現未×。重大なネタバレを含みます。
今回の記事では、シナリオ「魂の境界」のメインヒロインである、藤宮咲良の裏話について記していきます。
細かい情報についてはシナリオ本に記しているため、気になる方はそちらをご覧ください。
「死」と呼ばれるものが彼女には内在しており、その設定から藤宮咲良、そして「魂の境界」の作品は生まれました。
聖心高校の高校1年生で、年齢は15歳、身長は148cm。背はかなり低い方で、クラスで前から2番目くらいです。
長い間地下に監禁されていたことや、食事をまともに摂ってきていなかった経緯があり、全体的に身体の発育は悪いですが、「死」が内在することにより、その存在自体が魔術的なものとなっているため、健康面では問題がなかったりします。
教育者のような人物にも恵まれてこなかったため、学校にはまともに通っていません。真導や天野がうまいこと根回ししたため聖心高校には入学できていますが、勉強は全くできません。
地頭は良いですが、常識が欠如していることや、その特殊な経歴ゆえ彼女は独自の価値観を持っているため、人と普通に会話をすることができないでいます。
「死」が消失した後の彼女はごく普通の少女と変わらない体質となったため、ゆっくりとですが普通の人と同じような暮らしをしていくようになります。その後の彼女がどうなったのかについては、続編シナリオにて明かされます。
作中において主人公は「黒い蝶」の幻覚を何度も目にしますが、それは人の死の象徴であり、また、「死」を内在させている藤宮咲良の象徴でもあります。
蝶に関連する観念は世界各地に見られ、いずれも人の死や霊、魂に結び付けられることが多いですが、人の魂の在り方、その魂の行方を問う本作においても、蝶は人の魂と強く結びつくものとして描いています。蝶の色が黒であるのは、死の意味合いがより強いことを示すためです。
藤宮咲良は、内在する「死」、そして黒い蝶と、二つの観念を抱く存在となります。
そして正気を失い、死に近くなってしまった人は藤宮咲良に内在する「死」を感じ取ってしまいます。
シナリオ本文p.130において、狂気の世界に陥ってしまった主人公は藤宮咲良と出会いますが、その時の主人公の眼には「死」の姿のみが映ることになります。
その時、藤宮咲良が主人公に語りかけてきた言葉はおぞましいノイズ音として描写されますが、彼女は主人公の様子を心配し、懸命に話しかけてくれていました。彼女の言葉の内容はシナリオ本文p.135に記しています。
この時、主人公は藤宮咲良を殴りつけてしまっていますが、√Bにおいても主人公は藤宮咲良のことを殴っています(シナリオ本文p.146参照)。しかし、自身に内在するものが主人公を怯えさせてしまっていると分かっていた藤宮咲良は、主人公のことを恨んだりすることはありませんでした。
というかひどいなこのシナリオ、主人公がヒロインを殴るな。
藤宮咲良の設定については、「沙耶の唄」の影響を受けています。
沙耶と呼ばれる人物はその正体が怪物であるが、狂ってしまっている主人公の眼には可愛らしい少女として映ります。藤宮咲良はこの逆で、狂ってしまった人の眼には、彼女がおぞましい存在に見えることになります。
また、「魂の境界」の作中において部分的に、「沙耶の唄」の以下の要素をオマージュとして取り込んでいます。
・藤宮咲良を引き取っていた、奥涯という男の名前 ⇒ 「沙耶の唄」の奥涯教授から取っている
・奥涯の屋敷 ⇒ 「沙耶の唄」に出てくるとある屋敷をオマージュ
藤宮咲良という存在そのものや、作品全体の雰囲気は「沙耶の唄」とは全く異なりますが、気になる人はこの作品もプレイしてみると良いかもしれません。(個人的には大好きな名作ですが、狂気・グロ要素が強いので注意)
以下の文章は、藤宮咲良の制作資料から一部を抜粋したものです。
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年齢:15歳
髪型:腰か腰下くらいの長さくらいまである黒髪。キャラデザとして、ストンと落ちた典型的黒髪よりは、何らかの特徴があった方がいい。
身長:147 ~ 149cm 程度。華奢な体つきで、同年代の少女よりも小柄。体つきが華奢なのは、地下室で長期間監禁されていたという過去や、事件以降、身体に変化が生まれ味覚は壊れ、碌なモノを食べていないためという理由がある。ただ、貧相な感じではなく、美しい身体のラインで描いてください。
バストサイズ:A~カップ程度。胸が完全にないほどではないが、平均以下である。
容姿:非常に整っている。ただ、美人というよりは可愛いの方向。
雰囲気:浮世離れした感じがありつつ、あどけなさがある。裏には不気味なものがありつつ、無垢な少女の雰囲気がある。
性格:「~~はね、~~だよ」といった口調である。口調や態度にきついものはなく、明るいようにも感じるが、何を考えているのかが分からない、浮世離れした感じがある。また、感情があまり変化せず、ほとんど一定であるように見えるため、学校では彼女と関わろうとするものはいない(そもそも訳あって彼女は学校に行っていない)。ただ感情の起伏がない訳ではなく、彼女なりに多少の変化がある。交流を拒絶する感じはなく、主人公が積極的に関わろうとすれば、彼女はされるがままとなる。そのため、主人公は藤宮咲良からの依頼を受けることをきっかけとして、彼女と親しくなっていく。何かに動じることはほとんどなく、また、死体を見ても眉一つ動かさない。
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藤宮咲良の特徴として、「浮世離れした感じがありつつ、あどけなさがある。裏には不気味なものがありつつ、無垢な少女の雰囲気」といったことをイラストレーターさんのリチャードⅧ世先生に伝えしました。また、「死」が内在していることから、彼女のイメージカラーは黒であることも。
そしてきたラフが下の画像のものになります。
完成後の藤宮咲良と比べると、もう少し暗い雰囲気になっていました。黒タイツを履いていたのと、初期は制服のカラーも上下黒が有力候補でした。暗い雰囲気にし過ぎると露骨になると思ったので、全体的に明るさを少し増して、今のデザインに。制服のカラーを今のもの(上は白、下は濃紺)に採用したのは、高島果穂のデザインはその方が合っているから、というのもありました。
※リボンの色は3人のヒロインでそれぞれ違いますが、これは学年による違いではなくて(そもそも高島と神村は同学年なので)選択制によるもので、生徒は自分の好きな色を選べます。
黒髪ロングのヒロインは昔からの鉄板とされていて私も好きですが、鉄板故に油断すればありふれたものとなってしまう為、どのようなデザインにするか私とリチャードⅧ世先生で大分悩みました。(と言っても私は設定と雰囲気を伝えるだけで、最終的なデザインはリチャード先生任せだったのですが。リチャードⅧ世先生に最大の感謝を)
過去に腹部をメッタ刺しにされたり、死に憧れる人間達に付き纏われたり、主人公に殴られたり、狂った人物に腹部を刺されたり、誘拐されたりと、改めて列挙すると大分……かなり酷い目に遭っているヒロインになりますが、彼女自身にはあまり悲壮感が出ないように意識しました。
それは、この作品は藤宮咲良という少女の不幸を描く物語ではなく、自らの魂の在処を、何処かに求めた者達の物語であるからです。他の登場人物、高島果穂や神村夕音、天野正昌、朝平宗作達といった、事件に関わった多くの登場人物の、それぞれが抱く思いを描きたかった為に、藤宮咲良だけにスポットライトを当てないようにしました。
その為、主人公と藤宮咲良が深く関わるようになるのは√Bに入ってからとなります。
ただ、藤宮咲良の過去や、彼女が抱える思いは続編シナリオにて更に掘り下げられることになります。
「魂の境界」では、物語構成やヒロインとの関わり方についてはノベルゲーを強く意識しています。TRPGシナリオという都合上、恋愛要素は意図的に排除していますが、普通に考えたら、この作品において恋愛要素はあってしかるべきだと思ってます。
シナリオ本に明記はしていませんし、探索者が具体的にどのような人物なのかによってまた変わってくるかとは思いますが、藤宮咲良、高島果穂、神村夕音はそれぞれ、抱く形こそは違えど、少なからず、主人公に異性としての好意を持っていると筆者は想定しています。
余談ですが、シナリオ本文p.145の「事務所にて」のシーンのスチルを用意する案が当初ありました。なんやかんやで没になりましたががが。
というわけで、藤宮咲良に関する記事は、一旦はここまでにしようかなと思います。
高島果穂や神村夕音、他登場人物達に関する記事はまた今度に。
澄川ティー
2022-10-16 20:35:13 +0000 UTC