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怪しい治験バイトに応募した結果

「あ~何かいいバイト無いかなぁ…」


大学の夏休み期間中、旅行や友達との飲み会等で散々した結果。後期の授業が始まる頃にはすっかりと金欠に悩まされていた。


だらだらとベッドの上に寝転びながらスマホでラクに稼げそうなバイトを探していると……


「ん…?くすぐり治験バイト…?」


何となく気になって広告をクリックしてみる。

え~っと、仕事内容は…4時間くすぐられるだけ!?


給料は8000円か…ということは時給2000円。


今すぐにでもお金が欲しい金欠の大学生にとってはかなり魅力的な金額。それに、たったの4時間くすぐられるだけでお金が貰えるなんて…本当なのだろうか??


少しだけ不安はあるものの、応募フォームに情報を記載して応募してみることにした。


数時間後、応募先から電話がかかってきた。

都合の良い日程や、喘息を持っていないか等の健康面のことを聞かれたが、あっさりと採用された。


「ふぅ…とりあえず単発バイト決まった~!」


今週の土曜日がバイトの日だ。

この時はまだ、「ラクに稼げそうなバイト決まってよかった~♪」くらいの気楽な気持ちで過ごしていた。


**

土曜日の朝、7時くらいに起きて朝ごはんを食べていた。

事前にメールで送られてきた詳細に、「体力を消耗するので必ず朝食を腹八分程度食べてからお越し下さい」と書かれていた。


たかがくすぐられる程度でそんなに体力を使うものなのだろうか…?


不思議に思いながらもご飯を食べ終え、身支度を整えて家を出る。自転車に乗り、バイトが行われる近所の病院へと向かっていた。


10月にも入るとすっかり気温は下がり、半袖ではやや寒さを感じる。


7:50に病院へと到着。

まだ正面扉は開いていないが、集合場所は裏口だ。


駐輪場へ自転車を停めて裏口へ行くと、同じバイトに応募していると思われる大学生くらいの男女5人がたむろしていた。


8時ピッタリになると、裏口の扉が開いてスーツを着た若い女性が出てきた。


「おはようございます♪え~っと、皆さん治験バイトに参加される方でお間違いないでしょうか?」


優しそうな綺麗な声…。

自然と頷いて、素直に従ってしまう。


「2…4…6…はい、全員揃っているようですね♪では中へお進みください~♪」


裏口から建物の中へと入り、小さな会議室のような場所に入る。ホワイトボードには「待機所♡」と書かれていた。


椅子に座ると、一人一人に書類とペンが配られる。


「今お配りしたのは誓約書です♪同意して頂ける方は下に今日の日付とお名前を記入してくださいね♪」


さらっと目を通してみるが、特に変わったことは何も無さそうだ。日付と名前を書いて提出をする。


「はい、ありがとうございます♪あ、申し遅れましたが、私は心理学部の大学院で"くすぐり"について研究をしている美南﨑(みなさき)と言います♪さて、早速ですが皆さんはこちょこちょに弱い人でしょうか?弱いと思う人手を挙げてください~♪」


おずおずと女の子が1人恥ずかしそうに手を挙げていた。


「お一人だけですね~♪はい、ありがとうございます♪今日はですね、皆さんこちょこちょよわよわになって帰ってもらいたいと思います♪ストレス解消も兼ねてたくさん笑ってくださいね?」


笑顔で指をワキワキと動かしている美南﨑さん。

もしかしてこの人にくすぐられるのだろうか…?


一通り説明が終わると、今度は指定された衣服に着替える時間を設けられた。


カーテンで仕切られた簡易的な更衣室に移動。

やけに肌触りの良い、パジャマのような衣服だ。


「っひっ!?」


着ているだけでも何だか一瞬ゾクッとするようなくすぐったさを感じて、思わず身悶えてしまう。


下も同じような素材のパンツに履き替え、素足でスリッパを履いて私物はロッカーへ。手にリストバンドのように鍵をつけておく。


着替えが終わると、病院の個室のような場所に案内された。ナース服を着た女性が5人。皆美人で綺麗な人で、思わずついつい見惚れてしまっていた。


「今から治験始めますね♪まずはこのベッドの上に寝てくださいね♪」


「は、はいっ!よろしくお願いします!」


至って普通の病室のベッドといった感じ。

仰向けになって寝転がると…


「では両手を万歳してもらえますか?」


「は、はい…こうですか…?」


「ありがとうございます…じゃあ皆、押さえて!」


「……っ!?えっ!?ちょ、ちょっと…!?」


周りに待機していた看護師達に手首や膝をしっかりと押さえつけられてしまう。


あまりに突然の出来事に、びっくりして思わず抵抗しようとしていると…


「こらっ!大人しくしてなさいっ!」


「はーい、良い子だから暴れないでね~♪」


「えっ!?な、何で拘束してるんですか!?聞いてないですよ!」


「あら、ちゃんと誓約書に書かれていたと思うけど?」


「えっ……!?い、いやでも…っ!」


四肢を押さえつけながら、手際良く手首や肘、足首や膝の関節部にベルトのようなものを巻かれてベッドにきつく拘束されてしまった。


「8点拘束終わりました。」


「さて…どうかな?動ける?」


「ぐっ……ぜ、全然動けないです…」


いきなり身体の自由を奪われたことで、ほんの少しだけ恐怖が芽生え始める。


ちょっとお遊び程度にくすぐられてお金を貰って帰れると思っていたのに…もしかしたら自分はとんでもないバイトに応募してしまったのかもしれないと既に後悔し始めていた。


看護師達はニヤニヤと笑みを浮かべており、それもまた恐怖を感じる一因だ。


「今からこの"液体"を飲んでもらいます。」


「えっ…そ、それ何ですか…?」


「これは今実験段階の、"身体がくすぐりに敏感になる"お薬です。これを飲んでもらい、私たちが約3時間程徹底的にこちょこちょしてあげます♪」


「さ、3時間も…や、やっぱりこのバイトやめます!!離してください!!」


「もう今さら遅いですよ~。さあ、口を開けてください?」


看護師達に頭や顎を押さえられて固定されるが、頑なに口を閉じていると…


「こちょこちょ~♪」


「んひぃぃっ!?ぁぁぁっあはっ!?んんっっ…!!」


「吐き出したら駄目ですよ!飲み込みなさいっ!」


「んっっごくっ…ごくっ……んぁっ…はぁっ…はぁっ…」


甘いシロップのような味がする液体を口に入れられ、喉の奥に飲み干してしまった。


「ふふっ♪どうですか~?段々と身体が熱くなって、感度も上がってくる感覚はありますか?」


「ぅぅっ…くっ…そう…かもしれないです…」


看護師に耳元で囁かれると、何だか本当に体温が上がって身体中ゾクゾクとした感覚に襲われているような気がした。


「この状態でこちょこちょされたら…もう普通の身体には戻れないかもしれませんね♪」


「ど…どういうことですか…?」


「服を着るだけでも、風が身体に触れるだけでも…女性に指をこうやってワキワキ動かされて『こちょこちょ~♪』って囁かれるだけでも身体がくすぐったく感じて身悶えて笑い狂ってしまうかもしれないですね~♪ふふっ♪」


なにわろとんねん…


思わず心の中で突っ込んでしまった。

そんなの嫌だ!やめろ!とばかりに必死に身体に力を入れて逃げようとするが、無駄な抵抗に終わる。


足下に2人、腰の辺りに1人、両腋にそれぞれ1人が立ち、身体に指を這わせ始める。


「んひぃぃっ!?」


「ほらほら、この状態で指をこちょこちょ~♪って動かされたらきっとすっごくくすぐったいだろうね~?」


「や、やめてっ…だめっ!だ、誰か助けっっぎゃぁぁぁぁぁぁっあはっっっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっあはははははははははははははは!!!!いひゃぁぁぁぁぁぁぁっひゃめっひゃめでぇぇぇぇっぁぁぁぁぁぁぁっんぁぁぁぁぁっあはははははははははははははははははははは!!!」


「こちょこちょこちょこちょ~♪ほらほら、くしゅぐったい?絶対やめてあげないから安心してね~♪」


不意打ちのように、息ピッタリで全身の弱いところを一斉にこちょこちょくすぐられると自分でも驚いてしまうくらいに思いっきり笑い悶えてしまった。


滑りの良い衣服越しに左右から無防備に開かされた腋の窪みを細長くて器用な看護師の指先で容赦なくこちょこちょされると我慢できないくすぐったさにイヤイヤと顔を振って笑い狂ってしまう。


腋を片手でくすぐらながら、もう片方の手は首筋や耳を優しくこしょこしょ~♪と撫で上げてゾクゾクと我慢のできないくすぐったさを与え続けている。


「ほらほら、脇腹もみもみ~♪ここかな?ここが弱いのかな~?」


「っっぁぁぁぁぁっ!?ぎゃぁぁぁぁぁっいひゃぁぁぁぁぁぁぁっや、やめでぇぇぇぇっぁぁぁぁぁぁっじぬっっっぁぁぁぁぁぁっじんじゃぅぅっっぁぁぁぁぁぁっ!!」


「大丈夫大丈夫♪万が一過呼吸になったり気絶したらすぐに手当てしてあげるからね♪」


「そう簡単に気絶はさせないから安心してくれていいよ♪」


脇腹にあるくすぐったいツボを、指の先に力を入れてもみもみと程よい力加減で揉みしだかれた途端、半ば白眼を剥いて絶叫に近い笑い声を上げてひぃひぃと涎を垂らしてごめんなさいしてしまう。


ここまで自分はくすぐりに弱かったのだろうか…?

飲まされた"薬"の効果なのか分からないけれど、これ以上くすぐられたら頭がおかしくなってしまうと身体が警告を出している。


「足の裏もとってもくすぐったいよね~♪」


「足の指を掴んで反らして~、土踏まずカリカリこちょこちょ地獄の刑だ~♪」


「ぁぁぁぁっひゃひゃっひゃっっだぁぁぁっんぁぁぁっっっぁぁぁぁだめぇぇぇや、やめでぇぇぇっぁぁぁんぁぁぁぁぁぁぁぁっぎゃぁぁぁぁぁぁっあはっぁぁぁぁぁぁっあははははははははは!!!」


どんなに力を入れて暴れても思いの外頑丈な拘束具のせいで全く抵抗も逃げることも許されない。


30分程くすぐられ続けたところで短い「休憩」を与えられた。


「っぁぁっ…はぁっ…はぁっ…げほっ、ごほっ……」


「大丈夫ですか~?お水飲む?」


「の、飲む……水…」


「は~い、口を開けてくださいね~♪」


頭を軽く持ち上げられ、今度はペットボトルに入った水を飲まされる。


水分補給が終わり呼吸も落ち着いてきたところで…


「では再開しますね♪あと2時間30くらいですから、頑張ってくださいね♪」


「に、2時間30…そ、そんなのむりです!も、もうやめ…いやっっひぃぃぃっだぁぁぁぁっいひゃだぁぁぁぁぁぁぁおねがぃぃぃっぁぁぁぁぁも、もうこちょこちょひゃめでぇぇぇぇぇっぁぁぁぁぁぁっんぁぁぁぁぁぁぁっじぬぅぅぅっお、おかじくなるからぁぁぁぁぁぁぁっあははははははは!!」


どんなに泣いてもごめんなさいしてもプライドを捨てて情けなく許しを乞うも、看護師達は決してくすぐりを止めることは無かった。


気絶しそうになると、くすぐったいところを優しくソフトにじわじわと撫でられて感度を高められ、意地悪にも容赦なくこちょこちょされて笑い狂わされてしまう。


30分ごとに短い休憩は与えられたが、開始から3時間経つ頃には全身汗だくで顔は涙や涎でぐしゃぐしゃになり、半ば白眼を剥いてピクピクと身体を震わせてすっかりくすぐりによわよわな身体に調教されてしまっていた。


「はーい、お疲れ様でした~。大丈夫~?生きてる~?」


「ひっ…も、もうむりっ…あへへっ…はへっ…」


「ん~ちょっとやりすぎちゃったかしら?」


ようやく拘束を外されても、しばらくベッドの上から起き上がれない程疲弊していた。


部屋の扉が開いて、「はい、お疲れ様でした~♪」という聞き覚えのある女性の声が聞こえてきた。


「み、美南﨑さん……」


「実験にご協力頂きありがとうございました♪どうかな?いつもよりくすぐったくて敏感に感じたかな?」


「は、はい……もう死ぬかと思いました…」


「ふふっ♪それはよかった♪じゃあタネ明かしすると、君に最初に無理やり飲ませた液体あると思うんだけど、あれはただの苺シロップ♪くすぐりに弱くなる薬なんかじゃありませんでした~♪」


「…………は…?」


「そんな怖い顔しないのっ!…まだくすぐられたい?」


「ひぃぃぃっごめんなさぃぃぃっ!!!」


…どうやら話を聞いていくと、今回の実験は「プラシーボ効果」と「くすぐり」の関連を調べる内容のものらしかった。


他の参加者には、最初に"薬"を飲ませないパターンや途中で飲ませるパターン、飲ませずにくすぐるパターン等を試していたらしい。


「えっと…薬が偽物だったとして…何でこんなにくすぐったく感じたんですか…?」


「ん~看護師のくすぐりが上手かったか、元々君がよわよわな体質だったんじゃないかな♪さて、これでバイトは終わりです♪分かってると思うけど今回の実験は守秘義務があるので、SNSは勿論、家族や友達とかに口頭で喋るのも駄目だからね!ではお疲れ様!」


封筒を渡され、服を着替えたら帰ってもいいと言われた。

一応その場で封筒の中を見てみるとしっかり8000円入っていた。


変わったバイトだったけれど、無事にお金を貰えてよかった…。


ただ、次の日のこと。


「んぁぁっ…朝か…いててててっ!?」


全身が筋肉痛になっていて起き上がれない…

せっかくの日曜日を、家でほとんど寝て過ごすだけで終わってしまったのだった。

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