高校2年生になって間もない、春先。少し引っ込み思案な性格の私は、未だにクラスに仲の良い友達ができていなかった。 大人しいね、とよく言われる私は自分から積極的に話しかけることができず、気づいたら周りで既にグループが出来上がっていた。クラス替えから1か月経った今、そこに入り込んでいくのも気が引けた。 1年生の時も同じようなものだった。教室で会ったら話す程度の友達はいたが、放課後に遊ぶほどの仲ではない。そんな感じだった。 …別にいい。元々一人が好きだし、一人で平穏に過ごしていければそれでいい。 そう思っていたある日、私は地獄に落とされた。 ------ 「ねえ、これ見てよ。北原ちゃんの着替え、撮れちゃったんだよねー」 クラスの中でも活発な女子、倉沢由香に空き教室に呼び出され、いきなりスマホを突き付けられた。体育の時間に着替える、下着姿の自分の動画を見て血の気が引く。 「この動画さ、SNSとかに上げちゃおっかなー」 恫喝だ。私は今、目の前の女に脅されている。…私は何をされるのだろう。何でもない日常だった今日が一変し、脳がふらふらして吐き気がしてくる。 「お願い…やめて…ください…」 震える声で、懇願する。 「じゃあ、今日の放課後、うちに来てよ。いいものあげるから」 にやついた顔で倉沢が言う。その醜悪な表情に、嫌悪感を覚える。 …倉沢には悪い噂があった。1年の頃、クラスの一部の女子をイジメていたという噂。教室でからかったり、お金を巻き上げたり。倉沢と仲の良い何人かの女子が徒党を組んで、そんなイジメを働いていたらしい。 そんな倉沢の家に行かなければいけないなど、絶対に嫌だった。こんな脅しみたいなことをされ、その流れで連れていかれたら、何をされるか分かったものじゃない。 「え、えっと…」 「何、嫌なの?裏垢で北原ちゃんの下着姿、拡散しちゃっていいの?」 「っ…!い、嫌じゃない…です…」 「おっけー。じゃあまた後でねー」 そう言い残し、倉沢は空き教室から出ていった。私は倉沢のイジメの標的になりかけていることを恐怖し、絶望し。 その場からしばらく動けなかった。 ------ 放課後、制服のまま重い足取りで倉沢の家まで向かう。 場所は知っていた。地元で一番有名な病院が、倉沢の実家なのだ。倉沢の父親は医者であり、病院の横に併設された家はかなり立派な外観をしていた。 地元で名の通った親なので、倉沢のイジメも表面化しづらく、何度ももみ消されてきたそうだ。そんな噂は私の耳にも入っていた。 最悪の気分で、病院の裏の家のインターホンを鳴らす。 『はい』 インターホンから倉沢の声が聞こえた。 「えっと…北原、です……」 『じゃあ2階の部屋まで上がってきてー』 ブツン、とインターホンの通話が切れた。 私はそのまま家に上がる。父親は病院で仕事、母親も別の職場で働いているらしく、この家には倉沢しかいないことを事前に知らされていた。私は階段を上がり、2階にあるという倉沢の部屋の前までたどり着いた。 入りたくない部屋の前で、ドアをノックする。 「入ってー」 倉沢の声がしてから、ドアを開ける。 そこは、女子高校生らしい綺麗な部屋だった。ベッドや勉強机、テレビやソファなど、快適そうな家具が一式揃っている。 そのソファに、倉沢とそのお友達らしき女子が1人座っている。さらに、ローテーブルを挟んでソファの向かい側に、座椅子に座った女子が1人。計3人の女子高生が、にやにやしながらこちらを見ている。倉沢以外の2人は面識が無かったが、同じ学校の制服を着ていた。同学年の別クラスの女子だろうか。 「まあまあ、こっち座りなよ」 「う、うん…」 倉沢とそのお友達の間に座らされる。私は緊張感で気持ち悪くなり、浅い呼吸をしながらソファに座る。左隣から、倉沢が笑みを浮かべながら覗き込んでくる。…腹正しいのは、倉沢の顔が世間一般でいう"可愛い"顔だということだ。黒髪ショートにくっきりとした目、形の良い鼻に綺麗な唇。その整った顔の内側に、醜悪な性格が潜んでいることに気づいていない男子は多い。 倉沢が私の太ももを撫でながら、甘ったるい声で囁く。 「うちのお父さんから盗んできた健康薬があるんだけどさ、飲んでみない?」 私の右側に座っている茶髪の女子の手に、白い錠剤が握られていた。すぐにやばい薬だと察知し、手に汗が滲み出始める。 「い、いや…」 「最近、うちらの間で流行ってるんだよねー。頭がすっきりして体調がよくなるから、毎日飲んでるんだ」 動悸が早くなり、気分が悪くなってくる。…断らなければ。逃げなければ。こんな得体のしれない薬を、飲めるわけがない。しかしいつのまにか、左右から手をがっちりと掴まれていることに気づく。 「わ、わたし、薬とかちょっと苦手で…」 必死で苦笑いをしながら断ろうとする。すると、倉沢の表情が一変する。 「断る気?学校で見せた動画のこと、もう忘れちゃった?」 スマホを振りながら、再度脅される。あんな動画を拡散されたら、もう学校に行けなくなる。でも、こんな危険そうな薬、絶対に飲みたくない…! 「可憐、ちょっと抑えといて」 「うん」 可憐と呼ばれた、右側に座っていた茶髪の女子に、両腕を後ろで拘束される。 「いやっ、やめて…!」 「あんま暴れない方がいいよー?」 拘束された私を、テーブルの対面側に座っていた金髪ロングのチャラついた女子が、頬ずえをつきながらのんびり眺めている。 「ほーら、口開けなさい」 私は倉沢に顔を掴まれ、無理やり口を開けさせられる。そして茶髪の女子から白い錠剤受け取ると、私の口の中に放り込んだ。 「んぐっ!!」 「はい、飲んでね」 そのまま、ペットボトルの水を強引に流しこまれる。 「がほっ!!ごぼごぼっ!!」 流し込まれる水で窒息しそうになる。必死で暴れるも、後ろから強い力で羽交い絞めにされて逃げられない。 そして、 「がふっ!!…ごくんっ…」 身体が反射的に、水を飲み込んでしまった。もちろんその中にあった錠剤も一緒に。 「よし、飲んだかなー」 「すぐに気持ちよくなるよ」 「げほっ、げほっ……」 私はむせながら、怪しい薬を本当に飲んでしまったことを認識する。…私は、どうなってしまうのだろう。 すると、すぐに頭がふらふらしてきて、視界が白くなってくるのが分かった。明らかに、今飲んだ薬の効果が劇的に効き始めていた。 …そのまま私は、頭で何かを考える暇もなく、瞬時に気を失ってしまった。 ------ 目が覚める。 「………」 私は仰向けになって倒れていた。見慣れない天井が視界に映っている。固い茶色の床に寝ていたみたいで、少しだけ身体が痛い。 …記憶は割とはっきりしていた。私は意識を失ったのだ。意識を失う前に、薬を飲まされたことも思いだす。ひとまず身体の異常を探すも、とりあえず気分の悪さや激しい痛みは感じない。 「「おはよー♪」」 「ひっ…!!」 嫌悪感を覚える大音量の声が、上空から響き渡る。人の声量としては聞いたことのないレベルの大きな声に、驚いて飛び上がる。 「「ちゃんと小さくなったね」」 爆音が響いてくる方角を向くと、そこには信じられない光景が広がっていた。 先ほどソファに座っていた倉沢と、可憐と呼ばれていた茶髪。その2人が、とてつもなく大きく見えるのだ。ソファに座った体勢で、こちらを遥か高くから見下ろしていた。まるで巨人のような姿に、混乱して何も考えられなくなる。 「「やっぱ小さくなった人間って可愛いな~」」 「いやっ…!!」 突然背後で爆音が鳴り響き、振り向きながら腰を抜かして倒れてしまう。振り向いて倒れた私の視界は、大きな女の顔で埋め尽くされていた。 「あ…あ……なに…これ……」 声を詰まらせ、私は尻もちをついたまま後ろに下がり、大きすぎる人の顔らしき物体から距離を取ろうとする。 「「驚いてる、ちょーかわいいー」」 目の前の巨大な顔が動き、大音量の声を唇から放つ。この巨人は作り物でも何でもなく、実際に動いて生きている。…というか、先ほど座椅子に座っていた金髪ロングの女子と、全く顔が同じだった。自分の身に何が起きたか、少しづつ分かり始める。 「「北原ちゃーん、こっち向いてよ」」 倉沢の巨大な声が後ろ上空から響く。反射的に振り向くと、 ズンッ!!!!ビリビリビリッ…… 「きゃあっっ!!??」 いきなり何か巨大な物体が空から降ってきて、私のすぐ横に激しい衝撃音を立てて着地した。私は何が起きたか分からず絶叫し、頭を抱えてうずくまる。物体が着地した衝撃で、床がビリビリと振動し続ける。 「「ほら、こっち見なよ」」 うずくまった私は、恐る恐る降ってきた巨大物体を見る。その物体は肌色で、まるで人の足のような形をしている。…いや、これは紛れもなく人の足だ。倉沢が、巨人になってしまったのだろうか。それとも… 「「3cmくらいの大きさになった気分はどう?」」 巨大な素足の指をぐにゃりぐにゃりと曲げながら、頬杖をついた倉沢が醜悪な笑みを浮かべながら、こちらに声を降らせる。すぐにその素足から、生暖かい熱気と気分の悪い汗の匂いが漂ってくる。学校で一日ソックスを履いて生活をして散々蒸れた素足。それをこんなにも至近距離で置かれているのだ。 そして。ようやく自分が乗っている床が、ソファの前にあったローテーブルであることに気づく。にわかには信じられないが、私の身体は小さくなった状態で、ローテーブルの上に置かれているのだ。 「そんな…嘘……でしょ……」 「「あの薬の効き目、すごいでしょ。元々なんかの病気を治すための薬で、その副作用として一時的に身体が小さくなっちゃうんだよねー。今は使用が禁止されてるらしいけど、お父さんの部屋の戸棚にいっぱいしまってあったから、借り放題でさ」」 戻して、と声を出そうとしたが、目の前で蠢く巨大素足の圧倒的な存在感に気圧され、喉がキュッと閉まって喋れない。生物的な本能として、この巨大な素足の持ち主には逆らえないことを感じ取っていた。巨人となった倉沢の機嫌を損ねたら、何をされるか分からない。 「は、はい…すごい…です…」 恐怖で声を震わせながら、倉沢の発言を肯定する。 「「あははっ!!声震えすぎじゃん!!」」 「「そりゃ怖いよー、由香のおっきい足がすぐ傍にあるんだもん」」 「「踏まれないか怖いのー?」」 けたたましい女子高生の声が周囲から浴びせられ、目の前の巨大素足はバンッ!!バンッ!!とテーブルの表面を踏み鳴らす。背後からは、金髪の女子の巨大な顔から爆音と生暖かい吐息、鼻息が吹き付けられる。私は大きすぎる人間が起こす、災害のような現象に恐怖する。 「「これが怖いのかなー?」」 倉沢の巨大な素足が動き、かかとをつけたまま私の上にかざされる。私の身体は倉沢の足が作り出す影にすっぽりと入ってしまう。手入れされた足の裏の肌が、視界を埋め尽くす。…銃口を向けられたような感覚に、逃げようとしても身体が動かない。今倉沢が足先を少し動かせば、私の身体はこのすべすべの足裏に圧し潰されてしまうだろう。 「「えいっ♪」」 ぐぐぐっ… 「やっ、やめてっ…!!」 巨大な素足が私に向かって倒れ込む。私は必死で両手を伸ばし、大きな大きな足の裏を退けようとする。足の裏はむにむにとした感触で、私がいくら全力で押し返そうとしても、足裏の肌に力が吸収されてびくともしない。それどころか、しっとりと汗をかいた足裏からじゅわぁっ…と汗滴が滲み出し、私の手をべとべとに濡らす。倉沢の無意識な生理現象に身体を汚され、屈辱的な気分になる。 「「全然押し返せてないよ…ほらっ♪」」 むぎゅうぅぅぅっっ… 「やめっ…んぐぅぅ………!!」 さらに素足が圧倒的な力で倒れ込み、私を仰向けの体勢でローテーブルに倒れ込ませる。ビルのような巨人の足の力に勝てるはずもなく、そのままプレス機のように私の身体は押さえられる。全身がむにむにの巨大足裏に圧し潰される。世界が倉沢の素足に支配され、あまりの恐怖と屈辱で声も出ない。痛い、暑い、臭い。こんなやつの素足に顔面を擦り付けられながら、蒸れ蒸れの匂いを嗅がされ、内臓を圧迫されている。なのに、何も抵抗できない。 「「ほら、抵抗してみなよー♪潰しちゃうよ?」」 「「由香、力入れすぎたらその子死んじゃうよ~」」 けたけたと笑う凶悪な女子高生の声。私は屈辱で涙を流しながら、視界いっぱいに広がる足の裏を必死で殴りつける。 「「くすぐった…!」」 倉沢の声と共に、巨大な素足が離れていく。そのまま少し離れた場所に素足がズンッ…と降ろされる。私は上空にそびえる倉沢の顔を見上げ、睨みつけた。 「「ん?怒ってるの?」」 ふんぞり返っていた倉沢が身体を起こし、こちらに向かって巨大な手を伸ばしてくる。突然の動きに何をされるかも分からず、反射的に怯えてかがんでしまう。 すりっ…… 丸太のような指が、私の身体を這うように伸びてくる。指から放射される熱が尋常ではない。大蛇に絡まれた私は一切身体を動かせず、目を瞑って蛇が去っていくのを祈るしかった。 ぎゅっ…… 「痛っ……」 気づいたら、大きな親指と人差し指で、私の両手を摘ままれていた。 そのまま、巨人の手は上空へと持ち上がっていく。 「いやっ、ちょっとまってっ…!!」 倉沢が私の両手を摘まんで持ち上げたことで、私はバンザイの体勢のまま上空に連れ去られる。一瞬にしてビルのような高さまで生身で連れていかれ、しかも両手は倉沢の指で摘ままれているだけの状態。軽く高所恐怖症である私は全身が震え、声が出せなくなる。 そのまま、ソファに座った倉沢の顔の前まで持ち上げられた。 「「こーんなちっちゃいのに私を睨むなんて度胸あるねー♪」」 「ひっ…お、降ろしてっ…!!」 目の前の倉沢の巨大な顔が蠢き、ピンク色の巨大唇から吐息と爆音が浴びせられる。そのパーツ一つ一つがあまりにも大きく、歯向かえるわけがないことを思い知らされる。既に、倉沢の指先の動き一つで落下死させられる状態。なんの誇張もなく、私は倉沢に命を握られていた。 「「ほら、抵抗してみてよ♪」」 そう言いながら倉沢の指が伸びてきて、無抵抗な私の制服のスカートの裾を摘まむ。そしてそのまま、勢いよく下にずらして脱がされる。私は一瞬にして下着姿になった下半身を晒される。 「やめてっ!!」 「「反応かわいー♪」」 「「やっぱ縮めた子で遊ぶの楽しいね」」 名前も知らない茶髪と金髪の女子に、下着姿に剝かれた姿を見られて笑われる。両手は巨大指で縛り上げられ、私は惨めな恰好で抵抗することもできない。こんな、人間の尊厳を踏みにじるようないじめを、この女たちは日常的にやっているのか。 「「ほら、脱がされちゃっていいのー?」」 次は制服の上部分、ブレザーとシャツを器用に脱がされる。拒否しようにも、極太の指が私の腹と背中をがっちりと挟み込んでおり、すぐにでも摘み潰されるのではないかという恐怖で動けない。 「「あーあ…下着だけになっちゃったね」」 「いやっ…もう、やめてっ……」 ブラジャーとパンツと靴下だけの姿に剥かれた私は、依然として両手を摘まみ上げられた状態で倉沢の前にぶら下げられていた。 「「あははっ!!」」 むわあっ……♡ 愉快そうに笑う倉沢の大きく開けられた口から、生暖かい吐息が私の全身に浴びせられる。不愉快な暖かさと匂いに、思わず顔をしかめる。そんな私の反応も気にせず、倉沢は脱がせた私の小さな制服を手のひらに乗せ、にやにやとこちらを見つめている。 「「北原ちゃんの制服ってー、味するのかな?」」 「え…?」 不穏な台詞に、血の気が引く。 「「あーん♪」」 倉沢が大きな桃色の唇をにちゃぁっ…♡と開き、小さな制服を乗せた手のひらをゆっくりと傾けていく。 「やだっ!!それはやめてっ!!」 絶叫する私を横目で見てニヤニヤしつつ…倉沢はそのまま制服を口の中に放り込んだ。 「「ぐちゃっ、にちゃっ…♡」」 最悪の光景に絶望する。倉沢の大きな唇が何度も歪み、口内で唾液と制服が混じった状態でかき回されているのが分かる。にちゃっ…♡ぐちゅっ…♡とわざとらしく唾液音を響かせながら、私の制服が倉沢の汚いよだれでぐちゃぐちゃに汚されている様子を想像させられる。 「「あははっ!!由香がそれやるの久しぶりに見たー」」 「「それやるのホント可哀そうだからやめたげてよー♪」」 私は唇を噛みしめながら、涙目になって屈辱に耐える。 「「ぐちゅっ…♡…んんー…」」 形の良い巨大な唇の奥から、水泡がはじける不快な音と、倉沢のくぐもった声が響いてくる。そして、倉沢は、私を摘まんでいる手とは逆の左手を口の前に持ってきた。 「「んえー…」」 だらしなく開かれた唇から、むわっとした吐息と共に唾液の海が垂れ流れてくる。その唾液の海の中に、私の制服がぐちゃぐちゃにかき回されて唾液まみれになっているのが見える。とろーっ…♡と垂れた唾液と共に、それを存分に染み込んだ小さな制服が、倉沢の手のひらの上に着地した。 「「うわ、よだれでべちょべちょじゃん♪」」 「「かわいそ~」」 手のひらの上でよだれまみれになった制服を見せつけられる。 「なんでっ…なんでっ…」 私はあまりの仕打ちに泣き出してしまう。何故、こんなことをされなければいけないの。私が、何をしたっていうの。 「「あらら、泣いちゃった」」 倉沢は泣きじゃくる私をローテーブルの上に置き、 「「ほい」」 よだれまみれの制服を乗せた手のひらを傾け、べちょべちょの制服を私のすぐ隣に落下させた。 ぐしゃっ… 水分をたっぷり含んだ制服が音を立てて着地する。 「「それ、着て♪」」 「は…?」 テーブルに降ろされた私を、倉沢がいやらしい笑みを浮かべて見下ろしながら命令する。…そんなこと、出来るわけがない。こんな、こいつのよだれまみれになった制服なんか… 「「由香、えっぐ♪」」 「「あははっ!これ着たらやばいね~」」 「「はやく着てよ」」 「いや…でも…」 「「着ないと、この動画拡散しちゃうよ?」」 倉沢が巨大なスマホを取り出して、私に画面を近づける。昼間、学校で見せられた私の着替え盗撮動画。 「いやっ…やめて…」 「「逆に、これ着たら動画は消してあげるよ。どう?」」 「うっ…うぅ…」 動画は絶対に消してほしい。この動画という弱みがあることで、これからもずっといじめられるかもしれない。でも、それでも、倉沢の口から出てきた制服を着るなんて、そんなの… ドンッ!!!! 渋る私の真上から、巨大な手のひらが私の上に振り下ろされた。 「ああ…あ……」 言葉も出なかった。私は、振り下ろされた倉沢の手の、人差し指と中指の間にいた。あと数mでも手の位置がずれていたら、私の身体はぐちゃぐちゃに潰れてしまっていただろう。 「「早くしなさいよ」」 「わ…分かりました……」 私は震える身体を抑えながら、泣きじゃくりながら、よだれでべとべとになった制服を手に持つ。ベトベトで生暖かい感触に吐き気がする。よだれ臭さが思い切り制服に染み付き、制服に多少ついていただろう私の匂いは、倉沢の唾液の匂いで完全に上書きされていた。入念に洗ったとしても、この匂いはずっと消えないだろう。 「「わ、本当に着るんだ~」」 私を指で挟み込むように置かれた手のひらの圧力に怯えながら、私は息を止めて、そのべとべとの制服を見に纏っていく。肌にべっちょりよだれが張り付き、最悪の感触だった。ひとたび息を吸えば、生臭い唾液の匂いが一気に肺まで入ってくる。そのまま激しくむせてしまう。 「げほっ…げほっ!!」 「「やば…私のよだれでべちょべちょの制服、本当に着ちゃってるよ♪」」 「「きたなーい♪」」 よだれまみれの制服を着た私を、巨大な女子たちが見下ろし、嘲笑する。遥か高みからバカにされ、私はびしょ濡れの状態のまま反撃することすらできない。降り注ぐ笑い声から顔を背け、唇を噛みしめながらひたすら屈辱に耐える。 「「北原ちゃんは素直だね~」」 倉沢は心底楽しそうにそう言うと、スマホの画面を再び私に近づけた。 「「ほら、ちゃんと消してあげたよ」」 画面には、確かに先ほどの動画を削除完了した旨が表示されていた。私はとてつもない屈辱感の中で、約束を守ってもらえたことにほんの少しだけ安堵した。これで、こいつらに握られた弱みはなくなった。 「「あー楽しかった。このまま大きくなられたら汚いし、その辺の公園に置いてこよっか」」 「「そうだね~」」 「「北原ちゃん、だっけ?楽しかったよ♪」」 私は倉沢の巨大な指に強引に摘ままれ、移動する巨人たちと共に連れ去られた。 …移動している間、高所で摘ままれている恐怖と、巨人が歩く振動による酔いと、倉沢の唾液臭に包まれている惨めな気持ちで、感情がごちゃ混ぜになっていた。そのまま、だんだん意識も薄れていく。 ------ 次に気づいたら、私は近所の公園のベンチに横たわっていた。それも、元通りのサイズで。 (私…元に戻ったの…?) いつの間にか、薬の効果が切れていたのか。あたりを見渡すと、倉沢たちの姿はない。いつもの公園の景色だった。私は小さいまま倉沢たちに公園に捨てられ、その後時間が経って身体が元のサイズに戻ったのだろう。 (う…最悪…) 身を纏う制服が、未だ唾液でびしょびしょに濡れているのに気づく。依然として女子高生の生々しいよだれの匂いが全身に染み付いている。どうやって、洗濯しよう。制服から匂いは取れるだろうか。私の身体に、匂いは付いていないだろうか。この後のことを思うと気が滅入る。 (でも、もうあいつらにいじめられることはない) 着替えの動画は削除されたのだ。今、倉沢に握られている弱みはない。またあんな動画を取られないよう、気を付ければ良い。今日の屈辱は、今日だけのものだ。 (帰ろう…) 私は唾液で冷える身体を抱えながら、とぼとぼと帰路についた。 ------ 1週間後。私の身体に、わずかな異変が起き始めていた。 (っ………) 夜、自分の部屋で勉強しているとき。妙に、身体が火照っていることに気づいた。体調が悪いわけではない。何か、自分の欲求が満たされずに、もやもやする感覚。最近、そんな名状しがたい感情に突然陥ることが多くなっていた。 (なにか…変……) そんなとき何故か私は、倉沢たちに薬で小さくされて虐められたときのことを思いだすのだった。何故あのときのことを思いだすのか、分からない。自分の身体が小さくされ、圧倒的に大きな女子高生たちにいいように遊ばれ、踏みつけられ、おちょくられ。あの異様な光景を、私は1日に何回も思い出すようになっていた。 ------ さらに、1週間後。 「はあっ、はあっ…」 今は学校の授業中。私は、急に火照り始めた自分の身体を抑え、息を上げながら机に突っ伏していた。 何か、おかしい。先ほど、離れた席に座っている倉沢を何気なく視界に捉え、いじめられた時の最悪な記憶を思い起こしていた。そこから、急に動悸が早くなって。…股間部が、濡れ始めているのが分かった。 (なんで……) 私は、自分がある一つの感情に支配され出していることに気づいていた。 "小さくなりたい"。小さくなって、"大きい人にいじめられたい"。 あの日、巨大な倉沢の素足に踏みつけられ、摘ままれ、制服を唾液でべとべとに濡らされた。それを思い出すたび、私は何故か異様な興奮に苛まれるようになっていた。理由は分からない。けど、私はそんな性的嗜好は持ち合わせていない。ましてや同性同士、あんな性格の悪い女なんて嫌いなくらいだ。実際、今このサイズであいつを見ても何も感じない。 でも。巨大なあいつの姿、それだけでなくあの金髪と茶髪の女子の巨大な姿を思い起こすたび、もう一度その姿を見たいと感じてしまう。もう一度、蹂躙されたいと感じてしまう。 私の感情は、得体のしれない力によって捻じ曲げられようとしていた。 ------ さらに1週間後。私は暴走し続ける自分の感情の原因を、あの日飲まされた薬に求めた。たまらず、倉沢を空き教室に呼び出していた。 「私にっ…なんの薬を飲ませたのっ…」 私は息を切らしなら、目の前の倉沢を問い詰める。 「あはは、効いてるみたいだね」 倉沢は何かを知っているような口ぶりで、はあはあと息を切らす私に驚きもしない。 「教えて…あの薬は…」 「うーん…そんなことよりさ」 倉沢はにやっと笑う。 「もう一回、小さくされたいんじゃない?」 「え……」 今の感情を言い当てられ、ドキリとする。と同時に、やはり倉沢があの薬の効力を知っているのだと確信する。 「あの薬、病院から盗んでくるの大変なんだよねー。…お金持ってきたら、あの薬使わせてあげてもいいよ」 「え…いや、何言って…」 「そろそろ限界なんじゃない?また可憐と菜月の前で縮めてあげるよ」 「そんなの、嫌に決まってるでしょ…!」 「ふーん?」 倉沢は全てを見透かしたような笑みを浮かべ、 「じゃ、また薬欲しかったら言ってね~」 そのまま空き教室を後にしたのだった。 ------ そして、さらに2週間がたった日。 私は、再び空き教室に倉沢を呼び出していた。 「はあっ、はあっ……お金、持ってきたから…」 「お、やっぱり限界だったんじゃん♪」 私は前にも増して息を切らしながら、倉沢の前に立っていた。 あれから、"小さくなりたい"という欲求は消えることが無かった。1日のうち何回か発作的に身体が火照り出していたのが、四六時中続くようになり。小さくなる妄想を延々と頭が繰り返し、他の事に集中できる瞬間など全く無くなっていた。学校で倉沢を見かけるたびにあの日のことを思いだし、濡れてしまった股間部を気づかれないようにトイレで処理する日々だった。 気づけば私は、財布を持って倉沢の前に立っていたのだ。 「お願い…もう一回小さくして…」 「じゃあ1万♪」 「そ、そんなに…」 「無理なら別にいいよ?薬使わなくてもいいならね」 「い、いや………払う、から…」 私は震える手で、1万円札を差し出していた。 「はーい、ありがと♪じゃあ、また薬使わせてあげるよ。今日の放課後、またこの空き教室に来てね」 倉沢は受け取った1万円札を財布にしまいながら、またあのいやらしい笑みを浮かべて私を見つめるのだった。 しかし私は、また小さくなれるのだという期待感で頭がいっぱいになり、それ以上のことは何も考えられなかった。 ------ ズンッ…ズンッ…ズンッ… 「はあっ、はあっ、…」 目が覚めた私は、激しく揺れる倉沢のスクールバッグの中に入れられていた。放課後に再び空き教室を訪れた私は、その場で倉沢に薬を飲まされた。以前と同様に意識を失った私は、知らないうちにバッグの中に入れられていたようだった。 ズンッ…ズンッ… 巨大な倉沢の歩行が、バッグの中を恐ろしい振動となって駆け回る。倉沢は小さい私を自分の部屋まで持ち帰るつもりだ。そして、その部屋の中でまた、私は圧倒的な体格差を活かして虐められる。 そう考えるだけで心拍数が跳ね上がり、股間がおかしいくらい疼いてくる。私の身体は、どうかしてしまっていた。 ズンッ…ズンッ… ガチャッ… 「「あ、由香おかえり~」」 「「おそかったじゃん、もう遊んでるよ~」」 「「ごめんごめん、この前の子連れてきたからさ」」 「「この前の子?」」 聞き覚えのある2人の女子の声が外から響いてくる。恐らく、私が前に虐められた時に倉沢と一緒にいた、可憐という茶髪の女と菜月という金髪の女だ。ということは、ここはもう倉沢の部屋の中なのだろう。 ガサッ!! 「きゃあっ!!」 突然スクールバッグの上部から光が差し込んできて、巨大な肌色の手がこちらに向かって伸びてくる。思わず悲鳴を上げた私を、その巨大な手がむぎゅぅっ…と無造作に掴み、そのまま外へと連れ去った。 「「よっと」」 恐怖で目をつぶっていた私は、そのまま固い地面の上に降ろされた。 「「あ、この前の子じゃーん♪」」 「「また小さくなっちゃったんだ~」」 空から降り注ぐ女子たちの声に、私は目を開ける。 「あ……あ…」 そこには。あまりにも巨大な女子高生たちの姿。ローテーブルに置かれた私を、ソファや座椅子に座った状態で遥か高みから見下ろす女子たち。この1か月間、私がずっとずっと妄想してきた光景そのものだった。 大きい。でかい。敵わない。今から、途方もない力で私はいじめられる。 「「北原ちゃん、かなり限界きてたみたいだから。また遊んであげようかなーって」」 ぐわっ!! 「ひぃっっ!!!??」 倉沢は話し終わらないうちに、紺色のソックスを纏った巨大な右足を私の上にかざす。靴下越しに放射される熱、汗が籠った強烈な匂い。ああ、この圧倒的な足裏に潰されることを、何度思い浮かべたことか。少し汚れたソックスの裏側を思い切り見せつけられ、私は恐怖と興奮が入り混じった異常な感覚に陥る。 「「はい、むぎゅー…♪」」 「んぐぅぅっっ!!??」 一切焦らすことなく、巨大な足裏が私をぎゅうぅぅ…♡と強烈にプレスする。人間を踏みつけることへの遠慮など全く感じられない、容赦ない踏みつけ。玩具として扱われているような感覚に、私は興奮してしまっている。顔、胸、腹、股間、脚、全てをぎゅうぎゅうに圧し潰され、指一本動かせず、倉沢の足裏に鼻を直接付けた状態で強制的に匂いを嗅がされる。そんな最悪の屈辱的な状況なのに、私は、何故こんなにも昂っているのだろう。 ぎゅぅっ…むぎゅっ…ぎゅうぅぅ…♡ 「ごほっ!??がほっ!!?」 何度も何度も、倉沢の足が私の華奢な身体をリズムよく踏みしだく。内臓が飛び出るのではないかというくらい激しい圧力に、可愛くないうめき声を上げさせられる。 「「あははっ、いきなり激しすぎじゃない?」」 「「まあでもこの子から頼んできたからね~」」 ふっと圧力が弱まり、ソックスに包まれた足裏が上空へ離れていく。私は苦痛から解放され、必死で呼吸をしながら新鮮な空気を肺に取り込む。…少し落ち着いた私は、周囲の光景を改めて見回す。 そこで、異様な状況に気づいた。 「「ほれほれ、抵抗しないと潰れちゃうよ~♪」」 ソファに座った可憐という女子が、自分の内太ももに何かを押し付けている。よく見ると、明らかにそれは小さい人間だった。その小さい人間を手で持って、何回もむぎゅぅ…♡とむちむちの内ももに押し付け、すりすりっ…♡と肌の上を擦らせて滑らせている。 それだけではない。ソファの向かい側の座椅子に座っている菜月という女子は、 「「ちゅぷっ…ちゅぱっ…♡」」 右手に持った何かを、巨大な唇で音を立てながらちゅぱちゅぱと吸っている。吸われているその物体は明らかに動いており、やはり小さい人間であることが見て取れる。生きた人間であるそれを雑に唇で吸いながら、左手でスマホを弄っている。 「なに…これ……」 「「ふふっ、北原ちゃんの仲間だよ」」 倉沢が、テーブルの上の私に顔を近づけて言う。 「「みんな、北原ちゃんと同じ薬を飲んだ人たちなんだよね。といっても、あの人たちはもう半年くらい飲み続けてるけど」」 「私と同じ、薬を…?」 「「うん。あの薬にはね、"縮小依存物質"が入ってるんだ」」 効きなれない単語に、ぞわっと寒気が走る。 「縮小依存、物質…?」 「「まあ簡単に言うと、麻薬みたいなものかな?一度飲んで小さくなった人は、小さくなることに異常な依存性を感じちゃうらしいんだよね。あの人たちもそう。小さくなって私たちに虐められたくて、いっぱいお金出してくれるんだよ♪」」 にたーっと笑いながら、十数枚の1万円札をひらひらさせる倉沢。 「「一度縮小に依存しちゃったらもう治らないから、必死で私たちにお金を渡して、小さくしてもらうようんに頼んでくるんだ~。…北原ちゃんも依存症状が出ちゃってるみたいだから、大きい私たちに虐められたくてたまらないでしょ♪」」 「な、なに…それ………そんな…こと…」 倉沢の口から紡ぎ出される事実に、言葉が上手く出てこない。依存物質。麻薬。恐怖を感じるワードが次々に出され、それらが既に私の身に降りかかっていることに気づき始める。異常な依存性?もう治らない?私は、どうなってしまうの? 「「よいしょっと」」 「きゃあっ!!」 倉沢は巨大な指で無造作に私を摘まむと、自分の顔の前まで持ってくる。いきなり目の前に巨大な倉沢の顔が現れ、私は摘ままれたまま嫌らしい笑みと視線を浴びせられる。 「「今から、北原ちゃんが忘れられなくなるくらいイジメてあげるからね♪…そうなったらもう、おっきな私たちから逃げられないよ♡」」 そう囁きながら、摘まみ上げた小人に吐息を浴びせかける倉沢。 その吐息にすら興奮していることに気づいた私は、取り返しのつかないことをしてしまったと、ようやく自覚したのだった。 ーーー続くーーー