支援者限定のやつです。
合意の入れ替わりアプリのやつまたです。一応過去作との繋がりはありませんし、アプリに関わるプロテクトの設定なども完全に共通というつもりもありません。
またCです。
==============================================================
メールアプリやカメラアプリなど普遍的なもの、電子書籍アプリに家計簿アプリ、はたまたダイエットアプリ、睡眠アプリまで。
アプリという言葉の前に何かをおけば、何ができるかは一目瞭然。
では、『肉体入れ替えアプリ』などと銘打たれていたら、人はその効果を察することができるだろうか。推し量ることができたなら、かえってジョークだと笑うに違いない。
だが、同意した二者間で身体を入れ替えてしまうアプリは確かに実在する。なぜなら――俺が実際に、使っているからだ。
現代の都市伝説にはびこる◯◯アプリの一つ。知らず知らずに自分のスマートフォンにインストールされ、持ち主の合意によって肉体をまるごと交換する。そんなものだった。
その『入れ替えアプリ』もまた眉唾、世間では信じられていない。だからこそ俺も安心して、誰かと身体を貸し借りすることができるのである。
早朝の駅、俺は構内にあるカフェでコーヒーを飲みながら、改札を眺めていた。行き交う人間は様々。今日は土曜日で、勤め人らしき人は少なく、家族連れや遊びに行くような風貌の人が過半。
そんな中、俺は部活に向かう学生達を目で追っていた。
「……ふわー……ぁ」
押し殺し損ねたあくびを手で隠し、目元を拭う。
俺が待っているのは、ひとりの女子中学生。入れ替えアプリで約束をした相手だった。
しかし約束の時間を15分過ぎている。入れ替えアプリ経由で連絡を試みているものの、返事はなかった。
買ったコーヒーが空になり、二杯目でも頼もうかと思った時、スマホが震える。入れ替わり予定相手から、今駅の北口に着いた、とのメッセージだった。
目印はポンパドールヘア。二杯目は頼まず席を立ちカフェを出ると、その子はすぐに見つかった。
緑色をした学校指定らしきジャージに、裾からわずかに出ている短い空色のプリーツスカートと健康的な太もも。彼女だ。
俺は人の波間を縫って、声をかける。
「君が……詩羽《しう》ちゃん?」
「はい、ではあなたが入れ替わる相手のお兄さんですね」
振り向いた詩羽はにかーっと白い歯を出して、俺に一歩近づく。手をとって、嬉しそうに笑った。
「写真よりかっこいい……! あたしのタイプですよ、ほんと!」
「ははは……」
「あ、ごめんなさい! 男の人になるの超久々で、テンション上がっちゃいました……えへへ」
おっしゃるとおりハイテンションな詩羽に、思わず苦笑いが出た。
これはメッセージでのやり取りはもちろんのこと、『中学二年生の水泳部、最高に可愛くて友達が多い!』という自己紹介からもにじみ出ていた。
当然それを承知の上で、向こうから送られてきた入れ替わり申請を受けたのだが、実際に顔を突き合わせるのが初めてなのにフルスロットルなのは予想外だった。
人懐っこいとかいうレベルを遥かに通り越している。一瞬にして、陽キャだとかパリピなどと呼ばれる人種か、それか思春期特有の全能感を持っている女の子であることが分かった。
「ふふ……じゃあさっさと入れ替わっちゃいましょ!」
「声大きいよ」
「あ、ごめんなさい! あたし、どこに連れ込まれるんですか?」
「言い方さぁ……そこらでいいよ、そこらで」
まだ成長途上ながら、詩羽の可愛い声や容姿、あと騒がしさはかなり注目を集めていた。俺は腕を引いていって、比較的人の少ないところを探す。
ずっとやかましい詩羽を連れて行ったのは、駅を出てすぐのところにあった雑居ビル。入っているのはバーやスナックばかりなので、エントランスは誰もいなかった。
ふう、とため息をついてから、俺は詩羽と向かい合う。
「あのさ、まず言っていい?」
「なんです?」
「もうちょっと静かにしてちょうだい」
単刀直入に告げる。別に騒がしい女の子が嫌いということではなく、単純に人目を引くのが面倒なのだった。
「入れ替わり前の相互理解じゃないですか。それにお兄さん、入れ替わったらあたしのふりするかもしんないんですよ? このあたしの」
「そうだけどさ……やっぱやめよっかな」
「えぇ、そんなご無体な~」
流石に冗談ではあるが、正直困惑していた。こんな頭のネジがちょっと外れた子だったとは。
さっさと入れ替わってしまおう。俺はスマホで入れ替えアプリを起動したところ、また申請が来ている。日時はだいぶ遠いので、回答は保留だ。
「……お兄さん、ごめんなさい。はしゃぎ過ぎました」
すると詩羽は、俺が黙ってスマホ操作をしているのを、本気で怒ったと捉えてしまったようで丁寧に頭を下げてきた。
その落差も、逆に気持ち悪い。
「いやいいけどさ。人目引きたくないだけで、元気な子は好きだし」
「え、好きなんですかあたしのこと!?」
「やっぱ嫌いかも」
「そんなー」
面白い。まだ会って十分も経っていないのに、俺は詩羽のペースに巻き込まれている。逐一いろいろな表情を見せてくれる詩羽は、なかなかに愉快だった。
「ふふ……嘘だって。じゃあ早いとこ、入れ替わろうよ」
「そうですね……ほい、ほいっと」
スマホを操作した詩羽。取り出した画面には、同意した二人の肉体が入れ換えられる範囲にある時に出る入れ替え実行のボタンが出現している。
俺の方は、もうボタンを押してある。後は詩羽だけ。
「じゃあ押しますよ? いいんですね? あたしなんかに身体を預けちゃって」
「じゃあやめる」
「うそうそ、うそです! はーい、ではっ!」
詩羽は勢いよく、スマホの画面をタップする。
かくんと意識が閉じたかと思うと、20代半ばの男――俺の顔が目の前にあった。入れ替わりが無事、行われた。
俺の姿になった詩羽は、ストレッチをして身体の具合を確かめている。
「おー……ちょっと細めなんですね、お兄さん」
「詩羽は思ったよりでかいなぁ」
俺は胸を揉み、お尻を撫でる。水泳部所属でむっちりとした体型なのは見ての通りだったが、実際に触ってみると肉感と重みが予想以上にあった。
ポンパドールに結われ頭上でぽふぽふと揺れている髪、露出されたデコも触ってみる。中々珍しいヘアスタイルであまり見かけないので、なんだか新鮮で恥ずかしくもある。
それになんだかいい匂いがした。ただ詩羽の身体から漂っているのではなく、周囲にある香りの感じ方が変わったというもののようだ。
「それじゃあ詩羽、約束通り16時に集合でいいね?」
「はい!」
俺の顔でにこにこと笑う詩羽。今回彼女が入れ替わりを持ちかけてきたのは――エッチのため。
詩羽は去年からアプリを使っていて、当初は他人になれる好奇心だけでもっぱら女性とのみ入れ替わっていたという。そしてあるとき、人妻と入れ替わった状態で夫とセックスをしてしまった。
愛するものと交わる官能、長年連れ添った相手との快感は凄まじかったようで、未成熟で未開発、全く感じない自分の身体では物足りなくなる。男とのセックス目的で入れ替えアプリを使うようになった、という話だった。
今回は男側として、セックスを経験したいという。入れ替えアプリで繋がった人間とするらしく、そちら側も約束済み。
ちなみに俺の主な目的はスイーツ。俺も詩羽と似たようなもので、俺自身の身体の味覚では甘いものが苦手なのに、女性の身体を借りて食べたケーキやパフェの味が忘れられなくなったものだ。
俺はオナ禁をして精子を溜め込み、詩羽は腹に甘いものをたらふく溜め込むこととなる。ここも取引のうちだ。
とにかく準備は完了。
「あ、俺の財布貸して。スイーツ代は自分の財布から出すよ」
「と、思ったんですけど、ちょっとご相談があって。お兄さんも来ません?」
「え?」
どういう意味だ?
「今日エッチする約束してるのって一人暮らしの人で、その人の家に行くんです。だから、一人ふたり増えたって変わんないんですよ」
「いや……え? ひょっとして、詩羽ちゃんは俺ともセックスしたいって言ってる?」
「そういえば、自分の身体になった人とエッチしたことないなって」
「アグレッシブだな」
詩羽は一切の濁りなく、瞳を輝かせていた。
俺は頭を抱える。今回詩羽の身体でエロいことをするつもりはなかった。トイレはもちろん、必要があれば裸になることがあるのは了承を得ているが、中学生は俺の趣味の範囲外である。
悩ましい。待ち合わせ場所を詩羽の家近くでるこの駅にして、いくらかスイーツ店を調べ、いくつかピックアップしている。色気より食い気の頭だった。
「それに俺が中学生としたら、犯罪……」
「いいんですって。同意ですし、やれるならバレないってお兄さんもわかるでしょ?」
詩羽はぐいぐいとくる。
このアプリには不思議なプロテクトが掛かっていて、元の身体の持ち主が絶対に嫌がる行為や犯罪じみた行動ができないようになっていた。
例えば男(の体の人間)が女性とセックスしたくてたまらなくなり、誰でもいいからレイプしたくなったとする。このケースであれば、鍵が壊れて外に出られない、急に大雨が降り出して誰もいない、ただただ女性と会わない、などという風に運命をも曲げる形でプロテクトが働くという。
しかし裏返すと、実行出来たならばそれは問題がないともされていた。
前述の例だと、彼氏に振られたばかりで寂しく誰でもいいから抱いて欲しいという女性に出逢ってワンナイトを過ごす、身体の持ち主の恋人や友人が急に訪ねてきてセックスに応じてくれる、などが起きる可能性がある。
多少の歪みはありつつも、それが達成されたなら自然に起こり得るものになるよう、因果が書き換えられるのだ。
そもそもなぜか自動でインストールされるこのアプリ、手に入れられる人間は限られており選別されているため、過剰な心配はいらないという。また、入れ替えに伴うトラブルや入れ替わり中の事件も多くが回避されると、アプリ内で説明されている。
つまり――大人の男として女子中学生とセックスする事自体は犯罪ながら、もしセックスにまで至ったなら発覚はしないし、誰も不幸せにならない可能性が高いということを詩羽は主張していた。
「ってもなぁ……」
女性の身体で男とセックスをするなら、もっと安全かつ楽しめそうな身体の選択肢があるはず。中学生の身体で、元の自分とやる。その構図にも、イマイチ惹かれなかった。
俺の反応が悪いとみた詩羽は、しゅんとする。
「えー……じゃあエッチ抜きでも入れ替わり抜きでもいいですから、また今度会いませんか? なんかもうちょっと、一緒に居たいんですよ。なんか、波長が合う感じがして」
「これで波長合っているっていえるの、お笑いステージの上くらいなもんだと思うけどな」
「そう! そのツッコミ!」
俺の身体ながら、詩羽は中々エネルギッシュで楽しい子だ。まあ恋愛感情ではないのだろうが、ここまでストレートに好意を示してくれるのも心地よい。
「じゃあスイーツ屋に一緒に行ってからでいい? その相手さんがどうかは知らないけど、手土産にもなるし、俺も食べたいし」
「いいんですか!?」
「うるさ」
誰もいない雑居ビルのエントランスに、俺の声が響きまくる。うるさかった。
詩羽は俺の頭を撫でて、きゅっと抱きしめてくる。愛嬌たっぷりな仕草だが、あいにく今の詩羽は俺。20半ばの男だから、そんなに嬉しくもなかった。
「ありがとうございます! へへ」
「はいはい、どういたしまして」
「じゃ、行きましょう!」
俺の手を取って、詩羽は意気揚々と歩き始めた。
駅構内にあるスイーツ店で、いくつかケーキを買う。詩羽はそこまで甘いものに執着がないらしく、すべて俺が選んだ。俺の財布から金を出して購入してから、二駅電車で移動。
俺達は、セックスの舞台である――一軒家にたどり着いた。
「……一人暮らし?」
「はい! 旦那さんが長期出張中の奥さんなんです! それと、お兄さんが来ることは承諾済みですよ」
「不倫?」
「あれれ、ウミガメのスープ始まりました?」
「ブラックなオチなことも多いけどさぁ」
いやまあ、少なくともその人妻は他所の男とセックスするのも含めて了承しているだろうし、そのあたりの倫理観と夫婦関係がどうなっているのかは知らない。ただ少なくとも、その相手が俺の身体であるのはちょっとうろたえてしまった。
詩羽は全く悪びれていない。
「不倫じゃないです、精神が赤の他人同士なので。まあまあ、どうするかはそれから考えればいいじゃないですか」
「まあ……そうだな。お前の言う通りだよ」
この無敵の中学生様に何を言っても無駄そうだ。それに俺だって、本当に嫌だったら拒否しているのは間違いない。結局のところ、興味が出てきたのは隠せなかった。
「へへ……ごめんくださーい!」
げんなりとしている俺をよそに、詩羽はインターホンを元気よく鳴らす。まもなく、家の中から人が出てきた。
「あ、来たんだ……詩羽さん、だよね?」
現れたのは20代後半ほどの、優しげな女性だった。白いロングTシャツにジーンズという姿で、俺達を出迎えてくれる。
「はい! それでこっちが、賢人《けんと》お兄さん」
「なんか誘われました。賢人です、よろしく」
「そう、なんですね……あ、僕は天空《そら》っていいます。14歳男子です」
「あたしと同い年なんだー」
天空と名乗り、その女性はぺこりと頭を下げた。中身は男の子で、どうやら詩羽と同級生か。
「ひとまず中へ」
「はい、お邪魔します……っと」
「おっじゃましまーす!」
まずはリビングに通される。新築のようで、子どもも設けておらずとても静かで清潔な家だった。
俺はスカートを気にしながらソファに座る。詩羽は当たり前のように、天空の隣に陣取った。太ももに手を置くというさりげないボディタッチをしながら、美しい顔をじろじろと眺めていた。
天空はずっと照れている。しなを作ったり脚を閉じているなど、女性の仕草が板についていた。
「詩羽と天空が同級生って言ってたけど、知り合い……じゃないな」
「ん! 初対面だよー」
やけに馴れ馴れしい詩羽だが、俺の時もこうだったことを思い出す。このコミュニケーション力はちょっと勝てない。勝つ気もなかった。
早くも顔を赤らめながら、天空は俺と詩羽の顔を交互に眺める。
「この二人が、入れ替わっているんですものね……何度か入れ替えアプリは使っていますが、こうして当人同士が並んでいるのを見るのは初で……」
「そうなんだ。あたしは入れ替わった人たち四人でやったこともあるよ」
「詩羽中学生だよな? その歳でそんなの覚えて大丈夫かよ」
「んー……大丈夫だったら入れ替えアプリなんか使ってないかも」
「あ……んっ」
出してくれたアイスコーヒーを飲みながら、詩羽は天空の胸に触る。こうして下半身直結男になった自分を第三者視点で見るのは、なんだか情けない。
「そう、なんですね……んぅっ、ふぁ……お兄さんは、どうして詩羽さんと……ぁ」
「……詩羽、手止めようか。せっかくだしもうちょっと話したいんだ」
入れ替えアプリを利用して自分以外の身体になっている人間と対面する機会は、俺と天空にとっては珍しい。お互いもう少し話をしたいのだが、もうセックスしか頭にない詩羽はずっと天空の身体をまさぐっていた。
詩羽は渋々、天空を解放する。『じゃあお手洗いいってくる!』と言い残して、リビングから立ち去っていった。
「……はあ」
「詩羽さん、元気ですね」
ふふ、と清楚に口元を抑えて笑う天空。
なんというか最初から挙動に品があり、全く違和感がない。口調こそ少年のそれだが、それ以外ではどこからどう見ても貞淑で清楚な人妻だった。
「天空はどうしてその女性と入れ替わっているか聞いていい? なんか凄い馴染んでるけど、長く入れ替わってたりするの?」
「はい……でも、別に入れ替わりが長いとかそういうのはないですね。僕が大人の女性になってエッチなことをするのに夢中で、その辺りがきっかけで詩羽さんと知り合い、こうして会うことになりました」
天空は吐息がかった声で切々と話す。
「あと、この身体の持ち主の女性は詩羽さんみたいに元気な方です。元ヤン、って言っていました。僕が根暗だから、きっとおしとやかに見えているんですかね……そちらの女性も僕になって、身体を動かしたいとの要望でした」
「はあ……」
その女性の本来の姿を知らないが、今の天空はすごく色っぽかった。大人の女の身体でセックスにハマっているということだし、男を悦ばせるテクニックや雰囲気を獲得しているのかもしれない。
俺は買ってきていたチーズケーキを天空とともにつつきながら、俺は甘味目当てでエロ目的はなかったことなど、こちら側の件も交えながらお喋りをした。
「ただいまー!」
やがて詩羽が戻ってくる。残っていたケーキは冷蔵庫に入れておき、夫婦の寝室に移動した。
三人で横並びになって、姿見で各々の姿を確かめる。いくら入れ替わりを経験していても、いつもこの時間だけは確保したいのは皆同じようだ。
俺になった詩羽は割愛。まあ中肉中背、学生時代には普通に彼女が居た程度のもの。不細工ではない自負はあるが、詩羽がうっとりしているのは大げさな気もする。
黒髪ロング、ほっそりとしたビジュアルの人妻になった天空。俺目線では不倫なんか絶対にせず、結婚三年目になっても毎日セックスをしているような貞淑で夫想いの妻に映る。しかしその実態は元ヤンとのこと。シャツにジーンズという服装は確かに活発そうではあった。
そして俺。着ていたジャージの上を脱ぐと、水色のセーラー服に中学校の校章。すぐ近所だという。スカートの中は学校指定のジャージのハーフパンツ。中学生がこのスタイルなのは今も同じらしい。
全体的にうっすら日焼けしていて、髪の色素も落ち気味の茶髪。ポンパドールヘアが強気そうで明るい印象を与える。元気で可愛い、けどちょっと変な女子だ。背丈は一番低いのに、身体は水泳部らしくまんべんなくむっちりとしていた。
「さて、じゃあしましょうか! 天空くんは心の準備、いい?」
「あれだけ愛撫しておいて、よく言うよ」
詩羽は天空を押し倒して、ダブルベッドにもつれ込む。早速数回のキスをした。
「ふぁ……詩羽さん、うまいよ、キス……」
「ありがと。天空くんも、すごく美人で綺麗」
俺はドレッサーのスツールに座り、服を脱いで艶かしい絡み合いを始めた二人を眺める。
詩羽はディープなキスから始まって、身体に舌を這わせていく。やや控えめな胸を揉みながら、乳首に吸い付くことも丁寧にしていた。
ずーっと楽しそうでふわふわとしていた詩羽の表情が、段々と真剣で険しいものとなっていく。天空の顔もとろとろ、マンコもとっくに濡れていた。
というかおっ始める前から欲情していたらしく、脱ぎ散らかされてこちらに放り投げられてきた黒いシルクのショーツにはべったりと愛液がこびりついていた。
「んっ、っふっ、んっ」
「天空くん上手……おチンポ気持ちいいよ……」
流れるように、天空は詩羽へのフェラチオを始める。二人とも手慣れていた。
「……んっ」
今回詩羽の身体はめあてではない。そのつもりだったが――濃厚なペッティングと、部屋に充満してきたオスとメスのフェロモンに、詩羽の身体も反応してきているようだった。
いつの間にかスカートの中に手が入り、ハーフパンツを脱いでショーツの上から股間をかりかりとひっかいていた。
「あ、お兄さんはどうする?」
そのまま二人の世界でセックスを始めるのかと思っていたら、天空にフェラをされていた詩羽が尋ねてきた。
「いや……元はそっちの約束だから……まず、好きにしていいよ」
「はーい。でもお兄さんも、すっごい可愛い顔してるよ」
「う、うるさい」
「ふふ。あとでちゃんと相手するから、待っててね」
その男の声に、俺の身体がぞくりと粟立つ。身体の芯が熱くなって、じわり、と愛液が滲み出た。
「うるさい……んっ」
「さ、天空くん。あたしたちもしちゃいましょ」
「ぇぁ……うん……」
天空はもう快楽に翻弄されて、意識も曖昧。まだチンコとマンコで合体していなかったのに、何回か絶頂していた。ベッドも愛液で汚れている。
詩羽はスムーズにコンドームをつけて、天空をベッドに転がす。お互い信用し合って身体を許している様は、まるで本当の夫婦のよう。
相変わらず俺の身体と見ず知らずの美人で演じられていることだけが妙な気分だったが、間違いなく愛のあるセックスに思えた。
身体がぽかぽかとして、我慢出来ない。俺はセーラー服、白いスポーツブラとショーツを脱いで、全裸となった。
「……えっろ」
詩羽はやや背が低めなのに、肉付きは悪くない。むちっとした太ももや脚、腹筋は浮かばない程度のお腹と、鋭く尖った胸。マンコも幼く、はえかけの陰毛が一列二列並んでいるだけだった。
ただ、しっかりと濡れている。勃起したクリトリスも剥けていて、ピンク色でもって存在感を示していた。
「ぁ……んっ……」
……ただ、確かにもの足りないかも。俺が快感を味わったことがある女性はいずれも20歳以上だったというのもあるが、もどかしいったらない。
痛みとくすぐったさ、かゆさの方が勝っていた。
「……はぁ……」
「――あぁんっ、んぁあっ、ふぁああっ!」
「はぁっ、はあっ、ふうぅ……っ!」
すぐそばでは、セックスに没頭する男女。正常位で手をつなぎながらハメ、後背位になってスパンキングしながら女を責め立てる男が居た。
いつの間にか口が縛られたコンドームがひとつ床に捨てられている。一度詩羽は達して、それでいてすぐに再開していたらしい。
「……あっ♡」
俺はそのコンドームを拾ってゴムを破り、精液の匂いを嗅ぐ。一気に鼻腔も舌も麻痺して、目が霞んだ。ひとりでに手が動いて、俺は自分自身の精液を口に含んでいた。
以前女性の身体で精液を飲んだ時、喉にひっかかるわ臭いわでとにかく気持ち悪かった記憶しかなかった。それ以降挑戦することもなくて、今も決してうまいとは思わない。
しかし、そんな理屈や味覚じゃないところに、俺は興奮していた。半分を飲み込んで、もう半分は指につける。
もしかしたら――
「あぁんっ!」
予想通り。精液をつけただけの指で乳首やクリを触ると、何万倍にも気持ちがいい。媚薬でもなんでもないのに、自分から精液の匂いがするだけで狂いそうだった。
「ふう……今の、お兄さんの声?」
「ひゃ……」
隣に詩羽がやってくる。天空はベッドの上でのびていて、もう二回戦目を終了したようだった。
「結局オナニーしてんじゃーん……ってか、すごい……あたし、くっさ……やば」
「や、やめっ」
詩羽は俺をベッドに連れ込んで、マンコを嗅ぎまくる。鼻息だけでもびくびくと腰が跳ねて、まぶたが痙攣していた。
「はー……やば、お兄さんのおちんちん、もう勃起した。すごい、お兄さんの身体だとあたし汗、すごいいい匂い……」
「あ、ゃんっ!」
ぬらりとしたものが、マンコを這う。いつしか詩羽は股間に顔を埋めて、ぺろぺろと必死にクンニをしていたらしい。
らしい、というのはそれを見下ろす余裕もないから。さっき自分の指で弄った時には気持ちよくなかったクリトリスや割れ目から、目が眩むほど激烈な快感が送られてきていた。
「はぁ……はぁ……」
「すご……お兄さん、可愛い」
詩羽はクンニをやめたのは、何秒も前。俺の目の前には、詩羽の――俺のチンポがあった。
またも、頭がおかしくなる。とにかく臭いのに、嗅がずにはいられない。俺は必死に鼻を鳴らして、少しでもチンポの匂いを肺へ送ろうとしていた。
「おえ……くっさ、くっせぇ、くせ……っ!」
舌が伸びる。ゴムを着けておらずピカピカの亀頭を舐め回して、ちゅうちゅうと精液や我慢汁を吸った。口を離した後も、全身に俺の匂いをつけたくて全身を絡め合う。
「はぁ……はぁ……ねえ、お兄さんしよ!? する他ないよね、初めてだけど、あげるから……いやもらう!」
「あ、ああ……くれ」
俺は自らベッドに寝転び、脚を全開にする。まだまだ無垢なマンコを晒して、覆いかぶさってくる詩羽に抱きつき――
「ひぁ、ぁぁ……っ!」
メリメリと、詩羽のマンコに俺のチンポが入ってきた。
痛みはある。ぶちりと膜が破れたのも分かった。それなのに、全然嫌じゃない。チンポは奥まで入らずぎちぎちに締め付けていて、女遊びになれている詩羽でもまともにピストンできてはいなかった。
でも、最高に気持ちがいい。これまで入れ替わった女性よりずっと。
「お兄さんっ、あたしの中最高に気持ちいい……っ!」
「いいぁっ、さいっ、ああっ、にゃあっ!」
俺はおっぱいを揺らしながら、激しく犯される。詩羽の顔から落ちた汗が、俺の唇にふれる。些細なはずのことなのに、しょっぱい味でさらに俺の快楽が膨れ上がっていった。
詩羽は俺に妙に懐き、まだ別れてもいないうちから俺とまた会いたいと言っていた。入れ替わった直後も、なんだかいい匂いがしていたけれど……もしかして、そういうことか。
運命という言葉を信じてしまいそうなほど、気持ちがいい。ずっとしていたい。そう思いつつ、限界が近づいてきた。
「いっ、イくぅ、うぅっ、しうぅイくっ!」
「すごっ、あたしはあたしの身体でイったことないのに……っ!」
詩羽の腰が早まる。頭が馬鹿になって、他の何も考えられなくなっていった。
「ひぁ――あああっ、ぁあっ!」
「っくぅ、うううぅっ!」
そして、俺は詩羽の――今日初対面の女子中学生の身体で、絶頂した。
詩羽の身体は一瞬で上り詰める。真っ白い、幸福と快感だけの世界に放り出されて、体の感覚が無くなったのだった。
「――お兄さん、お兄さん?」
「ん……」
――鼻が反応する。俺は俺に、詩羽に抱きかかえられていた。絶頂して、失神したらしい。
まマンコも乳首もじんじんとしている。被害は甚大だった。
「……んー……まだだめ。ぎゅっとしてて」
「くそ、あたしの身体でイっといて調子にノリやがって」
「ほんとすごかったね、お兄さんのイき方」
天空はシャワーを浴びたのか、バスタオルを巻いてビールを飲んでいる。
「お兄さん、あたしの中最高だった。あたしたち、ほんと相性いいかもしれないですよ。あたし、あたしの身体でイったことないんですから」
「そうかもな……」
ようやく身体に力が入れられるようになった俺は、ゆっくりと起き上がる。そして――無意識のうちに、詩羽へとキスをしていた。
呆気にとられている詩羽に、自分が何をしでかしたのか理解した。天空が女としての振る舞いに慣れていったように、俺も順応してしまったのかも。
「あ、なんでもない」
「お兄さん、かわいー!」
仕返しに、詩羽から何回もの口づけが返ってくる。
「よしお兄さん、今日はたくさんするぞー! ほら天空くんも!」
「ちょ、ちょっと待て……」
「諦めよう、お兄さん」
――そうして、俺と天空は時間になるまで詩羽のおもちゃになるのだった。
◆◆◆◆
「――あ、お兄さんこんにちは!」
「うっす」
ある冬の日、俺はダッフルコートにアーガイルタイツという出で立ちの詩羽と落ち合う。初めて入れ替わってセックスをしてからというものの、俺と詩羽はしょっちゅう会っていた。
もう恋人。なんだかんだ、性格も一致していた。
「じゃ、入れ替わりましょ」
「はい――きゃ、あたし可愛い! さ、行きましょ行きましょ」
「デコ寒い……」
アプリで俺と詩羽は入れ替わる。
入れ替わらずデートをしたい気持ちはあるが、中学生と社会人が恋人同士でセックスまでしている仲だという綱渡り。俺達はそのリスクを、入れ替えアプリの『入れ替え中に大きなトラブルは起きにくい』という点に預けきっていた。
だから二人で会う時は、必ず入れ替わった方がいい。詩羽はそう言っていて、現に詩羽と恋人になってから半年、詩羽の学校の人間や家族、俺の会社の人間と遭遇することはなく、目撃されたこともなかった。
ただその本質はもちろん――
「あぁんっ、ふぁっ、ああっ!」
「詩羽のマンコ、やっぱり最高……っ!」
俺のアパートで、俺は詩羽に抱かれる。結局のところ、詩羽も俺も異性の快楽の虜になってしまったということだ。詩羽も自分の身体でイくことは出来ず、俺もオナニーで射精できなくなってしまった。
結果、二週間に一度程度会える日は、獣のようにセックスをするようになっていた。
呼び方も逆転して――あたしは、前の自分をお兄さんだなんて囁いて。
「――ぁあっ、ふぁあっおにいさぁああっ!」
「ふうぅ……出るぞっ!」
でろりと、マンコからチンポが抜かれる。コンドームはたぷたぷ。
――入れ替えアプリの入れ替え時間には、制限がない。このままだとずっと入れ替わりっぱなしになるかも。それもあたしは、悪くないと思った。