ゲームオーバー -石化- プロローグ
Added 2023-07-17 13:30:00 +0000 UTC20XX年に発売された最新フルダイブゲーム機、ココン。
カプセル型の本体の中に、全裸か、専用のプレイヤー用の服を着て入ることで、これまでのゲームよりもより鮮明な感覚を味わえるようになり、ゲームの世界をより楽しむことができる。
1台1000万円。
そんな触れ込みで売り出されたはいいが、べらぼうに高い。
それに、ココンがカプセル内の人間の体を厳密に読み取ることで、その感覚を鮮明に再現するという仕様であるため、ゲームの中で再現されるアバターが本人そっくりとなってしまう。
別の姿のアバターにすると、感覚の再現度が下がってしまうという欠点もある。
とはいえ、正確に味も匂いも手触りも、全て再現されるため、従来のフルダイブでのゲームよりも人気が高いし、オンラインでは、他者に見える顔だけ隠せ得る仕様になっているので、秘匿性も一応はある。
ゲーム機の値段はまあ・・・、個人では買えない。
だから、2X世紀になった今頃に、ココン専用のゲームセンターが乱立しているのだ。
完全予約制で、予約時間が終わったら強制ログアウト。
とは言っても、新手のネカフェ感覚で使用すれば、長時間プレイも可能で問題はない。
そのココンで、最高の神ゲーと呼ばれているゲームがある。
「テンセイクエスト」
21世紀ごろから小説とかの題材でよくある異世界転生ものを題材にして作られたゲームで、異世界に転生した主人公が、その世界でモンスターを倒したり、魔王に挑んだり、はたまたそのままその世界に居着いて自由に暮らすといった、自由度たっぷりのMMORPGである。
発売からすでに2年。それでも伸び続ける利用者数。
俺も始めたのはつい最近だが、毎日と言っていいほどココンの予約を取り、プレイしている。
そのゲームについ最近、新ダンジョンが実装された。
最深部では、最高レア度の装備やアイテムを拾え、浅層でも、過去イベントの限定アイテムが低確率で拾うことができるという触れ込みである。
中途参入組としては、過去の限定アイテムが入手できるのは、大変嬉しい。
とは言ってもまだ、完全クリア者はおらず、また途中でゲームオーバーになったものは、一定期間のアバターロストというペナルティもある。
アバターロストとは言っても、一応救済はある。
まるで真っ黒な全身タイツを着ているかのような仮アバターを与えられ、ダンジョンに潜ったりはできないが、町で装備を作ったり、釣りをしたりというスローライフなプレイはできる。
それに、完全クリア者は0と言っても、再入場はまた入り口からになるが、途中で帰るという選択肢もありだし、いきなり最強クラスのモンスターが出てくるというわけでもない。
まだ素人に毛が生えた程度の俺でも、一定のフロアまでなら挑戦しても大丈夫。
それが、攻略サイトを見た俺の意見だ。
そんな評価をしている最新ダンジョンだが、まだプレイはしていない。
というのも、超人気ゲームの最新ダンジョンであるため、サーバー負荷の予防として、ダンジョンへの入場は抽選制になっているからだ。
そして俺は幸運にも、まだ完全攻略者のいないこの最新ダンジョンへの入場券の抽選に当選し、今日とうとうプレイすることができるのだ。
事前の準備もバッチリ。
攻略サイトも確認した。
俺のレベルで行けるであろう範囲で注意すべきは、雑魚モンスターではなく、途中で低確率で戦闘に乱入してくるというウザモンスター。
そいつに注意すれば大丈夫だ。
ゲームにログインし、自分のアバターを確認する。
見た目もそっくり、いつも通りだ。
最後にログアウトした宿で装備を整える。
このゲーム、何がすごいって、本当に全てを再現する。
髪型を変えてからログインすると、すぐにその髪型に変わっている。
そして、何よりも性器までもそっくり。
萎えた時の形も、勃起した時の大きさも、その血管の走り方も、何から何まで俺のものだ。
別に人に見せるつもりはないから、ちゃんと装備を付けて出歩くから、そんなところまで再現しなくてもと思ってしまう。
過去に、ユーザーがココンの製作者になぜ、そこまで再現したのかと聞いていた。
その答えが、「人体を完全再現するために、全身をスキャンしている。だから、その結果仕方なくそこまで再現されてしまうのだ」との答えだった。
そこくらい暈せよとみんな突っ込んだことだろう。
宿から出た俺は、新ダンジョン入場の当選券につくおまけ機能、ダンジョンまでのファストトラベルを起動する。
アバターが光に包まれ、一瞬の浮遊感の後、地に足をつけた感覚が戻る。
周囲の光のモヤが消えると、目の前には、洞窟の入り口。
新ダンジョンへ到着した。
設定上、入場者の管理という名目で立つ、ゲーム内の王国の衛兵に当選券を渡すと、すんなりと入場を許可された。ゲームオーバー -石化-