100日後に立場逆転するおねショタ 1日目
Added 2023-05-24 15:00:00 +0000 UTC私は由佳。中高一貫の進学校に通っている高校三年生で、今はリビングで受験勉強をしている。 「午後七時になりました。夜のニュースの時間です。」 もう七時か。もうずいぶんと日が長くなったため、外はまだ明るく夜になったという実感がない。それに最近は勉強しかしていないから、時がたつのが凄く早く感じる。 「まず初めに、現在拡大中の謎の現象、「進行性入れ替わり病」についてのニュースです。」 またか。と、私は思った。ここ数週間くらいはずっとこのニュースが流れている気がする。確か徐々に体が変化する病気なんだったっけ。 「政府は、進行性入れ替わり病の患者数が、500人を超えたことを発表しました。」 「進行性入れ替わり病とはある特定の二人の体が徐々に変化していく病気で、その常識を覆すような症状は医学会を震撼させてきました。」 「政府は専門化対策チームを結成させて原因解明を急いでいますが、成果はあまり出ていない状況です。」 「続いてのニュースは、ジュニアサッカーについてです..」 ピッ テレビの画面が暗転する。どうやら母が消したようだった。 「ほら由佳、気が散っているわ。ニュースで時事問題を学ぶのはいいけれど、それも程々にしなさいね。」 「でも、もうちょっと見たいかも...」 「次はスポーツについての話題じゃないか。スポーツなんて一握りの才能のある人だけがやればいいものだ。今の由佳には必要ないんじゃないか?」 「うん... 私が間違っていた...」 「ニュースも色々ある。難しい政治や医学に関する話題はもちろん聞くべきだが、スポーツや芸能界の話題なんて意味のないものだ。」 これは父だ。父は医者なだけあって、プライドが高い。というか、社会を見下している。 「しかし、進行性入れ替わり病なんて怖い病気だなあ。俺も一人患者を診たことがあるが、本当に突然進行し始めたらしい。まだ対策は見つかってないんだろう?」 父が顔をしかめる。開業医なため色々な患者を診てきており、その患者について話しているときの顔でだいたいの内容は分かる。父が顔をしかめている病気はたいてい厄介な病気だ。 「いろいろな噂があるけど、結局根本的な対策はないらしいね。」 これは私だ。実際SNSなどでは定期的にそれ関連の投稿が話題になることはあるが、結局審議が確かなものはない。 「まあ由佳は貴重な一人娘だ。ぜひ大学受験を頑張って、医学部に合格して、それで老いた父の病院を支えてほしい。」 またか。と、思ってしまった。これは父の口癖だ。私が有名進学校に進学してからは一日に一回は言うようになっている。 別に私は父の跡を継ぐ気はないし、本当は医者ではなくスポーツ選手になるのは夢だった。しかし、私は女性でスポーツへの道はどうしても狭くなるし、私の運動神経は悪い方だった。今は父の独善的な言葉にも何も感じなくなっている。 しかし、さっき一瞬テレビに映った少年たちの笑顔が忘れられない。 カリカリ... カリカリ... さっきから頭の中でスポーツ選手になった自分が浮かんでくる。そしてタチの悪いことに、本当に医者になっていいのか?、と問いかけてくるのだ。 別にスポーツ選手になる夢も物事が分からなかった幼少期の夢だったし、それも強い執着はないものだ。しかし、頭の中の自分はそれを否定し、今からでも遅くないと語りかけてくる。 「ごめん、今日はもう寝るね。」 「まだ九時じゃないの。いつもより二時間早いわ。」 「いいじゃないか。思春期だから色々とあるんだろう。」 気づいたらさっきのニュースから二時間以上考え事をしていたみたいだ。今日はもう集中できないだろう。どうせ名たら忘れることだ。私は医学部に行って、父の跡を継ぐんでいいんだ。 でも、でも... 私もスポーツに本気で打ち込んで、テレビに映っていた少年のうちの一人に、なってみたかったなぁ...と、思ってしまった。