昨年の暖冬に慣れてしまった体には、今年の冬の寒さは堪えますね。
みなさんはどのようなお正月を過ごされましたか?
私は今年は自粛ということもあり地元の大きな神社にも行かず、決まった行事ごとだけをして後は家でのんびり過ごしていました。
写真整理をしていたら、ふと二年前の一月に体験した面白い写真を見つけたので、
今回はそのことを書き綴ろうと思います。
奈良県の菩提山 正暦寺(ぼだいせん - しょうりゃくじ)で【菩提酛(ぼだいもと)清酒祭】が毎年1月に執り行われます。
由緒あるお酒造りの現場を見学することが出来る、ということで一昨年に参加してきました。
「どうしてお寺でお酒造りを?」と疑問に思われるかもしれません。
私自身、友人に誘われるままに来たものの、「お寺でお酒って…仏教の飲酒戒(おんじゅかい)に触れないのかな…」と気になりながら参加しました。
お寺がお酒を造るようになった歴史はここで書くと長くなるので、色々と割愛しながら簡単にお話します。
もともと、日本ではお酒は神道と深い関わりがあり、お寺が日本酒を造るようになる以前は朝廷や神社の下で主に造られていました。京都の「柳酒」というのが銘酒の代表格です。
ところが、日本は外来からの宗教が日本古来の神道と融合していく面白い風土を持っています。八百万の神なんでもあり。
仏教もその一つで、平安時代の神仏習合により元々の仏教の戒律の厳しさというのは神社の儀式と融合して「神仏に供えるもの」として複合されていきます。
仏教の戒律でいうと、お酒を飲むのも、ましてやそれを造って売るのもダメ。
しかし、寺院の運営という名目であれば私利私欲の為の販売ではない為にOKだとみなされていたのです。
そして、なぜ室町時代にお寺が酒を造るようになったかというと…
室町幕府の統治下で、徐々に寺の維持費に充てられる国費が減らされていき、多くの僧侶を抱える正暦寺は、自分達で財源を確保する為に酒を造り、それを販売することで建物の維持・僧侶の生活費としてまかなうことにしたのが、ここが清酒発祥の地となった由来だそうです。
正暦寺は清酒造りの醸造技術を確立した所で、ここで造られていた僧坊酒の「菩提酛」がすべての清酒の始まりと言われており、境内には「日本清酒発祥之地」の石碑が建てられています。
それから段々と全国各地で美味しいお酒が造られるようになっていきます。
奈良漬けもこの頃から既に食べられていたそうなので、お酒造りで出た酒粕を使って仕込んでいたのかも…。
菩提酛は大正時代に一度消滅したといわれていますが、その後有志の取り組みにより、菩提酛を用いた酒の再現・復活運動が始まりました。
菩提酛乳酸菌の発見や天然酵母菌の改良などに取り組み、1998年12月、正暦寺は酒母製造免許を交付され、直後の1999年1月に最初の酒母造りが始まっています。
その後、毎年1月に酒母造りが行われ、菩提酛清酒祭として定着しています。
正暦寺とお酒造りの関係はこのようになります。
さて、実際のお酒造りです。
到着した時には既に米を蒸し始める作業に入っていました。
この作業を見ながら、上記に書いたような正暦寺の歴史について説明を聞いていました。
蒸している間はすることが特にないので、境内の別の場所に移って奈良の地酒の試飲や餅つきをしました。
昨年の清酒祭で造られた菩提酛を使って醸造した酒の試飲販売が行われていました。
ここで作られた奈良漬も売っていたので購入しました(*^-^*)
餅つきは、小学校の行事以来で大変ワクワクでした。
こんな長い木の棒でトントンと上から叩いて捏ねます。
みんなで輪になってつくのですが、良いストレス発散になって楽しかったです(笑)
傍から見るとなんか…怪しい村の祭りか、亀いじめている現場みたいですね。
つきたてのお餅を、あんこ・きなこ・大根おろしの中から二種類選んで振舞われます。
大根おろしで食べるのは初めてでしたが、さっぱりとしてハマりました!
おかわり自由なので、全部の味が食べたくて二回頂きました。もうなんというか、日本酒造り見学に行ったのに餅の記憶が大部分を占めています。
かす汁も美味しかった~。
その後、寺院の建物内を拝観して、蒸しあがったお米を取り出すところで作業場に戻りました。ツアーではないので、もうこの辺は自由です。
もう一度餅を食べに行くも良し、その辺をぷらぷら見学するも良し!って感じでした。
見ている間に、作業をしている方がこの酒米からできたものをその場で餅状にして奥で揚げ始めるじゃないですか。
「あれ絶対美味しいやつやん~」と友人と見ていました。
作業している方の特権のご褒美かなと思っていたら、それに塩を振って見学者に振舞ってくれてとても美味しかったし嬉しかったです。
蒸しあがったお米を麻布に広げて冷ましていきます。
もう辺り一面、お酒の香りが充満してすごかった。
蒸米と麹を「そやし水」の入った酒母タンクに入れます。
これでこの日の作業は終了。
酒母が無事に完成することを願って祈祷が行われて終わりました。
ここから状態を確認しながら温度管理を行い、正暦寺酵母を添加→約2週間で菩提酛ができあがるそうです。完成した菩提酛は各蔵元が持ち帰り、それぞれの酒を醸造します。この日作業をされていたのも、この蔵元の方達です。主に跡取りの若い方が多かった。
そして、できあがったお酒は大体3月頃に販売されます。
酒母は同じでも、蔵によって味や香りが違うからお酒って本当に不思議ですね。
今年はちょうど1月9日の今日、このお祭りが開催されたそうです。
感性拡大防止の為、餅つきは中止されたのだとか。
また例年のように、安心して色々な文化が楽しめる日が早く戻って来ることを願って…。
それでは今回は、この辺りで。