巨人の知らせを聞き急遽飛び立った旅客機の中には、大物政治家や大企業の社長など様々な業界の重鎮たちが乗っていた。彼らは金に物を言わせ空港に押し寄せる庶民たちを置いて空へと逃げた。だがそれは失敗だった。彼方先にいると思っていた巨人は飛行機の航路上にまで進行していたのだ。目の前にまで迫る巨大なお尻を避けようとパイロットが舵を切る。 「私のお尻がそんなに気になるのかしら?」 天津風はそう言うと小悪魔のような笑みを浮かべる。 彼らは生きた心地がしなかった。窓から見える肌色の壁の彼方に見える巨大な笑顔。ちっぽけな人間たちにおいてその笑みは小悪魔と呼ぶには生易しいもだった。 「変態ね」 空気が震え巨人が何かを発したかと思うと彼らの乗る旅客機は大空から姿を消していた。