球児が、最期まで追い込まれる話。
Added 2023-05-26 16:27:41 +0000 UTC翔太は、逃げるようにベッドに入る。 スマホを開く。 野球部のグループラインを覗いた。 「英語の佐藤がさぁ~」 「先生は女にしてくれよぉ!」 そんないつもの会話に、翔太は安堵する。 自分はまだ生きている。 自分の青春を確認するため、グループのアルバムを開く。皆との写真、いつもの楽しい日々、日常のありがたさをかみしめていた。 そんなとき、異変が起きる。 スマホがおかしな挙動を始める。 無理やり画面がトークルームに引き戻される。 自分のアカウントが、強制的に動画をアップし始める。 あの、動画だ。 翔太は操作を繰り返し、止めようとする。 だが、とまらない。 70%、80%、90%、そして 「アップ完了」 あの動画が、皆にばらまかれる。 「え?」 「キモクナイ」 自分の痴態が青春の仲間たちにばらまかれる。 「翔太君?」 もちろん、マネージャーの目にも入る。 翔太は目の前が揺らいだ。 現実が、正しく見えない。 翔太は、大粒の涙をこぼしていた。 部屋の中、ポツンと大きな男が大泣きしていた。 「もぉ、やめてくれよぉ!!」 そんな悲鳴にも、誰も答えない。 あるとしたら、どんどんとつくラインの通知音だけ。 「うぉぉぉぉ!!!!!!」 大切な何かが、プッツンと切れた。 実は、翔太のスマホが乗っ取られたのは事実だが、野球部のグループに動画を投稿したのは本当ではない。 動画を投稿したのも、それに対しての反応も作り物で、誰もまだ翔太の異変に気付いてない。 ぜんぶ、Aの仕組んだことだった。 皆には、まだ知られるわけにはいかない。 青年の異変に社会が気付く前に、実は摘ままねばならない。 翔太は散々に泣き散らしたあと、赤子のようにすっと睡眠に入った。 すやすやと眠る翔太の穏やかな顔を見ながら、部屋に侵入したAは噴霧器の回収をする。 この部屋はこれから現場になる、証拠は摘まねばならない。 ドアノブの強度を確認し、ノブと床からの高さを測る。 ちょうどよい、ロープの長さを知るために。 翔太の部屋は、撮影室から処刑室にその役割を変えようとしていた。 一通り部屋の測定、カメラの調整を終えたら、この部屋の住人に目を向ける。 純粋無垢な寝顔を見て、Aはボソっとつぶやく。 「悪いな、まだ、ガキなのにな」 メジャーをそっと翔太の首に回して、太さを測定する。 一通り必要な情報を獲得したAはそっと部屋を出た。 何日たっただろうか、スマホを見てもひかりからの通知で埋め尽くされていて、開く気になれない。 なんて詫びればいいのだ。 冷蔵庫のなかも尽きた。 食い物の調達のために、翔太は買い出しに行こうとする。遠くの街に行けば、誰の目にもつかないはずだ。 マッパの翔太は、短パンだけ身に着ける。 田舎の地元では、別に上裸でも大丈夫だった。 数日ぶりに外に出る。 お天道様も、久しぶりの翔太に喜んだ。 すっきりとした顔、上三角の上半身、プリッとしたお尻、日焼けした肌、お天道様にとっても好みだった。 だが、ぷっくりと赤く熟れた乳首が目に付く。明らかに開発された、不純なものだった。 お天道様は全てを察し、そして嫌悪した。 翔太にとっても、久しぶりの日差しは耐え難かった。ついこの前までは外で元気に走り回っていた、にもかかわらずだ。 「ん?」 郵便受けに、何か入っていた。 段ボールの箱と、手紙だ。 宛先は、ひかりからだった。 筆跡も、ひかりのものだ。 怖くて、しばらく立ち尽くした翔太は、外にいることさえも恐ろしくなった。 心臓がバクバクする。 みんな、アレを知っているかもしれない。 慌てて家の中に逃げ込み、自分の部屋に戻った。 でも、愛しているひかりからの手紙だ、見ないわけにはいかない。 深呼吸する。 きれいな空気が肺を満たし、落ち着きを取り戻す。 手紙を開く。 「翔太君には失望しました。最悪です。箱の中にはちょうどいいロープが入っています。せめて、死んでしまってください。そうしたら、みんな忘れてくれると思います。貴方に生きていてほしくありません」 これは全部作られたものだった。 ひかりは遠くの地で、恋しい彼氏のことを考えていた。 だが、そんなことを翔太は知らない。 枯れたはずの涙が。ぽつぽつとこぼれ始める。 それは動揺の涙ではなく、諦観の涙だった。 箱を開く。 中には、輪っかを付けたロープと、その使い方を説明する、手書きの文章が入っていた。 これも、ひかりの筆跡だ。 翔太に、もう選択肢なんてなかった。 ひかりに強く後押しされるように、ドアノブにロープをひっかける。 床に座りドアによっかかる。 (まだ、生きたい) そんな思いが頭を駆け巡る。当たり前だ、つい数日前までもっと未来があったはずなのだから。 死をためらう翔太の様子を、隠しカメラが正面からとらえていた。 Aは、今か今かと待ちわびる。 翔太は、眼をキュッとつむり、首にロープをかけた。 強く縛り、結び目を確認する。 もう、逃げ場なんて知らない、誰も教えてくれない、誰も助けてくれなかった。 どうしようもなくなって、足を前に投げ出した。 ケツが、宙に浮く。 (く…苦しい!) ジタバタとするが、どんどんと頸動脈が締め付けられる。 意識が遠のく。 ぼんやりと、ひかりの笑顔が浮かぶ。 だが、すぐにそれは、自分のまき散らした精液と、冷えた笑みを浮かべるBに置き換わった。 (な…ん…で) 翔太は、意識を手放した。 まだ、肉体は生きていた。 しぶとい翔太の肉体は、ビクンビクンと跳ね始める。 身体が命の危険を感じ、次第に、ちんちんが勃ち上がる。 短パンから、ちんちんが顔を見せる。 体は跳ね続ける、まるで腰を振っているみたいだ。 そして、射精を始めた。 翔太は、ここ数日抜いていなかった。 その分の精液が、腹筋に、胸筋に、顔にかかる。 射精が収縮するとともに、身体の脊髄反射もおさまる。 もう、抜け出せない。 全身がガチガチにこわばる・ Aはかたずをのんで見守る。 翔太の身体から、「フッ」と力が抜けた。 力尽きたのだ。 Aはついに狩りに成功したのだ。 仕留めた獲物の寝顔を、Aは舐めるように眺める。 そのとき 短パンにシミが出来る。 そして、両足から黄色い液体が、尿が漏れ出す。 ケツの下ももっこりと膨らみ、シミが広がる。 口から下がだらんとし、端正な顔が台無しになる。 死体から、尊厳すらも奪われた。 Aは、オスガキの最期を堪能し、画面を閉じた。 後日、一連の様子を収めた動画が高額で取引された。 翔太に告げられたように、YuuTubeで公開なんてされてなかった。 死なないでよかったはずの青年の死は、金持ちの慰めになったという。