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【限定小説】全国共通縮小テスト②~同級生女子の無意識な圧力~

ドンッ…ドンッ…!! 「「おはよ~、あ、詩織来てるじゃん」」 「「なに入り口の前で立ってるのー?」」 「「ん、その男の子、誰?小学生の子?」」 「「あ、そうじゃなくて…」」 2倍の体躯を持った女子たちが次々に教室に入ってきて、木の床をドスンッ、ドスンッ、と重く揺らす。紺色のスカートに包まれた白い美太ももたちに取り囲まれて、俺は2つの意味でうろたえる。 「「これ、原田君…」」 「「え?どういうこと?」」 「「まさか、テストの点悪かったってこと?」」 腰元に位置する俺を囲みながら、大きな声で話し始める女子たち。普通の位置に視線を置いているだけで、柔らかく健康的な太ももを直視することになってしまう。話しながら女子が脚の位置を少しずらすだけで、スカートの裾がふわりと揺れ動き、太もものより付け根に近い部位が見え隠れする。今までだったら、わざわざ目線を下に送らなければ良かったのに。今や目の前で美脚の足踏みを見せつけられて、こっちが勝手に恥ずかしくなってしまう。…この女子たちは、自分たちの脚が今の俺の視界にどう映っているか、自覚しきれていないはずだった。 「「そ、そうなんだ…かわいそうだね…」」 「「これから生活とか大変そうだけど…」」 「「椅子座れないよね?どうするのかな」」 もう一つ。複数の巨体に囲まれることで受けるプレッシャーの大きさに、心の中でうろたえる。俺がどれだけ力を発揮しても敵わない巨体たち。今までの学校生活で、そんな恐怖を感じたことなんて一度も無かった。別に女子たちが俺に何をしようとしているわけでもない。ただ、生物として上位の強さを持つ存在に取り囲まれることは、生物的な本能に激しく訴えかけるのだ。意識しなくても身体が強張り、普通に話しているはずの女子たちの声のボリュームに内心ビクついてしまう。本来男子よりも力が弱い女子校生のはずなのに。 「「だいじょうぶー?」」 ぶわっ…… 「っ……や、えっと…」 七島がいきなりしゃがみ、俺と目線を合わせてくる。その動作だけで空気がかき混ぜられ、朝練後でふわりと香る制汗剤の匂いに一瞬で包まれる。遠く離れていた七島の顔が一気に目の前に降りてきて、思わず一歩後ずさる。 そして、驚きの事実に気づいてしまう。 しゃがんだ体勢の七島よりも、立っている俺の方が低いのだ。 「「体痛くない?今まで通り授業受けられるの?」」 いつも軽口を叩いてくる七島でもちょっぴり気を遣った様子で、やや優しい口調で俺に話しかけてくる。しゃがんで目線を合わせながら話しかけるその様子は、迷子の小学生に声をかける時の態度そのものだった。…無意識な子ども扱いに顔が赤くなり、ムッとする。でも、今までになかった距離の近さと、七島の身体の大きさの迫力で、反論なんて出来ない。 「身体は、別に何とも…。授業は、どうだろう…今まで使っていた椅子、座れないし」 発した声が思ったよりも子どもっぽい、拗ねたような口調になってしまい、自分で驚く。テストの点が悪かった事実を女子全員に知られ、気を遣われ、恥ずかしすぎるがあまり、防衛的にぶっきらぼうな話し方になってしまった。 「「うーん、まあ座らせてあげることはできるけど…」」 小さな男子の拗ねた口調に気づいているのか気づいていないのか、七島は何とも思っていない様子でちらと机の方を見る。 「「座ったとしても、机が高すぎて勉強できないよね」」 そう言った七島は突如、俺の方に手を伸ばしてきて。 「っ……な、なに……?」 俺の足くらい大きな白い手が2本近づいてきて、反射的に身体を震わせて手で防御しようとしてしまった。…ただ、女子に手を伸ばされただけなのに。 その瞬間。七島含め、周りにいた女子全員が纏う空気が少しだけ変わったのを、感じた。 「「わ、ごめん…怖かった?」」 驚き。気遣い。気恥ずかしさ。軽視。 女子よりも背が大きくて力が強いはずだった男子が、軽く手を伸ばされただけで怖がり、ビクついてしまう。 自分たちの身体が俺に与えているプレッシャーの大きさを、全員がこの瞬間、認知した。 「「原田くん、怖がってるじゃん~」」 「「いやいや、別に私、何もしないよ?笑」」 「「乃絵にイジメられると思ったんじゃない?笑」」 「「なにそれー。椅子に座らせてあげようと思っただけなのになあ」」 女子たちの緊張が、何故か弛緩しているのを感じる。何人かは俺に気を遣ってなのか、一歩後ずさる。自分の下半身が与える圧力に気づいた恥ずかしさからなのか、分からない。小さくなった男子との適正な距離感を測りつつ、しかし力も精神も弱くなってしまった男子に対して、どこか今までよりも気安い雰囲気を醸し出している。 有り体に言えば。"舐められている"ような雰囲気が、周囲の巨体から滲み出たのだった。 弱者を介護する際の、生暖かい態度。それを、弱者である自分は敏感に感じ取ってしまう。 ガラガラッ…… 「「はーい、朝のホームルーム始めますよー」」 「「あ、先生来た!」」 ドスッ、ドスッ……!! 教室の前のドアから先生が入ってきて、女子たちはわらわらと自分の席に着いていく。2倍の巨体に取り囲まれていた俺はにわかにそのプレッシャーから解放され、しかし自力で自分の席に登ることもできないので戸惑って立ち尽くす。…そんな俺の様子を気遣った七島が、先生に呼びかける。 「「せんせー、原田くんの席はどうするのー?」」 「「ああ、縮小した生徒用の椅子と机があるから…丁度良いから、この教室に運んでくるの手伝ってくれる?」」 「「げ、めんどくさ…」」 流れで仕事を押し付けられた七島は、スカートをふわりとなびかせて立ち上がる。目線を合わせてしゃがんでくれていた七島の顔が遥か上空まで遠ざかり、その瞬間、七島との本来の体格差を突き付けられたような気がした。 …いや、何を言っているんだ。本来の体格は、俺の方が大きいのに。 ------ 「「それじゃ、1時間目の授業を始めますねー」」 ホームルームが終わり、何事も無かったように授業が始まる。…俺は、七島が持ってきてくれた1/2サイズの椅子と机に着席し、授業を受けようとしていた。…学校は縮小する生徒が出たときに備えて、小さなサイズの椅子と机を発注していたのだ。今まで俺が座っていた椅子と机は撤去されて、同じ場所にちっちゃな代替品が配置された。 「………」 結論として。低い目線の世界に押し込まれた俺は、もはや黒板に書かれた内容をまともに見ることすら出来なかった。 席が後ろから2番目のため、着席した時点で前方の女子たちの脚と背中でほとんど前が塞がれているのだ。座った俺の目線は、座った女子のちょうどお尻くらいの高さで。おっきな椅子にぎゅぅっ…♡とお尻の体重がかけられている様子を目の前で見せつけられ、その先の黒板や先生の姿なんて全く見えない。 ずっ……ぎゅっ…… ズンッ…… 周りからは、ローファーが床に擦れる音や、無意識に足踏みする音、椅子に座りなおすときの軋み音が聞こえてくる。少し目線を右にやれば、隣の席の最上日菜が真剣な顔で黒板を見つめている。クラスで一番小さかったはずの最上の身体が、こんなにもデカく見える。華奢だったはずの脚は、その太さだけで俺の胴周りを凌駕してしまいそうなほど。椅子の端からだらりと垂れさがったスカートの裾から、白く柔らかそうな太ももが剥き出しになっている。…前を見ていても視線の端の面積を占める太ももの存在は、まさに目のやり場に困るといった代物だった。 「「ん~…」」 ずいっ…ぎゅっ…… ペンの頭を唇に当てながら考えつつ、無意識に脚を組み替える最上。内ももが擦れる音と共に、組んで上側になった脚のローファーがこちら向きに投げ出され、俺は巨大なローファーの接近にビクついて椅子を少しずらしてしまう。 「「……ん」」 それを。ばっちり、最上本人に気づかれてしまう。自分の顔がみるみる真っ赤になっていくのを感じた。 「「ごめんね~…」」 授業中なので声を潜ませつつ、最上は俺を見下ろしながら微笑んで謝る。まるで小学生をビビらせてしまったときのような、余裕たっぷりに謝るその態度。一番背が小さくて、力も弱くて、俺と接する時はどこか緊張感を持っているように見えていた最上に、見下ろされた態度を出されて。…屈辱感を覚えつつも、実際にこちらに投げ出されたローファーの裏の面積の巨大さに面くらい、もしこのローファーが全力で自分に振り下ろされたら、果たして抵抗できるのだろうか。そんな被害妄想が脳に張り付いてしまう。 ズンッ…!! 「ひっ……」 突然、両側に大きなローファーの右足と左足が踏み込まれる。後ろの席の女子だ。足癖が悪いのか、自分の机の下の領域から両脚を投げ出して、前の席である俺の両側にだらしなく巨足を着地させてきたのだ。 …ええと、後ろは誰だったっけ…席替えしたばかりで、覚えきれていなかった。くたびれたローファーから伸びる紺色のショートソックスと、さらに上に伸びるたくましいふくらはぎ。俺の胴体と同じ幅を持つふくらはぎに左右を挟まれて、頭と同じ高さには巨大な膝。視界の3割くらいがローファーと靴下とふくらはぎの肌色で埋め尽くされ、こんな状態では授業に集中できるはずがない。 ズンッ、ズンッ、ズンッ…… まだ誰のかも分からないローファーが、落ち着きなく教室の床を重くタップする。この女子にとっては何気ない貧乏ゆすり程度の行為かもしれないが、2倍の巨足に挟まれた俺からすればその度に机が揺れて、ノートを取っていても字が乱れて上手く書けない。それを注意しようにも、今後ろを向けば女子が椅子に座っている下半身を真正面から覗き込む形になるのではないかと危惧し、振り向くに振り向けない。見えてはいけないものが見えているかもしれない。 強烈な生殺しの感覚。左右からはこの女子のふくらはぎや脚から放たれる香りに包まれて、視覚と嗅覚から女子の存在を嫌でも意識させられる。…自分の脚で前の男子が授業に集中できていないなんて、夢にも思っていないだろう。無邪気な足癖は男子高校生を惑わせ、その巨体は文句を言わせることすら無意識下で許さない。 ぐに、ぐに……ずるっ…… (っ……!) 授業が進むにつれて、足癖の悪さはエスカレートする。ローファーはとっくに脱ぎ捨てられ、俺の頭がすっぽり入ってしまいそうなほど巨大なそれが左右に放置される。その上から、少しだけくたびれた紺色ソックスの足がローファーを踏みつけてぐりぐりとこねくり回している。柔らかそうな生地のソックスが、中の足指の動きによってうねうねと形を変えているのが分かった。 ずりずりっ……するんっ…… そしてそのソックスすらも、足の動きのみによって器用に剥がされて。丸まって脱ぎ捨てられたソックスはぐい、ぐい、とローファーの中に詰め込まれ、その上からズンッ…♡と巨大な素足が振り下ろされたのだ。 (…うぅ…誰だよ……) ソックスの中で蒸れた酸っぱい匂いの素足に超接近され、いよいよ俺はこの女子の足のことしか考えられなくなる。もはや先生の声なんて聞こえていない。左右に鎮座する形の良い美素足は、しっとりと汗で濡れて艶めかしい。ピンク色の健康的な爪を持つ足指の太さに驚愕し、柔らかそうな素足の奥に潜む骨格のたくましさに恐れを抱く。同級生女子の生の足なんてまじまじと見てはいけない対象のはず。それが恥ずかしげもなく取り囲んできて、しかも当の本人は俺の様子さえ机に遮られて見えていない状態。顔も見えない女子の足癖に意識を支配され、俺は葛藤の中で何とか授業の内容を頭に入れようとしていた。 ------ キーンコーンカーンコーン…… ざわざわっ…… 「っ………」 授業が終わって休み時間になれば、俺の目のやり場はいよいよどこにも無くなってしまった。 「「はー、古文の授業ほんと疲れる~」」 「「ジュース買いに行かない?」」 「「行く行く、喉乾いちゃった」」 ズンッ…ズンッ…! その巨体で教室を縦横無尽に歩きながら、ある女子は談笑し、ある女子はスカートをなびかせながら教室外へと出歩いていく。チャイムが鳴ってからも、巨大な椅子や机の隙間から僅かに見える黒板の内容を必死にノートに写していた俺は、机の横を行き交いする女子たちの下半身を視線の端で捉えながら、もはや一切視線を動かせずにいた。 立った状態でもギリギリスカートの中が見えないくらいの危険な位置関係なのだ。それが、椅子に座った状態で女子を見上げようものなら。…今、視線を上にやれば、絶対に見えてしまう。 その事実を、女子たちは分かっているのか。いや、教室を歩いているだけで下着を覗かれてしまう体格差にあることを、多分皆理解していない。いつも通りの休み時間を過ごしているだけなのだ。 「「ねえねえ、昨日この動画見た?新しいやつ上がっててさ~」」 「「まだ見てないかも、今見せてよ」」 俺の席の横の通路にたむろしているこの2人の女子も、何も意識せずに休み時間を過ごしているだけ。俺は目線を前に固定して動かせない。頭と同じ位置に4つの膝小僧。そこから伸びる太ももが視界の端にちらちらと映り込む。甘い匂いが漂ってくる。俺は板書を取らなければいけないのに、気になってペンが全く進まない。 「「わー、やっぱりこの子可愛いよね」」 「「メイクとかマネしたーい」」 女子たちの談笑は音量が大きすぎて、この至近距離で会話されると脳がその内容に支配されてしまう。気が散るどころではない。…もはや席を立ちたいが、今動くと足元に男子がいたことをこの女子たちが意識してしまうような気がして、俺が黙って下から覗こうとしていたように思われそうで…。 カラカラッ…… 「「あ……」」 突然。上から降ってきたのは、水色の円柱状の何か。俺の手に余るほどの大きさのそれは、巨大に膨れ上がったリップクリームだった。 「「よいしょっと」」 ズズッ……!ぎゅむっ……! 一瞬の出来事で。落としたリップクリームを手に取るために、真横で談笑していた女子は巨足を折りたたんでしゃがみ込む。ちょうどそのリップクリームに反射的に目線を向けていた俺は、しゃがみ込まれた女子の下半身を真正面から見てしまうことになった。 圧迫されたふくらはぎと太もも。ちょっぴり焼けた肌と対照的に、スカートに包まれていた内ももの白さが際立っていて。 その奥に、ピンク色のレース模様が刻まれた、下着が見えていた。 「っ………っ…」 パンチラどころのアングルではない。しゃがみ込んだ飼い主の下半身を飼い犬が見つめるような目線で、何も隠されていない生脚と下着を堂々と見せつけられる。散々下半身の存在を意識されつくした後の景色としてあまりに刺激的で、一瞬で動悸が浅くなる。早く目線をそらさなければいけないのに、ほんの数秒、同級生女子のスカートの中というエッチな空間を無意識に見つめ続けてしまう。むっちり柔らかな太ももは自分の身体よりもおっきくて、上位の存在の身体を覗いているというよりは見せつけられている感覚に近かった。 「「落としちゃった………あ」」 そして。リップクリームを拾ったタイミングで、俺の存在に気づいて声を漏らす女子。目線が合ってしまう。その瞬間、今下着を見せつけられている女子が真中であると認識する。それが分かった途端、さらに動悸が早くなって頭が熱くなる。 悲鳴を上げられる。しゃがんだ体勢を男子に覗き込まれたことを悟り、泣かれる。最悪の結末を想像して冷や汗が滲み出る。 時間にして2,3秒の間、真中は自分の股ぐらの先に座っていた俺を見下ろして、びっくりしたように瞳を見開いたままで。 そして。 「「あ……あはは」」 気まずそうに笑うと、すぐにスカートの裾で股ぐらを隠しつつ、立ち上がったのだった。 「「あ、えっと、次の授業始まる前にトイレ行かない?」」 「「ん?いいよー」」 真中は談笑していた女子を無理やりトイレに誘い、そそくさとその場を離れていった。 「…………」 俺はしばし呆然として、今まで真中がしゃがんでいた場所をそのまま見つめていた。 真中の反応が思っていたものとは違い。事故のようなシチュエーションとは言え、決定的に下着を覗き込んでいた瞬間を見られたのに、何も言われなかった。悲鳴を上げられるようなことも無かった。…いや、もしかしたら他の女子に言い回られるかもしれないけど。…でも、そんな雰囲気にも感じなかった。 気まずそうな真中の顔と、強烈な下半身の股ぐらの映像。 俺の脳はすぐにピンク色の映像に支配され、休み時間が終わるまで、悶々と自分の席で過ごすことしかできなかった。 ------ 「「あはは、それでさ~」」 ズンッ、ズンッ…… 1/2サイズの人間にとって、通常サイズの女子たちが行き交う廊下を通ってトイレまで行くのは、もう冒険に近いものだった。 「「あ、咲ちゃん、一緒にトイレ行こー」」 「「いーよー」」 ドンッ… 「っ……ひ…」 2倍の高さにある女子たちの目線は、腰元に位置する小さな男子の存在に気づかない。蹴飛ばされたらひとたまりも無いようなたくましい脚が自分を感知しないままに歩き回るのは、端的に言って軽い恐怖の対象だった。迫りくる太ももを避ければ、自分のすぐ横の床に振り下ろされた際の振動がお腹に伝わってくる。文句を言おうと上を見上げても、おっきな身体の女子の迫力を目の当たりにすれば、言う気力を削がれてしまう。 「早く、トイレ行って戻ろう…」 この身体であまり廊下に出歩きたくなかったのだが、生理現象は回避できない。パッと行って帰ってくれば問題ないと思っていたけど、想像していたよりも女子が行き交う廊下の環境は今の俺にとって生きづらくて。 「「あ~、スッキリした~」」 ぶわぁっ…… 廊下を闊歩していく2倍女子を、小走りで回避していく惨めな自分。存在を認識されないということが、こんなにも歩きづらくさせるなんて思わなかった。相手が避けてくれない。しかもぶつかれば怪我をするのは間違いなくこっち。ちょっぴり早歩きの女子にぶつかろうものなら、その強靭な膝で腹部を殴打されでもしたら、しばらく立ち上がれないかもしれない。そんな原始的な恐怖を、学校の中で、あらゆる女子に対して感じなければいけないのか。 ただ生活するというだけで、なんというビハインドなのだろうか。 「「今日のお昼、学食行くー?」」 「「んー、今日はコンビニでもいいかな~食欲無いし」」 「「なに、ダイエット中なの?」」 「「ちがうしー」」 …男子トイレの扉の前で、5人の女子たちがたむろして談笑していた。目のまえに立ちはだかる10本もの美脚は、ときどきローファーの位置を踏み変えながら豊満な太もものお肉をたぷんっ…♡と揺らしている。別のクラスの知らない女子たちだ。 うう、出来れば話しかけたくない…。というか、気づかれずにさっさとトイレに行って教室に戻りたいのに。ただでさえここに来るまでに、小さな身体を視認されてはひそひそと後ろの女子が話し始めるのを背中で感じていた。…落ちこぼれの烙印ともいえる、1/2の小さな体格。 「あ、の……」 「「あはははっ!」」 「「もー、なにそれー」」 おずおずと出した俺の言葉は、同級生女子たちの快活な笑い声と談笑によって圧倒的にかき消される。視覚で気づかれなければ、声で気づいてもらうしかない。しかし盛り上がる女子たちの会話の音量は凄まじく、腰元からか細い声帯で声をかけようとしても、簡単には気付いてくれない。 「えっと、どいてほしいんだけど……」 「「そういえば、皆テストの結果どうだったの?」」 「「あたしはちゃんと勉強したからバッチリだったよ~」」 「「えー、私は微妙だったな~。半分より少し上くらい」」 あまりに気づいてもらえず、どんどん惨めな気持ちになってくる。どうすれば、いいんだ。近づいても、その存在に気づかれない。これ以上近づいたら、女子たちの脚に無言で超接近する変態男子のレッテルを貼られるだけだ。既にスカートの奥が見えてしまいそうなアングルで、距離を詰めることなんてできなかった。じゃあ、大声を出すしかない?…そんな勇気も出ない。5人の巨体を前に、楽しげな会話を大声で止めてしまうことが、憚られるというよりも少し怖いのだ。 「………」 結果。集まって談笑している女子たちとトイレのドアの間には少しだけ隙間があるのを見つけ、俺はこそこそと女子たちの背後からドアに近づき、少しだけドアを開けてトイレにするりと入り込む戦法を取ることにした。 「「点が悪かったら縮小されるって話、本当なのかな?」」 「く……」 50cmという至近距離で、目の前に見知らぬ女子のスカートに包まれたお尻が位置する中で。俺はドアノブにギリギリ手が届かないことに軽く絶望する。思い切り背伸びをして、ドアノブに指がかかり始めたそのとき。 「「なんか隣のクラスで点が悪かった男子が……きゃっ!」」 むにゅっ…♡ 「んぐっ……!?」 目の前の女子が、何となく男子トイレの扉に背中を預けようと体重移動をして。 その結果、ドアノブの下で格闘していた俺の顔面に、紺色のスカートに包まれた大きなお尻が押し込まれたのだった。 「「わわ、びっくりした~……え、男子…?」」 「「ちっちゃ…あ、もしかして」」 強烈に柔らかく大きなお尻の感触は、すぐに顔から離れていった。一瞬、2つのお尻の柔らかなお肉に挟み込まれた感触。8倍の体重で押し込まれたお尻の圧力はとてつもなく、一瞬の接触にも関わらずその柔らかさと匂いが顔面に刻み込まれる。 「「テストで縮小されたって男子じゃない…?」」 「「ほんとだ」」 「「すごい、半分くらいの大きさになっちゃってる」」 腰元でうろたえる俺を視認した女子たちが、上空でひそひそと会話する。事故とはいえお尻を触られてしまったこととか、声も出さずに接近していたことに対して、何か咎めるような雰囲気は無く。 「「もしかしてトイレ入りたかったんじゃない?」」 「「あ、なるほど…ごめんね~」」 先程俺の顔にお尻からもたれかかった女子が、膝に手をついて俺に顔を近づけながら謝ってくる。普通に謝っているだけの態度のはずなのに、膝に手をついて見下ろされたアングルも手伝って、小学生扱いされているようにしか感じなかった。 「「ドアノブに届かないんじゃないの?」」 「「マジで?」」 「う……」 そそくさとトイレの中に逃げ込みたいのに、身長のせいでドアを開くことができない。それを女子たちに悟られて、恥ずかしくて俯いてしまう。 「「開けてあげるよ、はい」」 ギイッ…… 軽々とドアノブを捻って男子トイレのドアを開けてくれる同級生女子。ここまでしてもらって、お礼を言わないわけにはいかない。 「あ、ありがとう…」 「「あはは、どういたしまして」」 さわっ…♡ (……え) すごく自然な手つきで。大きな同級生女子の手のひらが俺の頭の上に着地し、軽く撫でる。温かくて柔らかな女子の手の感触が頭いっぱいに広がり、一瞬その気持ち良さに目を細めてしまう。 「「って、何頭撫でてるの」」 「「あ、ごめん…なんか自然に」」 「「小学生じゃないんだから~」」 笑いながら手を引っ込める女子。本当に無意識に手が出てしまったのか、少し苦笑しながら。 「っ~……」 あまりの恥ずかしさに、俺は何も言うことができず。 急いでトイレの中に入り、全身でドアを押して閉めるのだった。 ------ そして、教室に戻ると。 「「うそ、柚子も小さくなっちゃったの…?」」 「「大丈夫?身体痛くない?」」 「う、うん……だい、じょうぶ、だけど……」 クラスメート女子の一人である、小山柚子。 今日は事情により遅刻しますと、先生が言っていたが。 「「まさかうちのクラスで2人も小さくされちゃうなんてね」」 俺と同じサイズ感になった小山が遅れて投稿してきて、大きな女子たちに心配されながら取り囲まれている最中だった。 ---続く---

【限定小説】全国共通縮小テスト②~同級生女子の無意識な圧力~

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