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男性間〇行為マニュアル(1)

人口増加が深刻な世の中で、政府は男同士の性交を社会に普及させようと様々な政策を進めてきた。その一環として、政府は男同士の行為の手本となる教材映像を制作することとなった。そんな時、厚生省職員の七原に白羽の矢が立つ…… ~*~ 『ここ十数年で科学と医療は目まぐるしい進歩を遂げてきました。ゲノム解析や遺伝子療法の普及により、病気の予防と治療はより確実なものとなり、国民が病気で亡くなることはほとんどなくなりました。その一方で、人口増加の弊害が世界的に注目される昨今――政府は対応策として国民の「性行為」に対する常識を覆すような政策を打ち出しました。今夜はそんな政策について専門家の方と一緒に話していきたいと思います。男性の性機能がご専門、医師の大道寺幸太郎先生です。どうぞよろしくお願いします』 『よろしくお願いします』 『では早速なんですが、政府が発表した政策というのがどういったものなのか、簡単な説明をお願いします』 『はい。まず最初に、政府は人口増加の対策として、男性同士の性交を性欲処理の「極めて好ましい」選択肢として認定しました。近年、異性間性行為による望まない妊娠や出産のケースが後を絶ちません。男性同士だと妊娠のリスクはありませんし、医療の進歩により、アナル性交による性感染症リスクはほぼゼロとなりました。この政策に伴い、社会全体の意識改革にも力を入れると政府は表明しました。従来、同性間の性行為は社会的に特異なものとされてきましたが、これからはその「常識」を変えていく必要があります』 『このようなパラダイムシフトは、海外などですでに始まっていますよね』 『そうですね。海外では男性間性行為についてすでに多くの研究がされていて、人口減少以外にも様々なメリットがあることが分かってきました。日ごろから男性間性行為を行っている男性とまったく行わない男性を比べたデータによると、前者の方が幸福度指数が高く、心身の病気の発生率が低く、離婚率が低いことが分かりました。男性は女性との性行為では得られない何かを男性同士の性行為で供給し、それにより個人にも社会全体にも好影響を及ぼすんですね』 『離婚率の減少と仰いましたが、男性間性行為は既婚の男性において「浮気」とはならないのでしょうか』 『端的な答えは「浮気にはなりません」。まず、我々は「性行為」と「恋愛感情」を別々に捉えなければなりません。性行為は恋愛感情を持たない相手とも成立しますし、満足度の高い行為となり得ます。社会は長らく「性行為」というものを必要以上に特別視してきましたが、本来性行為は運動と同レベルの行為と考えるべきなのです。体の健康を保つために運動をする――それと同様に性的健康を保つために、男性は定期的な性欲処理の機会が必要です。性欲処理のみを目的とした男性間性行為は恋人や伴侶との恋愛関係に影響しないので、両立が可能です』 『なるほど、あくまでも男性間性行為は性欲処理のためのみに用いられるということですね。そこに恋愛感情はないと』 『はい、単なる身体的経験が性的嗜好に影響するとは考えにくいですね』 『分かりました。では、次は政府の発表を受けて世間はどういった反応を見せているのか、VTRでご覧ください』 ~ 「ん?なんだこれ」 自宅でネットを見ていると仕事からのメール通知がきた。 『厚生省男性職員対象アンケート――期日までにリンク先のアンケートに答え、提出してください。期日が過ぎても回答が提出されていない職員に対しては直属の上司に通達がされるので、その点ご注意ください。』 「るっせーな、休みの日にまで」 だが、万が一にも提出を忘れるのが嫌なのですぐにメール内のリンクに飛んだ。まだ厚生省に勤め始めて六年程度だが、僕は仕事のできる人材として周りから一目置かれている。将来は上に立つことになる僕がこんなことで上司から注意されるなどありえない。 『厚生省男性職員対象アンケート 全問正直に答えてください。 1. 名前(フルネームを記入) 2. 年齢 3. 身長・体重 4. 性的嗜好(ノンケ、ゲイ、バイセクシャル、その他) 5. 女性との性経験の有無 6. 男性との性経験の有無 7. 陰茎のタイプ(真正包茎、仮性包茎、露茎、割礼済み) 8. 陰茎の長さ・直径(平常時と勃起時) ご協力ありがとうございます。』 「なんじゃこりゃ?こんなデータ、いったい何に使うって言うんだ」 愚痴をこぼしながら各質問に回答していく。 「七原省吾、27才、177cm、63kg。ノンケ、女性経験有り、男性経験無し。仮性包茎。チンコの長さなんて計ったことねぇし」 机にある定規でボロンとぶら下がるふにゃチンの長さと太さを計った。軽く扱いて完全に勃起させてからまた長さと太さを計った。僕は満足げに数字をアンケートフォームに記入した。我ながらチンコのデカさには自信がある。 「提出、っと」 だが、たまに傷なのはこの名器ならぬ名棒が実力を発揮する機会が全然ないこと。大学時代、仲間と一緒に風俗で童貞を卒業したが、それ以来女を抱いたことはない。そもそも色恋にあまり興味のない僕は彼女がいたことがない。このまま僕はこの立派な相棒を持ち腐れしてしまうのだろうか。 そそり立つチンコはなかなか収まろうとせず、結局お気に入りのAVをおかずに一発抜くことにした。 ~ 「七原君、ちょっと」 「はい」 課長が個室のオフィスから手招きしている。 「どうしました、課長」 「おぅ、まぁ座ってくれ。ドアも閉めてくれるか」 「はい」 最近髪が薄くなってきた課長はパソコンで何かを確認しているようだ。 「君も知っていると思うが、最近うちでは男性間性交渉をより世に広めるために色んなプロジェクトが始動していてね。その一つで君に大役を務めてほしいと思っているんだが、どうかね」 男性間性交渉関連のプロジェクトというのは正直あまり気が進まないが、上層部に僕の顔を売るいいチャンスだ。断る理由はない。 「本当ですか!僕なんかでよければ是非……でも、大役とはいったい…?」 「実は厚生省は模範的な男性間性行為を映像化して、教材として配布することにしたんだ。最近は男同士で性処理なんて珍しくもないが、世に出回っている映像物はAVとか教育上あまりよくないものばかりでね。そういうわけで、政府公認の映像を制作するわけだが、そこで君には演者として『攻め』の役を担ってほしいんだ」 「……えっ、ちょっと待ってください。まさかそれって、僕が男とセックスするところを撮影される……ってことですか?」 「まさかもなにも、その通りだけど」 「いやいや、無理ですよ!だって、僕はただの職員ですよ、そういうのはプロの方がいるでしょう…」 「映像の監修役の大道寺先生の要望でね――男同士が未経験な男性向けに配布する映像なわけだから、演者も『男童貞』じゃないと説得力がないとか」 男童貞?課長はなぜ僕が男性経験がないことを知っている? 「それ以外にも色々と条件があるんだが、それにすべて当てはまるのが君だけなんだ。どれどれ、まず年齢の25才から35才はクリア、体型はごく標準、ノンケで女性経験はあるが男性経験は無し。なによりちんこがデカくて画面で映える」 「ちょっ!それどこ情報ですか?!」 「君が提出したんでしょ、アンケート」 アンケートに答えてからすでに数週間が経っており、僕はそのことを完全に忘れていた。 「プライバシーとかはどうなってるんですか?!」 「別にアンケートが匿名だなんて書いてなかったでしょ?そもそも君ちゃんと名前も記入してるし」 そういえば、匿名性を保持するのであれば名前を記入させられるのはおかしい。こんなことなら嘘の回答をするべきだった! 「そんな無茶な話じゃないと思うけどね。顔はもちろん隠すし、男同士でするのなんて整骨院に行くのと同じじゃん――やることやってすっきりするだけ。それとも君まさか、『男同士でセックスなんて気持ち悪い』とか前時代的な考えを引きずってるんじゃないだろうね。それは社会人としてあるまじき差別的な感覚だよ」 「いえ!僕は、そんな!」 男同士の性行為に大して抵抗感があるのは確かだが、それは決して嫌悪感ではなく、知識がないことに対する不安感だった。しかも、それを撮影されて映像として配布するといわれると、すんなり受け入れられないのはむしろ当たり前な反応なのでは?それとも僕がおかしいのか? 「君ひとりもんでしょ?彼女もいないんじゃないの?」 「…はい、いませんが」 「風俗とかは?」 「いえ……行かないですね」 「やっぱりね、君の辛気臭い顔を見たらすぐにわかるよ。いつも手でばっかりやってるから性欲がちゃんと発散できてないんだよ。たまにはセックスしないと、いずれ仕事にも支障がでるよ。それに、男とヤったことないって言うけど、食わず嫌いはよくないよ。僕も時々男性間性処理施設にいくけど、結構いいモンだよ。うちのカミさんなんて元々セックス嫌いだから僕が他所で発散してくれて喜んでるぐらいだよ!(笑)」 このオヤジ、セクハラで通報してやろうかと一瞬考えたが、すぐに断念した。 「実はね、映像の納期日が迫ってきてて上層部も焦り始めてるんだ。撮影は大道寺先生が取り仕切ってるから日程が限られていて、今回撮影ができないとなると映像の配布は延期されるだろうね。その場合、君が断ったことも含め、上層部に事実関係を報告する義務が僕にはあるわけだけど……」 うぐ……僕の名前に泥が…… 「でも、逆に君が今回の話を受けてくれたら、君のことを上層部に推薦できるんだけどなぁ……実は厚生省内の新しい機関を設立するとかで、その管理要員を探しているらしいんだけど……まぁ、それはまた次の機会を待つしかないか、次があるかは分からないけど。やっぱり君も急に言われても無理だよね、うんうん。じゃあ早速、お偉いさんたちに報告をしないと――」 「――やります。僕に、やらせてください、是非」 「えー、いいのかい?気が進まないんなら――」 「厚生省の職員として、誠心誠意、全力で与えられた責務を果たします!」 「いやぁ、本当に君は頼りになるね、選ばれたのが君で本当によかったよ。じゃあ、詳細はメールで送るから、すぐに目を通してくれたまえ。君の更なる活躍、期待しているよ」 「はいっ、貴重な機会をありがとうございます!では、失礼いたします」 僕は上昇意欲に翻弄され、とんでもない仕事を任されてしまった。デスクで課長のメールを確認すると、撮影は一週間後と記されていた。 ~ 帰ってから僕は課長から送られてきたメールを再度確認していた。まず目を引いたのが撮影前の準備事項だった。 『攻め役の撮影前準備: • 陰毛と脛毛の処理(腕毛・胸毛・腹毛が濃い場合は合わせて処理) • 陰茎の洗浄(仮性包茎の場合は皮を剥いて洗浄) • 性病検査(陰性証明を撮影当日に提示) • 最低三日間の禁欲』 「毛の処理までするのか……まぁ、むさくるしい映像になったら嫌だもんな」 幸い、僕は体毛が濃いことがちょっとしたコンプレックスで、すね毛は普段から処理していた。さすがにパイパンにしたことはないので、今のうちに試しに陰毛を処理するべきかもしれない――撮影前日の夜に最終的な処理はするとはいえ。 毛の処理よりも難儀するのは三日間の禁欲かもしれない。二日に一回のオナニーが習慣化しており、つい禁欲を忘れてしまいそうで怖い。これはジムに行って気を紛らわすのが得策だろう。 「あと何だ……」 『男性間性行為の基本と注意事項: • 受けの男性の身体的負担が大きいので、監修役の医師の指導に従い、安全な性交を心がけましょう。 • 男性間性行為はコンドームなどを使用しない「ナマ」での挿入を行います。理由として次のものがあげられます: o 受けの男性は「ピル」を飲んでいるので、腸内のあらゆる細菌は一時的に無毒化され、性感染症のリスクは無いに等しいです。 o 攻めと受けがお互いの性器を直に感じることで心身の密着度を増幅させます。 o 攻めは腸内に直接精液を注ぎ込むことで性交終了時の満足度が上がります。 • 受けの男性は腸壁越しに前立腺への刺激を受けて性的快感を得ます。刺激すべき場所は個人差があるので、攻めの男性は受けの男性の反応を見て判断してください。 • 緊張すると肛門が硬くなり挿入が困難になります。攻めの男性は受けの男性をリラックスさせるために陰茎を刺激してあげたり、コミニュケーションをとってください。 • 同じ体勢だと受けの男性の負担が大きいため、色んな体位で挿入を行いましょう。』 なんとなく耳にはしていたが、無意識に避けてきた情報が事細かに書かれている。よく考えたらこれが初めての「ナマ」交尾になるのか。風俗ではコンドームの使用が法律で義務化されているので、童貞卒業した時もコンドーム越しに挿入した。そして、最後はやはりナカで出すのだろうか。細かいところは撮影当日にならないと分からないな。 もしちゃんと射精できないで撮影がとん挫したらどうしよう。そもそも僕が勃たなかったら?おいしい(?)話につられてつい請け負ってしまったが、もし撮影が成功しなかった場合、僕はいったい…… 思考がネガティブになりかけたタイミングで携帯が鳴った。画面を見ると大学時代の部活仲間だった。 「もしもし」 『よぅ、七原!俺だよ俺、陸上部の仙谷だけど、覚えてるか?』 「仙谷!覚えてるに決まってるだろ、急にどうした」 『なんか急にお前の顔が浮かんでさ、元気にしてるかなって。今ちょっと話せる?』 仙谷とは大学の陸上部でお互いを高め合ったよき仲間だった。卒業してからは疎遠になってしまっていたが、話し始めると昔に戻ったようでさっきまでの緊張が解けていた。 『厚生省とか、エリートじゃん、スゲーな』 「いやぁ、そんなでもねぇよ。今日も変な仕事押し付けられるしさ…」 『変なってどんなんだよ』 「あぁ……まぁ、詳しくは言えないけど、最近うちが広めようとしてる男同士のやつ関連」 『あぁ、男性間性行為か、なんか最近めっちゃ聞くよな』 「ぶっちゃけ仙谷はどう思う?男同士とか」 『うーん……まぁ、したい奴はすればいいんじゃね、とは思うけど。そうそう、お前後輩の八幡って覚えてる?』 「八幡……誰だっけ?」 『あれだよ、チビで声がデカいやつ。茶髪でピアスしてて』 「あぁ、いたいた」 『実は去年の春、八幡に会ったんだ、偶然友達の結婚式にあいつも出席しててさ。で、ちょっと話してたらさ、あいつ男同士でヤるのにめっちゃはまってるって。しかも受け役だぜ、物好きだよなぁ』 「へぇ、そういうやつもいるんだな」 『で、これはお前だから話すんだけど、俺八幡に誘われたんだ、試しにヤッてみないかって』 「ヤるって、えっ、お前と八幡が?」 『そう。で、これはマジで内緒なんだけど、その夜八幡とヤッてみた』 「マジで言ってる?なんで」 『まぁ、最近話題になってるし、物は試しかなって。やるなら知ってるやつの方がいいし』 「ふーん……で、どうだった」 『気持ちよくはあったけど、俺は彼女いるし、間に合ってるって感じだな。それと、八幡はゲイみたいだし、ノンケとヤるのとはまた違うかもな。なんで?お前ヤったことないの、男と』 「ねぇよ!女ともまともにしねぇのに」 『へへっ、お前昔と変わんねぇな。エロいことに興味ないってのは本当だったのか』 「彼女ができないだけだし……って言わせんな!」 『いやいやいやw』 もうしばらく話して、仙谷との通話を切った。急に思い出させられた大学の後輩。名前を聞くまでは完全に記憶から抜け落ちていたのに、いざ思い出すと八幡の様々な場面が思い出された。確かに八幡は声がデカかった。誰とも気軽に話せて、元気で、いつも笑っていた。そうか、彼はゲイだったのか。彼が仙谷とセックスをしたことに、僕はなぜか残念な気持ちになった。僕には関係のないことなのに、この感情はいったいなんなんだ。 もう二度と会うことのないだろう大学の後輩のことを考えている場合ではない。撮影は一週間後――性病検査の予約を入れたり残りの資料に目を通さなければ。 〆 男性間性行為マニュアル(2)へ続く…→ https://teopi.fanbox.cc/posts/4762724

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