それは突然のことだった。 空がまばゆい光に照らされたかと思うと、その刹那巨大な物体が人間の住まう一画を圧倒的な質量で押しつぶした。 直撃を避けた場所もそのとてつもない衝撃で再起不能な廃墟とかす。 生き残った者たちが空を見上げると、異様な光景が目に写った。 「女の子……?」 人々が口々にそうつぶやいた。 隕石でも飛来したのではないかと、皆そう思っていた。だが現実、そこにいたのは体の節々に包帯を巻いた薄藤色の髪と目をした美しい少女だった。 少女はその大きな手と足でそれぞれ一つずつの街を潰しながら四つん這いの格好で眼下に見える一際大きな街を見下ろしなにか考えているようだった。 すると―― 「皆さん小さくて、虫さんみたいです」 巨大な少女が口を開いた。眼下の街はそれだけでとてつもない被害を受ける。小さな建物が宙を舞い、ガラスは振動ですべて砕け散る。鼓膜が破れる人も後を絶たない。 「そんなに小さいと生き辛いと思うので、わたしが潰してあげますね」 人間たちは少女が放った言葉を理解してはいなかった。鼓膜を失った人もいれば、そもそも声量が大きすぎて理解できない人もいる。ただ、少女がその大きな手を持ち上げ街の上部に振りかざした段階で次に何が起こるのかを想像することは容易かった。