龍と贄の少年……1
Added 2023-02-18 08:03:16 +0000 UTC王都『エルヴィス』より遥か北。大蛇のように鎮座し、大陸を分断する巨大な山脈地帯『ウルムスコ』。その内の最も標高のある山『グルサカ山』。その頂に龍が住まうと言う。その龍は数年前に突如現れ、複数の町を滅ぼした。アデル神話に語られる悪龍と同じ所業。違うのは討ち滅ぼす英雄が居ないということ。 エルヴィス王国重装騎士は、その堅牢さから城壁の如くと讃えられた。アダマンタイト合金で鍛え上げられた鎧は、魔剣であろうと傷一つ付かない。 しかし。龍の鋭く巨大な刃のごとき爪は、重騎士を鎧ごと、滑らかなバターのように引き裂いた。 エルヴィス王国の騎馬隊は、風のように速く、その連帯指揮から成される波状攻撃の殲滅力は他の髄を許さない。 しかし。強靭な、そして鞭のようにしなる尻尾は並みいる騎馬隊を、嵐の如く蹂躙した。 エルヴィス王国の魔術師は一人一人が賢者の域。詠唱を連ねれば容易く町を吹き飛ばし、あらゆる魔法から城壁を守る しかし。灼熱の吐息は、高名なる魔術師達の展開した防御術式を、紙のように彼らごと焼き尽くした。 王国は騎士団の8割を失った所、龍はある要求した。地のソコから唸るような、亡者のような声をあげて 滅ぼされたくなくば、生け贄を寄越せと。王国はやむなく降伏した。アデル神話は脆くも崩れさった。龍とはそれほどまでに、圧倒的な存在で世界を蹂躙したのだ。 龍の生け贄の要求は月に一度。王国イチの美女と美男。麗しき幼き姉妹。誇り高き騎士。いずれも龍の胃袋に収まる。 そして今回の龍の要求したのは、エルヴィスの正当なる血筋を持つ王族であった。 荒れた山道をエルヴィス王家の紋章を掲げた牛車が走る。背負う籠には、今回の生け贄である王子が乗っている。速度こそ王家御用達の戦牛は悪路をモノともしない。騎士団の護衛達が辺りを警戒しながら進む。その表情は勇猛と知られる騎士ではなく、怯える子犬のようである。だが無理もない。今から向かう先は地獄だ。龍が棲むという山に登るのだ。 騎士達の中にも恐れるものは多い。それは護衛として同行している、他の兵士達も同じだった。やがて牛車は山頂へ到着する。 早く出ろ!」 「ニハラ!!一時であれ彼は王子だ!」 「はっ。失礼を……」 「部下が無礼致しました。エイン王子。なんなりと処分を」 「な!?し、しかし隊長彼は……その」 「今は、正統なる王子。丁重に扱え」 「いえ……」 それはとても澄んだ声であった。鈴の音のような凛とした美しい声音。 そこには、白銀の髪を持ち透けるような白い肌をした少年がいた。華奢な身体に纏うのは薄布一枚のみ。瞳の色は青玉のようであり、長いまつげが影を落とす。 「私は卑しき身分ゆえ。身は弁えております」 そう言うと、籠から降りて、ゆっくりとした足取りで前へと進み出た。 一行はその姿を見ると、言葉を失う。余りにも美しく神々しい姿に目を奪われたのだ。 (これがエルヴィス王家の血か) 隊長と呼ばれた男は、心の中で呟いた。この少年はまさにエルヴィスの血筋に相応しい美しさを持っている。 (母親が下賤な血で無ければ……) エルヴィスの血を継ぐのは今や、王と息子らのみである。 現国王は論外。今だ世継ぎの決まらぬなか、王が逝去となれば国は混乱する。 第一王子。傲慢なれど武芸に長け、近衛騎士団の団長を勤める。騎士らに絶対的支持を持つ。彼が生け贄になれば、騎士団が反旗しかねない。 第二王子。武芸劣れど、知略に長ける。幼少期より貴族勢に取り入り、力を持つルドン家の養子となる。生け贄となれば諸国貴族勢が黙っておらぬ。 第三王子。年が離れた幼児である。妃から寵愛を一心に受ける。また幼子を龍の生け贄とするならば、妃や民からの信頼を失う。 ならば、どうするか。 「おお、あやつがおる。大臣よ。分かっておるな。病弱ゆえに隠居しておったと民には偽り、あやつを生け贄とせよ。妾の子とはいえ。忌目の化け物とはいえ。あやつにはワシの。エルヴィスの血が混じっておる」 かくして選ばれたのは、卑しき混血の王子。名はエイン・ルクウス。ルクウスは母の姓であり、メイドであった彼女と王の一時の気まぐれであった。子を孕んだ際に王は母親を即座に追放し、息子のエイン共々貴族の奴隷の身となった。痩せ細った地の開拓。寒々としてあばら家で、蜘蛛の巣狭く汚い部屋で震えるエインを母はよく抱き締めていつも囁いた。 「貴方はきっと王になるわ」 「僕が?」 「そう。私が見込んだのですもの。私の可愛い坊や。必ず貴方は王に」 母の笑顔は、どんな宝石よりも輝いていた。 生け贄の日は、月が満ちた夜。 エインは籠に乗せられたまま、牛車は頂上の祭壇に到着した。 丁重に降ろして、隊列を組む。そして一斉に剣を掲げた。それは王族を弔う為の儀式であった。 「では、我々は。牛車には短剣があります。それで痛みなく死ねるでしょう」 隊長は剣を納めると、恭しく一礼した。 龍は生贄を喰らう際、まず生きたまま内臓を貪り食うという。そして、死に絶えたところを丸呑みにするのだ。 だから、せめて最後は楽に逝かせようと。 「ありがとう、これは王家の短刀……私を王子と認めてくれるのだな」 「このような事しか出来ませぬ」 「十分だ。一時とはいえ、私は王族として認められ、王家の為に死ねるのだから」 「エイン王子……私も一時。貴方にお仕えでき光栄で御座いました」 そう言い残すと、彼は隊列に加わった。 龍が姿を現したのは、それから間もなくであった。雲を割り、空を覆い尽くす巨体。その瞳は紅く燃え上がるように爛々と輝き、口元からは炎が漏れている。 「……これが龍……なんと壮大な……」 龍はその巨大な爪を振りかざすと、一瞬にして牛車を真っ二つにした。 『なんだ、この貧相な子供は。我は王族を贄と命じた!我を謀ったか!』 龍は怒り狂った。その息吹は大地を吹き飛ばし、天は暗雲に包まれ雷鳴が轟く。 「見くびるな!」 少年は、エインは、王子は高らかにさけぶ。 「私はエルヴィスの正統なる血筋!エイン・エルヴィスだ!」 エインは籠から降りると、腰から王家の短剣を抜き取った。 「来い、悪龍よ。我が命と引き換えに、その首を落とそうぞ!」 エインの身体を軽々と呑み込める龍の顎がゆっくりと迫る。エインは一歩も引かず、ただ龍の瞳を見据えた。 顎が大きく開き、熱い吐息を浴びせられる。鋭く太い牙に、唾液を纏う分厚い舌、そして喉の奥の深淵。 (ああ、僕は死ぬのか) エインの心の中には恐怖は無かった。贄を全うし、国を救うのだ。全身を襲うであろう痛みに目を瞑る。 (母上、今行きます) しかし、 べろぉん頬に感じる生暖かい感触。龍が舐めたのだ。龍は、まるで猫が愛玩動物にするように、エインをベロリと舐め回した。 「な、なにをする!?」 『ふむ、確かにこの血の味は、エルヴィスの血だ。なるほど混じりか。ふん』 龍はそう言うと、鼻を鳴らした。エインは呆気に取られて龍の顔を見る。 『大方、妾の子か。つまらん。覚悟の決まった贄など。傲慢きちな王族が、泣き叫ぶ様を見たかったというに。まぁ、味は悪くないが』 「何を言って……」 『まあ、良いだろう。我は寛大だ。国を滅ぼすはやめてやろう』 「えっ!?」 エインは驚愕する。まさか、生け贄の要求を取り下げると言うのだろうか? 『だが、条件がある。我に屈服し、頭を垂れよ。我に服従すると誓えば、お前と国を生かしておいてやる』 龍はニヤァっと笑う。 『どうした、早くしろ。このままでは国が滅んでしまうが?』 「……本当に皆が救われるのか?」 『龍の誓いは絶対だ。人間共の愚かな約束とは違う』 「……分かった。貴殿に従い、忠誠を誓おう」 エインは、その小さな身体を折り曲げて、頭を下げた。 「……これで、エルヴィスは救えるのだな」 エインは、その幼い顔に笑みを浮かべた。 『まずその堅苦しい喋り方をやめよ。もう貴様は我のモノだ』 「……はい」 『よし、では早速だ。その薄布を剥ぎ取って、その下を見せて貰おうか』 「えっ!?」 龍はそう言うと、エインに近づき、その身体を弄った。巨大な爪で布を引き裂いた。 「あっ、なにを!?うっ、うわあ!?」 『やはり。ひどく痩せているな。このままでは喰いごたえがない。ふん、仮にも王族の血を継ぐものにかような扱いとは。人間とは愚かだ』 「………」 『なんだ?なぜ顔を赤くする』 「な、なんでもないです」 エインは恥ずかしさに俯いた。この少年は、性の知識を知らぬ純真無垢な少年であった。故に、裸を見られたこともそうだが、これから自分が喰われる事にも抵抗感はなかった。むしろ、民の為になるなら喜んで身を捧げようと思っていたのである。 それが、いきなり服を引き裂かれたのだ。しかも相手は人外の化け物である。羞恥を感じるのは当然であった。 それに気づいたのか、龍は笑うように目を細めた。 『くっく、そうか、恥ずかしいか』 「そ、そんな事はありません!」 『嘘をつけ、顔が真っ赤だぞ。それに……』 龍の視線は一点に集中する。その視線の意味を理解した少年は慌てて股間を手で隠した。 『随分と立派なものを持っているではないか』 「み、見るな!!」 エインは叫んだ。しかし、龍は止まらない。そのまま、エインの小さな身体に覆い被さる。そして大きな舌で頬を嘗め回すと、長い舌を首筋に這わせる。そして胸元へとたどり着くと、その可愛らしい乳首をぺろりと舐めた。 「ひっ!?」 ざらついた舌が乳首を刺激するたびに、ピリリとした感覚が背筋を走る。 (なんなんだこれ……) 今まで感じたことのない感覚に戸惑うエインをよそに、龍は愛撫を続けた。首筋を舐め回し、胸を弄び、脇や腹を舐める。やがてその舌先は臍を通り越し、ついに下半身へと到達した。 「そこはだめっ!」 少年の絶叫が響き渡る。それもそのはず、彼のまだ未熟な性器を下半身ごと龍の大きなマズルがくわえこんでいたのだ。 じゅぼっぐちゅぅ!!ずぞぞぞぞッ!!! 龍は口内で激しく吸引を繰り返した。それはまるで極上の果実を貪るかのようで、エインの脳髄まで痺れるような快感をもたらした。 「っぁ!」 悲鳴のような喘ぎ声が響く。エインは経験したことの無い快感に身体を震わせていた。 龍の口淫は更に激しさを増す。巨大な舌がエインのペニスを締め付ける。同時に、上顎と下顎が激しく擦り合わされ、亀頭から根元にかけて丹念に刺激を与えていく。 それはまさに搾精と呼ぶに相応しいものであった。 あまりの快楽にエインは意識を失いかける。だが、龍はそれを許さないとばかりに喉奥で締め上げた。 どぴゅるるるっ!びゅーっ!ぶしゃぁぁあ! 大量の精液が吐き出される。それは龍の食道を通り抜け胃の中に落ちていく。それでも射精は止まらず、白濁液はとめどなく溢れ続けた。 ようやく吐精が終わると、龍はゆっくりと顔を上げた。そしてゴクリと喉を鳴らして嚥下する。 『ふん、なかなか美味だった』 「はぁ……はぁ……んっ」 絶頂後の倦怠感が全身を襲い、エインはぐったりと地面に横たわる。その姿には威厳の欠片もなく、ただただ弱々しい子供のようであった。 『さて、契約だ。お前の心臓を貰う』 龍は、鋭い爪をエインの胸に突き立てた。エインの胸から血が噴き出し地面に撒き散らした。 「な……」 薄れる意識の中、その巨大な指に小さなピンク色が動いているのが見えた。 (あれは、僕の心……?) それを巨大な顎が呑み込むのを見た直後、エインは意識を失った。