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アワタニ憐
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電車

ゴトンゴトン ゴトン ガタン ガタン ここは山頂か? ガタンゴトン ガタンガタン 視界が白む 汗が吹き出る 空気が薄い クラクラして、壁に頭を持たせる ひんやり。 電車の壁だった。 前にはゴージャスなお洋服をお召しになったおばちゃん、学校帰りの半袖好青年、皆が想像するシャツのおじさんが座っている 横には2人座っている 姿は見てないので分からない 身体が重い。 濃ゆい霧が私を包んでいるようだ。 冷や汗が、頭皮を伝っていく。 できるだけ前のめりになって、霧の重量を逃がそうとした。 ゴージャスなおばちゃんがこちらを見ている気がする 体勢を戻し、足を組み替える。スマホを取り出して体調不良の旨をツイート。 ある日突然、電車が苦手になった。きっかけは些細なことで、少し急いで電車に乗った時に過呼吸になりかけたのだ。 その時の私の心境はこう。 (あれ?呼吸が止まらない。…これは危ない!周りの人はきっと、私が全速力で電車に乗ったのだろうと勘違いしている!違う!私は歩いて電車に乗った!席も空いていたし走る理由が無いだろう!助けてくれ!これは違う!…!落ち着け、落ち着け) こうして思い返してみると少し滑稽だな。 それでも、私はこれがあってから前よりずっと電車に乗ることが苦痛になった。 どれだけゆっくり歩いても、動いても、先程表したように呼吸がだんだん荒くなる・身体が重くなる・冷や汗が出る。 最寄り駅に着くのはまだか? あと何駅か? スマホを見るが、画面を見ていると余計に気分が悪くなる。 咄嗟に窓の外に目をやり、流れるビルや住宅街を眺める。干してある洗濯物の数を数える。 …少しマシになったかな。 あと2駅。 もう少しだと思えば思うほど、霧が濃くなっていく。その霧が肺の中まで入ってきて、さらに身体を重くする。 吐きそう。 ガタンゴトン ゴトン ゴトン あと1駅。 電車の天井を見上げる。 つり革の数を数える。 最寄り駅に到着。 重ーくなった身体をカタカタの脚と腕で持ち上げ、ゆっくりと下車した。 サラリーマンが私をじっと見つめる。 派手髪がダルそうだからですか? やっと電車の腹の中から這い出た。 空が青くて少し安心した。

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