞬間、シオンの視界にヒビが入って、世界が砕けた。拘束されていた身体が解放され、虚空へと落ちていく。
『そうそう。モチロン、乳首とおまんこでオナニーするの、禁止だよ♥』
現実世界へと落ちていく最中、忌々しいメアの声が、呪詛のようにシオンの脳髄に刻み込まれた。
◇ ◇ ◇
まるで現実世界に叩き落されるように目を覚ます。明け方の白んだ空から差し込む僅かな光が、カーテンの隙間から部屋の中に差し込んでいるのが見えた。
「う……あぁ……あっ♥」
少しだけ身動ぎをした瞬間、シーツと擦れた肌がとんでもなく敏感に快楽を紡ぎ、シオンは呻くように悶えて自らの胸を抱いた。
「また……こんな、ぅ……」
メアによる寸止め、それに続く臍と脇による連続絶頂地獄。アブノーマルな行為で産み出された熱が全身に行き渡っている。夢の中の出来事のはずなのに、シオンの身体にはメアの指先と舌がはい回る感覚が強烈なリアリティを持って滞留していた。散々嬲られ続けた臍と脇には特に熱く熱が残っている。
「くぅっ……んっ♥」
そして何より、その湧き上がる性衝動の根源ともいえる子宮が、熱く粘る涎を零し続けている。あれだけの絶頂地獄を強いておきながら、本来のシオンが持つ強烈な性感帯の悉くをメアは放置し続けた。散々舐られた臍と脇に嫉妬しているかのように、刺激を求めて泣き叫んでいるかのように子宮が疼いている。
クロハの調教がフラッシュバックした朝のルーチンワーク。熱く燃える身体を冷ますためのオナニー。いつものように、シオンはベッドに横になったまま恐る恐る股間に手を伸ばす。そして、溢れかえる愛液で透けたショーツに浮かび上がるスリットに指を這わせようとした瞬間、シオンの頭の中に強烈な忌避感が去来した。
「……っ!!??」
性的なことは悪い事。オナニーなんて不浄の行為をしてはいけない。根が生真面目な気質のシオンが常に感じ、しかしそれでもしなければシオンの調教済みの淫らな身体は日常生活が送れなくなってしまう故に考えないようにしている罪悪感が、優しい母親に大声で叱咤されたかのように、今まで感じたことのないほど強大な槍となってシオンの心を刺し貫いたのだ。
その驚きを伴った心の痛みにシオンは慌てて弾けるように指を離す。そして、唖然としていたシオンの瞳に、まるで童女のようにボロボロと涙が溢れてきた。
「あ……あぅ……そん……なぁ……」
行き場を失った手が宙を彷徨った後、再び身体の上に圧し掛かる重苦しいMカップの肉塊を抱いた。
「じゃあ……どうすれば……どうしろっていうの……」
夢の中のメアの命令に縛られている。シオンは確信した。メアの魔法で生み出された乳首と女陰を覆う黒いニップレスと前張りが、貞操具として正しく機能している証だと。自らの身体を見下ろしても存在しない夢の中で装着されたモノが、シオンの心を強大に縛り付けている。
シオンはほとんど無自覚なまま、自らの身体をその手で撫で始めた。腕を。腹を。肩を。太腿を。まるで夢の中で這い回ったメアの舌をトレースするように。
「んっ……んうっ……♥」
オナニーじゃない。これはただのマッサージ。シオンは必死に、湧き上がる罪悪感に無意味な言い訳で蓋をすることにした。
「っ……く、ふぅっ♥ はぁっ……♥」
何とか快楽を発生させ、身体を沈めるために全身を撫でまわす内、シオンの指先は徐々にブラジャーとショーツに隠された乳首と女陰に近づいていく。しかし、心を縛り付ける貞操具に守られたそこには決して辿り着かない。シオンの指先は鼠径部をなぞり、子宮を腹の上から押し、しかしそれ以上まで踏み込むことが出来ない。
「んぅっ、あぁああっ♥ さ、さわ、さわらせてっ♥ さわらせてぇっ♥」
媚びるように、誰かに懇願するように言葉を連ねてなお、シオンの手はスリットの透けるショーツの中を犯すことが出来ず、ただその布の外延部をなぞることしか出来なかった。
気が狂いそうなもどかしさにベッドの上で身体を激しくくねらせると、シーツが擦れる音が、外から流れ込む早起きな小鳥のさえずりと共に部屋の中を満たす。
『あるじゃない? 触っていいオマンコが』
頭の中で、メアが嘲ったような気がした。
「う、あ……」
『お姉さんが夢の中でイキまくったエッチな穴があるじゃない』
それは果たしてメアの言葉なのか、それとも興奮でおかしくなったシオンの頭が生み出した幻聴なのか。だが、まるで催眠術にかけたかのように、メアの言葉はシオンの指をその場所へと導いていく。
夢の中でメアに散々に舐られ、何度も絶頂へと至った淫らな穴、シオンにとって第二の女性器と化した場所へ。
「っ、ぅうっ……あぁあっ♥♥♥」
にゅぷぷぷっ、と、その指先が、臍孔へと挿入された瞬間、快楽に歓喜した肉体が弓なりに反りかえった。
こんな場所でオナニーなんてしたことなどなかった。いつもは、もっと根源的な場所を触ることが出来たし、そもそも一般常識からは考えられない行為。だが、夢の中でメアに刷り込まれた快楽が、シオンをこんな異常な場所でも絶頂出来る変態だと再認識させてくる。
「あぁあっ♥ おへそっ♥♥ ああぁっ♥ い、いいぃっ♥」
膣穴で感じる快感とはまた違う異質な感触。だが、僅かにラインの浮かび上がった腹筋がビクビク震える度に、挿入された指をキュンキュンと締め付ける様は、まさしく挿入されたものに快楽を与える役割も持つ、淫らな雌穴のそれだった。
「んくっ♥ あ、あぁああっ♥♥♥」
挿入していた指を抜いて、それを舐めしゃぶって唾液を絡めてから再び挿入する。複雑に絡み合った臍肉をゆっくりと割り割いて、徐々に深く抉っていくようなピストンで穿ると、粘液で濡れた臍がくちゅくちゅといやらしい水音を立てる。その度に全身を快楽が駆け巡り、ベッドの上でびくびくと体が跳ね、頭の中を真っ白な電流が走った。
夢の中と同じように、シオンの身体は急激にオーガズムへと駆け上がっていた。
「はっ♥ あっ♥ あぁあっ♥ い、いく、いくいくいくっ♥♥♥」
自らの指で自らにトドメを刺すために、シオンの動きは極限までダイナミックに力強く、素早くなっていく。指が抜けるまで引いたかと思うと反転し、奥深くまで侵入する。
「いく、いぐ、いぐぅうううっ♥♥♥」
絶頂する。ベッドの上で反り返った女体が綺麗な曲線を描く。しかしその絶頂快楽の強大さを示すかのように、制御不能な身体は鮮烈な快楽に絶頂から降りてこれず、十数秒もがくがくと痙攣し続けた。
「っ~~~~♥♥♥ んっ、はぁあああっ♥♥♥」
ようやく快楽地獄から抜け出したシオンの身体がベッドに崩れ落ちる。呼吸もままならなかったせいで全身にブワリと玉のように滲んだ汗を散らし、シーツに塗り付けながら、荒くなった息を何とか整えようとした。
「あっ、や、ま、まって……!」
だが、制御不能なシオンの身体は、すぐに快楽を求めた。変わらず放置され続けている女性器は熱く燃え上がり、夢の中と同じように蜜を零し、放った潮が腿に垂れ落ちている。
シオンの指が再び動く。ヴァギナの快楽を得られないなら、ここで絶頂するしかない。
もっと激しく、もっと熱く、シオンの指はシオンを犯す。
だが、何度オナニーをしても、何度オーガズムを貪っても、シオンが秘める情欲は完全には消えてくれなかった。
太陽が昇り、部屋の中を明るく照らし、宿の前の街道に荷馬車が行き来し始めた頃、シオンはようやく起き上がった。シオンは動かなければならない。このミールに潜む淫魔を、夢魔“メア”を探し出し、殺さなければならない。なんとか、かろうじて捕まえた理性の糸を手繰り寄せてオナニーを中断した。
全身を汚した汗をシャワーで落としてバスルームから出る。
「っ……はぁっ♥ はぁっ♥ は、はやく、はやく……ゆびわを……っ♥」
全身を濡らし、滑り落ちる水滴による愛撫に身体を震わせ、今にも崩れ落ちそうな足取りで、用意した着替えの上に置いた不感の指輪を縋りつくように取って指にはめる。無駄な魔力の浪費を抑えるため、我慢して身体を拭いて、服を着てからはめるのが常なのに、今のシオンにはそんな我慢をしていたら気が狂ってしまいそうなほど身体が発情していた。
実際、指輪をはめて身体の感度を何とか抑え込んでなお、ふと見た鏡に映るシオンの頬は紅潮し、情欲に目尻をトロリと蕩けさせてしまっている。
「っ……おねがい……おさまって……っ♥」
シオンは下腹部を右手で撫ぜた。指輪が感度を抑えても、お預けを食らった情欲の根源たる膣と子宮は泣き叫んで、刺激を求めていた。
我慢、我慢、我慢。歯を食いしばりながら何とかそれを無視して、身支度を整えた。
鏡に映る自分をもう一度見る。ショートパンツに袖なしのシャツ、スカーフにアームガード、ニーソックス。そして腿のホルダーにぶら下げた獲物のナイフ。いつもの服装。
“いつもの、淫魔の撒き餌としてお腹を露出した服装”
シオンはハッと息を飲んで、むき出しのお臍を右手で隠した。
快楽を貪り、オーガズムまで至ることが出来るいやらしい穴。今の今まで、指とセックスをしていたいやらしい穴。少しだけ赤く腫れて、時折ヒクヒクと疼くいやらしい穴。
そればかりじゃない。剥き出しで、少し激しく動いたら見えてしまう脇の下も。ニーソックスとショートパンツの間で瑞々しい弾力を孕んだ太腿も。撫でられるだけで快感を感じるいやらしい場所達がむき出しになっている。
露出狂。頭の中でメアがせせら笑っている。シオンは鏡の前で羞恥し、一人、身体をくねらせた。だが。
「っ……う……く……っ! これは、あいつらを殺すために必要なこと! 私の事なんて何も知らないくせに戯言を!」
ドン、と、臍を隠していた手で傍の壁を殴りつけてから、ビシリと背筋を伸ばす。
「待っていてください、メア! 私の手で、このナイフでその首を掻き切り、惨たらしく殺してやります!!!」
シオンは一人、ナイフを抜いて、鏡に向かってその切っ先を向けた。ここで羞恥していては、メアの思うつぼ。メアの掌の上で踊るわけにはいかない。邪念を払うように一閃し、再びそれを鞘に納めると、少しだけ荒い、強がった足取りで、部屋を出た。