貴方様が、真琴お嬢様の大学のご学友…そうですか… ようこそいらっしゃいました。 ええ、真琴お嬢様は当家にお泊りになっておられますよ。 私ですか?…水橋家にお仕えしてもう五十年になります。 女中と言いますか、家事とか色々お手伝いさせて頂いております。 真琴お嬢様が、なぜ大学に来られないかですか? 連絡もお取りになれないからご心配なされている…そうですか… それには色々事情があるのでございます… 令府町で水橋家と言えば、御三家の一つに数えられる名家です。 ですので、今の御当主様にお世継ぎがお生まれにならなかったのは 大問題になりました…。 御親族の子らに男子がいらっしゃれば、養子に迎えられて お世継ぎになさるのですが、あいにく年頃の男子がおらず… 慣例の習わしと申しますか、なんと申しましょうか… 親族の年頃の娘を、一族の旦那衆で孕ませる事になったので ございます。 いえいえ加担と申しましても、私なんぞは年寄りですから お手伝いも儘ならず… お嬢様のお茶に、ちょっとしびれ薬を盛っただけでございます。 一晩でぬける無害なお薬でございますよ… 古くから伝わるお薬で、言いつけをきかない女中に飲ませて ご主人様の夜のお相手をさせたりしておりましたし… 昨晩も皆さま一晩中お励みだったようで、まだお休みのようです。 お嬢様がいつ大学にお戻りになるかですか? 私では分かりかねますが、しばらくは無理ではないでしょうか? お会いになるのは、ご主人様がお許しにならないと思います。 真琴お嬢様は、ご主人様のお気に入りのようですので…