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雪中アヤメ
雪中アヤメ

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ドーラードールに包まれて

「そちらの方々を離せ!!」 「聖女様を攫っただけでなく、そんな姿にして死よりも辛い仕打ちをするだなんて……絶対に許さない! 討伐してやる!」  ワタシの前には今、激昂して武器を構える二人の男がいた。ワタシを殺すためにわざわざこんな洞窟の奥まで来て、誰も得をしないことをしようとしている。……この子たちの気持ちなんて、想像したこともないクセに。  まあ、男には興味はない。たとえこの子たちみたいに目覚めたとしても、ワタシは拾うつもりはなかった。この子の護衛騎士がなんだ、幸せどころかむざむざ限界まで追い詰めておいてそんなものを名乗る資格はない。   「ん、ぅ……っ、」  ほら。現にこの子は、追いかけてきた二人と話そうとする素振りどころか、動かない体で必死に隠れようとしている。ワタシはそれを見て、おおよそこの子が彼らをどう思っているかわかった。  真っ黒で艶やかなワタシのラバーに全身を包まれ、髪の形もそのままに膣穴と尻穴を拡がった穴にされている可愛い飼育物。いっさい無抵抗に手足を伸ばしたまま囚われて永劫をワタシに遊ばれて過ごすことを選んだ、人間に絶望した可哀想な人形たちのことは、ワタシは手放す気はない。  だからやはり話を聞く余地などない、あとはどう帰らせるか……。 「聖女様! さあ、こちらへ! 本日分の授業と業務が残っております! あと5時間分は残っております、早くしなければ夜が明けてしまいますよ!」 「聖女様は歴代でも修練が遅れております、我々は聖女様のためを思って来ているのです! これ以上手を煩わせなされぬよう!」 「これは聖女としてお生まれになった以上、必ずなすべきことなのです! さあ!!」 「…………ッ」  なんとなくわかってきた。コイツらはこの子のことなど少したりとも考えていない。聖女だとか、そういう記号でしか見ていない。  そしてこの子は、それに耐えかねて逃げてきたのだ。聖女という、魔物とは相反する存在でありながら。魔物であるワタシ以外に頼る先すらなく。 「浄化を待つ令息が……」 「あまり遅れると我々の評価も……」 「ウルサイなぁ。この子はアンタたちと、もう何も話したくないってこれだけ全身で表現してるのに」  ならもう、いいか。このまま聞かせていても誰も幸せになるまい。魔物の前でこれだけ無防備な隙を晒しているのだから、命をもって支払う羽目になっても文句は言えないだろう。   ◆◇◆◇◆  時は少し遡ります。  わたしは屋敷を抜け出して、ひたすら森の奥の方へ走っていました。  逃げているのです。魔物からではなく、人間から。聖女の責務から。  それも、この先にいるという噂の魔物を目当てとして。わたしにはもう人の世にちゃんとした居場所がありません。だから、人を殺さずに生け捕りしてそのまま飼うとされる魔物に縋るしか。  人として生きられずとも、そんな普通なら「終わり」としか言いようのないところに身を投げるしかない……いいえ。そのほうが、ましなのです。  わたしは5年前に突然、聖女だと呼ばれてそれまでの人生の全てを奪われました。 もちろん、最初はいい気分になっていました。だって、聖女というのは人々を魔物から守るため祈り戦う存在。そんな素晴らしいことがわたしにもできなんて、と舞い上がっていました。  ですが……実態は、ぜんぜん違いました。聖女なんておためごかしで、貴族のご機嫌と教会の対面のためだけの存在でした。人々を守りなんてしません、貴族邸宅にしか結界なんて張りません。それだけならともかく、組まれているお勉強もほとんど全部が貴族と司祭へのご機嫌取り。実用に足ることなんてほとんど何も教わっていません。  それでも頑張りました。違うことをしたほうが絶対に魔物から人を守れると知りながら、言われた通りのことをやり続けました。だけど今、わたしは関わる全ての人々から怒られ、失望され、憎まれています。……顔を合わせた貴族令嬢が、開口一番に私の顔が気に入らないと癇癪を起こしたからです。  そんなこと、わたしにはどうしようもありません。それでも平謝りはしました。令嬢は余計に当たり散らしました。それでわたしは、貴族様を怒らせた厄介聖女になりました。迂闊な使用人の噂話で、明日になれば準備ができて塔に幽閉されるとまで聞きました。  厳しすぎるスケジュールも、聖女に見出されたからとほかの全てを奪われて消されたことも、丁寧なフリをして高圧的な護衛騎士も、辛いけれど耐えられました。だけど、今回ばかりは。  もう味方なんてどこにもいません。だから、逃げるのを決めることはとても簡単でした。 「……どうしたの、こんなトコで。アンタ、聖女でしょ?」  そうしてわたしは、出会うことができました。今のわたしを守ってくれる救世主、永遠を捧げることのできるご主人様に。 「ドーラードールさん、ですよね。……わたしを、捕まえてください」 「は?」 「…………と言いたいところだけど、さすがにもう驚けないわね……」 「え?」 「え? じゃないんだけど聖女。自分が言ってることがそーとーヤバい自覚はあるんじゃないの」  ドーラードール。人形系の魔物で、ほかの人形を操るという特徴を持ちます。人形でありながら人形を操り、また人を人形にして捕まえ精気を啜るのだとか。  ただ、その人を人形にする方法が特徴的で。 「ワタシに捕まるってコトは、コレになるってことだよ。いいの?」 「ン、ぅ……んむ、んぅぅ……」  コレ、と指さして見せられたのは、既にこのドーラードールに捕まっている人。……全身をぴっちりとした黒い膜に完全に包まれて芋虫のようになった、人型の何かです。  そう、これです。ドーラードールは人をこんな姿にして飼います。この謎の膜はドーラードールの強みで、この世の何よりも丈夫なのだそう。この膜を液体にして自由自在に操れるから、守りに入れば貫く手段は何一つとして存在しないそうです。勇者様の剣でさえ傷一つつかなかったという伝説すら残っています。  そして、一度囚われてから生還した人によると……気持ちいいのだとか。いえ、それはいいとして。これは魔物に捕まる中では最も安全で、快適で、扱いがよく長く持つのです。  なぜなら、ドーラードールは捕まえた人間を愛でて飼うから。自然と回復する分の魔力や精気しか吸わないようにして、気に入った獲物はずっと飼い続けるのだそうです。……そう、居場所のないわたしにとっては、たぶんこれが一番まし。 「構いません。たぶんそれが、一番いいから」 「………ちょっと事情を聞かせて」  ところがこのドーラードール、魔物でありながらわたしの話を聞いてきました。やっぱり彼女たちは魔物で一番人間に寄り添うという話は、本当だったようです。 「…………ん、だいたいわかった。そういうコトなら、ここにいなさい」 「いいんですか!?」  事情を説明し終えると、ドーラードールはあっさり受け入れてくれました。しかも優しい顔をして。なんだか、魔物のイメージそのものが崩れる気がします。ここのところ関わったどの人間より優しいから。  ただ、理由はあったようです。 「実はね、アンタと同じようなの、もう二人もいるんだ」 「…………え?」 「ね」 「……ん、はい」 「ぷは。実はそうなんです」  同じようなのがいる。つまり、わたしが初めてではなかった。それはどうやら、今このドーラードールに捕まっているこの塊が、わたしと同様に人間の生きる世界の外に救いを求めた果てということのようです。  抱き締めていた芋虫の口元が開いて、喋り出したかと思うとそのまま頭部があらわに。とても可愛らしい、小動物のような愛嬌を感じさせる女の子でした。……こんな子がたった今まで、あんな格好で甘ったるい声を漏らしていたんだ。しかもわたしの声が聞こえても、惜しげもなく。  ……だけど、あれ? 今、二人いると言ったような。しかも返事も二つあった、先に聞こえたほうの返事は目の前の子ではないようです。  不思議に思っていると不意にドーラードールが立ち上がりました。何事かと思っていると……座っていた真っ黒な椅子が、四足歩行のように動き始めて。 「もう一人はここ。……驚かせてしまって悪いけど、この子はこうされるのが好きなんだ」 「はっ、は、ふ……すぐには興奮、収まらなくて……」 「え、え……!?」  どうやらそれは人で、もう一人だったようです。抱かれていた子と同じように頭部が見えるようになると、こちらも美少女に。まるで人形のような、綺麗だけど大人になりきっていないような姿でした。  それがまるで獣のような四つん這いで……たぶん、手足をそれぞれ折り畳んだまま包まれています。ドーラードールはたった今まで、その背中の上に座っていたようです。 「私もこんな趣味は、ご主人様に拾われるまでは思いもよりませんでしたが……今となっては、普通に可愛がっていただくのと同じくらい気持ちいいの」 「そ、そうなん、ですか……」 「あなたもここに救いを見出せたなら、多かれ少なかれわかりますよっ! あたしもけっこう、わかりますもん」  恥ずかしいのはきっと恥ずかしいのでしょう、二人とも顔は真っ赤にしてもぞもぞとしています。どちらも人型でなくなってわかりづらいですが、先端や割れ目がわかるほど体の形が浮き出ているので無理もありません。  ただ、それが気持ちいいのだと。……わたしはまだ他に救いがなかっただけですが、わたしにもそれがわかる日が来るのでしょうか。 「そういうわけだから、ワタシはアンタのことを、この子達と同じように扱う。飼育物を満足させてこそワタシの目的は満たされるのだし、梱包以外は嫌なコトはしないから安心して」 「えっと……はい」 「ま、楽にして。ワタシは誰より硬いから、何が来ても守ってあげる。ソレは保証するよ」  でも、もしそれがわからないままでも構いません。もともとどんな形で捕まって辱められるのかはしっかり知った上で、それでも最善だと確信してここに来たのですから。あのまま何も救えず誰かの操り人形にだけなって、聖女扱いを望んでもいなかったのに貶されて痛めつけられる日々が終わるなら。  恥ずかしいだけなんて、どれだけ楽か。そんなことすら今のわたしには想像もつかないのですから。 「そういえば……アンタももう、自分の名前も捨ててしまう?」 「アンタも……ですか」 「うん。この子達はもう、それまでとは断ち切った」  そこで初めて、わたしはこれからずっと一緒にいる仲間たちの過去を知ることになりました。名前を捨てるほどですから思い出したくもないのでしょうに、「盗み聞きみたいになってしまったから」と共有してくれたのです。  椅子になっていた方がより先輩で、今の呼び名はアイン。元はわたしと同じ国出身の貴族の庶子だそうで、無理やり使用人扱いで連れ込まれて奴隷同然の仕打ちを受けたあと、政略結婚として遠い領地の悪徳老貴族に嫁がされそうになっていたとか。その直前に薪取りに放り出されたとき、偶然出会ったそうです。  芋虫のほうはツヴァイ、安直な名付けではありますが……意味のある名前なんて自分たちには必要ない、と。こちらは隣国の田舎の寒村で平穏に暮らしていたところへ、飢えた盗賊団に襲われて壊滅。ひどく陵辱されて隙を見て逃げ出し、ちょうど近くに来ていたところへ鉢合わせたと。 「ご主人様には敵討ちまでしていただいて……」 「目障りだったから潰しただけ。ツヴァイをワタシだけのモノにしなければいけなかったし」 「……ふたりとも、わたしよりもひどい目に」 「似たようなもの、それどころかあなたの方が大変だったと思いますけれど……」 「そうでしょうか……? でも、そういうことなら……わたしも」 「わかった。それじゃあ今日から、アンタはドライだよ」 「ありがとうございます、ご主人様」  そうしてわたしは、けっこうあっさりドライという名前に変わりました。このときは悪聖女として流布してしまった名前を捨てるためでしたが、少しずつその名前が好きになっていくのはこれからのこと。  そうして前置きが終わって……いよいよ代償を払う時間。 「さっそくだけど、ドライ。服を脱いで」 「……わかりました。わたしはご主人様の所有物、ですもんね」 「そう受け取るならそれでもいい。どちらにせよアンタを守るためにはそうする必要があるし、ワタシは女の子の体が好きだから」  なんだかようやく、ご主人様の魔物らしいところを見た気がしますが……こんなところまで最後の助けを乞いに来て、いまさら人間らしく居続けたいなんてワガママは通りません。わたしは意を決して、身につけていた一応聖女らしい修道服を脱ぎはじめました。  どうすればいいかわからず、ひとまず脱いだものはそのまま床に落としましたが……外で、しかも視線の前で裸になるのがこんなに恥ずかしいだなんて。ご主人様はもちろん、椅子のままのアインと一度そこに座らされたツヴァイの目もとても気になってしまいます。 「もう人間には戻らないのだし、これがあると思い出してしまうよね。だから、こうするんだ」 「あ……」  裸のまま投げ出されたわたしをよそに、修道服はご主人様が手足の延長のように出して操る黒い何かに捕まれると、そのまま洞窟のこの部屋の入口付近まで投げ捨ててしまいました。  すると……ほどなく、スライムたちが寄ってきました。なんでも布などの繊維を好む種類だそうで、ああしてしまえば溶かして食べてしまうとのこと。……さようなら、聖女の、人間のわたし。 「それじゃ、ワタシに染めてしまうよ」 「はい、んっ……ひゃ、ふ……んぅ」  続けてその黒い何かが流体になって、わたしの足にまとわりつくと。そこからじわじわと這い上がりながら包んできて、わたしの素肌に密着して感触を与えながら外気の感覚を消していきます。  それが恥ずかしい大事なところや、お尻も包み込んだあたりで声を抑えきれなくなってきました。お尻の形や女の子の割れ目、それどころこお尻の孔までぴっちりと張りついてきてしまえばなおさら。  いろいろ形はあるようですが、ひとまず体の横に揃えて下ろしておくと手ごと包み始めました。手が太ももを直接触る感覚はありませんが、そうしているともう腕を離すことすらできません。気付けば脚ももう開かなくなっています。 「心地悪くはない?」 「ん、ぁっ……大丈夫、です。ぴちぴちして、ぜんぶ張りついて……たしかに、ちょっと気持ちいい、かも」 「あ、素質のある子だ! やった!」  くすぐったい感触が続きながら胸まで包まれて、そこまでの自身はない形や大きさはもちろん先っぽの突起までぜんぶ丸わかりにされてしまって。首の半ばまで同じもので包まれると、そこで一度止まりました。  それまで流体だったはずのものが、気付けば薄い膜になっていて……液体やぬめりがまとわりつくのではなく、肌を優しく擦ったり張りついたりしながら確かに梱包されてしまったようです。もうわたしは今、一本の棒のように立ち尽くすことしかできていません。  だけど……独特で初めて感じるようなものばかりで、違和感も凄まじいですけど、それがなんだか心地よくて。 「作り替える必要もあるし、一度全部包んじゃうから。もう人間なんかじゃない、魔物の餌で所有物だってじっくり自覚しな」 「わかりました……っ、ンぷ!?」  一度落ち着いて感覚を実感する時間を与えてくれてから、いよいよ頭まで包まれてしまいました。そんなことをしてくれるあたり、やっぱりご主人様はわたしたちがどう感じるかをとても大事にしているようです。  髪はないみたいに目立たなくさせることもできるそうですが、最初はわたしの長い髪も大まかにそのままの形で薄く包まれたようで背中に感触があります。目は何も見えなくなりましたが音は少しくぐもるだけで聞こえていて、口は開けませんが鼻呼吸はできるようです。見えてはいませんが、これがツヴァイと同じ格好なのだとしたらとても惨めで、それでいて個性は保たれた恥ずかしすぎる格好。 「んんっ、んぅ……」 「大丈夫そう。それじゃ、長くワタシの養分になれるよう調整するから……ここも一度開けるよ」 「わぁ……ドライ、すっごく綺麗! こんな仲間ができて、あたしも嬉しいなっ」 「んふ、ぁっ!? ……っ、んー……!」  わたしはそんなこと想像もできずじまいでしたが、こうした時点で恐怖に支配されて暴れ回るような子もいるそうです。そういう子は飼われることはなくそのまま搾り尽くされるようで、やはりご主人様は魔物なのだと実感するところでした。  聖女だったわたしにとっては許し難い蛮行のはずでしたが……どうしてでしょう、そんな気持ちももはや。魔物が人を狩ることを咎めもしないなんて、わたしは悪い子です。悪聖女なんてのも、陥れられたのとは別の意味で正しかったのかも。  それからわたしは全身を包んだ膜を用いて、ご主人様の飼育物として適するように作り替えられることとなります。何をするのかは詳しくは聞いていませんが、「搾り取れる栄養分となる淫らな情動を保つため、永遠に若いままにする」そう。  それが寿命まで若い体のままということか、それとも権力者が望む不老不死なのかはわかりませんが……わたしにとってはもはや、どちらでも。ご主人様のもとで玩具となり、今感じている気持ちよさに溺れるだけのものですから。  それから、その途中に……女の子の穴と、お尻の穴。その両方の中にいきなり、膜を構成していたはずの流体が流れ込んできました。それが穴の内側の壁に張り付くように広がっていくと、そこは中を覗けてしまうほどぽっかりと開いた穴になってしまいました。  恥ずかしくていくら締め付けても閉じてくれず、わたしは全身を一本の棒にされたまま恥ずかしいところに本当に穴を開けられた姿。ツヴァイもここまではされていなかったので、思わずうろたえてしまいます。 「大丈夫、すごく可愛いから。ここがソウイウ場所なんだって、教えるための人形みたいで」 「ぅっ、んん……!」 「あは、そんなに気に入った? じゃあ、普段からこのままにしてあげてもいいよ」 「んぅぅっ!?」  まるでそこに太い何かが挿入されたままのような感触で、特にお尻は落ち着きません。ですがそこからさらに奥に向けて流れ込み続けているようで、たぶん内側から体を作り替えられている最中。わたしが人間の食事などをせずに保管されていられるようにしていると思うと抵抗はできず……しかもいつの間にか足の裏が地面にくっついていて、倒れようとしても戻されてしまうようになっていました。  本当にわたしの体の操作権の全てを握られているんだと、そこで初めてわかりました。当然かもしれません。この膜を構成する、ご主人様たちはラバーと呼ぶらしい物質は、感覚を受け取ることもできるご主人様の体の一部のようなものだそうですから。  ずっとこんな開いた穴のままだなんて、恐ろしい宣告をされて嫌がるような呻き声を出してしまいましたが……そういうことですから、わたしの前の穴が今なぜかひどく濡らしていることなんて手に取るようにわかるのでしょう。  結局いつまで経っても穴は閉じてもらえず、必要なとき以外は本当に開きっぱなしにされてしまいました。 「わ、すっごくヒクヒクしてる……ほんとにそれが興奮するんだ……なんか、いいな」 「信じられないほど恥ずかしい格好で、しかも……」 「ふっ、ン……んぁっ!?」 「こんなふうに、ちょっと撫でられるだけでおかしくなるような弱点を丸出し。いい人形になってきたよ、ドライ」  わたしの興奮は外から見てもわかるようで、ひくつかせて穴のラバーを締め付けているところをツヴァイにも見られて。ご主人様にもそれを指摘されて、しかも穴の中を撫で回されて鳴かされてしまいました。満足気なご主人様の人形として無事にモノになれた一方で……わたしは単に指を入れただけの感覚よりも敏感になっていることに目を白黒されていました。薄膜越しに触られるとより敏感に感じるということ自体、初めて体感したところでしたから。  そうしして新しい悦びを覚えて、しばらくしてからようやくわたしがご主人様の実利を兼ねたモノであることを思い出して。慌てて身を捧げようとしたのを、「今ももらっている」と言われることで……わたしのこの興奮こそがご主人様の糧なのだと教え込まれて。  そのまま好き勝手されたことで立ったままイって、いよいよ頭の中がピンク色ばかりになってきたところで、招かれざる客の足音が響きました。 「……ふん、ドライ狙いかな。ま、適当にあしらうよ。だからほら、ワタシの腕の中にいなさい」 「ん、っ…………」  だけど、ご主人様もアインとツヴァイも、動じる様子もなくて。ご主人様はわたしの地面への固定を外しながら抱き寄せてくると、そのままアインに座り直しました。アインは心底幸せそうな呻き声を漏らして……ツヴァイはというと、操られたような不自然な動作で立ち上がってぴょんぴょん跳び、ご主人様に頭を向けながらお尻を突き出す形で突っ伏しました。  ご主人様に操作されたらしきツヴァイは、お尻に遠慮なく足を置かれてびくりと跳ねました、……これを見るにたぶん、アインほどでなくても似たような変態感覚は持っているのでしょうか。これまで使われていなかったのは、そうするとご主人様の抱くものがなくなるから。  わたしはそこにちょうど収まる形で、優しく抱き締められながら胴体を撫で回されはじめました。なんだか煽るような手つきがどうにも心地よくて、自然ともっとと甘えるように擦り寄ってしまいます。  それと、耳の穴にも流体のラバーが入ってきて埋めつくしました。内側を刺激するように愛撫される一方で、外の音は何も聞こえなくなって。くちゅくちゅ、というどこか甘ったるくもぞくぞくする音に支配されたわたしは、ツヴァイのいる方向へお尻を向けてご主人様に縋るばかりになるしかありませんでした。   ◆◇◆◇◆  結局あの後、どうなったのかをわたしは長らく知ることはありませんでした。それを教えてくれたのは、閉ざされた環境もあって時間感覚を失うほど長くご主人様に飼われた末に転機があってから。  血の匂いがしなかったので単純に手に掛けて終わりではなかったとは察していましたが……。 「そうそう、聞いたことはあったんだよね。真っ黒で間抜けな姿になった護衛が戻ってきて、二度と脱げなくなったままひたすら懺悔の言葉を繰り返していた、って話」 「んむっ、んぅぅ……」 「ん、ぁっ。んふふ……っ」 「あの国の今の聖女が言うにはその騒ぎで初めて王宮まで話が伝わって、以降は聖女への扱いが改められたって。それまで気付かなかった王宮も大概ってことであんまり表沙汰にされる話じゃなくて、私が関わった今のあの国は別物ってくらい綺麗になってたよ」  そう教えてくれたのは、絶対の硬さを持つはずのご主人様を根負けさせて自分の屋敷へ招いた人物。勇者と呼ばれていたという、レミアという少女でした。  レミアさまは自身もとんでもない変態でありつつ、性質的に変態になってしまうという魔物娘を保護している立場。ご主人様は魔物娘とは少し違うのだけど、レミアさまはその性質を見出して発情した魔物娘の相手を提案したのです。つまりこの方は、ご主人様がいかにえっちな存在であるかをわたしたち以外で初めて理解した存在でした。  ご主人様は当初はわたしたちだけで充分と断りましたが、レミアさま自身を含めて拒まれない限り好きなだけ食べ散らかしていいという条件と、ご主人様の力が必要だという言葉で口説き落とされてここに来ました。このうち前者は屋敷全体で当たり前のことだとわかったのは、実際に来て見てからのことですけれど。  最初はわたしたちを他に触らせなかったご主人様でしたが、今ではご主人様の所有物であることは前提でけっこう好きに遊ぶようになってきています。遊ばれるわたしたちを見るのも楽しいと気付いたとかで、わたしたちも魔物娘の力を活かした様々な遊び方をさせていただいています。  なので今、わたしはツヴァイと一緒にいつも通りのラバー人形のままレミアさまに愛撫されています。代わりにご主人様は妖精のアヴィさんを包んで弄り回していて、アインはベンチの上に張られるような形でご主人様とレミアさま両方の下敷きになっていました。考案者のレミアさまは“バキュームベッド”と呼んでいる、ご主人様の力を活用した新しいやり方です。 「でも、そんな酷い目に遭ってきた子達がこうして今を楽しめてるなら、月並みだけどよかったよね。私も立場さえなければこうなるのもいいなって思う質だから、ちょっとわかるかも」 「ひぅん! んっ、ぁ……きゅぅ、」 「レミアも勇者を厄介払いされた後、全部捨てて来てたら一緒にしてあげてたかもね。でもアンタは違ったし、こんなに多くの子達を幸せにしてる。ワタシも尊敬してるよ」 「……っ、んぅ! ふっ、んむ、〜〜〜!!」 「ぁっ、む、んふ……んきゅ、ぅぅっ!」  そんなレミアさまとご主人様がまったり話している一方で、わたしたちは手遊びのモノとして責め立てられていました。  アヴィは芋虫にされたままぐにぐにと指で弄られた末、アインのおまんこへ足先から挿入されて性具扱い。ぴくりとも動けないまま二つのお尻に踏まれて幸せそうなアインの膣圧に刺激されて、わたしたちよりもマゾなのではというほどラバーに塞がれた口で喘ぎ散らしています。  わたしとツヴァイは、抱き合った格好でまとめて包まれた二人でひとつの塊になっていました。柔らかい素肌や胸をくっつけられて、唇も重ねたまま離せずに貪り合って。舌を入れ合って求め合っていることも、きっとレミアさまは気付いていることでしょう。  胸は潰れるほど押し付け合っているだけですが、下半身はもっとひどくて。双頭ディルドという両側へ挿入できる玩具で繋がれて、締め付けるだけで相手に伝わる恥ずかしい状態です。そんなありさまでレミアさまの足の間に抱えられて、ラバーの尻穴をそれぞれの手でほじくり返されて絶頂を繰り返しています。 「この子達も、よく躾けられてる。よっぽどいい具合に気持ちよくしてあげてるんだね」 「素質があるだけだよ。ワタシはシたいようにシてるだけだし、それで精気が出てくるからね。自慢の飼育物さ」 「んっ、ふ、んく……」 「んぁ! ……ん、へ……ちぅ」  わたしたちは今日もまた、尊厳を奪われ辱められることに興奮しては玩具として弄ばれています。わたしたちにとってはそれはとても楽で幸せなことで、それだけでいいのかとも思ってしまいますが、そう不安がってはご主人様に口を塞がれたことは数え切れないほど。今ではこれでいいとわかっています。  だから今ももう一度、可愛い可愛いツヴァイと抱き合って舌を貪り合って、双頭ディルドを締め付け合って……どちらからともなくまた絶頂して、びくびくと無様に腰を跳ねさせるのです。


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