描いたキャラクターはだいたいすべて好きなのですが、アルマで特に個人的に好きなキャラが何人かいます。
その中のひとりがルッチ、そしてイーナでした。
ふたりともかなりストレス無く短時間でキャラデザを決めたのですが、それが功を奏したのか、その後も作画コストが著しく低い、とても描きやすいキャラになりました。
ルッチは3分くらいで描けるので、次がルッチのコマの作画だとわかると、ありがたくて泣きそうでした。
話は変わりますが、漫画の中でキャラクターを描く際、考えておくべきこととして『この人達はどこまで自分のことを知っていて、自分の過去をどう捉えて、消化し、いまこのように生きているのだろうか』ということがあります。
作品を作る側として、このキャラについて、多くのことを定義しておく必要があるんです。
少しだけそのお話をします。
ルッチは幼少期より、頭の良い子、早熟な子でした。
いちおう(これでも)今でもとても冷静で頭の良い子なのですが、子供のころはそのことが原因で周囲から浮き、口数の少ない子でした。
頭が回りすぎ、周囲のことが見えすぎたために、常に乗り切れずに少し白けた状態になってしまったようです。
彼は親しい友人を作ることもなく、物静かで、とにかく勉強に打ち込んできたのですが、その結果、軍学校(小学校と中学校をあわせたもの)を飛び級で卒業、14歳にしてフィンのアシスタントとなります。彼は群を抜いて優秀だったのです。
そこで初めてルッチは仕事という『役割』と『居場所』を与えられます。
役割を得た彼は、心が軽くなり、どんどん明るくなりました。
初めての仕事なので、大変だったりうまく行かなかったりすることも多かったでしょうが、仕事を通じて誰かの役に立てることで彼の感受性はやっと花開いていきました。
学校において彼は人間関係に悩んでいましたが、周囲の輪に入ることができないのは、それがあまりに曖昧な空間だったからだと知りました。
空気を読むこと、みんなで盛り上がること、それはかなり曖昧な行為です。
その分かりづらい環境に苦しんでいたのだと知ります。
しかし仕事を頑張れば、自分を活かすことが出来る。必要とされる。誰かに親切にすることが純粋に『善行』となったいま、彼は持ち前の『優しさ』や『頭の良さ』をすべて開放することができました。つまり良い子が良い子として振る舞うことが許されたのです。
頑張ったらねぎらってくれる。深く考えれば仕事がうまくいく。人に親切にしたら喜んでくれる。彼にとってそれは本来の彼がすべて許された、ということでした。
仕事を通じて、彼はどんどん活力を取り戻しました。
変な四字熟語を使ってしまう癖、変なポーズをしてしまう癖も、この頃から開花していきます。おそらく誰かを笑わせたいと思って始めたことなのでしょう。
そしてルッチが生命力を取り戻し、自分の人生を取り戻していった14歳の時に自分の中にあるイーナへの恋心に気づきます。
しかしまぁ、なかなかそのことを打ち明けられません。
ルッチはエロ本すら読んだこともないシャイボーイ・ピュアガイなので、もう自分の気持ちを押さえつけることしかできなかったわけです。(勉強ばっかりしてるからだ!)
そしてレイと出会うことで、彼はついに一歩を踏み出すことができました。
それが第11話の最後のシーンです。
アルマの作品の時代の前段階、そして作品の中で、一番自分自身の人生にたくさんの色を加えていったキャラクターがルッチでした。
優しい彼がどんどん色んな気持ちを知ることが、私も楽しかったのかもしれません。
だから私は彼がとても好きでした。
一応モスクワでは16歳から結婚できるので、来年結婚するんでしょうかね。わかりません。何が起こるかは。
文章だらけになっちゃいましたが、ルッチの過去、そしてイーナの話でした。