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雪中アヤメ
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かわいい人魚達を眺めるだけ 4

 まずは普通に泳いでみる。頭を下にして底近くまで足首だけで潜って、そこで小休止。  ……もちろん、これは意味のあることだ。現に真上で、それを忘れたカノンは早くも悶えていた。 「んっ……うぅっ」  というのも、私たちは局部に二本のバイブを挿入している。これは空気補充中にしか振動はしないが、穴の中を占有はし続ける。しかもこれ、下のスーツと繋がっているのだ。  だから当然、それを意識した動きをする必要があった。下手な挙動をしてしまえば最後、二穴で同時に玩具が暴れることになるという寸法だ。 「……ん、ふっ」  そのまま沈んでくるカノンを、水中で立ち上がって受け止める。しばらく動きを止めたままで待って、目が合うと彼女は頷いた。  軽く抱き締めてから離す。背を向けて底から軽く飛び上がり、小さい動きから徐々に試していくことにした。 「……ぅ、……っ」  しばらくの間ゆっくりと泳いで、なんとなく理解した。このスーツ、足を動かすと張り型が抜き差しされるようにできている。前に蹴ると膣に、後ろに蹴るとお尻に、それぞれ少しだけ奥まで挿入される。これを繰り返されるから、ちょっとしたピストン運動のようになっていた。  おそらくだけど、これは意図的な現象だと思う。スーツ内部を普通に作るだけでここまで上手い具合の結果が現れるとは思えないし、少し設計を弄るだけでその程度の改造はできてしまう人間工学の技術者がミスト・スランバーには何人もいるから。 「んっ……ふっ、んぅ……」  そして、それを利用すると。今の私たちは、ただ泳ぐだけで能動的に快楽を得ることができてしまうのだ。もちろん、外からはただ泳いでいるようにしか見えないまま。  わざと大きめにドルフィンキックを使って気分を慣らしていると、遅れて気づいたらしいカノンも同じように泳ぎ始めた。近くから見ればわかる、耳が少し赤い。たぶん私も同じだと思うけど。 「ふっ、ふっ、んぅっ……」  私たちの様子にスタッフはもう気づいているはずだ。もし快楽を拒んで泳ぎたいなら、自由になっている腕を使えばいいのだから。  でも、そんなこと初見ではわからない。これを見ている一般の会員さんたちは、私たちが自慰をしていることなど知る由もない。  公の場でオナニーをしていながら、周りからは普通にしか見えないような状態だ。なんだか凄く、心地いい。  お互いを追いかけるように円を描き、時折交差して向きを入れ替え、二人で螺旋を描く。私もカノンも泳ぎを躊躇わない。二人きり、秘密の見せ合いっこ。  しばらくすると、先にカノンが苦しそうにし始めた。泳ぎ始めてからはほとんど変わらない動作だったから、最初に少し呼吸を使いすぎたのだろう。こちらへ振り向いて少し悩みながらも、耐えきれないとばかりに水槽端へ向かう。  それを見た私も当然、それを追いかけて装置のほうへ。首輪へのジョイントが繋がったものの、尾びれを固定具に据えられずにいるカノンへ追いついた。 「?」 「ん……」  諦めたようにこくこくと小さく(首輪が固定されているから、あまり首を動かせない様子だった)カノンへ頷き返して、彼女の足首にあたる部分を持つ。それを固定具に押し当てると自動で閉じ込められるので、あとは同じことを両腕にも施すだけ。  胴体が据え付けられれば難しくないのだろう、両腕は自分で伸ばして押し当てた。私が手を下すまでもなく拘束が完成したから、これも自縛の範疇に入るかもな、なんて漠然と思った。  そして、 「……んぐっ、ぁぐ、んむぅぅっ!?」  それまで機器のせいもあってか浅い呼吸を繰り返していたカノンが、唐突に大きく跳ねてみせた。全身で唯一可動域が広い腰をびくりと引かせて、壁に尻を押しつけたまま小さく震える。  ……たぶん、イってしまったのだろう。10分以上も水泳の振りをしたオナニーを続けていたから、いきなり叩きつけられた強い刺激に耐えられなかったのだと思う。口元がもごもごと蠢くが、どうやら拘束は完璧らしくズレることはなかった。 「ふっ、ふっ……むぐ、ん!?」 「っふふ」  捕まってしまった人魚の、水中にあっての陵辱ショー。特等席でなくともいくらでも見ていられる光景だが、私も私で空気が薄くなり始めている。あまり時間は残されていない。  だから今のうちにいじめてやる。肉薄して上目遣いに見つめながら、それなりにたわわと実った双丘を鷲掴みにしてやる。ひくひくともの欲しげに揺れる腰は機械に任せて、ラバー越しの柔らかな胸を存分に堪能した。 「ぅ、……んん」 「んふっ…………う、ぅ」  多少のハンデはあったけれど、入水したのは同時。残念ながら私にも順番は来てしまったので、大人しく自分の補給装置へ向かうことにした。  胸から手を離した途端、名残惜しそうな目。逃げられない快楽に襲われ続けているだろうに、随分と危機感のなさそうな顔だ。まさかとは思うけど、もう堕ちかけているのだろうか。 「……ぅ」  たとえそうであっても、私は空気残量が限界になっている。わざわざ自分が苦しくなるつもりは元々なかった。  無視して反対側の補給装置へ。私も大人しく躾を受けることにしよう。


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