ファーストフード店の清掃員として働き始めて3か月。俺は陰鬱な気分で、惨めなバイト生活を続けていた。 机の上で、巨人たちが落としたりこぼしたりした食べかすやゴミを集めるだけの日々。悠々とハンバーガーやポテトをほおばる人間の手元で、せせこましく動いて掃除を行う。…でも、俺が必死で机の上を掃除しても、普通サイズの人間が机を人拭きする仕事には敵わない。俺の働きなど、普通の人間の働きのレベルの1/100にも満たなかった。 さらに最悪なのは、このファーストフード店が中高一貫の女子高の近くにあるということだった。客層としてJKやJCの集団が圧倒的に多いのだ。若く好奇心を持った学生たちは、机の上で働く小人の俺を弄り、からかい、スマホで写真を取りまくる。プライドをへし折られるような扱いを何回も受け、俺はどんどん自信を失い、常に人間に怯える精神状態へ落ち込んでいった。 「今日はお客さんが多いな…」 平日のランチタイム。ひっきりなしに来店する客の多さに、へばりはじめていた時。 ガタンッ!! 「「ふぅー、疲れた…」」 (……っ!)ビクッ 大きな音を立てて勢いよく座ってきた人間に、身体がビクッと反応する。巨人を見上げると、OLと思わしき女性の社会人だった。スーツ姿で、長めの髪を後ろで留めている。…俺と、歳が近いように見える。25歳くらいだろうか。着けていたマスクを顎までずらし、ハンバーガーを手に持つ。 「「あむっ…」」 その女性はハンバーガーにかぶりつきながら、スマホでメールを打っている。仕事のメールなのだろうか。かなり多忙な様子が伺える。 (………) しっかりと自立して、立派に働いている女性。かたや、同じくらいの歳にも関わらず、ファーストフード店でバイト生活を送っている俺。残酷な対比に、気分が落ち込んでくる。 「「………ん?」」 落ち込んだ気分でぼーっと女性の顔を見ていたため、その女性がこちらに視線を移したことにすぐには気づかなかった。 「「………あむっ…」」 ポテトを摘みながら、興味深そうにこちらを見つめる女性。…このように奇異の目で見られることには慣れていたが、やはり心地の良い視線ではなかった。何も言われていないのに、何故かバカにされているような被害妄想をしてしまう。 「「…ずっとここで働いているんですか?」」 「えっ……はい、数か月前から…」 突然小声で話しかけられ、うろたえながら返答する。 「「大変じゃないですか?」」 「そ、そうですね…。でも、縮小病になってしまったので、仕方ないです」 「「そうなんですね…。帰るおうちとか、あるんですか?」」 心配そうに聞いてくる女性。…どこか、いつも俺のことをからかってくる学生集団とは違う感情で話しかけられている気がする。 「家は、特にないです。道端で何とか暮らしています」 「「………」」 自分の境遇を口に出せば出すほど、その悲惨さに泣きそうになってくる。そんな俺を、OLの女性は深刻そうな顔でじっと見つめてくる。 「「私、仕事が忙しくて、部屋を掃除する時間とかあんまりないんですよね」」 突然、自分のことを話し始める女性。 「「良かったら…私の家の清掃員として働きませんか?」」 「えっ……」 「「そしたら、住むところも、食事も出してあげられますよ」」 そう言って、女性は優しく微笑みかけてくる。一瞬、何を言われているのか分からなかった。 「そ、そんな…僕、こんな身体で何もできませんし」 「「そんなことないですよ。小さい身体なら、細かい汚れも見えるだろうし」」 「ま、まあ…」 「「どうですか?」」 柔らかく微笑む女性。あまりにも、願ってもない条件。家も、食事も用意してくれるという。さらに、この優しそうな女性の家で働けるのであれば、意地の悪い人間に虐められることもない。それに…この綺麗で可愛らしい女性の家で働けるという事実に、不純ながらもドキドキしていた。 「僕なんかでよければ、是非働かせて欲しいです」 「「ほんとですか!やった♪」」 すりすり… 「あっ、…お願い、します」 大きな指で背中を撫でられ、顔が赤くなる。にっこりと笑う女性のことが、その巨大さもあいまって女神様のように見えてくる。 「「じゃ、早速今日からお願いしてもいいですか?」」 「多分、すぐにはバイトを辞められないので…店長に離さないと」 「「勝手に辞めちゃえばいいんじゃないですか?」」 「いや、それはさすがに…」 「「くすっ」」 その女性は少しだけ笑って、巨大な顔をこちらに近づける。大迫力の顔が無言で近づけられ、俺は反射的に後ずさる。そして女性は顎にかけていたマスクを掴み、ゴムを伸ばしながらぐいっと下に引っ張り、俺が立っている場所のすぐ前にマスクの布地を持ってきた。 「「働いてくれるなら…ここに入ってください♪…家までこっそり持ち帰ってあげますよ」」 「な……」 囁くような女性の声に、心臓がばくばくと跳ねだす。先ほどまで、女性の口元に充てられていた布。そこに、入れと言っているのか。思わず女性の唇を見てしまうも、瑞々しくハリのある綺麗な表面から目が離せなくなる。 「「早く♪」」 ここに入れば、もう外の厳しい世界から離れられるのだろうか。女性のパーソナルスペースに入り込み、そのまま持ち帰られ、安全な家の中で働くことができるのだろうか。 俺はドキドキしながら、畳のように広いマスクの布地に、足を踏み入れた。 「「ありがとうございます♪じゃあ…はめますね」」 女性はマスクを持った手を、ゆっくりと口元に近づけていく。ぷるぷるの巨大な唇がどんどん近くなり、視界全てを覆いつくす。 「すご…」 ぱちんっ 女性が手を離し、小人の俺を乗せたマスクは女性の口元に完全に密着した。 (く、唇が……!!) 口元とマスクの間の空間はとても狭く、小人の俺でもゆったりと使える空間は存在しない。俺は大きな大きな唇に思い切り密着する形となり、触れたことのない感触に鳥肌を立たせる。 (柔らかくて、あったかくて、良い匂いもする…) ふっくらと柔らかな唇の表面は体温で温かく、いつまでも触れていたいような気持ち良さ。軽く塗られたリップの匂いと、唇の生の匂いが入り混じり、女性特有の甘い匂いが発せられている。…何より、あの可愛い顔をした女性の唇に触れているという事実が、俺を圧倒的に興奮させた。 「「しばらく、我慢してくださいね」」 「ひゃんっ!!」 抱き着いていた唇が突然ぐわっ!!と動き、全身を唇のきめ細かなしわが擦り上げる。思わず声を出してしまうが、その声は女性の囁き声に簡単にかき消された。 「「ふふっ♪」」 ぶわぁっっ!!! 女性がわずかに漏らした笑いは、マスクのなかでは暴風のような吐息となって中にいる俺を襲う。唇の正面にいた俺は吐息の風をもろに浴び、髪や着ていた服がめちゃくちゃに乱れてしまった。…続いて、女性の口内の生々しい匂いがマスクの中に充満し始める。決して他人に嗅がせるような種類の匂いではないはずだが、小人の俺はそれを強制的に肺に入れさせられる。…女性のパーソナルゾーンに取り込まれたことを実感する。 「「午後は会社に行くので、家に帰るまでそこにいてくださいね」」 「あっ、ひゃっ、ひあっ!!」 女性が喋るたび、巨大な艶めかしい唇がぐにゃり、ぐにゃりと蠢き、小さな俺の身体を乱暴に撫で回す。あまりの感触に、くすぐったいのか、気持ちいいのか、よく分からない。…ただ、女性が小声で喋るだけの行為にここまで蹂躙されているという状況は、俺を倒錯させた。 ------ 「はぁっ、はぁっ、暑い……!!」 2時間後。蒸し風呂のようになったマスク空間の中で、俺は息も絶え絶えになりながら横たわっていた。もう夏の暑さも和らいだ季節のはずだが、マスクの中は女性が放つ体温に加えて吐息が常に吹きかけられており、湿度も気温もサウナのようなレベルに達していた。 (服が……) 高い湿度の中、着ていた服は水分を吸ってびちょびちょになっていた。その水分というのも、ほとんどが女性の吐息の中に含まれた唾液成分で。ただの水ではない、べとべとしたものが服に纏わりついていた。服を絞ると、とろーっ♡ととろみのついた唾液が絞り出されるのだった。 「「この書類、よろしくお願いします」」 「ぎゃあぁっ!!」 突然爆音が鳴り響き、俺は耳を塞いでのたうち回る。仕事中のコミュニケーションを取る、女性の声。マスクの中の空気がびりびりと震え、小人の弱小な耳の鼓膜を破壊しにかかる。…先ほどまでは気を遣って囁き声で話してくれていたのだが、仕事中に会社の人と話すときは、容赦のない音量となって俺を襲う。 「「そうですね、来週末までに提出していただければと思います」」 「痛いっ、耳がっ……!!」 耳を必死で塞いでじたばたするも、うねうねと動く唇が俺を捉えて離さず、俺はむっちり巨大な唇に捕獲されながら、至近距離で爆音を浴びせかけられる。 「「………」」 「はぁっ、はぁっ…」 「「ふふっ♪……はあぁぁぁぁぁぁっ………」」 「!?ぐうぅっ………!!!」 突如開け放たれた唇から、ものすごい湿度の吐息が大量に吐き出される。信じられないほど熱くじめじめとした空気。一瞬その空気を吸いこんでしまうも、喉の奥で空気中の唾液が水分に変わり、気道を塞がれた俺は激しくむせる。 「「んっ♪」」 「んぐうっ!?」 必死で咳き込む俺を、マスクの外から大きな指が捉え、唇にぐいっ♡と押し付ける。圧倒的な力で抑え込まれた俺は、全く抵抗ができないまま唇の表面にめり込んでいく。ぐにゅうぅ…♡と唇の形が変わるほど強く押し込まれ、強制的に唇の表面にキスさせられる。こんなに立場の違うキスがあるだろうか。俺は全く身体を動かせないまま、唾液とリップでぬらぬら濡れた上唇と下唇に挟まれ、戯れのようにはむっ♡はむっ♡とリズムよく唇を閉じ合わせられたのだった。 「「んふっ♪…もう3,4時間くらい我慢すれば家に着きますからね」」 今度は小さな声で囁かれる。…そう、もう少しすれば、安全な職場にたどり着けるのだ。そこは、俺の家にもなる場所。このマスクの中の空間も、あのファーストフード店の職場環境に比べたら全然マシに思える。俺をおちょくるような女性の唇の動きも、これから家に雇う小人に対する、愛のある挨拶に思えた。 俺は、過酷なマスク空間の中で、多幸感を覚え始めていた。女性の口元で可愛がられることへの安心感や興奮が入り混じり、下半身がギンギンに固くなっていく。それでも、興奮を悟られたらもう雇ってもらえないかもしれない。俺は下半身が唇に当たらないように必死で体勢を整えながら、女神の唇に抱き着いて忠誠を示したのだった。 ------ 「「ただいま~……大丈夫ですか?」」 帰宅した女性は、一日中はめていたマスクをそっと外し、ローテーブルの上に置いた。長時間蒸し風呂のような環境に閉じ込められていた俺は、息を切らしながらマスクの布の上で横たわっているしかなかった。 「ぜえっ、ぜえっ、……」 「「大変でしたよね、お疲れ様です。…お疲れの所申し訳ないんですけど…机の上、軽く掃除しておいてもらえませんか?」」 「は、はい……」 周囲を見渡すと、机の上にはお菓子の包み紙や食べかす、丸めたティッシュなどが散らかっている。…20代の女性の部屋の机としては、結構散らかっている方だと思う。言葉遣いが丁寧で、仕事もテキパキとこなしているように聞こえた女性の部屋とは思えないギャップがそこにはあった。 「「ゴミを纏めて、机の端に置いておいてくださいね」」 「わ、分かりました」 女性の部屋での初めての仕事。ここでちゃんと掃除できなければ、クビになってまたバイト生活に戻ることになるかもしれない。俺は気合を入れて、机の上の大きなゴミを集め出す。 「「~~♪」」 ズンッ!!ズンッ!! 頭上から鼻歌が鳴り響く。女性は大きな足音を立てながら…履いていたスーツのスカートをスルスルっ…と脱いでいく。 (あ、やば……) 女性の真っ白な太ももと、さらに純白の可愛らしいショーツが露わになる。巨大な建築物のようにそびえたつ女性の美しい脚は、何の惜しげもなくテーブルの上の清掃員に見せつけられた。 (あの人の…パンツが……っ!!) 何も気にしない様子でスーツの上も脱いでいく女性を、掃除を続けながら横目で必死に見ようとする自分。…ここまで、俺の存在を意に介していないとは思っていなかった。可愛い女性の着替えを大パノラマで見られる役得感と共に、自分の社会的な立場の低さを改めて実感する。 「「あー、暑かった」」 ぷちっ、ぷちっ、……スルっ… ついに、女性は上下ともに純白の下着姿となる。それを膝当たりの高度から見上げる俺は、そのグラマラスかつ可愛らしい下着姿から目が離せなくなり、掃除の腕も完全に止まっていた。スーツ姿の時と比べて、…あんなに胸が大きかったなんて。かなり着痩せしていたようで、締め付けるものがブラジャーしかなくなった今、女性の柔らかなおっぱいはそのふくよかさを十二分に発揮していた。 「「~~♪」」 ドンッ!! 女性は下着姿のまま、ローテーブルの正面に置かれた座椅子に腰を下ろした。たくましく巨大な二本の脚をMの字に広げ、上品とは言えない格好と体勢のまま、スマホを弄り始める。下着姿になってことで、服の中に籠っていた汗の匂いが一気にむわっ…♡と周囲に発せられ、テーブルの上の空気も女性の汗ばむ匂いが充満する。 (部屋着とかに変えないのか……) 女性の食べカスを拾いながら、むちむちのえっちな下着姿の景色が気になって仕方がない。清掃員の俺を意識してTシャツやジャージなどを着ることもなく、思い切り下着姿のままいつも通りのリラックスタイムに入っているようだった。 「「よっと……んぐっ、んぐっ」」 女性は机の上に置いてあったペットボトルを手に取り、その中の水を口の中に流し込んでいく。 「「…ぷはぁっ…。…んっ…」」 勢いよく水を飲んだことで少しだけ唇の端から垂れた水を、ティッシュで雑に拭う女性。そして丸められたティッシュは、目の前の机の上に投げ捨てられた。 ガサッ!! 「うわっ!!」 「「それもお願いしますね」」 リアルタイムで増やされるゴミ。躊躇なく使用済みのティッシュを机の上に投げ捨てたあたり、かなりズボラな性格をしているようだった。…女性の唇を拭ったティッシュを触るのに少し照れながらも、腕いっぱいにティッシュを抱えて机の端まで持っていく。マスクの中で散々嗅がされた匂いがつんと鼻をつく。 「「ほんと暑っついな~」」 次に、女性はカバンから取り出した汗拭きシートを使い、じっとりかいた汗を拭いていく。アルコール除菌成分が染み込んだシートが、女性の綺麗な肌の上に丁寧に押し当てられる。ビルのように大きな巨人の肌でも、シートが押し当てられた箇所は柔らかくむにっ、むにっ、と形を簡単に変えていく。 「「よっと」」 (うわ……) 女性は大胆にもブラジャーのカップを少し浮かせ、その下から汗拭きシートを滑り込ませる。…乳首までは見えなかったが、汗を拭くたびに下乳がむにゅっ♡むにゅっ♡とえっちに蠢く様子が股間に悪い。 「「こっちも拭いとこ…」」 さらに女性は、ショーツのゴムを少しだけ引っ張り、汗拭きシートを自身の股間部に押し当てる。 (そ、そんなとこまで…) ローテーブルの上からは女性の股間部は見えなかったが、脚を大胆に広げてその間に右手をねじ込ませてごそごそ動かしている様子は、見てはいけない女性の裏側の姿を見てしまっているように思えた。 「「ふー、きもちー♪」」 股間に直接シートを当て、清涼感に気持ち良さを感じている様子の女性。 「「ぽいっと」」 ぐしゃっ!! 「………」 まさかとは思ったが、その汗拭きシートの残骸も、無言で机の上にゴミとして捨てられる。もはや女性は片付けてほしいとも言わず、当然のように俺がそれを片付けることを期待していた。 (…すごい匂いだ……) シートの残骸からは、女性が一日中かいた汗がたっぷり染み込んでいた。首筋、腋の下、おっぱいの間、ふとももの表面、そして股間部。巨大な身体の至る所から排出された汗が、全てこのシートに染み込んでいる。 (さっきまで、これでパンツの中を拭いてたんだよな…) この人の女性器に押し当てられていたはずのシートを、何とか持ち上げる。…汗の匂いだけではない、色々な濃い匂いを感じる。ただ、その匂いについて態度に出すのは失礼だと感じ、俺は平気な振りをして清掃を続けたのだった。 ------ 女性は割りとだらしない性格のようで、帰ってきてから軽く汗を拭いたままの下着姿で、1時間ほどスマホを弄ったりテレビを見たりしていた。 そんな女性だったが、おもむろに立ち上がって、自分の背中側に手を回した。 「「~~♪」」 パラッ…… 女性の大きな胸を覆っていたブラジャーが簡単に外され、その中身が露わになった。 (お、おっぱいが…!全部、見えて…!) いとも簡単に晒された女性のおっぱいに、テーブルの上で休憩していた俺は気が動転し、心臓がばくばくと音を立て始める。 「「んしょっ」」 スルスルっ… そんな俺の様子など気づかず、女性はショーツのゴムに指をかけ、何の躊躇いもなく降ろしていく。ショーツに隠されていた、毛の生えそろった女性器が思い切り曝け出される。 「はあっ…はあっ…」 俺はもう、この巨大な女性の裸の姿から目を離せなかった。下着姿の時点で、身体の美しさ、グラマラスさが主張されていたが、それが取り除かれてさらにその性的さが増す。美しい裸体が惜しげもなく解放され、それを下から見上げる景色はまるで神様のようだ。 突然、女性は裸で下着を手に持ったまま、テーブルに向かってしゃがみこんだ。 「「すみませーん。これ、畳めます?」」 「あ……え…」 巨大すぎる上半身が目の前に降ってきて、とんでもない光景に言葉が出ない。一軒家よりも大きな美しいおっぱいが、7,8m先の位置に鎮座している。その大きすぎるおっぱいを従えている上半身はさらに大きく、巨大なビルのような上半身は今にもこちらに倒れ込んでくるのではないかと思われるほど。そんな威圧的にえっちな光景に加え、女性の汗と除菌シートの匂いが混ざったものがテーブルの上に降り注ぐ。 「「私がお風呂入っている間に畳んでおいてほしいんですけど…出来なさそうですか?」」 「…っ!いや、できます!大丈夫です」 「「そうですか。じゃあ、お願いしますね」」 そう言って、女性は再び立ち上がる。神々しい裸体が上空へと上がっていき、ズンッ、ズンッ、とそのままお風呂の脱衣所の方へ消えていった。 (出来るって言ったけど…) テーブルの上に置かれた、大きな大きな女性の下着を目の当たりにする。仕事が出来ないと思われたくなくて見栄を張ってしまったが、こんな大きなものを動かすことができるのだろうか。…ブラジャーのカップだけでも、一人暮らしが出来てしまうくらいの広さと大きさ。このカップを持ってしても少しはみ出ていた女性の胸の大きさを想像してしまう。 「せーの、…ぐっ…ぎぎっ……!!」 ブラジャーのカップの縁に手をかけて全力で引っ張ろうとするも…全く、動かない。顔を真っ赤にして全力で引っ張っているにも関わらず、ただの一つのブラジャーすら動かすことができない。ブラジャーの表面にへばりつきながら、必死で引っ張ろうとしている自分を客観視し、泣きそうな気分になってくる。こんなことも、俺は出来ないのか。女性がおもむろに脱ぎ捨てた下着さえ、満足に片付けることができない。 「くっそ…!!」 ショーツの方を引っ張ろうとしても、結果は同じ。一人の女性の股間部を覆うぺらぺらの布ですら、満足に動かせない。少し持ち上げることができても、それを畳むなど夢のまた夢だった。 たっぷり20分格闘し汗だくになった俺は、女性がお風呂から上がってくる音を聞いたのだった。 ズンッ、ズンッ!! 「「あー、気持ち良かった♪…ん」」 バスタオルで濡れた髪をゴシゴシ拭いながら、当然のように全裸のままリビングに戻ってくる女性。洗い立ての太ももや胸をぷるっ…ぷるっ…と震わせながら帰ってきた女性は、テーブルの上で立ち尽くす俺と、先ほど脱ぎ捨てられたままの下着を目にした。 「「あー……」」 諦めたような、呆れたような女性の声が上空から響き、俺は唇を噛みしめながら俯く。 「「下着程度でも動かせないんですね」」 「……っ!!」 呆れた声で放たれた台詞は、俺の中にわずかに残っていたプライドを打ち砕くのに十分だった。女性が付けていた、軽いはずの下着すら満足に畳めない小人。俺は、こんな簡単な仕事すらできない無能に成り下がってしまっているのだ。 「「んー、じゃあ…代わりにもっと働いてもらわないとですね」」 女性は呆れた表情のまま、清掃員へのさらなる労働の追加を命じたのだった。 ------ 「「ちょっと広いですけど、頑張って少しづつ掃除してくださいね」」 「わかり…ました…」 女性の下着すら畳めなかった俺は、ローテーブルの上という仕事場から、部屋の床の上という仕事場に移された。テーブルの上より遥かに汚く、小人にとっては危険な場所。最初は俺を机の上の小間使いとして雇ったのだと思われるが、あまりに非力で使えないため、床の上で地道に重労働させることを決めたらしい。 (床の上はもっと汚いな…) 床の上には脱ぎ捨てられた服、使用済みのティッシュなどが無造作に落とされており、テーブルの上よりもさらに汚く見えた。また所々に巨大な縮れ毛が散らばって落ちており、恐らく女性の陰毛だと思われた。…ファーストフード店のテーブルや、この部屋のローテーブルの広さとはわけが違う。学校の運動場の何倍もありそうな空間を、これから掃除しなければいけない。 (これを掃除しないと、仕事を失うかもしれない…) ファーストフード店をバックレてこの職場に来た今、クビにされたら本当に働き口が無くなってしまう。どれだけ掃除が過酷でも、俺はこの女性の家という職場にしがみついて生きるしかないのだった。 ------ その日から、女性の足元で汚いゴミを掃除する日々が始まった。 仕事は朝の4時頃から始まる。女性が起きてくる前に、ある程度リビングの埃を掃除しておくためだ。女性が歩くであろう導線を出来るだけ綺麗にすること2時間。けたたましい目覚ましの音と、ドンッ!!ドンッ!!とベッドから巨足を下ろす振動で、女性の起床が始まる。 「「あ~ねむ…」」 ドンッ!!ドンッ!! 「ぎゃあぁっ!!」 寝ぼけた女性が、大質量の素足を清掃員のすぐ横に振り下ろす。俺は女性の足元で転げまわりながら、巨人が無事に通り過ぎていくのを願いながら待つしかない。呑気に背中を搔きながらトイレへ向かう女性の後ろ姿を見上げながら、今日も過酷な掃除仕事が始まったことを実感する。 女性が朝ごはんを食べる時は、バイトしていた時と同じように、テーブルの上で食べカスを拾い続ける。目を擦りながら食パンをほおばる女性の口から、ぽろぽろと零れ落ちるパンくず。それを運びながら、出来るだけ唾液の付いていないものを選んで、俺は自分の口に入れる。…これが俺の朝ごはんだった。初めの頃はパンをちぎってちゃんとご飯を提供してくれていたのだが、 「「大きさ的に、私が落としたパンのくずでも十分ですよね」」 と、女性は自分の食べカスで食いつなぐように清掃員に告げたのだった。 「「じゃあ、行ってきますね」」 朝ごはんを食べ、身支度を整えた女性は、自分の仕事場へと向かう。それを見送った俺は、広いリビングと向き合って気合を入れる。女性が帰ってくるまでに、部屋の隅々まで綺麗にしなければいけない。 「今日は、脱衣所を重点的に掃除するか…」 昨日はリビングの汚れをメインに掃除したので、今日は脱衣所だ。徒歩1分ほどかけて脱衣所に到着すると、…おびただしい量の陰毛が散らばっているのが分かる。 「ここはやっぱり凄いな…」 おそらく普通サイズで生活していたら、陰毛がここまで床に落ちているとは気づかないだろう。ただ、小人サイズで床を見ると、至る所に巨大な縮れ毛が落ちているのが丸わかりだった。 巨大な女性器を覆っていた毛を一つずつ抱え、集めていく。本当に、底辺の仕事だ。ただ、全く知らない不特定多数の人間が出したゴミを掃除するよりも、一人の女性のゴミを掃除する方がいくらかマシには思えた。この陰毛も、あの女性のえっちな股間部に触れていたものだと思うと、惨めさと共に少し興奮を感じてしまう。そして、こんなものに興奮を感じている自分という人間の落ちぶれに後から気づき、いつも最悪な気分になるのだ。 「あとは、トイレか…」 午前中いっぱいをかけて脱衣所を掃除した後は、トイレの床掃除。この家の中で、一番汚い場所だ。 「う…すごい臭い…」 巨大な扉の隙間から、運動場ほどの広さのトイレに侵入する。その途端、濃いアンモニア臭が小人の俺の鼻を襲う。明らかに、あの女性のおしっこが床に飛び散っている匂いがする。…これも、普通サイズの人間からすると気づかないくらいの臭いなのだろう。しかし、トイレの床に極限まで近づいた状態の小人からすると、凶器ともいえるほどの臭いに変わる。 「ここだな…」 便座のちょうど下あたりの床に、大量の液体が散らばっているのが分かる。いや、大量と言っても女性からしたら少量のおしっこを飛ばしただけなのだろうが。俺は仕事道具である小人サイズの雑巾を手にして、数平方メートル単位で水たまりとなっている尿を拭いていく。だがあまりにも液体の量が多く、少し拭いただけで雑巾もそれを持つ手もおしっこでびちょびちょになってしまう。俺は小人サイズのバケツに何回も女性のおしっこを絞り、また拭いては絞っていく。バケツはすぐにいっぱいになるため、それを風呂場の排水溝までもっていかなければならない。…何故そこまで持っていく必要があるかというと、トイレの洗面台や台所のシンクには手が届かないからだ。 何回もおしっこを拭き取っては、何百メートルも離れた排水溝までおしっこを捨てに行く。繰り返すうちに、自分の手に女性のおしっこの臭いがどんどん染み付いていくのが分かる。どれだけ洗っても、手のひらから微かにアンモニア臭がするのだ。 と、その時、 ガチャッ!! 「「はー、疲れた~」」 ドンッ…ドンッ… 爆音を立てながら、雇い主が仕事から帰ってきた。 「なっ…もうそんな時間か…!」 気づけば、夜の19時だった。俺は5,6時間ほどぶっ通しで、トイレの床掃除を行っていたのだ。 そして、 ガチャンッ!!! 「「あー、お腹いたー…」」 不穏な台詞と共に、巨大な雇い主が現れたのだった。 ---続く---