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【無料小説】全国共通縮小テスト①~転落の始まり~

縮小薬が初めて開発された時。 人々はそれを娯楽用の道具とか、小さな場所に入って細かい作業をするのに役立つとか、それくらいの活用方法しか思いついていなかった。 人体を縮小する。その薬が世界に与えるインパクトは、そんなもんじゃなかった。 『昨日、発展途上国である〇〇が、総国民の2倍縮小化法案を可決しました。これにより、政権に関わる人物以外の全国民が、縮小薬により人体を1/2に縮めることになります...』 「......」 スマホから当たり前のように流れてくるニュースの内容は、特に目新しいものではない。 平たく言えば、人間を縮小することは、"口減らし"になるのだ。 体の大きさが1/2になれば、必要なエネルギー量は1/8〜1/4くらいに減るらしい。1/4にまで縮めば、さらにエネルギーは必要なくなる。この事実は、昨今の異常気象や人口爆発による食糧不足を根本から解決してしまう。 「何みてんの?」 「わ!...急に覗くなよ...」 「ああ...また縮小化法案のニュースかあ」 「...また、だな」 休み時間にスマホでニュースを見ていたところを、クラスの女子の七島に覗き込まれる。七島は特に驚きもせず、図々しくも俺の机に肘をつきながら、スマホの画面を眺めている。 「こんなに簡単に人をちっちゃくして、本当に大丈夫なのかな?」 「うん...少なくとも日本では、そんな簡単にいかないんじゃないかな」 「ふぅーん?知ったような口聞いちゃって〜♪」 「うるさいな!聞いてきたくせに」 「あはは」 バスケ部らしく快活に笑う七島は、そのまま渡り鳥のように別の女子グループの中へ混ざっていった。 ...日本では、そんな簡単にはいかない。少なくとも、人間を縮めるということは、生産性まで縮めてしまうことを意味する。現場作業や接客業はもちろんのこと、PCを使うことだって容易には出来なくなる。口減らしのために国民を縮小しても、食糧を生み出す力まで縮小してしまっては元も子もない。 その事実はやがて、残酷な考え方に行き着いてしまう。 ...生産性が低い人間は、縮めてしまえばよいのだと。 元々能力が低い人間は、身体が縮小したとしても生産性の損失は少ない。それよりも、摂取する食糧の量が少なくなることでの利益の方が上回るのだ。 そんな残酷な考えのもと、特に食糧難が深刻な発展途上国では、よく国民が理不尽に縮小されるニュースが相次いでいた。 「私もちっちゃくなってみたいな〜こんなに身長いらないし...」 「あはは、春の背が低くなったらバレー部のみんなが困っちゃうよ?」 「日菜は1/2になっただけで見えなくなりそー」 「うっさいなぁ!私だって最近成長痛すごいんだから」 女子だらけの教室で、キャピキャピと女子高生の軽口が飛び交う。昨今の男子出生率減少の影響をモロに受けたこの地域では、クラスに男子が1,2人しかいないことが普通だった。俺以外に男子がいない特殊な教室で、好き好きに振る舞う女子の中で少しだけ肩身は狭い。 「原田くん...これ、昨日先生が配ってたプリントだよ」 「あ、ああ、ありがとう」 吹奏楽部の真中が、社交辞令っぽい笑顔を浮かべながらプリントを渡してくる。礼を言いつつ受け取れば、そのまま素早く去っていった。 やっぱり、浮いてるよな、俺。七島みたいに分け隔てなく男子に接するタイプの女子も少しはいるけど。一人しかいない男子の扱いに微妙に困っている、というか距離をとっている女子がほとんどだった。 特に運動が得意なわけでも、勉強ができるわけでもない。特段顔がいいわけでもない。平均的な能力を持った男子高校生は、例え教室に一人という希少性があったとしても、女子からは興味を持たれないみたいだった。 せめて、もう少し勉強が得意だったらな。...別にそこまで頭が悪いわけじゃないけど。仮に日本でも縮小化の法案が可決されたとしても、流石に縮小化の対象とはならない程度ではあるはずだ。 そんな、刺激の少ない高校生活を送っていたところに。 変化は突然やってくる。 「えー、昨日ニュースで見た人が多いと思いますが...この日本でも、縮小化法案が可決されました」 朝の号令の時間。担任の佐橋先生は、やや戸惑った態度で話し始めた。 「想像以上に日本の食糧不足は深刻だったみたいで...。これからは一部の日本人は、身体を縮小化させて生活することになるみたいです。ちゃんと生活できるように国からのサポートはあるので、心配せずに...」 ざわざわ。さざ波のような話し声が教室に広がる。自分にとってそのニュースがどんな影響を及ぼすのか、にわかには想像がつかなくて。 しかし、先生の次の言葉が、ふわっとした想像を確定的なものにする。 「高校1年生の最後に、全国共通のテストを行うことになりました。そこで...全国で下から10%の成績だった人は、えっと...身体を1/2の大きさまで縮小してもらいます」 「え、うちらにも関係あるの!?」 「縮小するって...それ、いつ戻れるの...?」 「そんなの絶対イヤなんだけど」 「でも10%でしょ?大丈夫じゃない?」 教室は一気に蜂の巣を突いたような騒ぎとなる。俺は先生の言った内容がすぐに飲み込めず、ただ戸惑いながら周囲の喧騒を眺めていた。 「一度縮小したら、元に戻るタイミングはないみたいです...なかなか厳しい制度ですけど...なので、皆さん頑張って勉強しましょうね」 どこか申し訳なさそうに話す先生の言葉に、全員が黙ってしまう。衝撃的な内容だった。元に、戻れない?今年のテストの結果次第で、一生半分の身長のまま、生活しなければいけない? 「それと、2年生になってからは3ヶ月ごとに全国共通の定期テストがあるので...そこでも下から10%の成績だった人は、さらに1/2に縮小してもらうことになります」 「そんなに小さくなって大丈夫なの...?」 「ちょっと先生!急にそんなこと言われても...!」 「や、やだ、わたし自信ないよぉ...」 女子生徒たちの詰問に、しかし先生が決めた訳でもない法案の弁明をできるはずもなく。佐橋先生は苦笑いをしてなだめるだけだった。 「と、とにかく...最初の共通テストまであと1ヶ月しかないので、ちゃんと準備しましょうね」 こうして。 全国の落ちこぼれを選定する残酷なレースが、正式に幕を開けてしまった。 「ねえ、ちゃんと勉強したー?」 「したけど...私は流石に10%の中には入らないかなあ」 「柚子はどうなの?自信ありそ?」 「う...わたし、頭良くないし...ダメかも...」 最初の共通テストの日。流石に教室の中はテストの話で持ちきりで、お互いにどれだけ勉強してきたかを確かめ合う会話ばかりが飛び交っていた。割と平然としている女子もいれば、明らかに自信無さげな女子もいて。特に内気な女子の小山柚子はずっと不安げな様子だった。 まずかった。昨日緊張しすぎて、実は一睡も眠れていない。ちゃんと実力を出せれば問題ないはずなんだけど、あまりに頭がボーッとしている。思考を纏めようとしても、輪郭がぼやけて崩れていってしまう。 ...大丈夫だ。実力の7割でも出せば、さすがに下位10%に入るわけがない。 この高校自体、平均よりは頭が良いわけで。実際のところは、縮小対象になる生徒は一人も生まれないのではないか。...逆に、もしその中で対象になったら目立つだろうけど。 「それでは、最初の教科のテストを始めますよー」 心のどこかに不安を残しつつ。重大な意味を持つはずの共通テストが、あっさりと始まってしまった。 ------ 「.........」 2週間後、日曜の夜。 寮の部屋に届いた共通テストの結果通知書の中身を見て、俺は絶句していた。 「合計点数132点、全国順位...」 全国の高校1年生の点数分布を示すグラフの中に、自分の位置が矢印で示されている。 下位から8%の場所に、俺の矢印は置かれていた。 (い、いや、確かに寝不足で調子悪かったけど、こんな...!) 想像を超えた成績の悪さを目の当たりにして、背筋を冷や汗が流れる。焦って、各教科の採点結果をめくっていく。 概要としては。ケアレスミスが多すぎた。解答欄を間違えていたり、単純な最初の計算でミスしていたり。まともな頭で受けていればもう少し点数は良かっただろう。 え、いや...俺、身体を縮めなければいけないのか? 全く予想していなかった未来に、頭が追いつかない。普通にそんなの嫌だ。自分だけ身長が1/2になるなんて、生活しづらいに決まってるし、以前よりも増して女子から異性としての興味を持たれなくなるに決まっている。女子全員より背の低い男子なんて、あまりに惨めだ。 (...薬さえ飲まなければいいんだよな。いっそ、こっそり高校を辞めて逃げれば...。そのうち親にバレるかもしれないけど、一生小さくなるよりは...) 地元である離島から遠く離れたこの学校に通うべく、寮生活を送っている今の状況。脱走して通報されても、とりあえずどこかに逃げてしまえば。 とにかく縮小される未来から逃れることに頭を働かせていた、その時。 ドクン。 「っ...!?」 唐突に心臓が跳ね、体が熱くなるのを感じる。単なる風邪とは全く違う激しい症状に、胸を抑えて床に這いつくばる。なんだ、この苦しさは。 「はっ...!う、ぐ......!?」 息が苦しい。視界が歪む。救急車を呼ばなければ。床に這いつくばったまま、落ちていたスマホに震える手を伸ばす。そのとき、床に散らばってしまった結果通知書の紙切れの一つが、目に入った。 『縮小対象に該当する方には、学校の協力のもと、既に縮小薬を投与しています。テストの結果通知が届く頃に効果が出るため、ご認識ください』 なんだ、もう投与してるってのは。まさか。脱走する可能性を見越して、結果を通知する前に盛られていたのか。給食、寮のご飯。...心当たりが多すぎる。 「あ、あ...が......」 視界が膨張していく。よく周りを見れば、あらゆる物体がみるみる大きくなっていく。俺は今この瞬間、身体が縮んでいっているのだ。 やがて身体の熱さが引き、心臓の鼓動が落ち着き、あれだけ異常をきたしていたのが嘘のように、健康状態に戻った。 そして。 俺は、1/2の世界に、放り出されてしまったのだ。 ------ 「っ......」 次の日、月曜の朝。俺はいつも着く時間よりも30分も早く、教室にたどり着いていた。 身体が小さくなったことで、寮の部屋から教室に移動するのにどれくらい時間がかかるか不安で。異常に早く、部屋を出てしまったのだ。...結果、廊下は少し息切れするくらい長く、階段は一段登るだけで重労働だったが、それでも教室には一番乗りだった。 (こんな、広かったっけ...) 誰もまだいない、膨張した教室を目の当たりにして、俺は生唾を飲み込む。そもそも入り口のドアがあまりに高く、なんとか背伸びをして取っ手に手がかかるくらいで。全力で引き戸を動かせば、体育館とも思えるくらいの広い教室が待ち構えていた。 今まで当たり前のように使っていた椅子と机が、大きすぎる。ちょうど、椅子と机の高さと自分の身長が同じくらいだった。自分の身長くらいの椅子と机がズラリと並んでいる様子はそれだけで壮観で、少し圧迫感というか、大きなものに囲まれているプレッシャーすら感じた。今の俺では、座面に手をかけて何とかよじ登らないと、椅子に座ることができない。椅子に座っても机の板に届きやしない。こんな大きなものに座れてしまう人間の大きさを想像し、ゾッとする。 …昨日の夜に身体が縮んでから今に至るまで、まだ誰一人として会っていない。あんまり朝早くに寮を出たので、誰もいない玄関、誰もいない廊下を突っ切ってこの教室にたどり着いたのだ。…あと15分もすれば、次々に生徒たちが登校してくる。クラスメートの女子たちが、次々にこの教室に入ってくる。 (………いやだ、会いたくない……帰ろうか……) 女子たちにこの姿を見られるのが、何より嫌だった。全国の高校1年生の下位10%という、あまりに不名誉な結果。俺はそこまで頭が悪いキャラクターでも無かったから、実は頭が悪かったんだ、要領が悪いんだ、と思われることがとてつもなく恥ずかしく、惨めだった。…そしてこの姿。一応男だから、クラスのほとんどの女子よりは背が高かった。それがもう、どの女子よりも低くなってしまう。背が小さいことを日頃からイジられている谷川日菜よりも、圧倒的に小さく。 ドンッ……ドンッ…… 「っ……!?」ビクッ… と。教室で呆然と立っていた俺は、遠くの方から少し重い歩行音が聞こえてくることに気づいた。 ドンッ……ドンッ…… 廊下を誰かが歩いている。早めに登校してきた生徒だろうか。うちの教室の女子だろうか。 (床、揺れて……) その歩行の度に、教室の床がズンッ…と振動するのを感じる。…嘘だろ。ただ生徒が廊下を歩いているだけで、こんなあからさまに振動を感じるものなのか。俺が1/2の大きさになったからとはいえ、身体の奥まで伝わるくらいの鈍い振動がただの歩行で起こされるなんて。 ドンッ……ドンッ……ドンッ……!! (っ……!!来る……) どんどん近づいてくる歩行音。その音は隣の教室のドアの位置を通り過ぎていて、この先には今俺がいる教室しかない。間違いなく、同じクラスの女子の誰かだ。…来てしまう。この振動を起こしている張本人が、俺の身長の2倍の大きさとなった女子が、目の前のドアから今にも入ってきてしまう。いっそ、隠れてしまいたい。そこの掃除道具入れにでも隠れて…。 軽くパニックになっていた、次の瞬間。 ガラガラッ…!! 「「おはようございまーす…」」 目の前で開け放たれたドアの向こうに立っていたのは。 同じクラスの吹奏楽部の女子。真中詩織だった。 「………あ……」 その姿を目の当たりにして。俺は声を出すことができなかった。 目線の先には、学校指定の紺色のスカート。吹奏楽部にしてはやや短く折り曲げているそのスカートは、今の俺の身長と全く同じ高さにあって。そこから直下に伸びている2本の太ももは、こちらが恥ずかしくて目を背けたくなってしまう程惜しげもなく曝け出されている。いや、本人からしたらいつも通りスカートを履いているだけなのかもしれないが、小学生以下のサイズとなった今、あまりに目の前に生脚が披露されていて、目線のやり場に困ってしまう。 そこから少し見上げれば、紺色と白色が混ざり合ったセーラー服。見慣れたはずのセーラー服を纏った上半身は、しかし見慣れないボリューム感を纏って俺を上から見下ろしてくる。華奢だった真中の身体は、前とは段違いの圧迫感を持って目の前に立ちはだかっているのだ。セーラー服の裾からほんの少し見えているお腹の生肌、すらりと伸びた両手、膨れ上がった胸。そして、もはや手の届かない位置にある、真中の顔。綺麗なセミロングの黒髪をたたえたその顔は、ちょっと大人びた顔立ちで。割と真面目な性格だが、気さくで友達が多いイメージの真中は、しかし今この瞬間、明らかに俺の方を見ていなかった。 「「ん……一番乗りか」」 (……え?) 俺の基準で3歩先にいる真中は、俺の奥にある教室の景色に目線を据えている。…そんな。目の前に立っているのに、見えていないのか。ちょっと目線を下げれば気づくはずなのに、そもそもこの高さに人間がいる想定なんてしていないのか。 ズッ…… そのまま真中が、眩しく白い太ももを持ち上げて、教室内に一歩を踏み出そうとする。すぐ目の前に立っていた俺はとっさのことに声を出すことができず、自分の胴体に匹敵するほど大きな生脚が自分目がけて踏み出されようとする光景に、パニックになりながら動けすらしない。スカートの裾を持ち上げながら浮き上がった太ももとふくらはぎは、力が入って少し筋肉の形が浮き出ていて。 その美しくもたくましい美脚に、生物的な恐怖本能を感じてしまった。 今の俺は、この脚に勝てない。一思いに蹴られでもしたら、どれだけの怪我を負わされるか分からない。 逃げなければ。甘い匂いと共に迫りくる真中の脚に、後ずさろうとして、バランスを崩し。 ドンッ…!!! 「ひぃっ……!?」 尻餅をついた俺の目の前に、容赦なく美脚が振り下ろされたのだった。ぶるんっ…♡とふくらはぎと太ももの豊満なお肉が揺れ、2倍女子のたくましい肉体を追撃のように見せつけてくる。 「「え……?…ひゃあっ!?」」 そして悲鳴を上げた俺の声に、ようやく真中は気付いたようで。足元で腰を抜かしてへたり込んでいる小さな男子を視界に入れた途端、真中も悲鳴を上げて口元を手で押さえる。 「「な、なに、誰……?びっくりした……」」 踏み出した脚はそのままに、未だびっくりした表情で足元の俺を見下ろす真中。…すぐにピンとくるはずもなく、自分のクラスメートではない何者かが教室にいるという状況にただただ困惑している。…俺はすぐに弁明、というか自分であると知らせようとするのだが、目の前に振り下ろされた生足の迫力に何も言うことができなかった。力が込められて少し隆起した太ももの筋肉に睨まれ、それでいてギリギリスカートの中が見えないくらいの際どいローアングル。ふわふわ柔らかな内ももの、日常では見られない付け根に近い部分の生肌まで見えていて、思わず俯いて目をそらしてしまう。 「「…ぼく、どうしたの?ここに入ってきちゃダメだよ?」」 膝に手をついて上半身を傾け、真中はこんなセリフを俺に投げかけたのだった。 小さな俺は、もはやクラスメートの原田康太として認識されなかった。…こんな小さな高校生がいるわけがない。一目見ただけで小学生だと決めつけられた俺のプライドは、いきなり崩れ落ちてしまった。 「…や、そうじゃなくて、…お、俺だよ。原田」 艶光る黒髪を耳元から垂らしながら、"お姉さん"といった表情でこちらを見下ろす真中に。俺は何とか声を出し、状況を伝える。 「「原田…?ぼく、原田くんっていうの?…おうちはどこかな?」」 優しい包容力のある表情を浮かべながら、家の場所を聞かれる。完全に子ども扱いだった。同級生の女子に圧倒的に上から見下ろされ、子ども扱いされ、もう恥ずかしさの極致だった。異常に近い距離感によってなんだかシャンプーの良い香りまでし始め、俺は色々な感情に振り回されて顔が真っ赤になってしまう。 「ちがうって、だから、原田だよ!原田康太!同じクラスメートの!」 もうやけくそになって、顔を赤くしたまま真中の足元でわめきたてる。身体が小さくなることで、まさか自分として認識すらされなくなるなんて、想像していなかった。 「「……え?…いや、でも……。っ…!ま、まさか…!?」」 真中の表情が、戸惑いから、何かに思い当たり、驚愕へと変わっていく。この時期に、見知っていたクラスの男子が突然ありえない身長まで縮むなんて。日本中の高校生の誰もが、同じ結論に至るはずだ。 「「は、原田くん…定期テスト、悪かったの…?」」 膝に手を当てて見下ろした体勢のまま、やや遠慮がちに聞かれる。一瞬で察してしまった真中は気を遣った様子で、恐る恐る状況を確認してくる。それに自ら答えなければいけないというのは、本当に惨めだった。 「そう…だよ。成績が悪かったから、縮められたんだ」 「「そんな……うちのクラスで、縮小される人が出るなんて…」」 どこか他人事だと思っていたことが、自分に近い場所で起きてしまった。戸惑いと少しの恐怖が感じられる表情を浮かべた真中は、唇に手を当てながら気の毒そうに俺の姿を見下ろす。未だ自分の大きな生脚が、クラスメートの男子に威圧感を与えていることに気づかずに。 「「ご、ごめん、驚かせちゃったんだよね。立てる?」」 真中はようやく大きな右脚を引き下がらせ、代わりに上から手を差し出した。俺は反射的に手を出すと、自分の手の4倍の面積を誇る巨大な真中の手に、手首まで丸ごと包み込まれる。 ぎゅうっ…… (っ……!!) そこまで仲が良かったわけでも無い女子といきなり手を繋いだドキドキ感もさることながら、全力で力を入れられたら手首ごと折れてしまいそうなたくましい真中の手に、内心ビクビクする。柔らかくて温かな手のひらは強靭な力で俺の身体を引っ張り上げ、簡単に俺は立位の姿勢まで戻された。 「「そっか…でも、これから大変だね……」」 自分の腰元にも満たない小さな男子を見下ろし、やはり気の毒そうに、気まずそうに、真中は声をかける。俺は通常とは違う女子との距離感が気まずく、何も言い返すことができない。普通の身長だったら、何も緊張することなんてないのに。 目の前の巨大な女子を前に、何を言えばよいのか。何を言ってしまっても良いのか。 頭の中に新しいフィルターが出来てしまったようだった。 ドンッ…ドンッ…!! 「「おはよ~、あ、詩織来てるじゃん」」 「「なに入り口の前で立ってるのー?」」 「「ん、その男の子、誰?小学生の子?」」 そして。 2倍の体躯を持った女子たちが次々に教室へとたどり着き。 俺は乱立する美脚の中に、巻き込まれてしまうのだった。 ---続く---

【無料小説】全国共通縮小テスト①~転落の始まり~

Comments

この仮説は本当に素晴らしいです。この男の子はクラス全体の女の子のペットになるかもしれないと思います。

交际花

女子高生ならではの太ももシチュエーションが楽しみです!

さかな

とても妄想が捗る設定ですね!続きが楽しみです。 進級して間もないということは身体測定や体力テストも近い時期なのでワクワクしちゃいます。

dederugon

途中からリアルGTSでは無くなるかも...?

konan

ありがとうございます!次回もお楽しみに😌

konan

いつもありがとうございます😊

konan

お待ちしておりました! 今日も楽しく読ませていただきました !

mmmros

男子を一人だけにした設定はめちゃくちゃ良いです。続きが楽しみ!

ポジノ

リアルGTSですか!楽しみです!

ろまん


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