やってしまった。おねしょ。
中学生になって、最近は数も減ってたのに。よりによって林間学校でおねしょ。幸い、もしもの為の備えのおかげで布団は守られたケド。
あの日の夢だった。遠足のバスで寝てしまって、起きたら座席とスカートがびしょぬれだったあの日。
周りからのじっとりとした視線。うちはその日を境にクラスの人気者になった。赤星という苗字を文字って「赤ちゃん」なんてあだ名で呼ばれるようになった。
中学に上がって、別の地区の学校に来て、その不名誉なあだ名は消えた。必死に耐えた甲斐があった......のに。また逆戻りしちゃうのかもしれない。ううん、戻ってるんじゃなくてただ自分が成長してないだけだよね。
......なんてネガティヴな気持ちは一瞬で消えた。二人部屋、同室の黄瀬ちゃんのせいだ。黄瀬ちゃんはニタニタしながら隠していたスマホでうちの醜態を撮りまくっていた。
「黙ってて欲しかったら......お願い聞いてくれるよね?」ってうちのジャージに手をかけた。えっ何......何するの?
「じゃあ、先生の所行っておいで?」
「この格好で!?」
「うむ。バラされたくなかったら......わかるよね?」
「なんで......こんな......」
「赤星さんの表情見てたらいじめたくなっちゃって......。ほら!行ってらっしゃい!」
ジャージの下を脱がされて、半ば強引に部屋から投げ出された。酷すぎる。こんな事、今まで生きてて知らない。恥ずかしさで頭がくらくらした。
ひとりで廊下を歩く。おばけが出そうとか、誰かいるかもとか、もうそんなことは考えられないくらいに恥ずかしいでいっぱい。
気付けば、先生の部屋の扉に手をかけていた。
「し、失礼します......」
部屋の明かりに照らされて、はっとした。
今、うちは自分のみっともない姿を、教師とはいえ異性に晒している。
もうおねしょとかおむつとか、黄瀬ちゃんとの約束とか、どうでも良くなるくらいに訳がわからなかった。
ぐしゃぐしゃになった脳でうちはあの言葉を口にした。
「おむつを......替えてください......」