オタサーの姫に天誅をくわえる話です。
行動原理が明確に復讐であり、当社比エグいことをしています。たぶん。
オチでも暴走したオタクが本人のみならず家族にも……というところで終わります。
閲覧注意、としておきます。
では、以下本編をどうぞ。
==============================================================
ある大学の一室。たいして広くはなく、たくさんの棚とそこに押し込まれたレトロゲーム機やソフトカセット、その他ボードゲームやテーブルトークRPGのルールブックなどがスペースを食っている。
ここは、ジャンルを問わないゲームサークルの部屋である。中央には三人の男が座っていて、テーブルにはTCGのカードが拡げられている。しかし全員が神妙な面持ちをしていて、誰一人としてゲームを心から楽しんでいるようには見えない。
「本当にいいんだな?」
一人の面長な男が他のメンバーたちと顔を見合わせて、確かめるかのように言う。
「もちろんさ。僕も恨みはあるからね」
「マジショックだし、しゃあない。あいつが悪い的な?」
他のふたりは口々に答える。反論は出なかった。
「よし。そろそろ来るはずだから、あくまでゲームを楽しんでいる風にな」
そして間もなく、部屋の扉ががらりと開いた。
現れたのは、清楚な花柄ワンピース姿の女性。薄化粧でありながら幼さを残した顔は可愛らしく、茶髪も綺麗に手入れされている。
「おはようございます、みなさんおそろいなのですね」
女性はハスキーなアニメ声で挨拶しつつ、恭しくお辞儀をした。まばらにメンバーから返される挨拶を受けながら、静々と席につく。
メンバー達に、緊張が走る。口数はあからさまに少なくなっていたが、女性はカードゲームに集中していると捉えたようだ。女性も茶々を入れず、黙って見守る。
そんな中、面長の男がおもむろに立ち上がる。何一つ警戒されることなく女性の背後に回ると――袖に隠し持っていた注射器を女性の首筋へと突き立てた。
血は出ない。痛みはないようで、首筋に袖が触れたかという程度に手で払おうとした。
しかし、その手は骨も肉も感じられない手袋のようになっていた。シリンダーの薬液はもうなくなっていて、からりと床に転がる。
「……え?」
数秒硬直してから、女性は声を漏らす。
そこからは一瞬で――首筋に空いた風穴から空気が抜けていくように、だんだんと女性の身体がしぼんでいく。もう声を発することはできず、まばたえきさえない。意識があるかも定かではなかった。
まもなく、椅子に座っていたその体勢のまま、女性は人間の皮膚を全身タイツにしたような、たるみとシワまみれの――皮、としか形容できない物体になってしまったのだった。
その3DCGめいた光景にメンバーらは驚愕した。面長の男を除いて。
「よし」
「マジか」
「本物だったんだね……」
――皮にされたのは、沙雪《さゆき》という女性であった。
三人との出会いはごくシンプルなもの。友達がいないからゲームを遊ぶ相手が欲しいといって、このゲームサークルの門戸を叩いた。
沙雪は外見も声も可愛らしい。メンバーの前では露出度が低く彩度も抑えられた地味な服装が中心でメイクも薄め、言葉遣いも丁寧な女性だった。
元々のサークルメンバーは、幼い頃ゲームを数少ない友としていたようなタイプだった。女性と接した経験は皆無、触れ合う免疫も無ければ、機微を悟るだけの技術など培われているはずもなく。いわゆる『オタサーの姫』というのは自分らとは違う世界で起きることだと思っていた。
そのため沙雪もそのような都市伝説めいた人種ではない、その可愛さが秘められたまま育ってきた内気なゲーム好きの女性だと信じて疑わなかった。
しかし――沙雪は彼らを金づるとしてロックオン、取り入ってきたというのが真実であった。
沙雪がPCゲームをやってみたいと個人メッセージでそれぞれに漏らせば、皆がこぞって最新ゲーミングPCを買い与える。沙雪は一番性能のよいひとつだけ手元に残して、他は売り払ってしまった。
あのレアカードがかわいいけど高値がついていて手が出ないといえば、皆がそれぞれの伝手で用意する。これも家に飾った写真を撮り『大切にするね』とメッセージを送った後、全てオークションに流していた。
普段の清楚な服装とは違う派手な地雷系ファッションに身を包んでいる時にメンバーと遭遇すれば『あなたはこういう派手なお洋服嫌いだと思って』とのたまい、さもその者の好みに合わせていたかのように誤魔化す。それは他のメンバーが知らない沙雪の一面を見ている優越感となり、ひけらかすこともない。
沙雪はそのような方法で騙し、メンバーに溶け込みつつ金品をだまし取っていった。
しかしある時、小池という面長の男が沙雪と誰かの通話を耳にしてしまう。そこで彼の洗脳は解け、調査と追跡を始めた。
何から何までうまくいった沙雪は油断しきっていて、あっさりと尻尾を出す。小池による証拠映像の撮影を許してしまったのだ。
それは地雷系ファッションでホテル街をうろつき、優男にしなだれかかってラブホテルへ消える沙雪の映像。
他にも――
『――そーそー。オタクたち。巻き上げた金が結構溜まってきたから旅行いこ? ――オタクらにはちょっと帰省するって言うから平気。……うん、うん……じゃあもうちょい金集めるね』
『大丈夫大丈夫。あなただけなの♡ って言えば。……さあ、それは知らない。バイトしてるやつもいるみたいだけど、そのうち臓器売るんじゃない? ……ん、バレないって。バカだから。……うん、ありがと、愛してるよ♡』
ときどき声色を変えて通話先の恋人に甘えつつ、サークルメンバーを嘲笑する沙雪の映像など。
小池はこれをメンバーへと突きつけ、復讐をしようと提案する。
それはインターネットで購入したもので、効果はというと人を皮にして殺めるというにも生ぬるく――
「……行くぞ」
小池は服を着たまま皮になった沙雪を拾い上げて、穴の空いた首筋に指を差し込む。すると、穴が拡がっていって中が露わになった。
赤黒い血管などが浮かぶおぞましいものであり、不気味さと異様さでもって元が人であったと示すかのよう。メンバーが固唾をのんで見守るなか、小池は裸になったかと思うと沙雪の皮に脚を入れた。
小池が沙雪の脚だった部分に己の右脚を通していくと、たるんでいた皮がハリと血色を取り戻す。包みこまれた小池の右脚は、まだ入れていない左脚とは明らかに長さも太さも変わっていて、小池の姿勢は傾いていた。
小池を含めたメンバー全員は言葉を失っていた。
左脚、腕も同様。小池の身体も皮に飲み込まれていって、沙雪の美しいプロポーションも象られる。沙雪の首から小池の頭が生えているような状況となった。
仕上げとばかりに、頭も覆うと――
「……どうだ、沙雪に見えるだろ?」
問いかけたアニメ声も沙雪そのもの。
小池は、完璧な沙雪に姿を変えたのだった。
「……す、すごいね」
「おー……やべ、マジやべえ」
小池はくるりと回って、ぎこちない笑みを浮かべる。ワンピースの裾がふわりと舞い上がり、太ももがちらりと覗いた。
その仕草に、メンバーは目を奪われる。いくら悪女だとわかっても、その見た目は可愛らしいものだった。
「こういうこともできる」
そう言って、小池はワンピースの裾を遠慮なくたくしあげた。サテン生地、黒とピンクのストライプとレースに彩られた派手なショーツが丸出しになった。
またもメンバーは釘付けになる。その中身さえ妄想していたメンバーや、もっと純な気持ちを抱いていたものもいたが、目の前に差し出された女性の下着に、本能や憎しみはあっさりと負けていた。
ぱっと手を離した小池は、そこそこの胸を潰しながら腕を組む。
「さて……本物だったことだし、復讐の始まりだ。この沙雪の皮を着回して名誉を貶めるもよし、肉体を弄ぶもよし。約束だと最初は金田だったか」
「お、おう……でもよ、マジで脱げんのか? あとこれ、最後は……」
「もちろん」
小池は首筋に指を突き立てて、勢いよく引っ張る。文字通りに野菜や果物の皮を剥くがごとく沙雪の顔面がくしゃくしゃの皮に戻って、小池の顔が現れた。全身もぬるりと脱げていき、べたりと床に放り投げられる。
不気味な笑い顔で、小池はメンバーを見渡した。
「全てが終わったら、もとの沙雪に戻してやる。もっとも浦島状態だろうがな。大切にしてくれよ。大事でみんな大好きな――我がサークルの姫なんだからな」
◆◆◆◆
最初に沙雪の皮を使うことになっていたのは、金田という男だった。
彼は金髪に染めており、ピアス穴を空けアクセサリーにも気を使うなど、サークル内では一番のおしゃれなチャラ男を自負しており、沙雪のことを馴れ馴れしく『さゆきち』と呼んでいた。
だが残酷なことに金田は太っていて容姿も平凡、センスもあまりよろしくない。チャラ男と言っても『やばい』『マジで』と連発するだけの浅はかさで、女性経験もなく。
結果として出来上がったのは、無理したオタクでしかなかった。
(おー……身体かりーなー……すげー)
沙雪の皮を着て大学を後にした金田は、身体の軽さに驚きながら街を歩く。沙雪の体重は金田の半分ほど、相応に筋力の差はあったものの些細な問題だった。
「えーと、これか? これだな?」
免許証から住所を確かめた金田は、沙雪の住処を訪れる。そこそこ大きいマンションであり、部屋の中も真新しかった。
「おー……女の子の部屋だー……やべー……」
金田は初めて脚を踏み入れた女性の部屋に感動する。淡いパープルやピンクで揃えられた家財に、天蓋付きのベッド。ゲームキャラクターのぬいぐるみが大量に置かれ、壁には様々な洋服。まさしく女の子らしい雰囲気だった。
そんな中、金田は一角に目が留まる。パステルカラーの部屋にあって異質な真っ黒い直方体――金田が贈ったデスクトップPCだった。
「おー、さゆきちも一応は使ってたのかよー」
金田はサークルメンバーの中で、最もPCゲームやPCそのものに造詣が深い。そのため沙雪からPCのおねだりを受けたとき、一番性能のよいPCを選び彼女に貢いでいたのだ。
さらには『他のメンバーには内緒だけど、金田くんとは家でもオンラインゲームをやりたい』などとだまくらかして、マイクやカメラ、モニターまで買わせる。もっとも、マンションのインターネット回線が弱いといい金田とゲームを遊んだことは一度としてなかったのだが。
「うわー逆にショックー、売るんなら売ってくれってマジで」
ピンク色のゲーミングチェアに着いた金田は悔しそうに呟く。全てが欺瞞だったと知った今、半端にPCだけ使用され続けていることのほうが金田の癪に触ったらしい。
ささやかな苛立ちのまま本体を蹴っ飛ばした金田。むしろ沙雪の細い脚のほうが痛むのだった。
「……はぁ。さゆきち、こうやってゲームしてたんだな」
PCとモニターの電源を付けると、デスクトップには幾つかのゲームアイコンがある。金田は起動してみたものの、熱心に遊ばれた形跡はない。
「……はぁ。マジありえねー……」
今一度ショックを受ける金田。彼にとって沙雪はもっとも恋人に近い(と金田が一方的に思い込んでいた)相手であり、落ち込み具合は大きかった。
「……あ」
しばらくぼんやりとしていた金田はふと下に視線を落とすも、股間付近が見えない。それ自体は太っていた金田には見慣れた光景だったのだが、それが腹の贅肉ではなく乳房によって遮られていることに気がついた。
「そっか……俺、今マジでさゆきちなんだよな……声も……」
ごくりと喉を鳴らす金田。
改めて意識すれば、部屋の匂いや服の締め付けなど、全てが男のそれとは違う。さらには憎い沙雪のもので、全て好きにできる。まだ他のメンバーの番もあるので全てをめちゃくちゃにすることは許されていないが、それでも十分沙雪の尊厳を辱めることは可能だった。
「……そ、そうだ」
金田はのろのろとした手つきでPCを操作し、映像キャプチャソフトを立ち上げる。ベストポジションでセットされていた高価なwebカメラと撮影用リングライトも起動、猫耳型ヘッドホンも装着した。
ディスプレイに映し出されたのは、どう見ても配信者。童顔気味でツーサイドアップに髪を結った可愛らしい沙雪が、くっきりと映し出されていた。
「おー……かわいい。あーあー……ねえ金田くん、ホントは一番好きだったんだよ♡ なんつってな、うわマジでさゆきちじゃん」
金田は沙雪の顔をぺたぺたと触りより盛れる角度を探しながら、沙雪になりきって台詞を自分で読み上げる。録画していたデータを再生すると、本当に沙雪が恋の告白をしてくれているようだった。
「……はぁ。しょーもな」
しかし虚しい。少しばかり未練があるからこそ、金田にはあまりに虚しく響いた。
「くっそー……マジで腹立ってきた。さゆきちなんかこうだ――ふぁあっ!?」
怒りがふつふつと沸き立ってきた金田は、沙雪の胸を鷲掴みにする。手のひらでつかみちょうどいいサイズの胸は、触られたという感覚――性的快楽を、金田に与えた。
「……マ、マジ?」
まだ弱い。弱いが、金田には未知の感覚だった。興味が出た金田は、たどたどしい手つきでワンピースを脱いだ。
沙雪が身につけていた下着は、上下ともにピンクと黒のストライプ。純白のワンピースや普段の様子からは窺いしれない派手さで、これだけでも彼女の本性がにじみ出ている。
「やべー……んぅ……っ」
金田にためらいはない。ブラジャーの上から胸を揉んで、柔らかさを知る。童貞だった金田には手が届かなかったおっぱいは、思っていたよりずっとふにふにとしていた。
「……っやべえ!」
欲望を抑えられなくなった金田はブラジャーを外して、ショーツも脱いでしまう。
乳首は綺麗な桜色で、胸全体も垂れたりはしていない。美しい形をしていた。下は陰毛を整えていることだけがわかったが、肝心のおまんこはいくら体勢を変えたりしても直には見えなかった。
そこで金田は、目の前のモニターで蠢く沙雪を思い出す。
「う、ううわー……マジエロ配信者かよ……」
ゲーミングチェアに座り、脚をデスクの上に乗せた金田。顔を捉えるようセットされたwebカメラは、ひくひくと呼吸するおまんこを画角におさめていたのだった。
リングライトも手伝い、てらてらと輝くおまんこ。金田は見とれていた。
「……あ、愛液か? ……んぁあっ!」
やがて、どろりとした液体が下腹部に伝っていく。金田の精神を反映し最大限に欲情した肉体は、大量の愛液を分泌していた。
少し触れるだけで、ビリビリと下半身が痺れる。モニターは、沙雪のはしたない顔も0と1に変換していた。
「……配信してやるか」
金田の、復讐の炎が燃え上がる。沙雪の裸を、痴態をインターネットで配信して一生残してやる。
そう思った金田は、インターネットブラウザを立ち上げた。
「……あ? おー!」
ブックマークには動画サイトやSNS各種が登録されている。そこにアクセスするとログインされたままで――フォロワー数万人のSNSアカウント、登録者数7万人の動画サイトチャンネルに繋がった。
それらは『さゆゆん』と本名をもじったような名称で登録されており、日常や旅行の写真の他、動画サイトでは恋愛相談じみた内容のものや、彼氏とのセックスについての話も上がっているようだった。
「あーもう知らね。マジでキレたかんな、さゆきち。覚悟しろよ」
金田は動画サイト上で操作をしていき、タオルケットを羽織ってわざわざ身体を隠してからライブ配信を開始した。
SNSにも配信URLを投稿すると、予告なしでありながら『さゆゆん』初のライブ配信ということで3000人近くが集まった。
配信状況を確認し、緊張しつつも金田は喋り出す。
「あー……えっと、急な配信ごめんなさい。どうしてもみんなに見てもらいたいものがあって……」
たちまち『なに?』『どうしたのー』などというコメントが飛び交う。
大丈夫だ。リスナーたちにも、自分は沙雪と思われている。何をしたとしても、沙雪の評判が落ちるだけで俺は関わらない。少しの心配も消え去って安堵した金田は――タオルケットを取り払い、さっきのようにおまんこを全開にしたポーズを取る。
「みんなには、私のオナニーを観てもらいたいと思います……ごめんなさい、淫乱で♡」
――言ってしまった。これだけで、沙雪がインターネット上で作り上げたキャラクターはもう終わり。どう取り繕っても、沙雪の局部の映像は消えることなく残り続ける。
「……ん、ここ……おっ、やべっ♡」
金田はとろけきったおまんこを撫でる。淡い陰毛の裏、三角形に出っ張ったクリトリスと皮から尻穴まで一直線に指でなぞって、歓喜の声を上げた。
沙雪の自慰行為をインターネットに流しながらだと快楽が倍増する。それは彼女に対する恨みはそれだけ強かった。
「おっ……んぉおっ♡」
独特なアニメ声で下品に喘ぐ。コメント欄は困惑と軽蔑に溢れていたが、未だBANはされていない。
金田の理性はすぐ吹っ飛んだ。それだけ女性の快感は強烈で、股間をいじって快楽を貪るけだものと化すのに時間は要らなかった。
「おおおっ♡ んおっ♡ やばっ♡ やべっ♡ マジっ♡」
おまんこに宛てた指を左右に擦ってオナニーを続ける金田。もはや配信のことなど忘れ、没頭していた。
「イくっ♡ イくっ♡ イくうぅっ♡ 沙雪のマンコでいくっ♡」
ひときわ情けなく、無様に鳴いて金田は絶頂した。びゅるっと噴き上げた潮がデスクにかかった。痙攣する脚でマウスを落とした。
「っふ……うぅ、うぅう……沙雪のマンコマジやべー……あ、配信してたんだっけ」
数分後、余韻が収まってからモニターを確かめる金田。ライブ配信は打ち切られ、アカウントも即座に停止されていた。
愛液にまみれた手でマウスを操作し、SNSもチェックする。こちらでは罵詈雑言やら見限った声が多数返信されており。フォロワーは数百人減っていた。
「おお……でも、さゆきちがわりいんだからな……♡」
金田は指をしゃぶりながら、SNSにもどろどろのおまんこの自撮り写真をあげる。程なくして、SNSも凍結されるのだった。
◆◆◆◆
次の日に沙雪の皮を着るのは、余野という背の高い男だった。
沙雪はサークル内で、特によくカードゲームを好んでいるかのように振る舞っていた。結果、サークルはカードゲームが中心となっていた。
メンバーの中で最もトレーディングカードゲームに精通している余野は一番対戦回数も多く、自分こそが沙雪の恋人にふさわしい人間だと思い込んでいたのである。
しかしその本質は、高価なカードを聞き出し売り払うため。余野は転売目的でカードを購入する層をひどく嫌っていて、反転する沙雪へのヘイトもメンバー随一だった。
さらに余野は、沙雪がサークルを訪れる時のような清楚な服装ではなく、本当は派手で特徴的な地雷系ファッションを愛用していることを知っていた。その際にも『ふたりだけの秘密にして』と懇願され、メンバーで唯一秘密を共有する仲だと舞い上がっていたのだが――
昼下がりの繁華街を歩く余野は、黒いアイシャドウを施し、リボンとフリルたっぷりなライトパープルのノースリーブブラウスと黒いミニスカート、白いガーターストッキングに身を包んでいた。
それらは沙雪に非常に似合っていて、茶髪のツインテールも愛らしく揺れている。
余野は中性的な容姿をしており、よく姉の化粧の練習台にされていて手順やコツはばっちり。さらに個人的な嗜好から、女性の衣類にも詳しかった。
「……自業自得だよね」
半開放された服屋の前、姿見の前でにやっと笑った余野は脚をがばりと開く。
スカートの中は、新雪を彷彿とさせる無垢な白さと輝きを放ちながら、ほとんどお尻が出るようなTバック。
余野が下す差雪への復讐は――露出散歩。自称チャラ男の金田よりも恨みは募っていて、彼がエロ配信をしたことでもだいぶ溜飲が下がっていたがまだ足りない。インターネットのみならず、現実世界でも辱めてやろうというものだった。
「っ……♡」
スカートの中は風通しがよく、興奮して濡れた股間が心地よい。余野は頼りないスカートをまったく顧みることなく、思いのままに街を散策するのだった。
最初に訪れたのは、ディスカウントショップ。うず高く積まれ圧縮された商品陳列が特徴となっているチェーン店だ。
「……♡」
余野はうろつき、見せつける相手を探す。最初に捕捉したのは、リュックサックを品定めしている中学生ほどの男の子。本来は道であるべき部分にもキャリーケースなどが押し寄せており、袋小路ということもあって非常に狭い。
意気揚々と、余野はその隙間に入り込む。中学生男子の背中に身体を密着させながら、高いところにある商品をとるふりをして沙雪の胸や脚を押し付ける。
「……ちょっとごめんね……んっ♡」
「っ!」
「ごめんね、このお店狭いから……ぁ♡」
「い、いえ……」
あからさまに余野の動きは妖しい。余野自身に年下少年の趣味があるわけではないものの、沙雪に痴女じみた行為を働かせていることは愉悦を覚えていた。
すっかり少年が動かなくなったあたりで、余野は耳元で囁く。
「……最後まで、して欲しい?」
「……あの……」
「人、呼んじゃだめだからね」
そう言って、余野は少年の股間に手を当てる。ズボンの上から手を宛てると、少年のチンポが勃起しているのは明白だった。
余野は優しくペニスを揉みしだいて――本当に数秒。少年は童貞で、これほどまでに女性と接近するのが初めてで、まったく堪えが効かない。
「うう……うっ!」
少年は、パンツの中で射精してしまった。険しい表情になって、店の芳香剤の匂いに雄臭さが混じる。少年の脚もぶるりと震えて、腰が砕けそうになった。
「あ、出しちゃったね♡」
「は、はい……」
「お姉さんの事、思い出してオナニーしてね♡」
「あ、あの……っ!」
「じゃあねー」
余野はお尻をふりふりと振りながら、店を後にする。少年は追ってこなかった。
余野の行動はエスカレートしていく。
角度の急なエスカレーターや階段の上、わざと屈んで中身を見せびらかすのは序の口。薬局やコンビニでは低い所にある商品を取るふりをしながら脚を開いたり、途中からはブラジャーを外して乳首をくっきり浮かび上がらせて街を徘徊した。
時間もかなり経ち、すっかり夜となっている。
(ああぁ……っ、最高だなぁ♡)
ブラジャーもなくブラウスの前はゆるゆる、スカートもベルトの位置がだんだんと高くなって、最終的には立っているだけで正面からでもショーツが丸見えになっているほどだった。
街の男たちは鼻の下を伸ばして余野を見つめ、女たちは敵意と蔑みの目をぶつける。余野もそれが自分自身に向けられるものであれば耐えられず逃げ帰るところだが、なにしろ沙雪の皮を被っている。
少なからず感じている屈辱と羞恥は、全て沙雪を貶める喜びに変換されていた。
「あ……おしっこ、したいな♡」
ベンチで脚を開き座っていた余野は、ふと下半身に圧迫感を覚える。仕組みは不明であるものの、それは間違いなく尿意だった。
「トイレに行くのも面倒だし……♡」
すぐそこに駅があり、トイレが使えることは知っている。しかしそれでは面白くない。どこかで野外放尿をすることが確定していた。
「そうだ……♡」
余野はふらふらと歩き出し、けっこうな距離を移動して歩道橋に辿り着く。ゆるやかな階段を登っていくと、下ではライトを焚いた車が行き交っていた。
歩道橋の中央に陣取った余野は、おもむろにスカートをめくり上げた。白いTバックショーツも片足にひっかけて――
「あ……ぁぁあっ♡」
手すりの隙間から、ちょろちょろと放尿を始めた。
風に煽られた小便はまっすぐ落ちることなく、勢いよく飛び散っていく。それは下を通過する車を濡らして、何事かと身構える。事故などに繋がる危険さえあるのだが、全ての責任を沙雪になすりつける余野にそこまでの思考能力はない。
「んっ、っふ……ぅうっ♡」
余野は女性の身体で行う放尿にも酔いしれていた。溜まっていたものを排泄する気持ちよさは男と同じと侮っていたのだが、より敏感な性器付近を通るためか数倍の快感だった。
「ふ……んー……しちゃうか♡」
小便が止まってしまうと、かえって物足りなくなる。余野は微塵の迷いもなく、小便まみれの股間を触り始めた。
「んっ♡ クソ女のくせに、ここは気持ちいい……っ♡」
お尻をついて、余野はクリトリスの皮を剥いた。両手を使い、無我夢中でおまんこをいじくり回す。
そこが公共の場所である歩道橋の上、通過するドライバーから何をしているか見えているとしてもお構いなし。今の余野に怖いものはなかった。
「んっ♡ やぁっ♡ 声でるぅっ♡ アニメみたいなぁ、喘ぎ声出ちゃううぅ♡」
余野がもったいぶらないのはその行為だけではない。声もまったく抑えようとしていなかった。
車の走る音に紛れ、沙雪のいやらしい声と水音が奏でられている。もし通りがかった男がいたら、警察を呼ばれたら――その憂慮などしていなかった。
そんなシチュエーションで、沙雪を辱めている。肉体の快楽以上に、余野は興奮していた。
「ぁああぁあっ♡ ダメ、えええぇぇぇっ♡ ああぁああんっ♡♡♡」
やがて絶頂が訪れる。相変わらず歩道橋の上、今度は尿ではなく愛液が撒き散らされた。白濁具合や妙に粘度のある液体の正体は、大人ならばすぐにそれとわかる。幼い子どもも乗った家族のワゴンのフロントガラスを汚して、両親は怪訝な顔をしていた。
「ふぅっ♡ ふぅっ♡ ふぅっ♡ マズイなぁ……これっ♡ ハマっちゃう♡」
寝っ転がり髪に砂を着けながら、余野は脱力するのだった。
落ち着いてから着衣を正し、その場を離れたが――
(うわー、誰かつけてきてるな)
車通りの多い歩道、余野の後ろには男がぴったりと後ろをついてきていた。もうあたりは暗いのではっきりと顔や素性は分からないものの、余野が歩く速度を落とすと男はスマホを取り出し牛歩となる。
駅の方へと向かっているので、たどり着けば問題はないだろうがそこまでに何か行動を起こされたら面倒だった。もっとも手頃な店もない。
「ま、そのための皮だよね」
そこで通りがかった公園の公衆トイレに入ると、男もやはりそばで足を止めた。
余野は個室の中、沙雪の服を脱いでリュックに詰め込む。軽装だったのは、これも見越してのことだった。さらに沙雪の皮も脱いでリュックに詰め込み、元々の自分の服を着ていく。
その後、どこにでもいる男子大学生となった余野は何食わぬ顔でトイレを出ていった。男はそんな余野に目もくれない。まだ、沙雪を待つらしかった。
「じゃあね。頑張ってね」
男に聞こえない小声で呟いた余野。すたすたと立ち去っていき、沙雪のマンションに帰ってから再び皮を着るとまたオナニーに耽けるのだった。
◆◆◆◆
その翌日。まだ沙雪の皮を被った余野と、初日に皮を着ていた金田のふたりが集まっていた。
「アカウント作ってもIP取られたのか即BANだし、マジやべー。もう沙雪のスマホとPCじゃ作れねーよ。やっぱおまんこ丸出しオナニー配信はヤバかったな」
と、太っちょチャラ男の金田。
「僕も色々やったから、もうあの街は歩けないだろうね。歩道橋でしたりとか、お店でもパンツ見せつけまくったり乳首びんびんだったもん」
と、ノッポの余野。フリル、レース、リボンが満点の少女趣味全開なピンクの下着姿をしていた。
「やっぱりしたか、オナニー。女のマンコってさ、マジヤベーよな?」
「ほんとほんと……んっ♡ あと沙雪は声もかわいいし、ほんと最高……♡」
「やべ、ムラムラしてくる……」
「――あ、ちょっと待って。小池、来たっぽいから迎えに行ってくる」
オナニーを始めた余野に金田は股間を膨らませたが、ちょうどインターホンの呼び鈴が鳴る。その主はもうわかっていた。
余野は部屋着のワンピースだけ羽織って部屋を出ていき、間もなく中肉中背の面長な男――沙雪の裏切りを暴いたその人である小池を招き入れた。
「お疲れちゃーん」
「この分だと金田も余野もエンジョイできたらしいな」
「もち! すごいぜ、女の身体。小池っちのあの薬様々だよ」
早速金田は、にやつきながら女体の素晴らしさを述べる。もう、沙雪への罪悪感など微塵もない。
「っふ……ぅ。あ、やっぱり男は全然違うね」
その背後、余野は沙雪の皮を脱いでいた。ノッポの男が現れ、足元には沙雪だったものが哀れにも脱ぎ捨てられていた。
「さて、金田くんはエロ配信、僕は露出したけど……小池は何するの?」
「そうだ、聞いてなかったじゃん?」
口々に尋ねる余野と金田。小池は皮を拾いながら、手短に答える。
「彼氏へビデオレター。二人にも手伝ってもらうぞ」
「なるほど……流行りのやつだね。現実でやっちゃうんだ」
「いいじゃんいいじゃん」
余野と金田は盛り上がる。昨今のアダルト作品でおなじみの寝取られ報告動画。ふたりは半ばインターネットミーム化しているそれを特別好んでいるわけではなかったが、それが憎き沙雪であるなら話は別だ。
「――ということで、金田くんと余野くんには、私を抱いて欲しいな……♡」
沙雪の皮を着終えた小池は、あざといポーズと声で二人を誘った。中身が小池だとわかっていても、どうでもいい。
「いいね。小池も沙雪の皮の良さ、知るといいよ」
「それじゃあセッティングするか」
小池は下着姿のまま、持ち込んだ三脚に沙雪自身のスマホを取り付けた。準備しながら、余野が尋ねる。
「そういや録画するの? それ、どうやって彼氏に送りつける?」
「どっかのアダルトサイトにアップロードしてURL送る。それでいいだろ」
「マジ最悪だな。一生残るじゃん」
「天誅だ」
更に小池は大学の学生証、免許証も取り出しておいた。
「……じゃあ録画始めるよ?」
「頼む」
「さん、に、いち……スタート!」
余野は合図とともに、スマホの録画を開始した。なお金田も画角から外れている。
録画が始まった映像は、下着姿の沙雪がひとりでベッドに座っているという光景だった。
「あー……えー……私は、**大学**学部の氷川沙雪って言います。今は20歳で、**市の**っていうマンションに住んでいます」
小池はささやかな緊張と多大なる官能めいた愉悦を顔に貼り付け、学生証や免許証も映しながら沙雪の個人情報を洗いざらい喋る。それを引っ込めると、ベッドに戻り話を再開する。
「これから見てもらうのは、お友達とのセックスです。みんな女の子としたことない、っていうのでしてあげることにしました。ごめんなさい、タケルくん。同じ**大学**学部で、**市の**ってマンションに住んでるタケルくん。浮気にはなるけど、もうあなたなんかに興味はありません……っふふ、もうダメ。真面目にやろうとしたけど、面白くて……」
途中で"沙雪"は笑い出す。自分の発言に自分で笑う、というような甘いものではない。もっと深淵な狂気を孕んでいて、余野も金田も心の底が冷たくなった。
そもそも人を皮にするなどという現実離れした薬品を用意したのは、他でもない小池。二人は小池と沙雪の間でどのようなやり取りがなされていたのか詳細を全て聞いてはいない。だが、証拠映像を撮影するまで粘ったり、こんな薬品を用意して沙雪にうった挙げ句、沙雪自身の演技をしてまで貶めようとするなど、相当な恨みがあったのだろうと思った。
そして、以前の小池はここまで執念深い人間でもなかった。そんな彼を変えるほど、沙雪に入れ込み騙されていたのだろうとも。
「ははは……っ、じゃあタケルとかいう男の大事な大事な彼女の"沙雪"ちゃんは、これから違う男とセックスして中出しキめられまーす♡ もし赤ちゃんできても知りませーん♡ みんな、出ておいで♡」
"沙雪"が手招きすると、余野と金田がベッドにやってくる。先に飛びついたのは金田。ついさっきまで沙雪の皮を着ていた余野より、性欲を持て余していたのだった。
「ああんっ♡ 乱暴なんだからぁ……♡」
太った金田に抵抗できず、あっさりと"沙雪"は組み伏せられる。しかしとても嬉しそうで、全く嫌がってはいない。
金田が荒ぶっているとはいえ、ノッポの余野も興奮していた。二人とも童貞であり、沙雪でそれを捨てることとなる。
余野と金田は興奮のまま、"沙雪"をもみくちゃにする。下着はぽいっと放り投げられどこかに行った。胸を揉みながら股間をほじくる金田に、ひたすらにキスをしまくる余野。
「んぁっ♡ おおぉっ♡ んぁ♡ 逆ハーレム、逆ハーレム……っ♡」
やがて、ぼろんと眼前に余野のチンポが差し出される。"沙雪"はためらいなく口に含んで、美味しそうにぺろぺろとしゃぶっていた。
それを見た金田も、負けじと"沙雪"にチンポを挿入しようとする。"沙雪"は手で制止しようとしたが聞かず、あっさりと彼氏以外のチンポを受け入れることとなってしまった。
「おおんっ♡♡♡ やっ……あぁああっ♡♡♡」
それだけで、"沙雪"はイってしまった。大きな体重差のある金田にとってもはやオナホールも同然、まったく優しさや手加減などもない。無論避妊具なども、望むべくもなかった。ぱんぱんと乾いた音がなって、"沙雪"は犯され続ける。
目の前で種付け浮気セックスが羨ましくなった余野が耳打ちしたが、金田は聞く耳を持たない。しかしすぐにびくびくと太鼓腹を震わせて、チンポを抜いた。
「あぁ……いっぱい♡ ザーメンいっぱいぃ……♡」
もちろん、膣内射精を果たしていた。"沙雪"自身の愛液とまぜこぜになった白濁液がぶりゅぶりゅと下品な音を立てて流れでて――余野は間髪入れず、蓋でもするかのように抜身のチンポをねじ込んだ。
「んぁあああ♡♡♡ イってりゅぅ♡♡♡ イってりゅうぅぅうううぅっ♡♡♡」
色気も官能も通り来し、ただただ無様な嬌声と悲鳴を挙げる"沙雪"。童顔ぎみの顔は歪みきっていて、よだれも垂らし放題。
「お……っ♡♡♡ おお……っ♡♡♡」
それは繰り返される。余野と金田が代わる代わるに"沙雪"を犯し尽くす。録画ファイルは一時間にも及び――
「お゙……っ♡♡♡ ひゅー……っ♡♡♡ ふーっ♡♡♡」
その頃には"沙雪"は痙攣を繰り返す、かわいそうな雌豚に成り下がっていたのだった。
さらにしばらくして、落ち着いてから小池が沙雪の皮を脱ぐ。顔は気だるそうにしていながら、満ち足りている。
「……ふう。死ぬかと思った」
「マジで大丈夫かよ? ヤベー顔してたけどよ」
「平気だ。それより映像はどうだ?」
「撮れてる撮れてる」
スマホを確かめる余野。全く問題はなかった。
「それじゃあ金田、編集を頼む。俺と余野でチェックして、二人に危害が加わらないようにしなきゃな。そのあと沙雪のPCで動画投稿したあと沙雪を元の人間に戻す。いいな?」
「任せてくれい」
「わかった」
そう言って、三人は手を結び合うのだった。
◆◆◆◆
「……やっぱり実家に帰っちゃったみたい。彼氏さんは……失踪だって」
「やべーじゃん。マジでちょっとやりすぎたんじゃねー?」
「まあ……」
ある大学の一室、太っちょとノッポの大学生が会話していた。スマホに表示されているのはSNS、ある童顔女子大生が投稿したアダルト動画についての話題だった。
自分と恋人の個人情報を全て喋った動画は拡散されていて、同じ大学に通う彼らは他人事でもなかった。
「……あーあ……でも、あいつも居なくなったのは謎じゃない? 聞いてた?」
「いや、マジで聞いてない。もしかして彼氏とかにバレて、やべーことなったのかな」
「いやー……お?」
のんびりと話していると、ノッポのスマホに一件の通知が届く。それは見知らぬメールアドレスからのメールで、二枚の写真が添付されていた。
そのうち一枚は――表情のかけらもなくぼんやりしている例の女子大生の写真。もう一枚は、その童顔女子大生をさらに一回り幼くした女の子の、にやついた自撮り写真。
『妹に入り込んだ。家庭も徹底的にぶっ壊す』
「……ねえ、これ」
「……マジか」
顔を見合わせ、言葉を失う二人。
あの青年はどこまで恨んでいるのか――そして女子大生もどれだけのことをしたのか。それに比べればまだ自分たちは正常なのではないかと、二人は思うのだった。