ガール・キャット・ロールプレイ 2
Added 2019-08-03 13:44:16 +0000 UTCマゾヒストという生き物は、得てして被虐の中でも特に興奮するプレイというものを持っている。アナは「身じろぎ一つできないような厳重拘束」、私は「親しい誰かと一緒にいじめられること」、カナは「徹底的に尊厳を奪われて責め立てられること」といったように。 今回の犠牲者である上城亜未、プレイネーム“ミア”のツボは、「自分のことを誰かに管理されること」なのだそうだ。まる二年もパートナーに貞操帯の鍵を持たせているあたりからも窺える。普段は「自分の演じるキャラクター」を自分で管理している彼女が、こと性生活においては誰かの所有物になってしまうことを好むのだ。 「まずは拘束してあげるから、まだ演技はしないで」 「はい」 「最初に服を脱いでもらいましょうか。素のまま、ね」 「ぅ……やっぱりシノさん、オリさんよりSですよ……」 ミアに自分で浣腸をさせた(!?)後、改めてシノさんはミアと相対した。二人の間に流れる空気は割と弛緩していて、初めてではないことが透けて見える。 今回のプレイはシノさんが主導するらしい。ミアにとってシノさんもオリさんも先輩ではあるが、私たちのように主従関係を結んでいるわけではないゲストだ。それどころか、ご主人様他にいるし。 そのうち合同で……はさすがに恥ずかしい。関わりもなかった高校の同級生の前で奴隷になるのは、さすがに。小野寺くん……ナオくんには悪いけれど、やはりこうして空いた日にミアに来てもらう形がいいだろう。 「他人のご主人様に責めてもらうんだから、まずやることがあるわよね?」 「は、はいっ……」 顔を赤らめながら下着まで脱いだミアだが、次の発言にたちまち耳まで真っ赤になってしまった。シノさんは爪先で床をとんとんと叩いているから、あれが何かの合図なのだろう。 と思っていたら、ミアはおもむろに脱ぎ捨てた服を拾い始めた。そのまま丁寧に畳み始める。……裸で服を畳むの、これだけでもこんなに惨めなんだ。 ひととおり畳んで綺麗に積み上げると、最後に残ったショーツを広げた。ごく薄い黄ばみと確かな湿り気がクロッチごと晒されて、たたんだ衣類そのものがえっちな存在になってしまった。 「主がいるにもかかわらず、別の奴隷の飼い主に快楽をねだる悪い奴隷を……どうぞ、思うままにお使いくださいませ……」 そしてその服の隣で、全裸土下座。しっかりと額を床に擦りつけて、お尻はやや浮かせている。ずいぶんとよく躾けられている……のだけど、今の私にはわかった。あそこまで深く頭を下げるのは顔を見られないためかな、たぶん。 案の定、シノさんはミアの顎を持ち上げて目を合わせた。潤んで惚けた紅い顔がこの場の全員に見えてしまう。 「ええ。今日はまともな奴隷の扱いを受けられると思わないことね」 あ、ミアがちょっとだけ震えた。今の言葉には耐性がないとなると……これまではまがりなりにも、純粋に奴隷として調教されてきたのか。 しかしそこで怖気付くミアでもない。震える声で「……はい」と声を返し、手を離されるとすぐに土下座の体勢に戻った。シノさんはその間に拘束具を用意し始める。アシスタントとしてアナが手伝うようだ。 「手のひらと膝をついて、尻を上に突き出しなさい」 「は、はい……」 言われた通りに四つん這いになるミア。私も、表情からしてアナも既に頭が処理しきれていない。なにしろミア、高校時代は超優等生の高嶺の花だったのだ。その頃からもう貞操帯をつけていたらしいけど。 隣に跪いたアナがミアの左脚を上げさせ、膝をしっかり畳ませた。その下にシノさんが拘束具を用意すると、アナはその脚を下ろさせていく。──私たちにはもはや馴染み深い、いわゆるヒトイヌ拘束だ。 「……え、っ?」 「ほら、そのまま立てていなさい」 しかしミアはずいぶんと狼狽えている。たぶんあれが普通の反応だ。彼女はヒトイヌなんてものの経験はないのだろう。伸びなくなった膝をおそるおそる床につけて、クッションの柔らかさに少し驚いた様子まで見せた。 しっかり拘束を留めて、今度は右脚。同じように封印してしまって、これで後ろ脚の出来上がり。ここまでは普通のヒトイヌと同じだった。 「ぅ、あ……」 「人間ってこれだけで四足歩行になっちゃうのよね。たった二つ、これだけでお前はヒトじゃなくなったの」 「そん、な……」 「でも、獣が手を使えたらおかしいと思わない?」 びくりと竦み上がるミアの左手首を素早く掴むアナ。あれで実は優秀な助手なのか。彼女は完全な奴隷ではないし、代わりに助手として育てていてもおかしくはないが。シノさんはほとんど抵抗できないミアの左手に何かを被せ、手首のところでベルトをぐるりと巻いて留めた。 肉球、だろうか。猫の手を模したグローブが装着されている。あれでは指なんてほぼ動かないだろうし、そもそもミトンか握りこぶしになっているだろう。つまるところ、あれはただの前足である。 もちろんもう片方の手も前足になった。たったこれだけ、三分とかからずに奴隷はペットに様変わり。 「はっ、はっ……」 「どう、猫になった気分は」 「すご、く……ドキドキ、しますっ……」 「それはよかった。だけど」 「ぁ、あ……」 「それだけなわけないでしょ?」 ◆◇◆◇◆