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栞

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【試し読み】春の雨先にて

はじめに&あらすじ

栞です!\(^o^)/

3月もあと少しで終わり、新年度が近付いているような時期ですね。もう桜は咲いているのでしょうか。


最近のお天気は「雨多いな…」といったところですが、その代わりに雨で花粉も弱まっているような感じもしますね(体感的に)。


3月は出会いと別れの境目の季節。

雨の日ともなると、気持ちが不気味に落ち着かない感じもありますよね。


今回はそんな3月の雨の日をイメージしたお話。

主人公は一軒家で一人暮らしをしている男性をイメージしてください。


ある雨の朝、窓の外を見ると家の前に傘を差さずに立って濡れている女の子がいて…ひとまず家にあげるところから始まります。


その女の子は一体何者なのか…

個人的には久々に現実至上主義のリアルさも出しつつ、考察する余韻も残しつつ、しっかりエロい描写も書けた短編小説(全約8,000文字くらい)の自信作です!


内容的にFANBOX規約に引っ掛かったらごめんなさいci-enの方に投稿させてもらいます…!


試し読みにて序盤の部分を載せていますので、良ければぜひ読んでみてください~!\(^o^)/


試し読み

3月も終わりにかける今日、雨が降っている。

庭先から窓ガラスに映る柔らかな水滴がつーっと、不規則に道を歩いていく。


天気予報によると、今日は朝から1日中降りしきるらしい。

何気なしに外の空気に触れたくなって、窓ガラスを開けてみると…


「ん…?家の前に誰か立っている」


門扉の前に人がいる。

傘を差していないようで、俯きながら雨に打たれている。


何か用件でもあるのだろう。

急いで玄関の扉を開けて駆け寄ってみると…


「あ、あの~?うちに何かご用でしょうか…?」


近くで見ると、小柄な女性のようだった。

背丈からして高校生…?くらいだろうか。


どれくらい外にいたのだろう。

寒そうに肩を震わせており、通行人の人達がひそひそとこちらを見ている。


とにかくこのままでは風邪を引いてしまうと思い、家の中にいれることにした。


**

「今タオル持ってくるね、お風呂沸かすから入って!」


「……ありがとう」


こういう時にどうするのが正解なのだろう。

先に警察へと保護してもらうよう連絡をするべきか…


だけど…どこかで見た面影のある顔だったような…。

声も聞き覚えがある気がするし…う~ん…


お風呂を沸かしたことを伝えて洗面所へと案内をする。


「あ…着替え…男物でよければ後で置いとくね」


「…ありがとう…お兄ちゃん…」


ん…?お兄ちゃん……?

聞き間違いかな…今この子、お兄ちゃんって言った気が…


自分には妹はいない。

いない筈だけど…本当は妹がいたのだろうか…


それに、何だか親しげな感じがして…もしかして初対面ではないのだろうか。


「う~ん…誰だったっけ…」


タンスから無地のTシャツとハーフパンツを取り出す。

流石に下着までは…用意できない。


洗面所へ行くと、どうやらシャワーを浴びているようだった。こっそりと着替えを置いて跡にする。


**

「いや~いい湯だった~♪お風呂ありがとうお兄ちゃん!…にしてもこのシャツ大きくてブカブカだよ~」


「え…あ…うん、よかった」


お風呂から上がった女の子は、数十分前とは様子が打って変わったようで、明るく親しげな様子になっていた。


長袖の白いシャツは手首の先まで覆い隠しており、普段着ている服とサイズ感が違うのかパタパタと袖口を揺らしている。


居間である畳の部屋。

ちゃぶ台前にどかっと腰をかけ、何か催促するような眼差しでこちらを見ている。


「温かいお茶でも持ってくるよ」


「ありがとう~♪あと…白ご飯とお味噌汁と焼き鮭とお漬物が食べたいなぁ…」


めちゃくちゃ和食の朝御飯を要求してくるな…この子…

丁度ご飯は炊けたし、冷蔵庫に鮭も二切れあった気がするけれど……。


ジーっと上目遣いでおねだりをされ、仕方ないなという気持ちになる。


「…わかったわかった!準備するから待っててね」


「は~い♪お兄ちゃんありがとう大好き♡」


…何だか本当に妹ができたような気分になりかける。

台所へと向かい、冷蔵庫から鮭を取り出す。


あとは味噌汁を作るため、味噌と豆腐、葱も一緒に。


一瞬、ふと背中に視線を感じる。

振り返ってみると、台所の入口からジーっと女の子がこちらを見つめていた。


「…どうしたの…?」


「いえいえ、見学してるだけなのでお構い無く!」


目をキラキラさせながら見つめられている。

多少のやりづらさを感じつつ、気を取り戻して朝食を作っていくことにした。


コンロに火をかけて鮭を焼いている間、手早く味噌汁の用意をする。よっぽどお腹が空いて待ちきれないのだろうか。


チラリと視線の方を見てみると、ワクワクとした表情でこちらを見つめていた。


鍋でだしを温め、豆腐と長ネギを切る。

普段通りに、平常心を保ちながら着々と作っていく。


そうこうしている間に、鮭も焼けて程よく焦げ目が付いている。


「ねぇねぇ、何かお手伝いしたい!」


気付けば背後に立っていた女の子に、一瞬ビクッとしてしまう。


「あぁ…じゃあ…お皿取ってもらえるかな?」


「はーい!」


何気無しに伝えたけれど、お皿がどこにあるのか"迷うことなく"戸棚を開けてお皿を持ってくる女の子。


まるで自分の家かのように、手慣れた様子でお盆やお茶碗、お箸も取り出していく姿を見て、思わず味噌汁を焦がしかける。


「さっきからぼーっとして、どうしたの?大丈夫?」


「…ぇっ…ぁ…うん、大丈夫だよ…ハハッ…じゃあこれ運んで…食べようか…」


自分でも何かがおかしいと感じる。

だけど、まるでごく自然に。

何年も何十年も一緒に過ごしてきたかのような口振りだった。


**

「いただきま~す!美味しい!!」


美味しそうに勢いよく朝食を食べ進めている女の子。

その気持ちの良い食べっぷりに思わず見惚れてしまう。


「んん?あれ?どうしたの?食べないのお兄ちゃん?」


「あ…いや…いただきます…」


自分の家な筈なのに、まるで違う家にいるような感覚。

もしかするとこれは夢なのだろうか?


だけど、舌に感じる味噌汁の熱さや味わいが夢であるとは思えない。目の前には確かに、女の子が実在している。


チリリリリリ、チリリリリリ!


「電話だ…ちょっと出てくるね」


「は~い!ごゆっくり~」


廊下に置いてある固定電話が鳴り響いている。

その場から、何となく逃げるようにして受話器を取りに行く。誰からだろうか…?


「はい、もしもし…」


「もしもし~久しぶり!元気してた?…それで早速なんだけど、恵ちゃんあんたの家に来てない?」


「え……?」


電話の相手は遠方にいる母親からだった。

話を聞いていくと、どうやら母の妹である叔母さんの家で昨日夫婦喧嘩があったそう。


そして今日の早朝、娘の部屋に置き手紙がありどこかに出掛けた痕跡があった。


手紙の内容は、『ママとパパが仲直りするまで、私はお兄ちゃんの家に行きます』と書いてあったそうだ。


直ぐ様親戚へと手当たり次第に連絡をかけ、もしかしたら自分の家に来ているのではないかという確認の電話だった。


「恵…多分、家に来てるよ。今朝御飯食べてたところ。」


「あら、そうなの!?よかった~じゃあとりあえず無事だって連絡しておくね。また後で電話しますね、じゃあね。」


プツリ、と電話が切れる。

そうか…やっぱりどこかで見た覚えがあったと思っていたけど、何故だが今一つ、名前を聞いてもピンと記憶が鮮明にならない。


ひとまず居間に戻り、電話の内容を伝えてみる。


「私のことだよね?叔母さんかな?何か言ってた?」


「えと…また後で電話するって…恵ちゃん…だよね?」


ピタ…と動かしていた箸の動きを止める女の子。

少し怒ったような哀しげな表情にも見えた。


「え?逆に私を誰だと思ってたの?お兄ちゃん?」


真っ直ぐに目を見つめられて、真剣な眼差しで問い掛けられる。改めてまじまじとその顔を見ても、やはり今一歩のところで思い出せずにいた。


「えっと…それはその…ごめん…分からないけど、雨に濡れて困っているように見えたから…」


無難に誤魔化せば良いものを、つい気圧されてしまい本心が口から出てしまう。


僕の返答を聞いて、恵ちゃんは静かに箸を置いた。

そして…膝立ちになって指をワキワキとしながらゆっくりとこちらに周り込んで距離を詰めてくる…!


「ふ~んそっかぁ?その様子だと、まだ私のこと思い出せないんだ?ほらほら、この"指先"を見て?何か思い出せた?」


「ひっ!?や、やめろ…や、やめてっ…や、やら…」


ぐにょぐにょと器用に、滑らかに動く指を見ていると、身体がゾクゾクとした恐怖で震え出してしまう。


立場が完全に逆転したように、腰をついてズルズルと後退りをしてしまう。


頭がズキズキと痛む。

ずっと脳内に霧がかかっている感覚から、少しずつ、思い出したくない過去の記憶が甦ってくる。


「はい、捕まえたよお兄ちゃん♡…抵抗しないでね?」


続きのお話

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【試し読み】春の雨先にて

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