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千○●○観音 前編

長くなってしまったので前編後編に分けます 前編にはエロシーンはありませんので エロだけ見たい方は後編をどうぞ ----------------------------- 様々な獣人の暮らす世界で、エナジーと呼ばれる特別な力を持つものが現れ始めた。あるものはその力を私利私欲のために使いヴィランと呼ばれた。あるものは私利私欲にまみれた力持つものを罰する立場となりヒーローと呼ばれた。 エナジーを持つものは獣人全体からすれば実のところそれほどは多くない。だからこそ何かしら不穏なことが起こればそれはヴィランの仕業なのではないかと真っ先に疑われる。あるヒーロー支部でも一般市民が巻き込まれる怪奇現象の話が上がってきた。 「ここのところこの街の裏通りでのうわさを聞いているか?二人とも。」 「いえ、すいません、俺は知らないです隊長。」 「ベロアは仕方ないよ。裏通り、つまり発展場のうわさってことですよね?隊長。」 ベロアと呼ばれたこの地域用に開発された青いヒーロースーツを着こむ馬獣人もヒーローの一人。スーツから出ている栗色の毛並みがとてつもなくつやつやで柔らかそうな見た目をしている。 「あぁ、そうだ、獣人は雄も多いからな。雄同士の行為を許容できる場はあったほうがいい。だが異様なまでに求めすぎているのは問題だろう。」 「そうなんですか?俺は興味ないですけど、そういう場所ってそんなものじゃないんですか?」 「いや違うんだよ。確かそれまでは顔を出していなかった新顔が異常なまでに行為を求めてるんですよね?」 「そのとおりだ。そういう場所も調べられるのはさすがゴールだな。」 ゴールと呼ばれたゴールデンレトリバーの犬獣人は軽く目をそらす、ある意味ではそういう場にも顔を出しているんではないかと隊長に突かれたようにも感じたからだ。 「それはともかく、ヒーロー案件なのですか?」 「あぁそうだ。今ゴールが言った新顔の雄には、雄のはずなのに雄としての大切な部位がなかったらしい。」 「そ、そこまでは聞いてませんでした。」 「おそらくないほうが雌らしく思えてやりやすかったから我々に報告がなかなか上がらなかったのだろう。だがそういったものの数が増えてくればいつか自分もこうなるのではという不安が出たのではないだろうか。最近になって一気に増えたそうだ。」 隊長の言葉に思わず二人とも自分の股間部に軽く手を伸ばす。雄として大切な部位なんてそこしか思い当たらなかったからだ。 「まさかその犯人を捕まえろという指令ですか?」 「いや、まだ二人には危険かもしれない。見回りをして怪しいヴィランがいないかを見て回るのが仕事になる。他のペア達にも伝える予定だが、今のところ被害者はおそらく単独での行動中に襲われている。」 「それじゃあペアでうごく僕たちには関係ないのでは・・・」 「見回りの時には、な。人の部位を奪う力の場合、奪っている数によって力を増す事例は多い。さらなる力を求めたとき、一番に狙われるのは同じエナジー持ち。」 「つまり、まだペアを組まないといけないような俺たちに、一人の時は気をつけろって警告でもあるんですね。」 「そういうことだ。オフの時にこそ気を付けてほしい。特に夜はできるだけ一人で行動しないように。」 「了解!」 隊長の警告に二人とも胸に拳を当てて声色強く返事した後に喉を鳴らす。このヒーロー支部では一番の新顔同士であるペアの二人が初めに集められた意味がようやく分かったからだ。隊長は他のペアも呼び出しているようで二人は隊長室から退室して、二人に割り当てられた部屋にと移動していた。 「それで、どうするよ?早速明日はオフなわけだが。」 「そういう面もあって僕たちが声かけられたんだよきっと。二人で行動する?ヒーロースーツなしでもいざとなればエナジーは使ってもいい許可はある。」 「まぁゴールと二人なのは別にいいが、何か用事があるとか言ってなかったか?俺は裏路地方面はいかないぞ?」 「あんなことを聞いた後に僕が行くわけないでしょ。ヒーローとしての自覚くらいはある。ほんとは外に出ずに家に居続けるのが一番なんだろうけど。宅配を装って家に来る恐れもある。」 ありえそうな話ではあったが、ベロアにはよくわからない話だったようで困惑した様子で聞き返す。 「何も頼んでないのに来る宅配なんて無視すりゃいいじゃねぇか。というかそんなの来るものなのか?」 「うちは兄弟多くて、何かと送ってくるんだよ。僕もよくいろいろ送ってるの。ベロアの家にいれば気にしなくて済むからさ。頼むよ。」 「そういうことならいい。今日から泊るということだろ?」 「そういうことだね。今日の見回り終わった後の帰りが一番危ないだろうし。」 まるでお泊り会のような軽い口調だが、エナジーを感知する腕時計のような装置を手首にはめ直すゴールの顔は真剣そのものだ。この後少しすれば見回りになるのだから当然と言えば当然だろうが。 青いヒーロースーツを着た別のペアが戻ってくると、ベロアとゴールの二人が交代するように街の見回りにと繰り出す。ヒーローが見回る光景はこの街ではもはや見慣れたもの。エナジーを得ても好き放題するヴィランになるものが少ないのは見回りおかげでもある。 といっても見回りの最中一般市民が声をかけることはない。エナジー感知装置に目を向けながら街を練り歩く仕事であり、ファンサービスなどではないからだ。 新人である二人が担当するのは主に大通りで少し危険度も増す裏路地はソロでも仕事をこなせるベテランが担当する。一般市民も多く歩く大通りでエナジー計測器が反応することなどまずない。それでもパトロールすることで抑止となるから続ける。何より二人には先ほど聞いたばかりの原因不明の事件の話がちらつく。 「っ!動いた!?」 「なんだと?ゴール、声を静めろ。一般市民もいる。」 「おっと、そうだった。ほんの少しだけど反応があった、ここは公園か。」 ゴールが思わず口に出してしまったせいで近場にいた市民たちが足早に公園から離れていく。エナジー反応があったということは青いヒーロースーツを着ていない状態で誰かがエナジーを使った可能性があるということだ。ヴィランがいる可能性が高いとなれば誰しもが避けるだろう。 ブランコにジャングルジムとすべり台に砂場があるだけのそれほど大きくない公園。休みの日ならば遊ぶ子供がいそうだが、学校の時間である今は誰一人としていない。 「ほんとにここで反応があったのか?」 「今も反応があるけどすっごく小さい。多分ここで誰かがエナジーを使った後の反応だ。隊長に報告が必要だね。誰かヒーローが緊急に使った可能性もあるし、子供がエナジーに目覚めた可能性もある。」 「あぁ、エナジーに目覚めた子供が急に遊んでいるときに発動させちまうあれか。見回りは打ち切りだな。」 このルートの見回りは自分たちが担当なのでほかのペアが公園での反応を見つけた可能性は限りなく低いと急いでヒーロー支部に戻り、隊長に取り次いだ。 隊長の部屋では先ほどすれ違ったペアが二人と同じ事件の話を聞いてちょうど出てきたところで軽く深刻そうな顔をしている。変わるように二人も深刻な顔で報告を始める。 「見回り途中だったようだが、報告を聞こう。」 「A地区の小さな公園にてエナジー反応があったために軽く調査して戻ってきました。とても小さなエナジー反応だったうえに現在人はいませんでした。」 「A地区の公園?その近くには確かカイドが済んでいたはず。たしか今日はカイドの休みだったな。昨日の夜に何かあったのか?こちらから連絡を入れてみる。報告感謝する。」 「カイド先輩ならば問題ないでしょう!」 カイドとはこのヒーロー支部の狼獣人で、同じ狼獣人はもちろん、犬獣人や狐獣人からの信頼も厚い熟練ヒーローである。ゴールも例にもれず慕っていてあこがれの存在だった。 「そうだといいが、カイドが力を使たのであれば何もなかったのなら休みでも連絡を入れるはずだ。他の要因であるならそれも問題になる。」 「そ、そうでした。すいません。」 「仕方あるまい。熱狂的になるのはわからなくもない。戻ってきたところ悪いが、引き続きA地区の残りの見回りも頼む。」 「了解!」 二人の声が重なり隊長室から退室する。真面目顔だったゴールが失敗したって顔になってベロアを見ると、しょうがないやつだといわんばかりに肩をすくめた。 結果的に公園でのエナジー反応以降、何の問題もなく日が暮れ始めるころには二人のA地区担当区域の見回りが終わる。普段ならば翌日休みの二人はここで解散してそれぞれくつろぐのだが、まず隊長に呼び出された。 「あの、どうしたのでしょうか?俺たちの呼び出しって。」 「・・・実は何度か連絡を取ったのだが、カイドとの連絡がつかない。他のペアの不安感が高まることも考慮したが、全員に話した。君たちもよくよく気を付けてくれ。」 「それって、カイド先輩に何かあったってこと、ですか?」 「可能性は高いという話だ。だがこんな状況でも休暇中は支部の部屋を使う許可が本部から降りなかった。すまないが家で過ごしてほしい。」 「わかってます。部屋の管理やスーツの調整も意味してるんですよね。ゴールが俺の家に来ることになったので二人で帰ります。」 「ベロアはC地区か。A地区からは離れているが、気をつけて帰るように。」 「了解!」 「・・・了解。」 いつもは元気よく答えるゴールが少し震えるように声を落としていた。隊長は咎めなかったが、隊長室から出るとベロアがゴールの肩をたたいた。 「おい!カイド先輩が不安なことはわかる。だが返事ははきはきとだろ!いつもゴールがいてったことじゃないか。」 「ベロア・・・そうだった、ごめん。とにかく休日の間、君の家で落ち着かさせてもらうよ。」 「そうしろ。ほらいくぞ。」 ゴールはベロアの言葉に少し元気づけられて部屋に戻り、それぞれ備え付けのカーテン室でスーツを脱いで私服にと着替えるとそのまま二人でベロアの家にと向かう。 ヒーロースーツとともにマスクをつけているため外した今は一般市民と変わらない。途中スーパーによっても誰もヒーローだと気づかない。ベロアの家の食材だけでは足りないだろうときちんとゴールは自分の食材は買い足す。 「気にしなくてもいいんだけどな。」 「親しき仲にもこういう礼儀は必要でしょ。」 仲良さげに話しながら歩く二人。すでに日は暮れているが近くにはほかにも帰路だろう人々が歩いている。スーパーからそれほど歩かずにベロアの住むマンションにと着いた。 人通りの多い場所で何か事を起こすようなヴィランはすぐにつかまる。狡猾なヴィランほど人がいなくなった深夜を狙う。隊長から聞いた事件がヴィラン関連だった場合はこの対応が一番安全なのだ。 無事に帰宅で来た二人はまずは夕飯を楽しんでいた。作ったのはベロアだ。ゴールは普段はコンビニ弁当で済ませているがたまにベロアの家に泊まりに来てはごちそうになっている。 「やっぱベロアのご飯はおいしいよ。お店出せばお金取れるって。」 「いつもおおげさだな。俺はヒーロー気に入ってるし、やめるつもりはないぞ。」 「見回り活動が大変だから兼業も難しいもんね。まぁいってみただけ。」 ゴールも今ベロアにヒーローをやめられると困るので店を出すなどほぼ冗談でいっている。これだけ仲の良くなったペアなのだからいまさら他の人と組みたいとは思わなかった。 「それにしても、今回の話、やっぱりヴィランなのか?他の地域だとヴィラン一人にヒーロー壊滅とかもあったそうじゃないか。」 「雄としてのものがなかったってことは人的被害が出てるんでしょ。おそらくヴィランだろね。でもあのカイドさんが巻き込まれたとは思いたくはないけど・・・」 「俺もそうは思いたくないけど、どうなんだろうな・・・」 「あー!やめやめ!せっかくの休暇前の自宅なのにまた重くしてごめん!なんかゲームでもして忘れさせてくれる?」 「そうするか。」 重苦しい空気にしてしまったのはヒーローとしてのこの街への心配事故だったが、無理に明るく振舞おうとするゴールに付き合うようにベロアも一緒にゲームをし始めた。


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