XaiJu
ルフAA
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最上流階級の下品なお遊び

 平等と平和を掲げ、現代的で豊かな世界であろうとも、格差は存在する。ただ、何処に属する人間であろうが、上と下を知ることがなければ、差というものが不幸であると感じることは無いのだと思わせる純粋な少女が居た。 「ことねちゃん! この後、クレープでも食べに行かない~?」 「ごめんね。今日は用事があって行けないんだけど、明後日はどうかな?」 「じゃ、それで~クレープなんて毎日食べたっていいんだからさ!」 「また、太るよ~また明日ね、バイバイ」  学校の廊下で繰り広げられる他愛もないやり取り。その会話を早々に切り上げた、ことねという名の少女は、駐輪場へと急いだ。一つ結びされた黒髪をたなびかせ帰路につく、とある名の知れた学園に通う彼女は、この上下差が激しい集団生活の場に置いても、不幸を感じたことなどなかった。 「ただいまー」  帰宅の挨拶も響いてしまう様な、古びた木造アパートの二階。ワンルームの隅に置かれたカバー付きのハンガーを手に取った彼女は、身に着けていた制服を脱いでは、丁寧に掛けていった。伸びた無地のシャツに、意図的ではないダメージジーンズ姿となったことねは、毎日の用事であるバイトへと出かける準備を終える。  家の外観、内装に圧倒的に不釣り合いな、純金のあしらいを手首に輝かせる茶基調の制服を残し、玄関へと立ったその時だった。扉が勢いよく開き、黒ずくめのスーツに身を包んだ男二人に囲まれた。  そこから、彼女の人生は……変わることはなかった。  厳密にいえば、大きく変わった。ことねは親の成功によってかなり上位の層の仲間入りとなったのだった。だが、ことね自身の性格は変わることもなく、生活の流れも、バイトをしなくなった分、勉強を始めた程度にしか違いはなかった。  しかし、新たに生まれた交友関係は、彼女の知らない場所に多大なる不幸と差を生み出していた。 「ねぇ、前にしたクレープ食べに行く約束だけど、変更しちゃってごめんね~今日とかどう?」 「あっ……ことね……ちゃん……さま。えっとその…………!」  数日前に見た、同じ制服を着た者同士の会話であったが、明らかにことねに大して向ける感情が異なっていた。ことねから嫌でも感じる、圧迫感の様な得体のしれない感覚に言葉をうまく選べない少女の前に現れたのは、逃げ出したくなるほどの巨圧であった。 「ことねさん! 今日もワタクシがレクチャーして差し上げますわぁ!」  ことねが振り返る先。そこにいたのは、威厳ある制服のジャケットのボタンは留めることが叶わず、中に見える純白のシャツを引き裂かんばかりに成長した胸を、更に突き出す体勢で歩いてくる少女であった。盛大に結われた縦髪ロールと呼ばれる髪型を、その存在に負けじと金色に輝かせる少女はことねの前で止まると、自信という巨圧を纏いながら彼女を見上げた。 「今日はトクベツに! ワタクシのマイブームというやつを教えて差し上げてもよくってよぉ!」 「あ、マキさん。今ちょっと彼女と……あれ?」  髪型の存在感があっても頭一つ分小さな少女に、変わらぬ微笑みの表情で言葉を掛けたことねは、先ほどまでいた少女を探す。いつの間にか姿を消していたことに、疑問符を具現化したような表情を浮かべるが、マキと呼ばれた彼女は、気にすることなく言葉を続けた。 「とは言ってもワタクシ達、最上流階級の間ではみなさん嗜んでいることなのですが。関係ありませんわ! さ、ことねさんっ! 行きますわよぉ!」  廊下に響くほどの大声で語られた言葉の数々を一切耳に入れている様子のないことねは、未だ疑問の表情を変えずに、手を引かれて廊下の奥へと消えていった。  校内の奥。厳重な警備の先にある、学校の豪華さの一段も二段も先を行く建物に入っていく二人。 「あらあら、本日はワタクシとことねさんだけですのね。でしたら、丁度いいですわっ! 教えながら、例のプレイが出来ますわぁぁ!」  マキの無駄に大きな声が響くその場所は、高級ホテルのスイートルームの如き煌びやかな部屋であった。だが、彼女たちの視界に映る壁に備え付けられた無数の扉が、ただのスイートルームではないことを示していた。 「こんなこともあろうかと、お昼はシェフのフルコースを大盛で頂いてきましたの! ワタクシは準備万端ですが、ことねさんは如何かしらぁ?」 「え、お昼ご飯はいつも、家から持ってきた大盛ご飯……じゃなくてお弁当を頂いてますが……」  お腹をさすりながら、口調とは真逆の下品な表情を浮かべるマキに、ことねはボロが出ないように言葉を選びながら会話を進める。 「流石はワタクシの見込んだ方ですわっ! ささ、制服を脱いで下着姿になりますわよっ!」 「ま、マキさんっ? えっ、えぇ~? はいっ!」  高揚した様子で我慢の限界とばかりに、品の欠片もない動きで、制服をソファーに脱ぎ捨て始めるマキ。その様子に一瞬混乱したことねであったが、流されるままに制服を脱ぎ始めた。  豪華絢爛な一室に現れた、下着姿の美少女たち。  低い身長の所為で錯覚を起こしてしまいそうな、今にもはち切れそうな特注の雪で出来たような絹のブラジャーと、大型爆弾の如き重力に真っ向から逆らう球体に飲み込まれるパンティーを曝け出すマキは、気分を落ち着けるように金髪ロールを触っていた。  彼女たちの平均身長と比べても少し高い部類に位置する身長のことねは、困惑しながらも特別恥ずかしそうな様子はなく、地味な一般品の白下着に隠れる肉の付き始めた、成長期の平均よりも少し発達した肉体を露にした。 「あらあら、ことねさんっ! もう少し、食べて肉を付けたほうがよろしくってよ! まぁいいですわっ! ほら、こっちです」  手を引かれるままに、一つの扉の中へと踏み入る。そこにあったのは、青い壁紙で塗装された空き部屋であった。 「きゃっ! いきなり引っ張らないでくださいよ! それで、ここは……?」 「転倒クラッシュが見れると思いましたのに残念ですわ~オホホッ、足元を見て御覧なさい。初めてのことねさんの為に一番大きなサイズを選んで差し上げましたわぁ!」  言われるままに足元を見ることねの視界に広がっていたのは、模型にしては微妙に大きなサイズの一階建ての建物が並ぶ町であった。 「わぁ! 凄いですね! これが、よくテレビで見るミニチュアの模型展示ですね! 流石はマキさん! 一部屋丸ごと使って小さな街を再現しちゃうなんて」  画面の向こうにしか存在したことのなかった、憧れの玩具を前にした子供のように目を輝かせながら、下着姿であることすらも忘れて勢いよくしゃがみ込むことね。高価な品という認識のある、小さくて脆い家を壊すことへの恐怖から、思わず伸びそうになった手を止める彼女の横に現れたのは、純白のレースソックスに包まれた丸太のような柱であった。 「玩具なんかじゃありませんわ! これをっ! 潰して楽しむ為の……オホホ、確かにことねさんの言う通りの玩具以下ですわねぇ! 豊富な資源を与えられているというのにワタクシの足一つ支えられないなんて! やはり相応な存在なのですわねぇ~」  説明しながら足を前に振り下ろしたマキは、たった一歩で粉微塵となった現代的な鉄筋製の建物の残骸で純白の履物を汚しながら高らかに笑った。その様子を隣で見ていたことねは、勿体ないという感情と、楽しそうという無邪気な好奇心の間で揺れ動いていた。 「ことねさんも、好きなだけ潰して楽しんでくださいなっ! 素足でも何の心配もございませんし、むしろ直接でやっと潰れた感触が味わえる程に脆くて、面白味が無いくらいですわっ!」 「こんな大胆なことするの初めてですけど。楽しそうですね! えい!」  立ち上がったことねは、辺りを見回しながら脚に力を込める。次の瞬間浮いた足は、片足ではなかった。 ドスン!!  立ち幅跳びのように両足でジャンプしたことねは、頑丈な部屋が少し揺れるほどの勢いで地面を響かせる。目標も無い無差別で無邪気な下着少女の跳躍は、一般家屋三棟と車二台を地面と同化させる被害を生み出していた。 突然の全力ジャンプが生み出す激しい着地でことねは案の定バランスを崩す。細身の少女の両足ですら、十人ほどが家屋諸共、瓦礫屑と区別がつかない姿に変えてしまうほどの質量を持った一撃が町全体を襲おうとしたその時。手を差し出したのは高飛車な笑みを浮かべる金髪の少女であった。 「背中や乳で押し潰すのも楽しいですが、ことねさんを見ていたらワタクシも我慢できなくなって来ましたわ! ですから残りはもっと楽しい方法で遊びますわよ!」  パラパラと残骸を落としながら、足を元居た場所へと戻しながら突き出すマキの手を反射的に掴んだことねは、そのまま抱き着くように足を運ぶ。退けられた場所に残っていたのは、足形に造られた、残骸や瓦礫といった言葉すら不適切なペースト状の黒いシミであった。  どんな災害でも起こりえない、まさに人知を超えた惨状の上で繰り広げられていたのは、薔薇の背景が似合う少女同士の瞳の語らいであった。 「……はっ、ごめんなさいっ! バランス崩しちゃったみたいで、その余り何かを踏んだ感触はなかったんですけど、やりすぎちゃいましたかね?」 「そんなことないですわよ、ことねさん! 住人ごと潰すのが色んな感触が味わえて楽しいのですけれど、何も感じなかったということは誰もいなかったようですわね~」 「じゅうにん? その、無知でごめんなさい。じゅうにんって言うのは特別な用語か何かですか?」  姿勢を戻し、見下ろす立場を本来の形へ戻したことねは、もはやわざとらしくすら見える角度で首を傾げながら、頭一つ小さい金髪の縦髪ロールに向かって疑問を投げかける。沈黙のまま、その純粋な眼を見上げていたマキは、唐突に腰を落とし、次の瞬間には握った拳をことねの前に突き出した。 「これ、この町に住んでいるムシケラサイズの人間のことですわよ! あ、安心してくださいまし! ワタクシとしては庶民なら誰でもいいと思うのですけれど、一応ここにいるのは庶民にすらなれない劣等種を集めて小人にした玩具ですわっ!」  開かれた手のひらに乗っていたのは、彼女の親指ほどの大きさもない人間であった。丁寧な説明のほとんどが頭に入っていないことねは、興味津々に怯える小人を、その巨大な眼光で見つめる。虫を好んで潰す加虐性や、わざわざ避けて歩いたり保護するような庇護欲があるわけではないことねは、目の前の物体に純粋な好奇心のみを向けていた。  そんな純粋ゆえに悪にも善にもなる一人の少女を前に、唯一の生き残るチャンスを獲得していた手のひらの小人は、もう一人の少女の思い付きによって、最悪の結末を迎えることとなった。 「そうですわぁ! 楽しいプレイの前に腹ごなしといきましょう! このサイズの下等庶民は特別な餌をつかっていますので、おやつ代わりなりますのよ!」  屈託のない輝く瞳の前から剝がされた小人は、巨大な指に胸部を掴まれ生暖かい蒸気が立ち上る空間へと持ち上げられる。匂いが強くなっていくにつれ、現れるピンクの巨大な触手に体を掴まれたその瞬間に、恐怖によって意識は消えていた。 「んぇ♡ いただきますわぁ~♡」  ブチィ♡  魚卵が弾けたような軽い音と共に、頬を抑えながら優越感に浸る様な表情を浮かべるその姿を見て、ことねは思わず言葉を漏らした。 「あっ……えっ! じゅうにんを…………なんていうかその……海外のお菓子みたいですね!」  現状を理解できていなかったのか、違った認識をしているのか、ことねは人型の動く物体が鮮血そのものである赤を纏いながら貪られる姿を目の前に、場違いなほどに明るい素直な感想を上げる。 「んぐんっ♡ ふぅ♡ 悪くはありませんわねぇ! 次はこちらにいたしますわぁ! ほらことねさんも」  マキは残りを口内に無造作に放り込むと、続けて瓦礫に隠れていた小人を掴み上げる。ことねに促す目的で、その好奇心に輝く目の前に抵抗一つできないおやつを見せつけたマキであったが、優雅などとは無縁の彼女に手の込んだ配慮は必要なかった。  手ごと食べてしまいそうな勢いで、待ての出来ない犬の如き動きを見せることね。甘噛みのように齧り付き、小人を野性的な動きで口内に取り込んだ彼女は、その中で歯を立てながら両手に頬を当てていた。 「はむぅ♡ んぐぅ♡ んっ~♡ 中から美味しい何かが溢れだしてきて、凄いですねこれ!」  グゴォォォォ~  彼女の感想を全身で表現するような唸る低い音。一方的な狩りを縮小させられた人間たちに告げる、女学生の腹の音が響き渡る。 「気に入って頂けたようですわね! それでは♡ たくさん食べて差し上げましょうか♡」 「はい! こんな動いて面白いのに美味しいなんてやっぱり、お金持ちの世界ってすごいんだな~」  感嘆の声を漏らしながら、四つん這いで町に君臨することねと、堂々とした姿勢で胸部と臀部に付いた肉を揺らしながら歩き始めるマキによる捕食蹂躙が始まる。  全力疾走で逃げ惑う小人たちを、止まっていても変わらないと言わんばかりの容易さで捕まえては、貪るように血肉に変えていく二人。通りと名の付く場所に瓦礫片と朱色の足跡のみを残す状況になると、ことねはマキの足元で四つん這いのまま口を開いた。 「楽しかったですけど、あっという間でしたね~数十は食べたと思うんですけど、やっぱり所詮はおやつ用のお菓子ですね」 「フフフッ! 甘いですわよことねさん! 本番はここですのよっ!」  下手に胃を刺激したことによる腹音を続けざまに鳴らすことねに、微笑みを向けたマキは、言葉で説明しながらはち切れそうな純白の巨柱を動かしていく。ただその動きは、踏み潰すための前の動きではなく、後方へと下がる蹴りの動きであった。  ズシャアァァァ!  見た目に反した器用な動きで屋根だけを蹴り壊したマキ。瓦礫すらも遥か彼方に飛ばされた残りの家屋から顔を覗かせたのは、怯えた様子で抱き合う小人たちであった。 「こんなところにあったんですね! 流石はマキさんです! その、食べてもいいですか?」  恥ずかしさというよりは申し訳なさそうな表情で見上げることねに、マキは優雅に頷いた。満面の笑みとなった巨大な顔が、腰が抜けて動けない小人たちへと近づいていく。犬のようにだらしなく飛び出した舌で住人を絡めとる頃には、少女の頭部の重みによって家は倒壊していた。  口内で裁断しては転がし、味わいながら満足げな顔をしている巨大な存在の横で、純白の巨柱は休むことなく動いていた。 「他にも、こうするのがいいんですのよっ! 早くしないと潰れてしまいますわよっ!」  機械のように淡々とした動きで、無事な家屋を一つ飛ばして粉砕していくマキ。 「マキさん! 勿体ないですよ~」 「あら、そうかしらぁ? 一つ一つ屋根だけというのは高貴じゃありませんわ! ほら、ことねさんっ! 手の辺り見てくださいまし」  動きに合わない極太な部位を包んでいたはずのレースが解れ始めるほどの激しい動きによって、家屋から避難するように飛び出してきた住民たちが、道に現れ始めていた。 「う~ん、でもこんなに脆いんですから、美味しいのも一緒に潰しちゃうよりは~とはおもいますけど、マキさんが言うなら……えい!」  下着姿のことねは、気に入ったのか四足の巨大怪獣のように町を練り歩きながら、無事な住宅地を目指す。感想とも自らを納得させる言葉ともとれる独り言を呟きながら、目的地に辿り着くと、大きく開いた手のひらを持ち上げ地面に叩きつけた。  バチン!! グシャ!  ボロボロと崩れ去る瓦礫片が舞うたびに、飛び出してくる小人たちに童心を剥き出しにして嬉々とすることねは、幼女の遊びのように破壊と捕食を繰り返していった。 「その調子ですわっ! ことねさん! ワタクシもどんどんいきますわよっ!」  純白の巨柱によって圧壊されるか、肌色のプレス機に粉砕されるか、逃げ出した結果捕食されるかのいずれかの運命を辿る、生存の希望も見えない二人の巨大少女による襲撃。それは、形あるもが姿を消し、塵が散乱するだけの部屋になったところで終わりを迎えた。 「ふぅ〜まぁおやつとしてはこんなものですかね。んれぉれぉ」  手に残った瓦礫ごと溜まった赤いシミを猫のように舐めとることねに、顰め顔を向けるマキ。咀嚼音が足を踏み鳴らす自らの元まで続けざまに聞こえるほど、止まることなく食べ続けていたことねに、釣られるようにマキは蠢く胃の音に導かれて、本来の目的を彼女に伝えた。 「結構食べましたわね……ゴホン! まぁ元々ゴミでしたけど、もう残りカスしか残っていないようですし、次は本命のお楽しみといきましょう! 準備はよろしくて、ことねさん!」  差し伸べられた手をキョトンとした表情で見つめながらも、促されるままにその手を迎えることね。咀嚼を続けるその唇は、支配層の人間に相応しい大人びた鮮血の口紅で彩られていた。 「次もまた美味しい何かですか!?」 「オホホッ! どちらかと言えば”逆”ですわぁ! ことねさんもこのこれで一人前の最上流階級の一人に慣れますわよっ!」  高らかに笑い飛ばしながら、残骸を残す部屋を後にするマキ。その足で向かったのは、二部屋隣に位置する、”最小・全プレイ可”とプレートに書かれた扉であった。 「それじゃあ入りますわよっ! お腹の準備はよろし……うっぷ……フフッ。ことねさんもよろしくって?!」  猫のように喉元を鳴らしながら言葉に詰まる様子を見せるマキは、今までで最もテンションの高い様子でことねに話しかける。相も変わらない間の抜けた顔で頷くのを見届けると勢いよく扉を開けた。  そこにあったのは、先ほどの部屋以上に何もない、広さを半分ほどにし天井をその分倍にしたような、変わった形の倉庫のような場所であった。異様な点は、天井の高さを後押しするような、部屋にあるまじき上に行くにつれて濃くなる霧のような存在。その視界を遮る霞に絡まれるように、羽虫にしては小さく白い細長い物体が飛んでいた。 「さぁ! いっぱい出して気持ちよくなりますわよぉ! 天と地以上の差を教えっ……グゥ、ゴォエェー! ……フフッ……オホホホッ!! 先に上の方が出てしまいましたわっ!」  体内で生成された濃厚ガスを吐き出した淑女とは思えない、その巨大な胸が上下に波打つほどの笑いを、部屋に響かせるマキ。変わらぬ表情で室内を見回すことねも、気にする様子を見せない大したことのない生理現象であったが、この空間、この場に存在する二人以外の者達にとっては天変地異の災害そのものであった。  その犠牲となった二人からすれば存在すら認知できなかった小さな白い物体。それは、先ほどまでの”玩具”と表された縮小化された人々すらも巨人に見えてしまうほどの極小人類の移動手段である飛行機であった。  ジャンボという名を冠する移動手段に乗り、最も安全なはずの空を旅していた二百人ほどの極小サイズの人々。それが、たまたまタイミングが悪かったというだけで、下とは無縁そうな可憐なお嬢様の体内ガスによって、誰にも気づかれる事のないまま、自らが消滅したことすら分からない程にあっさりと塵となったのであった。 「ん~この部屋、なんだか空気がモヤモヤしてますし、地面も埃だらけで汚いですね」  灰色の荒い砂粒のようなもので覆いつくされた地面を見つめながら、言葉の割に一切の嫌悪感も感じていない声色で感想を述べることね。砂浜の如きザラザラとした心地を求めて、無意識的に足を動かす彼女の動きによって、気が付けば街の一区画が消滅していた。 「ことねさんっ! 地面のソレは先ほどまでの玩具が更に小さくなっただけですわよっ! とは言え、初めてだと余り状況が分からないでしょうから、証拠を見せて差し上げますわぁ!」  マキは、高らかにそう宣言しながら、一見何もなさそうに見える部屋の隅に、顔で合図を送る様な動きをする。すると、彼女たちの正面の壁に超高解像度の薄型テレビが出現した。  そこに映し出されていた映像。それは、高層のビルに囲まれた交差点にて、逃げているようにも見えるあわただしさで移動する群衆と、霞むほどの奥に二つ聳える、色白の巨影であった。 「おおっ! 街の奥に立ってるみたいですよマキさん! 流行りの”ばえ”? って奴ですよね。マキさんレベルの人になるとこんな感じの映像が”ばえ”なんですね!」   自らの手の動きをトレースする映像に無邪気に興奮することねは、その光景に、一度だけ友達との付き合いで撮ったプリクラを思い出す。が、その淡く平凡な思い出が一瞬で揺らぐ出来事が起きた。  映像が思わず目を背けてしまいたくなるほどに、激しく揺れたのであった。乱れたカメラの出力が戻ると、大都会を象徴する高層ビルとスクランブル交差点を映していた映像が、面影のみを残す、崩壊したビルと瓦礫、そして突如として現れた雪のように純白色をした双頭の円形の山脈のみが移る映像に切り替えられていたのだ。 「オホホッ! 映えなどという低い次元の話ではありませんわっ! が、ワタクシレベルが好きと言えば、それは最上流階級の流行りというのは間違いではありませんことよっ! あらあらカメラアングルチェンジですわぁ! ことねさんも脱ぎましてよっ♡」 「きゃっ! も~自分で脱ぎますよ~!」  いつの間にか、抑えを失った巨大な上下のアピールポイントを晒す姿になっていたマキに、勢いよく下着を脱がされりことねは、恥ずかしさよりも断りがなかったことに不満げな表情を浮かべていた。  いつもであれば脱いだ服はもちろん、当然下着は、丁寧に部屋の外にでも持っていったはずのことね。だが、絶対的なお嬢様を体現したマキの影響を受けたのか、その時は既に捨てられていた可笑しなサイズの下着の近くへと無造作に投げ捨てたのであった。 「それで裸になりましたけど、も、もしかしてえっちな撮影……ですか?」 「ことねさんとこの場所でレズプレイっ!!? ……そそられますが、ワタクシ許嫁もおりますし、それはまた別の機会に……ではなくてっ!」  ことねの潮らしいように見えて、大した表情も変えることなく詰めよりながらの発言に一瞬面食らう様子を見せるマキ。それを軽く首を振り、咳払いで吹き飛ばした後に発されたのは、お嬢様にあるまじき下品な言葉と擬音の連続であった。 「ゴホン♡ 今からするのは簡単なことですわっ! ワタクシこと最上流階級の嗜みっ! この街に向かってブリブリとうんちを放り出してやることですわぁ♡ ことねさんっ♡ どちらが多く太っといのを出せるか勝負ですわよぉ♡」 「ええっ! それは……ううん……ここまで住む世界が違うんだもん。いち早くマナーと常識を覚えなきゃですよね! 先程の面白いおやつはそういう意味だったんですね、頑張りますマキさん! 消化と便通の良さは得意分野ですっ!」  結局映像を見ても何も事実を理解することのないまま、無意識に街二つ分の建物と一千万人規模の極小サイズの人々を消滅させたことねは、無自覚に、そして大声で以て排泄による蹂躙宣言を行う。続けてその言葉を聞いていたかのように、彼女の胃は脅迫めいた低音を加えた。 「完璧ですわぁことねさんっ!! さ、ワタクシの前に腰を下ろしてくださいな♡」  二歩ほど歩いた先の灰色が濃くなる建物の密集地と思われる場所で、極小人類が移住しても問題のないほどの惑星級の巨尻を落とすマキ。大都会と呼ばれるほどに発展した街を片割れの惑星だけで隠す彼女に対して、年相応かそれ以上の発育を見せることねは、一対で都会サイズの街を深淵の闇へと誘っていた。 「それでは、カメラに向かってワタクシたちの立場を分からせる言葉をお願いしますわっ♡ まずはお手本を見せて差し上げますわぁ♡」  尻肉を脹脛で持ち上げるようなしゃがみの体勢の二人は、マキの言葉に促される形で、見る方向を変える。マキとことねは、カメラとテレビの映像にて顔を合わせると、突如ライトアップされた陰る街に向かって言葉が放たれた。 「庶民以下の惨めな極小サイズのみなさん♡ 高貴なワタクシの立派なうんち様で身分を感じてくださいまし♡ もちろん、出来た山脈は少々臭いかもしれませんが、資源にして頂いても、崇拝の対象にして頂いてもよろしくってよぉ♡ 次はことねさんですわぁ♡」  ライトアップされ、ハッキリと映し出された、鮮やかで広がりを見せる菊門。絶妙なアングルで、高揚した顔にある口の動きと、ヒクヒクと脈打つ肛門とがリンクする様子に極小人類は恐怖を超えた感情を覚え、映像を見る同じサイズの少女は、興奮を感じていた。 「は、はい! 新入りですけど、見てくれている方々に立派だって言ってもらえるように、いっぱい放り出して、凄いのが撮れるように頑張ります!」  数千万人という人間を楽しむ為に、排泄という生理現象とは言え、汚物によってその命を一方的に蹂躙するという宣言を終えた二人の天を上回る巨大な少女たちは、毎日行う行為の為に下半身にゆっくりと力を入れた。  高飛車な悩ましいようで、汚くも聞こえる声とは呼べない音を漏らしながら、締まりの感じられない菊門を揺らすマキに対して、純粋に力を籠める声と共に、小さく引き締まった穴をこじ開けようとすることね。品を始め諸々全て関係なく、開いた穴から飛び出したモノによって、大都市が瞬時に汚染され壊滅するという運命だけは変わることは無かった。 「んんぅ♡ おっ♡ んぉ♡ 張ってきましたわぁ♡ あっ♡ これ屁ですわっ♡ 溜まって♡ ケツ穴爆発しそうですわぁ♡」 「んん~! あっ……先にオナラがでちゃう~♡」  ブボォッ!!!! ブゥゥゥゥ!!!♡   ぷすっ♡ むしゅぅぅ♡    惑星級の巨尻から放たれた大爆発と言っても表現しきれない轟音が二つの大都市に向けて放たれる。一瞬にして、ガスの匂いも無く、地面ごと抉り取られた街は、隕石が衝突したかのようなクレーターを生成し、追いかけるようにして激臭のガス地帯を作り上げていた。  その隣、街をいくつも挟んだ都会の街の遥か上空では、固く閉ざされていたビームでも飛び出してきそうな穴が封印を一瞬だけ解き放った。その少量でありながらも、途轍もない風速と肉片を消化したばかりの濃厚ガスは、家屋の隙間という隙間に入り込み、弱い部分を根こそぎ破壊していくと、蝕むように、そこに住む生命体を無慈悲に虐殺していった。 「おほっ♡ くっさ♡ でも今の特大放屁で分かりましたわぁ♡ これは珍しく巨大な一本糞の予感が致しますわぁ♡ ことねさん♡ 手、手をつないでくださいましっ♡」 「マキさんのオナラ凄い……もっと見たい♡ スンスン♡ あっマキさんのとが混ざり合わさったこの匂い……興奮するかも♡」 「もうちょっとで出そうですわぁ♡ でっかくてぶっといのがブリブリ出ますわよぉ♡ そうですわっ! 折角ですから、ことねさんとの合作がいいですわねぇ♡」  下品な顔つきで、小国程の人間をガス圧のみで葬り去った巨尻を左右に振りながら、足を引きずる形で灰色の部分を土色に変えながら、マキはことねの隣に並ぶ。同じ部位が隣に来たことでより引き立つ尻の山脈をから、極小人類が絶滅してもおかしくない量と質量、そして悪臭を放つ大陸を形成しようと決定した創造の女神となった二人の少女は、互いの手を強く握りながら同じ強さで下半身に力を込めた。 「うんちしてるだけなのにぃ……♡ こんなに気持ちいいなんて♡ で、でるぅ♡」  ぼとんっ♡ ずん♡ ぼとんっ♡ ずん♡  ミチミチという音を立てながら、健康的な茶褐色の巨塔を形成していくことね。開いた門が急激に閉まる形で途切れた塔は、建物の強度関係なく押し潰し、全てを支配する道のように横たわった。  続けてコピーのように同じ物体が天高く形成し始めたことねであったが、一度目の排泄に新たな快感を覚えたためか、激臭の巨塊を創造した尻は跳ね、その着弾地点はまだ無事な街の中心部となっていた。貪るようにビルを粉砕し、道路を飲み込み、横たわる支配された道と交差する形で、排泄を終えた彼女の肛門は、感情を表す様に大きく穴をあけ喜んでいた。 「おほぉ♡ でるぅ♡ 何億もの庶民以下のゴミに見られながらぁブリブリしますわぁ♡ くっさいくっさい、高貴なうんこでゴミをぶち殺して差し上げますわよぉぉぉ♡ んはぁ♡」  ムリュムリュムリュ♡ ブリュリュ♡ ドボォン!!♡ ボドォン!!♡ ズシャァ♡  隣で起きた数千万人といくつもの街を犯した茶褐色の巨塊と同じものとは思えないほどの、物体と量を、相応しいだけの音を伴って街に押し付けていく。柱や塊という表現では生ぬるい、宇宙規模の大きさを持った排泄物が止めどなく街に降り注ぎ、山脈を作り上げていた。隕石のように、局地的に街を蹂躙するモノもあれば、中心で大陸規模の大地を創造するモノも次々と巨大な菊門が生み出していた。  彼女の野太くなる喘ぎ声が収まるにつれ、二度と復興など叶わない大災害が終焉を迎えていく。その頃には、固さの問題で積み上がらなかった、ことねの二倍の大きさはあろう排泄物が、自らの存在を示す様に、あるいは仲間の蹂躙を助けるように、クロスに象られた支配者の横に転がっていった。 「はぁはぁ♡ どうでしたか、ことねさん♡ ほら、見てくださいまし、あれが街の様子ですわ」 「気持ちよかったですっ♡ これからも、いっぱい教えてくださいね♡ マキさん」  映し出される映像。それは、中心地から少し離れた、その行為の衝撃波によって、壊滅状態に陥っている街からの映像であった。縮尺を間違えたかのような、茶褐色の山々が、激臭を表す霧を作り隠す存在。彼らに見えているのは、色白に彩られた一面の壁であったが、それが、排泄後の惨状を見ながらオカズに体を寄せ合い、向けた顔同士を合わせる支配者の少女たちであるとは、知ることもなく、身分を呪いながら次の犠牲者になるのを待つことしかできないのであった。


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