「お前マジうぜーから。んべー」 弟は兄に向かって、いつものように悪態をついた。 2人は再婚した親の連れ子という血の繋がらない兄弟。 勉強もスポーツもできる弟は、パッとしない上に大学受験に失敗して浪人してる兄を見下していて。 顔を合わせれば生意気な態度を見せ、兄を罵倒していた。 仲良くなろうと努めていたのに。 日に日に悪くなる弟の態度に、ついに兄は我慢の限界を迎えていた。 そして、どちらが上なのかちゃんと"分からせて"やらないと、と。 彼は良き兄であろうとすることをやめ、この日のために用意周到に準備を進めていた。 兄は立ち去ろうとする弟に背後から手を伸ばした。 肩を掴み、同時にとあるスマホを弟の目の前に突き出す。 赤地に厨二っぽいメタリックのドラゴンが描かれたカバーに覆われたスマホ。 それを見ると弟は舌打ちを漏らして。 「おま、おれのスマホ勝手に触ん────」 だが次(つ)いで弟の言葉が途切れた。 その瞳はスマホの画面に釘付け。 同時に兄がほくそ笑む。 静かな廊下にはきゃっきゃっと騒ぐ喧騒(けんそう)がスマホから響いていた。 画面に映るのは学校の風景。 だけどアングルが低い。 兄も弟の陰からひょいと画面を覗き込んで。 ひどい手ブレと共にローアングルでカメラが追いかけている先には女の子のパンツ。 それは明らかな盗撮動画だった。 「なんで……」 弟が呟いた。 「なんでスマホのロックが外れてるんだって?」 兄が言った。 寝てる間に部屋に忍び込み、お前の指紋でロックを解除して俺の指紋を追加で登録しておいたからだよ、と心の中で続ける。 「にしても、いやー驚いた。まさか俺と違って成績優秀な弟くんのスマホにこんな動画や写真がいっぱいあるなんて」 兄がわざとらしい調子で言った。 スマホを操作し、次々と弟の秘蔵のコレクションをスクロールしていく。 フォルダにあるのはどれも同じ弟のクラスメイトのものだった。 スカートの中を撮ったものだけでなくプールでの着替え、中には雑コラでどこからか拾ってきた卑猥な少女の画像の顔を重ねたものまである。 「返せ!」 弟はスマホを持つ兄の手に飛び付いた。 スマホを奪い返そうとする。 兄は思わず腕を力一杯振って。 体の軽い弟は簡単に払い除けられ、ゴン、と鈍い音を立てて壁にぶつかる。 「お前がクラスの女子の盗撮で朝晩欠かさずオナるエロ猿だって知ったら親父や母さんはなんて言うかな?」 痛みに顔をしかめる弟に向かって兄が言った。 兄は弱みを握るために弟をこっそりと観察していて。 その結果弟のオナニーの習慣を目の当たりし、同時にいつもスマホを片手に行為に及んでいるのを見ていた。 どんなオカズを使ってるかと思ったらこれだもんな、と。 兄は弟の目の前に盗撮動画が流れているスマホをちらつかせる。 「や、やめろよ」 「それが人にものを頼む態度かな?」 「うるさい、返せ!」 「……そういえばこの女子の名前なんだっけ。グループラインに動画貼って聞いてみるか」 兄は弟に画面を示したまま素早く操作。 弟のクラスのグループラインを開いた。 そのままフォルダ内を全選択。 あと1タップで彼の秘密のフォルダの中身がクラス中に共有されてしまう。 「やめろ」 「やめてください、だろ?」 「……やめてください」 「……」 「お願い、します」 「よろしい」 悔しそうに頭を下げる弟を見て兄は上機嫌に言った。 ラインのタブを閉じる。 「けどまだ反抗的だなぁ。言うて盗撮は犯罪だし、兄として見過ごすわけにはいかないなぁ。親父と母さんに相談して警察も呼ばないと」 『警察』の言葉に弟は肩をびくりと震わせた。 「お願い、許して。もうお前の悪口言わないし、おれ、なんでもするから!」 "なんでもするから"。 その言葉を待っていた、と。 兄はうんうんとうなずくと、にこりと優しく笑いかけて。 「じゃあズボンとパンツおろして」 「……は?」 思わず弟の口から素の声が出た。 「聞こえなかった? ズボンとパンツおろせって。今からお前のスマホで写真撮るからさ。もしお前が今後逆らったらグループラインに盗撮動画と一緒に貼ってやるから」 「ふざけんな!」 睨み付けてくる弟を半眼で見下ろしながら、兄はため息を漏らした。 無言でラインを開いて再びフォルダを全選択する。 「ごめ! ごめんなさい! 待って! お願い!」 弟が懇願(こんがん)するが兄は表情を崩さない。 ただ無言でスマホのカメラを操作。 テロン、とカメラの起動音が響いた。 カメラを弟に向ける。 「…………」 弟は目を伏せた。 下唇を噛み、悔しそうに顔を歪めて。 そしてズボンとパンツに手をかけると、ゆっくりと膝下まで引き下げる。 「うわー、ちっせぇ。俺も子供の頃はこんなんだったっけ」 露(あらわ)になった弟の恥部を見て兄が言った。 小さく縮み上がった陰嚢(いんのう)はゴルフボール大。 そこに収納されている睾丸はビー玉よりも小さく。 その上からツンと突き出した幼い竿は指先ほどで、尖端には余った皮がたるんでいる。 兄の言葉と共にカシャカシャと撮影音が響き渡った。 「いやいや、いくらなんでも小さすぎねぇか。小指よりも小さいんだけど、これ」 兄が嘲笑(ちょうしょう)混じりに言った。 その言葉に弟は羞恥(しゅうち)で顔を赤らめ、パーカーの裾を強く握って。 今にも泣いてしまいそうな、だけどやはり。 いやむしろ。 弟の目の奥には怒りが滲んでいた。 それを見て兄はまた、うんうんとうなずく。 よしよし、そうこなくちゃ。 んで"分からせ"と言えば、やっぱりあれが鉄板だよな、と。 童貞だった兄の肉棒は、このあとのことを思うとむくむくと鎌首をもたげた。 獲物を前にしてその切っ先からとろとろとよだれを垂らし、パンツをみるみる湿らせる────