ふぅ……。
ベッドの上、ため息交じりの紫煙を吹き散らかす。
「疲れたー」
タバコの煙とともにそんな愚痴を漏らしては、ベッド脇のテーブルの上に置いておいた缶を開けて、ぐいっと流し込んだ。
……お酒とタバコ、どうにかしないとなぁ。
そんなことを心の奥底で呟いて、またタバコに火をつけた。
窓から見える藍色。吐いた煙。一口アルコールを喉に通すと、この体が夜空の星になってしまいそうな感覚に襲われる。
ああ、心地よくてたまらない。疲れさえも一瞬で取れていくような錯覚に、私は身を委ね。
「ふぁ……」
いつしか、欠伸が漏れていた。
ぱたりと仰向けになって布団に身体をうずめると、自然とまぶたが下がっていき、意識がフェードアウトしていき――。
次に目を開けたとき、天井は妙に明るかった。ちゅんちゅんと雀の鳴く音が耳朶を打って。
「もう朝か……」
誰に聞かせるでもなく、独り言。寝起き特有の妙な倦怠感を吐き出し朝の空気と交換すると、すっかり慣れきってしまった臭いが鼻を突いた。
「……また、か」
布団をめくると、もこもこと膨らみさらに表面が黄ばんだ、あまりにも幼い下着が姿を現す。
その膨らんだ下着……幼児用の紙おむつの可愛らしい柄を見てため息を吐いた。
なんだか、自分がまだおねしょの治らない子供なんだってことを思い知らされて……すこしだけ、うなだれる。
「どうしてだよ……」
毎晩毎晩、失敗して。毎日毎日、そんな自分を見せつけられて。自分の身体が恨めしく感じて。
人前じゃお姉さんっぽく偉そうに振舞っておいて、でも本当はこんな情けない子供で。
――そんな自分が、とてもいやになって。
一筋、涙が流れ出た。
でも、やっちまったものは仕方ないんだ。覆水盆に返らず……よし。
涙をぬぐい、気合を入れるように頬を軽く叩き……ため息をついて、おむつの横サイドを破った。
タンスの中のショーツと、部屋の隅に積み上げられたピンク色のパッケージを見比べて。
「やっぱり、これしかないか……。居眠りしたら大変だし」
自分に言い訳しながら、一枚、女の子の寝転がるパッケージから新しい紙おむつを取り出し、そのピンク色の可愛い柄を一目見て。
「……ふぅ」
どことなくセンチメンタルな感情を吹き飛ばすように――あるいは包み隠すように――また一回、ため息をついて、手に持ったものを足に通し、一気に引き上げた。
それから、寝汗を吸ったであろうシャツを交換して、スカートで恥ずかしい下着を覆ってしまう。それからパーカーは昨日着てたやつをそのまま。あと財布とかを持って玄関へと急いで。
「……行ってきます」
どうせ誰も返事をするはずはないと知りながら、そんなことを言って、私の新たな――変わることなき日常が始まるのだった。
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...いかがだったでしょうか。
今回は沼米さくら様 https://www.pixiv.net/users/32275674 にSSを書き下ろしていただきました。ありがとうございます...完璧です...!!
ご本人様のTwitterはこちら→ https://twitter.com/numabe_hentai?s=21
色々とお待たせしてしまったのでせめて何かお返しを、という訳になります。いつもご支援いただいきありがとうございます。
今後もマイペースではありますが絶えず創作していくのでよろしくお願いします!
いくゆむ