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トイレ掃除の小人の話②_後編

タイルの谷間で汚れを取り除く作業していた小人たちは、巨大な女性の登場に、ここから逃げなければ危ないと感じ、動こうと身構える。 しかし、次の瞬間には―― 世界の天井そのものが、ゆっくりと、しかし確実に沈んでくる。 それが全員の背を撫でた。 「お、おい………来るぞ……!」 「しゃがむ……しゃがむぞ!!逃げろ!!」 だが、逃げるには遅すぎた。 女の太ももが巨大な壁となって両側をふさぎ、 暗闇がタイル平原を覆いはじめる。 布の擦れる轟音、スニーカーのこすれる爆音、そして―― 巨大な尻が、まさに落ちてくる直前の圧迫感。 空気が震え、むわっとした熱気に混じって強烈な臭気が流れ込んできた。 それは走ってきた勢いで汗をかき、蒸れに蒸れた股間と尻の匂い――下着の内側にこもっていた体臭が一気に解き放たれたものだった。まるで湿った布に染み込んだ汗と、強烈に発酵した肛門の臭いが混ざり合ったような、生々しく酸っぱい刺激臭だった。 「く……くせぇ……なんだ……この臭い……!!」 テロの男たちは思わず鼻を抑えるが、小人の身体ではその臭気は肺へ容赦なく流れ込んでくる。 むっとした熱気が顔にまとわりつき、視界がかすむ。 しゃがみ込む直前、女の肛門から、低く湿った音が漏れた。 ブゥ……ッ……! その直後だった。 ビチャアアアアアアッ!!!!!! 世界そのものが崩れ落ちるような、脳を直撃する轟音だった。 小人たちは鼓膜が破れたかのように耳を押さえ、地面に転げ回る。 『ぎゃああああああああッ!!』 叫び声すら排泄音にかき消される。 便器へ茶色い奔流が叩きつけられ、 水しぶきのような飛沫が空中に撒き散らされる。 だが、暴力的な音だけが小人を襲ったのではなかった。 本当に恐ろしかったのは、便器の中だけではなく、便器の周囲で作業していた小人たちにも下痢便が降り注いだことである。女がしゃがみ込む前に肛門が限界を迎え、決壊した勢いで、噴射の一部が手前側へ漏れ出していたのだ。タイルに散ったそれは、まるで空から降る泥雨のように小人たちを直撃し、避けることなど到底不可能だった。 便器の手前側――女の真下に近い位置で作業していた小人たち。 彼らは、逃げるどころか声を上げる暇さえなかった。 「……ああ……?神よ……これは……」 その男は、完全に壊れていた。 天から降り注ぐ下痢の奔流を、 まるで神話の奇跡かのように見上げていたのだ。 茶色い壁が迫ってくるというのに。 悪臭で肺が焼けるというのに。 視界が茶色に染まるというのに。 彼はただ震え、涙を流し、 「救いを……与えたまえ……」 と呟いた。 次の瞬間―― バチャッ!!!! 男は下痢便の直撃を受け、全身が茶色い津波に飲まれた。 悲鳴も声も泡に飲まれて消える。 その横で別の男も、逃げようと足を踏み出した瞬間―― ゴゴゴゴゴゴォォォオオオッ!!!! 第二波はもはや排泄ではなかった。 山の上から一気に崩れ落ちる土石流のように、粘度の高い下痢便がタイルを削り取りながら押し寄せてきたのだ。 「う、うそだ……!?女神さ……!!」 男が振り向いた瞬間、茶色い奔流は彼の全身を丸ごと覆い尽くす高さで襲いかかった。 視界は一瞬で茶色に染まり、轟音とともに身体が宙へ浮き上がる。わずかな踏ん張りも通用せず、彼は完全に濁流の一部として巻き込まれた。 ドゴボボボボボォォッ!!!! 「た、助け――」 声を上げようとした瞬間、口にも鼻にも下痢が押し入り、泡混じりの粘液が声帯を塞いだ。 タイルにしがみつこうと手を伸ばしても、粘度の高い泥流が腕を撫でるたびに指が滑り、何ひとつ掴めない。 抗う隙もなく、男はタイル上を流れる土石流の一部として、地面を転がされながら沈んでいった。 「……っ……」 「な、なんだよ今の……!!?」 「音……でけぇ……でけぇってレベルじゃねぇ!!!」 排泄音は鼓膜どころか頭蓋骨の内側を直接揺さぶってくるようだった。音の衝撃で三半規管が狂い、吐き気と目眩で倒れる者が続出する。『うああああッ!痛ぇ!!音が痛ぇ!!』と叫びながら耳を押さえてのたうつほどだった。 飛び散る下痢の臭いは、小人には毒ガスのように感じられる。 むせ返り、嘔吐し、目を押さえ、地面に倒れ込む者まで出た。 「く……臭すぎる……!!息ができねぇ……!!」 「なんだよ……なんなんだよこの量は……!!」 便器の内側では、下痢の濁流がまるで泥の滝のように流れ落ち、 タイルを振動させる。 まともな男だけが、冷静だった。 彼は苦しむテロの男たちをながめながら、どこか哀れむように言った。 「……あんたたちも災難だな。よりによって初日に、こんな下痢女に出くわすなんてよ」 「ひ……ひぃ……!!」 テロの男の一人が震えながら言う。 「今……飲まれた奴……ど、どうなるんだ……」 まともな男は、静かに答えた。 「どうもならん。もう死んでるか……死ねてるといいがな」 その冷淡な言葉が、最も恐ろしかった。 濃密な悪臭が個室全体を満たした瞬間、男たちは同時にえずき、肺が焼かれるような痛みに悲鳴を上げた。 『くっ……くっさ……!!無理だ!!死ぬ!!これ吸ったら死ぬ!!』 地面に這いつくばって嘔吐し、胃液すら吐き尽くして痙攣する者まで現れた。 胃の奥をひっくり返すような酸味と、腐敗臭が混じった匂い。 テロ組の男たちは本能的に口元を押さえるが、無駄だった。小人の身体では、臭いの密度が何十倍にも感じられる。 「うっ……ぐっ……」 その場で吐き、膝を折る者もいた。 「くそ……なんだよ……なんで女のただのうんこが……こんな地獄になるんだよ……!」 まともな男は遠くで続く排泄音を聞きながら、目を細めた。 「人間だった頃の尺度で考えるな。俺たちにとって、あの尻はもう山なんだ。 そして今は、山の噴火の真下にいる。それだけだ」 その直後―― ブベベベベベッ!!ビチャッ!! 追加の下痢便が、戦車砲でも撃ち込まれたかのような爆音とともに便器へ叩きつけられ、 小人たちの心臓が跳ね上がった。 「ひっ……!!まだ出るのかよ……!!!」 排泄は、まだ終わらない。 ここからさらに、この地獄は続いていく。 小人たちの世界は、もはや排泄音そのものによって破壊されつつあった。 女性の腹の底から響く声が落ちてくる。 「はぁ……っ……やば……まだ出る……っ……!」 その一言が、小人たちには死刑宣告のように聞こえた。 震えながら土下座している者の肩が、びくりと跳ねる。 「も、もうやめてください……!!神よ……女神さま……!!」 「助けてくれ!!頼む!!もう無理だ、無理なんだぁ!!」 しかし、その懇願は―― ブボボボボボッ!!ビチャァァァッ!!ドロロロロロロッ!!! 地響きのような排泄音にかき消された。 音そのものが衝撃波となり、小人たちの身体を振動させ、胸の奥を殴るように打ちつけてくる。 「ぎぁああああああああ!!いたっ……鼓膜が割れる……!!」 「や……やめて……音が……音が殺しにきてる……!!」 誰もが耳を押さえてうずくまるが、1cmの体では指で塞いだところで意味がない。 脳髄まで震わせる爆発音は、頭蓋の内側を直接叩き、思考そのものを破壊していく。 そして次の瞬間―― むわぁぁぁぁ……っとした、強烈な悪臭がタイル平原を覆った。 汗と蒸れと、激しい下痢の臭気が混ざり合い、 小人たちの肺へ圧力をかけながら流れ込んでくる。 「っ……ぐっ……がはっ……!」 「くさっ……無理……吸えねぇ……吸ったら死ぬ……!!」 臭いはもはや空気ではなかった。 濃密で粘りつく気体の泥のように、小人たちの鼻をふさぎ、肺を焼き、喉をただれさせる。 土下座している男たちは、涙と鼻水と胃液を垂らしながら、それでも許しを求め続けた。 「おねがいします……!もう……もう出さないで……!!」 「助けて……!死にたくない……!!」 だが―― ブベベベベベッ!!ブリュッ!!ブリュブリュブリュ!! 断続的な排泄音が、無慈悲に落ちてきた。 音が鳴るたびに小人たちの身体が跳ね、鼓膜が裂けた者は血を流し、その場で倒れ込む。 「ひっ……ひぃっ……!!ま、まだ……出るのかよ……!!!」 女の声が落ちてくる。 「んっ……はぁぁぁ……!やば……止まんない……!」 その声は、苦しげでありながら、どこか快楽にも似ていて―― 小人たちにとっては、ただ絶望の合図でしかなかった。 臭気はさらに濃くなり、排泄音はさらに大きくなり、 女性のいきむ息は、まるで上空から落ちてくる熱風のように小人たちを押しつぶす。 「うっ……がぁ……!!助け……助けてぇぇぇ……!!」 土下座していた者たちのうち数名はついに崩れ落ち、 そのままタイルの上で痙攣しながら意識を失った。 しかし排泄は止まらない。 下痢の臭気も排泄音も、慈悲なく降り注ぎ続ける。 上空では―― 女性が最後の波をいきむ。 「はぁ……はぁ……出る……出るぅ……」 ボタタッ……ボタタッ……ぽた……ぽた…… 音が弱まり、最後の滴が落ちる。 女性が背筋を伸ばし、満足げに吐息を漏らすころ。 小人たちは―― ほとんどが地獄の臭気と音の洪水により、 涙と嘔吐物まみれで地面に倒れていた。 その中で、まだ意識を保っていたテロ組織のリーダーだけが、震えながら身を起こした。鼻を押さえ、涙でにじむ視界の中で仲間たちがうずくまり、痙攣し、失神して転がっている。 しかし、それ以上に彼の精神を砕いたのは――むせ返るほど濃密な悪臭だった。 「な……なんなんだよ……こりゃ……」 呻くように鼻をつまむが、何の意味もない。臭気は皮膚の隙間からでも肺へ流れ込み、胸を焼くような痛みを伴って意識を削っていく。 「いったい……なんなんだ……これ……人間の……排泄が……なんで……ここまで……」 世界そのものが腐敗臭の霧に沈んでいくようで、思考がぐしゃぐしゃに崩れていく。 リーダーはただ震えながら、理解不能の現実に膝をついた。 女性が立ち去る直前、個室はまだ濃密な悪臭と湿気で満ちていた。小人たちは地面に倒れ込んだまま、震える手で顔を覆っていたが、ようやく呼吸を整え始めた頃だった。 ゴシュゴシュゴシュゴシュッ!! 上空で女性が尻を拭くティッシュの音が紙袋を握り潰す轟音のように響き、小人たちの鼓膜にしみ込む。ひとしきりお尻をふいた後、彼女はふらつきながら立ち上がり――そして惨状に気づいた。 便器から大きくはみ出した濃厚な下痢便が、タイルの上で帯状に広がっている。粘性を帯びた黒ずんだ表面が光を鈍く反射し、広範囲にわたって茶色い汚れが広がっている。 「きゃっ……最悪……!!ちょ、どうしよう……!!」 上空の巨大な声に、小人たちは怯えながら顔を上げる。 そんな彼らがまるで見えていないかのように、女性がティッシュを追加で取り、タイルを拭こうとするたび―― べちょっ……ぐちゅっ……ぐにゅるっ……! 拭かれるどころか、下痢便はタイルの上にさらに塗り広げられ、小人たちの目には地形が変形していくように見えた。 「うわっ……くさっ……おえっ……!!」 女性の悲鳴とともに濃密な臭気がさらに立ち上がる。小人たちは反射的に口を押さえるが、小さすぎる身体では防ぐ術がない。肺にしみ込む刺激臭が咳と吐き気を強制的に引き起こす。 「だめだ……これ私じゃどうにもならない……。てか次の予定もう間に合わないし……!」 その言葉が落ちると同時に、女性はティッシュを便器へ捨て、ペダルを踏んだ。 ジャアアアアアッ!! 滝のような水音が落ちてくるが、小人たちにとっては水流の衝撃だけで身体が震えるほどだった。便器内部の下痢便は流れていくが、タイルに広がったそれはそのまま残り、臭気はむしろ濃くなっていく。 「……店員さんごめんなさい……」 そうつぶやき、女性は鼻を押さえながら足早に個室を去っていく。 ドアが閉まると、わずかな静寂が訪れた――が、その静けさは小人たちの頭を冷やすにはあまりに不吉だった。 リーダーが真っ青な顔で立ち上がり、荒い息のまま呟く。 「おい……おいおい……見たか……?そのまま……置いていきやがったぞ……」 仲間たちも震える声で続く。 「う、うそだろ……これ……誰が片づけるんだよ……」 リーダーは横に視線を向けた。 そこには、比較的冷静さを保っているまともだった男が、鼻をつまみながら立っていた。 その表情は――諦めと哀れみを混ぜたような顔。 「当然だ……」 彼は乾いた声で言う。 「俺たちがきれいにしなきゃいけない。……しかも、事態は結構深刻だ」 その言葉に、リーダーの膝ががくりと落ちる。 タイルに広がった下痢便は、まるで茶色い海のように見え、小人たちを飲み込む準備をしているかのようだった。 誰もが絶望を飲み込みきれず、ただ震えるしかなかった。 まともな男が無言で歩き出す。その背中には諦めと、何度もこういう地獄を経験してきた者にしか出せない重さがあった。 リーダーたちは一瞬ためらったが――ついていくしかなかった。 タイルの上を進むたび、足元にはまだ湿った臭気がまとわりつく。肺に染み込む刺激臭で、何度も吐きそうになりながら小人たちはよろめきつつ歩いた。 数十歩進んだところで――それが見えた。 「……う、嘘だろ……」 リーダーの声が震えた。 目の前に広がっていたのは、直径15cmほど――小人の世界の尺度に換算すれば、直径20~30メートルにも感じられる下痢の湖だった。 茶色い地面がタイルの溝に沿って広がり、表面には粘度の高い泡がぼこぼこと弾けている。場所によって厚みは異なり、浅いところで小人換算1メートル相当、深い部分では2メートル相当にも達する深さがあった。小人たちから見れば、足を踏み入れた瞬間に溺れかねないほどの危険な深度だ。ところどころに濃淡の塊があり、黒ずんだ帯が蛇のように横切る。 鼻を刺す刺激臭が、小人の鼻腔と肺を焼くように突き刺さった。 「くっ……!くさっ……!これ……近づくだけで死ぬぞ……!」 吐き気が波のように襲い、膝に力が入らなくなる。何人かはそのままタイルに手をつき、胃液を吐きながら震えた。 しかし、その地獄の湖の周囲には――すでに小人たちがいた。 元からこのトイレに住み着き、日常的に排泄物を処理していた者たちだ。 彼らは布切れを担ぎ、棒を使い、まるで工事現場の作業員のように無言で下痢便へと立ち向かっていた。 粘ついた泥の中へ足を踏み入れ、腰まで沈みながら、必死に掬い上げてはバケツに入れて運ぶ。その体は既に茶色に染まり、臭気にさらされ続けているせいで涙を流しながら作業していた。 リーダーたちは、その光景を見て凍りついた。 「な、なんだよこれ……本当に……やるってるのか……?」 まともな男が静かに言う。 「やるしかねぇんだよ。逃げ場なんかない。ここで生きるってことは――こういうことだ」 そう言うと、彼は下痢便の湖を指さした。 「俺たちもやるぞ」 背後でテロの男たちが顔を青ざめさせる。 「む、無理だ……!あんなもんに入ったら……!」 「死ぬぞ!!あれ毒だろ!?絶対……!」 まともな男は静かに首を振った。 「溶けはしねぇよ。ただ……ひりつくくらいだ。慣れればどうってことない」 (どうってことあるだろ!!!) 誰もが心の中で叫んだが、声にはできなかった。 そして―― 男たちは震える足で、一歩、また一歩とそれへ近づいていく。 最初のひとりが湖に足を入れた瞬間―― じゅわっ……!! 「うあっ!!?ひっ……ひりひりするっ……!!」 下痢便の中に膝まで沈んだ足は、まるで酸に触れたような刺激に包まれた。小人の皮膚には腸液の成分が強すぎた。 しかし、退出する選択肢はない。 次々と男たちが湖へと入っていき、全員がもがきながら進む。粘度の高い泥が足をとらえ、前に進もうとしても体が沈む。 「ぬ、抜けねぇ……!!」 「息が……臭いで……吸え……!うぷっ……!!」 膝、腰、胸、とゆっくり飲まれていくように下痢便へ沈み込みながら、彼らはようやく理解した。 ここは作業場ではない。 これは――地獄そのものだ。 まともな男はひとり、湖のほとりでため息をつく。 「……さぁ、始めるぞ。終わらせないと、次のが来る」 その言葉に、小人たちの背筋が凍りついた。 地獄の作業が始まってから、どれほど時間が経ったのか分からなかった。 小人たちは全身が下痢便にまみれ、茶色い粘液が肌に貼りつき、乾きかけてはまた濡れ、臭気は肺にこびりついて離れない。最初こそ吐き気で立てなかったが、今では鼻が麻痺し、嗅覚が正しく働いているのかどうかも分からなかった。 それでも、作業は続く。 下痢の湖の縁で泥を掬い、タイルの溝に溜まった汚物をかき集め、遠くの排水口へと運ぶ。工具もない。バケツもない。手と破れた布切れだけが頼りだった。 まともな男がその光景を見回し、ふとつぶやいた。 「……事態は結構深刻だ、って言ったろ」 リーダーは額の汗(いや、下痢便か?)をぬぐいながら、荒い息で問い返す。 「それ……どういう意味なんだ?深刻って……何が起きるんだよ?」 まともな男は少しだけ視線を伏せ、肩をすくめて言った。 「ああ、そのことか……。いや、俺も詳しくは知らねぇんだけどな」 「はぁ?知らねぇのに深刻って言ったのかよ!」 「いやいや、そうじゃなくて……」 まともな男が説明を続けようとしたとき――ふと、作業小人たちの奥に一人、腰を曲げた老人の姿を見つけた。 「あっ、ちょうどいい。おーい、たけさん!こっち来てくれ!」 老人――たけさんと呼ばれたその小人は、足元の泥を振り払いながらこちらへ歩いてきた。全身が茶色に染まり、髭の先まで固まっている。目は濁り、長年の作業で疲れ切っているようだった。 「……なんだ?小童どもか。何を知りたいんだ?」 リーダーは息を飲み、恐る恐る切り出した。 「あ、あの……前に聞いたんだよ。ここをきれいに保てないとやばいことが起きるって。それを詳しく……教えてほしい」 老人はピタリと動きを止めた。 その目が、ゆっくりと大きく見開かれる。 そして――ぶるぶると震え始めた。 「ああ……知っているさ。知っているとも……」 老人の声は、まるで過去の光景に引き戻されているように沈んでいた。 「わしがここに来てからしばらく経った頃だ……。仲間と一緒にこの場所を掃除していたが、どうしても汚れが取りきれねぇ日があってな……。仕方ねぇから明日やろうって思って寝たんだ……」 老人はごくりと唾を飲み込む。 「だが翌日……あれが起きた。女神の逆鱗に触れちまったんだ……。あの時の洪水は……世界がひっくり返るほどだった……」 リーダーの喉がひくりと鳴る。 「……洪水……?」 「ああ……そうさ。わしの仲間は……みんな消えちまった。逃げる暇なんてなかった。あれは……怒りそのものだった……」 老人は震える指で、自分たちの作業場を指した。 「だから……女神を怒らせちゃなんねぇ。絶対にな……」 まともな男が静かに老人の肩をたたく。 「ありがとよ、たけさん。また頼むわ」 老人はうなずき、また泥の中へ戻っていった。 まともな男はリーダーの方へ向き直り、乾いた笑みを浮かべる。 「……な?なんかあったらしいが、詳しいことまでは誰も知らねぇんだよ。ただ――様子を見る限り、やべぇのは間違いねぇだろ?」 リーダーは唇を噛み、震える声で答えた。 「あ、ああ……そうだな……」 胸の奥に広がるのは恐怖か、それとも絶望か。 彼には、判断する余裕すら残っていなかった。 下痢湖の処理を続けている最中、作業小人たちの間に奇妙な静けさが流れた。 最初に気づいたのは、耳の良い若い小人だった。 「……おい、なんか聞こえねぇか?」 ザシュ……ザシュ……と、タイルを踏む柔らかな音が、遠くの廊下から徐々に近づいてくる。 まともな男が眉をひそめ、作業の手を止めた。 「誰か来る……!」 その言葉が広がった瞬間、周囲の小人たちは一斉に身を固くした。 たけさんも作業の手を止め、耳を澄ます。彼の表情は一気に青ざめていった。 足音はどんどん大きくなり―― ガチャッ!! 個室のドアが勢いよく開いた。 差し込む外光の向こうに立っていたのは、スーツ姿のOLだった。肩で息をしながら、眉間に深いしわを寄せ、便器と床を見た瞬間、顔をしかめる。 「……はぁ?なにこれ……汚っ……ありえないんだけど……」 ヒールのかかとでタイルを軽くつつきながら、吐き捨てるように言う。 「最悪……ほんと無理。店員呼んでくるか……」 バンッ!! OLは怒気を含んだ仕草でドアを閉め、そのまま足早に立ち去った。 個室は再び薄暗くなり、小人たちはしばし呼吸を止めて互いの顔を見合わせた。 「……た、助かったのか……?」 リーダーが震える声でつぶやく。 そのわずかな安堵が広がろうとした――まさにその時だった。 「うわあああああああああッッ!!!」 突然、たけさんが地獄のような叫び声をあげた。 全員がビクリと跳ね、老人の方を振り向く。 たけさんは震え、両手を頭に当て、涙目で叫び続けた。 「だ、だめだッ……!あの時と一緒だ……!!前兆が来ちまった……!!」 「ま、前兆……?」 「たけさん、まさか本当に……」 たけさんは震える指で、個室のドアの方を指した。 「もうすぐくる……!あの女神が……!!」 次の瞬間―― 廊下に響き渡る若い女の怒声。 「なんでウチが片づけんの!?マジ意味わかんないんだけど!!」 バタバタッ!ドタドタドタッ!! さっきよりも桁違いに荒々しい足音が、廊下を揺らすように近づいてくる。 床の振動が小人たちの身体に直接伝わり、下痢湖の表面に細かい波が立つ。 まともな男が歯を食いしばった。 「……来るぞ。覚悟しとけ」 小人たちは息を飲み、作業を忘れてその方向を見つめた。 ――次の瞬間。 ガッ!!バンッ!! 個室のドアが、まるで蹴り飛ばされたかのような勢いで乱暴に開かれた。 その瞬間――小人たちの視界いっぱいに、怪物が現れた。 逆光の中に立つ若い女の店員。スニーカーを踏み鳴らし、肩を怒らせ、眉を吊り上げたまま仁王立ちしている。その表情はまさしく鬼の形相で、目は鋭くつり上がり、口元は不満と怒りで歪んでいた。 小人たちにとっては、身長およそ160メートルの超巨大生物が、憤怒をまとって見下ろしているようなものだった。 リーダーたちは言葉を失い、下痢湖の縁で立ちすくんだ。まともな男でさえ顔を引きつらせ、たけさんは崩れ落ちそうになっていた。 そして―― 「はぁ!?どこの客よこれ!トイレ汚しすぎだろ!!最悪なんだけど!!」 ギャル店員の怒鳴り声が個室中に響きわたる。 その声は小人たちにとって、地鳴りのような轟音だった。 「マジで意味わかんないんだけど!!なんでウチが片づけんの!?」 彼女は乱暴にため息をつきながら、スマホをポケットに突っ込み、腰に下げた清掃ベルトをガチャガチャと弄り始めた。 その一つひとつの金属音が、小人たちの鼓膜を殴るように響く。 リーダーが震える声で言った。 「……お、おい……なんか準備してないか?」 別の小人も、目を見開いて叫ぶ。 「やばいぞ!なんか武器みたいなの掴んでる!!」 ギャルが清掃用のホースリールを壁から引きはがすと、床に落ちたホースがドサッと揺れ、小人たちの足元まで振動が伝わった。 テロ組織の一人がその様子を見て、ぽつりと呟いた。 「……そうか」 リーダーが振り返る。 「なんだ!?何かわかったのか!?」 その小人は、ギャルの胸元のワッペンを指差した。 「ここ……エイトマートっすよ。コンビニの。あのロゴ、俺バイトしてたんで分かるんすよ……」 「バカ!!今はどうでもいいだろ!!」 しかし言い争っている間にも、ギャルの準備は着々と進んでいた。 ホースを引きずる音、ブラシを擦り合わせる音、清掃液のスプレーを振る音。 カシャッ、ガチャガチャッ、ジャラ……。 それらの雑音が、まるで処刑場で刃物を研ぐ音のように冴えわたる。 その瞬間、たけさんが震える声で叫んだ。 「……あれだ……!あれが……わしらを全滅させた女神の武器だぁぁ……!!」 小人たちは涙目になりながらギャルを見上げる。 その手には、巨大な清掃ブラシとホース。 目の前で地獄を掃除する機械がゆっくりと動き出している。 テロ組織のリーダーは、作業を止めて部下へ怒鳴った。 「で、お前の経験からして……どうなんだよ!!?」 元バイトの小人は即答した。 「やばいっす!!あれ来たら終わりっすよ!!汚れがひどい時は、トイレ全部水浸しにして、ブラシでゴシゴシやるんす!!ここにいたら……確実に流されますって!!」 「ば、バカ!!先に言えよ!!」 リーダーが逃げようと足を踏み出すが―― グチュッ……バチャ……。 下痢湖に足を取られ、まったく進まない。 「くそ!!抜けねぇ!!うごけねぇ!!」 仲間たちも同じように泥に沈み、必死にもがくが、まるで沼から抜け出せない獣のように、動けば動くほど深みに沈むだけだった。 そのとき。 ギャルが大きく息を吐き、清掃用具を構えながら言った。 「……よし!!準備できたし!!ちゃっちゃと終わらせるしかねーっしょ!!!」 ギャル店員がホースの先端を握りしめた瞬間、小人たちの背筋に冷たいものが走った。 ガチャッ――。 蛇口のバルブをひねる音が鳴り、ホースが膨らむ。その脈動がタイル全体を震わせ、小人たちの膝が勝手に折れそうになる。 「よし……いくっしょ。」 ギャルが軽く腰を落とし、ホースを便器方向へ向けた。 次の瞬間―― ドオオオオオオオオオオオオオオッ!!!! 滝の爆発のような放水が、凄まじい勢いで便器へ叩きつけられた。 小人視点ではそれは巨大な白い壁が突然生成され、地響きを伴って押し寄せてくるような光景だった。 「うあああああああああああッ!??」 「ま、待て!!やめっ――ぐぼぉっ!!」 作業中だった小人の半数以上が、衝撃波だけで宙を舞った。 足が床から離れ、身体が弧を描き、叩きつけられるようにタイルへ落下。 さらに本流が襲いかかる。 バッッッッシャアアアアアアアア!!! 一撃で、下痢湖の表面が吹き飛んだ。粘度の高い茶色の泥水が上空へ散り、雨粒のように小人たちへ降り注ぐ。 飛沫一つでも十分致命傷だ。 「目が……!!うああああああッ!!!」 「足が……流される……っ!!」 たけさんも必死で踏ん張ったが、膝から崩れ落ち、下痢泥に顔まで沈んだ。 ギャル本人は、まったく小人の存在に気づいていない。 「ったく……マジ異常じゃん、この汚れ。どんだけ漏らしたらこうなるわけ?」 軽い文句をこぼしつつ、手首のスナップだけでホースを左右に振り払う。 その動きが、床にいる小人たちには津波を操る神にしか見えなかった。 右へ振れば―― ザーッ!!ドゴッ!! 左へ振れば―― バシャァァッ!!! 小人たちはまるで紙切れのように水流に飲まれ、壁に叩きつけられていく。 リーダーは這いながら叫ぶ。 「み……みんな!!最初にいたあの建物の影に逃げろ!!あそこなら――がはっ!!」 リーダーがサニタリーボックスを指さす。しかし、言い終える前に、横からの跳ね返り水流がリーダーを弾き飛ばした。 タイルの溝に肩から突き刺さり、息が詰まる。 「ぐっ……ぅ……!!」 仲間の一人が溝へ滑り込み、叫んだ。 「リーダー!!手を!!」 しかし、救助の手を伸ばしたその仲間の背後で―― ギュゴゴゴゴゴ……!! 不気味な低音が響いた。 ギャルがブラシを構えていた。 柄の長さだけで小人にとってはビル級、ブラシ部分はビルの壁面ほどの大きさ。彼女は放水を弱めながら、便器の奥を擦りにかかる。 「ったく……うんこ流さないとか普通に犯罪なんだけど。ありえなくね?」 彼女の軽口と同時に―― ゴッ……ゴリッ……バリバリバリバリ!!!! ブラシが床をえぐるように擦られた。 小人たちには、地面そのものが崩壊していく音に聞こえた。 ブラシが一度前進するたび、溝にいた小人が五、六人まとめて撫で消される。 「あああああッ!!!」 「ちょっ、やめ――ぐしゃっ!!」 毛先一本一本が巨木ほどの威力で身体を圧し潰し、押し曲げ、粉砕していった。 ブラシが床を擦りながら進む速度は、小人にとっては猛スピードで迫る巨大ローラーそのものだった。 リーダーはタイルの影に逃げ込もうとするが、溝の段差に足を取られ動けない。 「リーダー!!早く!!」 仲間が叫ぶ。 しかし―― ブラシは既に彼らのすぐ背後に迫っていた。 毛先の影が覆い、空気が巻き込まれて風が吹く。 「いやだ……やだやだやだ……!!」 小人の絶叫など知らぬまま―― ゴウッ!!!! 巨大ブラシが彼らを飲み込んだ。 肉が砕け、骨が軋み、茶色い泥と血が混ざって擦り潰されていく。 ギャルはその作業をほんの数秒で片付け、何事もなかったようにため息をついた。 「はぁ……マジでめんど。早く休憩入らせてほしいわ」 放水は続き、残った小人たちは滑る床の上でもがきながら逃げ惑う。 水と下痢便が混ざった濁流が足元をさらい、タイルの窪みへ吸い込まれていく。 「どけっ!!流される……うあああああ!!!」 「こっち来ちゃだめだ!ブラシが――ぎゃああ!!!」 天井から降る水の音と、ギャルの独り言、ブラシが床を擦る轟音が混ざり合い、 トイレの個室は完全な虐殺の現場と化していた。 ギャル店員は額の汗を手の甲でぬぐい、ホースを一度止めた。床はすでに水浸し、茶色い濁流はかなり薄まっていたが、それでもタイルの隅にまとわりついた汚れは頑固に残っている。 「……きりねーし。とりま、便器ん中にうんこだけでも落とすか」 ギャルはそう言いながら、便器へ向けてホースを構え直す。その言葉が小人たちにとっては死刑宣告だった。 「や、やべぇ……また来るぞッ!!」 「もう無理だって!!逃げられねぇ!!」 放水口が便器方向へ向けられた瞬間、小人たちは本能的に理解した。 ――次は中へ落とされる。 ギャルは何の気なしにバルブをひねる。 ドオオオオオオオオッ!!!! 凄まじい爆発音。放水の衝撃は先ほどよりも角度が鋭く、タイルの汚れは便器内へ一直線に叩き込まれた。 その水流は便器の縁に張り付いて残っていた下痢便を容赦なく砕き、剥がし、粉々にして吸い込んでいく。 「うわあああああッ!!!」 「待て!!そっちへ行ったら……!!!」 だが抵抗は無意味だった。 床に広がった薄茶色の水が、小人たちの足をすくうように流れ込み、彼らの身体を後ろ向きに引きずり始める。 「や、やばい……!このままいったら……!!」 「便器の中に……落ちちまう!!!」 小人たちは必死にタイルの溝にしがみつこうとするが、水流は強烈で、指が滑り、腕がねじれ、体ごと引きはがされる。 バシャアッ!! 数名がまず吸い込まれた。便器の内壁に叩きつけられ、渦に巻かれ、跳ね、また沈む。 そのたびに「ゴボッ」「ギャッ」という声が水中へ吸い込まれて消えた。 清掃ブラシ、再始動 ギャル店員はホースで汚れを流しながら、片手で清掃ブラシを掴んだ。 「てかマジでうざいわ……。」 その軽い文句と同時に―― ゴシュッ……ゴシゴシゴシゴシゴシ!!!! ブラシがタイルを滑り、便器の内側へ汚れを押すように動き始めた。 水と下痢便の混合濁流が、ブラシの動きに合わせて暴れ回り、まだ床にしがみついていた小人たちを次々と便器方向へ叩き落としていく。 「うああああああッ!!!」 「ブラシが来る!!逃げろぉぉ!!」 だが逃げられない。 グチャ……ッ!!ズザッ!!ズザザザザ!! ブラシの毛先が小人の胴体を押し潰し、捻じ切り、壁へ打ちつけていく。 バラバラになった茶色い泥と肉片が、便器の底へ吸い込まれていく。 掃除は進む。死者も増える。 ギャルはしばらくの間、ホースで流し、ブラシで擦る作業を繰り返した。 天井から反響する放水音とブラシの破壊音が、まるで拷問室のように響き続ける。 小人たちは必死に逃げ惑うが、水流に抗うことはできない。 時間だけが残酷に流れていく。 やがてギャルはブラシを投げ置き、腰に手を当てて大きく息をついた。 「ふぅ〜……。こんなもんっしょ」 便器周りの汚れはほぼ消えていた。トイレの床にはまだが水が流れているが、下痢便は跡形もなくきれいになっている。 小人たちは、便器の影やサニタリーボックスに隠れて生き延びたわずかな者だけとなっていた。 「さて……流して…」 ギャルが便器のレバーへ足を伸ばした、そのときだった。 きゅるるるる…… 腹の音が個室に響いた。 ギャルは足を止め、便器を見下ろす。 「……ついでに、してくか」 彼女はため息をつきながら言った。 「汚いけど……店長が節水とかうるさいし、流してからまた汚れたら掃除二度手間だしね〜」 そう言うと、ギャルは掃除道具を壁に立て掛け、ベルトを外し始めた。 ガチャ……カチャッ……。 ズボンのベルトを外し、パンツへと指をかける。 小人たちは言葉を失い、ただ震えるしかなかった。 ギャルが巨大な尻を便器の上に下ろし始めた――。 リーダーの視界は茶色い奔流にのまれて一度真っ暗になった。 ――気づけば、全身がふわりと揺れている。 「……ん、ぐ……っ……」 水音とともに意識が戻り、リーダーは目を開いた。 そこは、水面だった。 茶色く濁り、どこまでも汚れた湖の上に、自分が浮かんでいる。 「う……そ、だろ……」 体を起こすと、水面――いや、下痢水の表面――には仲間が何人も浮かんでいた。 「おい!大丈夫か!」 すぐ近くに漂っていた部下の肩を揺さぶる。やがてその男はむせながら目を開けた。 「……リーダー……助かった……?ここは……どこですか……?」 リーダーは周囲を見回した。 四方を囲むのは、巨大な白い壁。天井も高すぎてよく見えず、薄暗い。 その光景が何を意味するのか……理解するまで、わずかしかかからなかった。 「……俺たち……落ちちまったんだ……」 便器の中。 巨大な白い檻。 そこに彼らは飲み込まれたのだ。 「り、リーダー……上……!!」 部下が震える指で天を指した。 リーダーもゆっくりとその視線を追い……そして、息を呑んだ。 真上。 白くて巨大な太ももが、便器の縁の両側に置かれている。 そして―― 「さて……流して――」 先ほどまで掃除していたギャルが、便器のレバーに足を伸ばしながら、何気なくそう呟いたのだ。 「や、やめろ!!やめてくれぇぇぇぇ!!!」 便器の底から叫んでも、当然ながら届かない。 しかし、ギャルの足は、レバーの直前で止まった。 そしてすっと戻っていく。 「た、助かった……のか……?」 小人たちはその場で崩れ落ち、涙を流す者もいた。 だが、その直後。 上空から、何気ない声が落ちてくる。 「……ついでに、してくか」 「……え?」 リーダーの背筋が凍りついた。 顔を上げる。 巨大な影が動く。 ギャルが、便器の上で制服のズボンのウエストをつまみ上げると、 カチャ……カチャン……ガチャリッ……! 金属が外れていくたびに、小人たちの世界全体が震えるほどの轟音となって降ってきた。 彼女は乱暴にベルトを引き抜き、シュルルッ……バサッ……と布が擦れる重低音が便器内に反響した。小人たちの鼓膜が震え、数名は思わず耳を押さえた。 パンツのゴムに指をかけると、巨大な皮膚がわずかに持ち上がり、汗の蒸気がぶわっと溢れた。 むわぁ……っ……! 股間と尻の蒸れきった体臭が、一気に便器内へ流れ込み、小人たちの肺を焼くように満たした。 ズボンの金具が完全に外れ、カチャン……ガチャ……ッ!と最後の金属音が響いた瞬間、天井にそびえ立つ巨体が――ゆっくりと、便器の真上へ腰を落とす体勢へと移行し始めた。 巨大な尻が近づくにつれ、空気が押し出され、風圧で小人たちの身体が前へ倒れそうになる。まるで山が迫ってくるような圧迫感だった。 「ま、まさか……うそ……だろ……」 仲間たちは震え、涙をこぼし、祈り始める者までいた。 リーダーの全身に、再びあの風が降りてきた。 上空――先ほどまでベルトを外していたギャルの巨体が、いよいよ完全に腰を落とそうとしている。 ぐぅぅ……っ……!! 空気が押しつぶされるような重圧とともに、巨大な尻が便器の縁へ沈み込んでくる。その表面には細い陰毛が無数に張りつき、汗で束になり、まるで小人の世界では剣山のように見える。 「やばいやばいやばい……ッ!!!」 リーダーが叫び、必死に足をばたつかせて後退しようとする。 だが茶色い水面では踏ん張りが効かない。動けば動くほど身体が沈み、溺れかけるだけだった。 その背後で――聞き覚えのある声がした。 「……こうなったら、もう……無理だな」 「ッ!?おまえ……!」 振り返ると、さっきまで無事だったまともな男が茶色い波に押されながら近づいてきていた。顔は青ざめ、しかしどこか悟ったような笑みを浮かべている。 「おまえも……落ちていたのか……」 「ああ……どうやら俺も、ここまでみたいだ」 無理に笑っているが、目は震えていた。 「ふざけんな……!まだ方法はあるはずだ!まだ……ッ!」 まともな男は首を振った。 「無理だ。……上を見ろよ」 促されるまま、リーダーは空を仰ぐ。 そして――絶句した。 巨大な陰毛の森の奥。 その中心で、ギャルの股間がピク……ピク……と震えている。 肛門がゆっくりと開き、薄黒い湿り気が光る。 「んん……」 わずかな声。 しかし小人には、地響きのように響いた。 「……やば……出る……」 その直後―― ギャルの腹から、低い震動が響き渡った。 ぐるるるるるる……ッ!! 「ひっ……!!」 「やめろォォォ!!お願いだ、殺さないでくれ!!!」 叫びはむなしく消えた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼッ!!!!! 黄金の散布が一気に放たれた。 上空でしぶきを上げながら、無数の液体の柱が落下してくる。掃除後の脱水した身体から出る濃密な黄金のおしっこ。 しかし、小人にとってはそんな生易しいものではなく、巨大な滝。無慈悲な爆撃だった。 「うわあああああああああ!!!!」 「リーダー!!助けてッ!!助――」 部下が声をあげた瞬間―― ズバァァァァァァァン!!!! 黄金の柱が彼の身体に直撃し、そのまま底へ向かって押し流していく。 「ぎゃああああ!!!流され――やめてくれぇぇぇえええ!!!」 男の姿はすぐに見えなくなった。 小さな泡と濁流が残っただけ。 そして、周りにいる小人もどんどんと便器のさらに深いところに押し流されていく。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼッ!!!!! つぎつぎに落下する黄金の滝が、湖の表面を爆発させる。 轟音。 熱気。 刺激臭。 あらゆる感覚が小人たちの神経を切り裂いていった。 リーダーもまともな男も、濁流に翻弄され、便器の後方へ押し流される。必死に便器の壁へしがみつき、なんとか直撃を免れる。 だが―― 助かったとはとても言えなかった。 頭上では今まさに、肛門がさらに大きく開こうとしている。 まともな男は震えながらつぶやいた。 「……終わりだ……これはもう……どうにもならねぇ……」 リーダーは歯を食いしばり、濁流に押されながらも空を睨みつけた。 「くそ……くそォォォ!!!」 だが、どれだけ叫んでも、巨大な女神には届かない。 黄金の雨は止まらず、便器の水位はどんどん上昇していく。 ギャルは、便器の上に腰を落としたまま、特に気にする様子もなく片手をポケットへ伸ばした。 スマホを取り出し、画面へ親指を滑らせながら―― 「ふい〜〜……」 と気の抜けた吐息をこぼした。 その瞬間、小人たちの頭上では黄金の散布が徐々に弱まり、 最後の名残のように―― じょば……ちょろ……ぽた…… と断続的な滴が落ち続けた。 ギャルにとってはただのおしっこの終わり。 小人たちにとってはひと時の安堵の時間であった。 「ん〜〜……少しはスッキリしたわ」 その軽い一言は、便器内部の地獄をまるで認知していない無慈悲な宣告だった。 ギャルはスマホを見ながら、無意識に腰を少し浮かせた。 そして――腹に力を入れるように息を吸い込み、 「んん〜〜……」 と小さく声を漏らした。 次の瞬間。 ぶぼっ……!!……ぷすぅぅぅ……っ……!! 湿り気を帯びた、濁った破裂音が便器全体を震わせた。 「クソもしていくか……」 と、スマホを顔の前で操作しながら淡々と独り言をつぶやいていた。 ギャルはスマホを持ったまま、ふぅっと息をつきながら足を開き直し、より深く腰を落とした。まるでしっかり狙いをつけるかのように姿勢を整え、便器の中央へと巨体を安定させる。 巨大な尻の割れ目が、便器の上空の空間いっぱいに広がった。 汗で湿った陰毛はあまり手入れされておらず、太く、密度があり、小人にとっては無数の黒い縄が垂れ下がっているように見える。 その隙間から、巨大な肛門が――脈打つように震えた。 スマホの画面を眺めながら、ギャルは軽くいきむ。 「ふんっ……」 ぶりっ……ぶりりりりり!!……ぼとっ!!……ぶぼっ!! 鈍く湿った破裂音と重たい落下音だけが、個室にいやというほど響き渡った。 「んんっ、もうちょい出るな……」 とギャルがスマホを見ながらつぶやくと、 にち……にち……にち……にち……にち……にち……ぷりっ……! と、ねっとりと糸を引くような音が、個室全体にぬめりつくように広がった。 ギャルはスマホをスクロールしつつ、何の感慨もなく腹を軽く押さえた。 「……あー、だいぶお腹軽くなった〜〜」 気楽で、満足げな声。 その直後、ぷすっ……ぷうっ……と軽い屁が漏れ、ギャルは小さく笑った。 「んふっ……軽っ。マジすっきり〜〜」 彼女にとっては、ただ排泄して満足しただけの時間だった。 リーダーの視界は、まず風によって叩きつけられた。 ぷすっ……ぷうぅっ……!! ギャルのおならが放たれた瞬間、便器内の空気が一気に押しつぶされ、 濁流のような圧が小人たちを水面へ叩きつけた。 「ぐぼっ……!!がはっ……!!」 あまりの臭気に、肺が焼けるような痛みが走る。 鼻へ直接流れ込むような、生ぬるく濃厚な腐敗臭。 まともな男も水中でむせ返りながら叫ぶ。 「くっ……臭ぇ……!!吐く……ッ!!」 リーダーはのたうち回りながらも、上空を見上げた―― 上空では、ギャルがスマホを片手におならの余韻すら気にせず、軽く首を回しながらつぶやいていた。 「クソもしていくか……」 その無邪気すぎる独り言が、下の小人たちには死刑宣告として響き渡った。 「や……やめろ……頼む……!!」 水中で咳き込みながらリーダーは必死に叫ぶが、当然届かない。まともな男も顔をゆがめ、涙と下痢とおしっこの混ざった水にまみれながらうめく。 「くそ……もう終わりだ……」 ギャルはスマホを操作しながら、ふぅっと息をつき、足を開き直し――狙いをつけるように深く腰を落とした。 巨大な尻が便器の空間を完全にふさぎ、汗で湿った陰毛の束が縄のように垂れ下がる。 割れ目の奥で、巨大な肛門がぐぐぐっ……と押し広がり始め―― 「ふんっ……」 その瞬間、150倍規模の破壊音が彼らの全身を揺らした。 ぶりゅッッ!! ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりり!! 世界が崩れ落ちるような轟音が続いた。 まともな男が絶望の声を漏らす。 「……もう……ムリだ……」 リーダーは涙を浮かべながら荒れる水を掴み、必死に抵抗しようとする。 「やだ……こんな……こんな死に方は……!!」 だが―― どす黒い巨大なうんこが、一本の柱のように彼らのほうへ伸びてきた。 「ひっ……!!く、来るなぁぁぁぁああ!!!!」 叫んでも、どこにも逃げ道はない。 ぶりっ……ぶりりりりり!! その太い柱は、空気を押しつぶしながら勢いを増し、 まさにリーダーたちの真上へ影を落とした。 まともな男が震える声で呟く。 「終わりだ……」 「ふざけんな!!まだ――」 その瞬間だった。 ぼとおおおおおおおん!!!! 大質量の泥弾が落下し、便器内は爆発したような衝撃に包まれた。 リーダーの身体は周りの汚物ごと吹き飛ばされ、視界が茶色に染まる。耳が割れそうなほどの水音、衝撃、熱気、臭気。 ようやく茶色と黄色の液体の中で体勢を戻すと―― 彼が先ほどまでいた場所には、 プレハブ二階建てほどの巨大な泥の山が積み上がっていた。 そして――まともな男の姿は、もうなかった。 もわっ~ その瞬間、できたての新鮮な便臭が、熱を帯びた濃いガスの塊となってリーダーの顔面を直撃した。 「ぐっ……おえっ……!!」 胃の奥を直接えぐられるような、蒸れと腐敗の混ざり合った強烈な臭気。 さっきまでの臭さとは桁が違う、生温かい便の蒸気が肺に入り込み、喉が焼けるように痛む。 リーダーは水面に崩れ落ちながら、吐き気に全身を震わせた。 「……嘘……だろ……」 リーダーは震える指で糞の山を指し、涙を浮かべながら叫んだ。 「ふ……ふざけるんじゃねぇ……!!俺は……俺は人間だぞ……!!」 その叫びは、巨大な影に飲み込まれた。 彼が見上げた先―― そこは、肛門の真下だった。 「そ、そんな、吹き飛ばされて最悪の位置じゃねぇか…」 再び、にち……にち……にち……にち……と、さきほどより柔らかい泥が勢いよく膨らみ、太い帯となってこちらへ伸びてきた。 「ふざけ――」 言葉の最後まで届くことはなかった。 どしゃああああああああ!!!! 巨大な軟便が、リーダーの全身を押しつぶすように降りそそぎ、その姿は完全に茶色の山へとのみ込まれた。 ギャルはスマホを片手にしたまま、まったく重みを感じさせない軽快な動作でティッシュを引きちぎった。 からからから……バサッ。 大量の紙を丸め、何のためらいもなく尻へ手を回す。 「ん〜〜……よし」 べちょっ……ぐちゅっ……ずるっ……。 個室には、汚物と紙が擦れる湿った音がいやらしく響く。ギャルの表情は完全に無関心で、ただいつものトイレ時間を過ごしているだけだった。 何度か拭き、ティッシュを丸めてポイッと便器へ放る。 ぽちゃん……。 その後、立ち上がりながらズボンとパンツを一気に引き上げ、腰の位置を整える。 「はー……マジすっきりしたわ」 汗の湿った肌が布で覆われ、最後にベルトを留める金属音が響く。 カチャッ。 ギャルはコックを踏みつけるように押した。 ジャアアアアアアアッッ!! 便器の内部すべてを巻き込むように激しい水流が渦を巻き、生き物も汚物も区別なく底の穴へ吸い込んでいく。白い陶器の壁面で水音が暴れ、地獄の掃討作業のようにすべてが攫われていく。 ギャルはそれを気にも留めず、ズシン、ズシンと重い足音を響かせながら個室から出ていった。 濁流が完全に引いた後―― 白い便器の奥から、影がひょっこりと姿を現した。 たけさんであった。 「……また、生き延びちまったか……」 彼は腰を押さえながらよろよろと立ち上がり、便器の縁を見上げ、深いため息を吐いた。 「わしが……この女神の怒りの伝承を語る者となるしか……あるまいて……」 たけさんの周りには、奇跡的に命を拾った数名の小人が震えながら張り付いていた。 「おい、おまえら……行くぞ。汚物入れの裏が……唯一の休息所じゃ……」 そう言い残すと、老人は生き残りたちを率いて、トイレの影へ消えていった。 カティアの執務室。 黒いミニスカ風ボンテージと長い脚を組み、書類に目を通していると、部下が駆け込んできた。 「報告があります!」 「なんだ?」 部下は緊張した面持ちで答える。 「例の便所に配置したテロ組織一団ですが……初日で全滅しました」 カティアは片眉を上げた。 「ほう?早かったな。いつもは数日は生き残るものだが……何があった?」 部下は顔をひきつらせながら報告を読み上げる。 「……実は、本日の利用者が……非常に……激しく、ですね……」 詳細を聞き終えたカティアは―― 腹を抱えて笑い出した。 「ははははっ!!やはり因果応報だな!クズはクズなりの報いを受けるってもんさ!!」 笑い終えると、彼女はモニターに視線を向けた。 別の監視カメラの映像に、新たな男の集団が映っている。 「さて……こいつらはどう使ってやろうかねぇ……」 楽しげに喉を鳴らしながら、カティアは立ち上がり部屋を出ていった。

Comments

気に入ってもらえたようで何よりです!

zexcy15

素晴らしいです!ありがとうございます!!!

Goose


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