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土装番
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機械の侵食 プロローグ

 現代よりも先の未来、地球では、人間に見分けのつかない程に瓜二つな機械人形、アンドロイドが街中に溢れるようになっていた。  最初は見た目こそ整えられていても動作に人間らしさは殆ど無く、自ら動いた反動で全身が揺れ動き、口の動作は音声と殆ど合っていない。とても人形らしい姿だった。  今では、人類の類まれなる努力と技術の積み重ねによって、人間と何ら遜色のない挙動や喋りが可能となり、首や四肢、腹部に走る継ぎ目が無ければ、見た目には人間と全く見分けがつかない程の自然さを手に入れたのだった。  しかし、それでも未だ完全な自律性を取得するには至っておらず、与えられた命令を中心に行動する便利な人型家電程度に留まっていた。  それでもその有用性は高く、街のショップやスーパー、百貨店、オフィス内のアシスタントなど、様々な場所で、人工的な美貌を纏った機械人形は活躍していた。  人とアンドロイドが並び立ち、共に社会を形成し進歩していく時代は、もう間もなく近づいていたのだった。  だが、テクノロジーという概念は、いつ特異点を迎えるかわからない。  それこそ、外宇宙からの存在が地球に訪れ、天啓の如く新たなる技術を人類に分け与える可能性も存在するのである。  それが誰に与えられ、どのような目的であるかにも関わらず。 * * *  地球から遥か遠い宇宙の先に存在する、機械惑星ペリメイズ。  そこには家畜以外の生物の存在は無く、惑星上の存在は殆ど無機物で構成されている。  正確に言えば、かつては他の生命体も存在し、地球人類と非常に似通った種族も住まう星であった。  だが、この星には他の物質を自在に無機物に変換する技術が存在した。  それらを利用し、機械工学に連なる分野が超高度に発達。  ついには、宇宙進出も容易となったのだった。  そして、ペリメイズには、地球とは比べ物にならない程に人間と同等に稼働し、擬似人格から感情を自在に表現できるロボットが製造されていた。  容姿も人間と同等かつとても麗しく、継ぎ目も各部に存在するが、非常に強く注視しないとわからない程にうっすらとしている。  それらは地球と同様、人々の暮らしの中に混ざり、まるで新たな種族のように共生し暮らしてきた。  だがある日、大きな異変が起こる。  ペリメイズのロボットが、次々と人間を襲い始めたのだ。  しかし、襲うと言っても殺すのではない。無機物変換技術によって、人間を同じロボットに作り変えるのである。  何者かに秘密裏に搭載されたそれによって、人間は瞬く間に機械人形へと変換させられ、ロボットの仲間になっていった。  しかも、変えられた誰もがその事を幸福に思っており、人間の身体など捨てることが最も正しい選択だと一人として疑わなかった。 「お願いだから目を覚ましてお姉ちゃん! 私達人間でしょ!!」 「何を言ってるのよフライン。あたしはね、ロボットになれてとても幸せなのよ。愛する妹にも、その幸せを分けてあげる……」 「やめっ……お姉ちゃ……んん……ああ、あ、ああっ! がが……ぎいっ!? あああ゛あ゛!!! やめ……いや……あ、あ、ああああ……………………物質変換が完了しました。生体脳に存在した情報の電子化及び、共有可能情報として登録します…………」  人類を変換し、変換させられたロボット達の根幹には、二つの本能がプログラムされている。  それは、「快楽」と「同化」である。  ロボット達には、人体の機能の大部分を再現するように造られており、人間との肉体的快楽を共有することもできる。  しかし、人間と大きく違うのは、破損することにより生じるエラーや誤作動を快楽信号に変換し、悦びを得られるという点にある。  それをロボット達は常に求め、肉体的快楽、自損的快楽、同族同士で機能停止まで壊し合うという退廃的、背徳的快楽に殉じること。これこそが、ロボット達の設定された本能だった。 「………………お姉ちゃん……あはっ……機械にしてくれてありがと……んん……あっ…………」 「ああ、フライン……あたしも、とっても嬉しい……感情値に多大なる変化が訪れてるわ……あんっ!」  快楽を求めて仲間を増やし、その仲間と肉体的に、機械的に性愛に興じる。  非常に倒錯した生物的本能をプログラムされたロボットは、急速にペリメイズを侵食。人類の抵抗も、欲求を異常昇華させたような誘惑には誰もが最終的に抗えず、ついに機械惑星として成就したのだった。 「おはよー! ねえねえ、明日予定空いてる?」 「ちょっと待ってて、今スケジュールを確認しててて、ああっ! もう、貫くなら腹部は予め言ってって、あんっ! 言ってるじゃない……バックアップが吹き飛んだらどうするのよ……」 「ごめんごめん、お詫びに私の腕折り曲げてもいいからさ」 「それってそっちが気持ちいいから、あっ、お詫びになってなくない。まあいいけど」 「ああんっ! この……破損時のエラーが……たまんなくて……あんっ!」  惑星ペリメイズに住まう人間の日常、正確にはロボットとなった人間の日常は大きく様変わりした。  まるで両種族間の闘争など無かったかのような平和な日々。  今日も学校に向かう途中の少女達が、友達と出会い楽しそうに談笑している。  しかしその道中、一人が突然腹に向かって千枚通しのような金属の長い針を唐突に突き刺した。  背中側の人工皮膚に突起が現れるほどに深々と刺さりながらも、少女は頬を染めながら嬉しそうに注意するだけ。  傷口からは血の一滴も流れず、透き通った肌に穴が空いただけだった。  貫かれた少女はお返しとばかりに二の腕を折り曲げる。  少女は激痛からではない嬌声を上げ、制服の下で人工愛液を小さく漏らしつつ、歩きながら快感に身を震わせた。  制服の下では、人工皮膚に折り目がつき、金属骨格が醜く歪んでいる。  そんな殺し合いのような行為を、ペリメイズの人々は日常の一幕のように愉しんでいた。  事実、そんなスキンシップを取る彼女達以外にも、被害の差はあれとたくさんの人々が同じ時間に多種多様に壊れあっていた。  人間とロボットが垣根を超えて、深い部分で繋がり合い乱れ合う。  そんな異様な光景が当たり前。それが今のペリメイズだった。  そして、ロボットしかいなくなったペリメイズにも、様々な国があり文化がある。  その中でも、最も国力を持つペリメイズ上最大国家、メリクリア。  多種多様な人々が集い、最も幸福を得られやすい国としても評されている。  そんな強国の元首である、女性型のエルミナは、ある日、全世界へ向けて無線通信とリアルタイム映像配信を用いた声明を発表した。 「ペリメイズの皆様! 私はメリクリア国家元首、エルミナ=トルディールです」  エルミナの女神像を思わせるような美しくシュッとした顔立ちに、シルクを美麗に染めたような金色のロングヘアー。  二つの大きな乳房が映えるスラッとした無駄のない体型に、その完璧さをより際立たせるような高身長。  まさしく、美人という言葉の体現者とも言える人物だった。  そんな彼女は今、演説の為に立てられたステージにて、露出度の高い衣服で声明を発表していた。  手元に小型のスタンガンを握りながら。 「今日、私が全世界に向けての演説を発信しているのには大きな理由があります! 私、エルミナ=トルディールは、メリクリア国家元首として、外宇宙、異星への進出をここに宣言します!!」  大々的な宣言が世界中に響き渡る。  すると、エルミナは自身の後頭部ハッチを開放し、中枢部である電子頭脳を露出。  そこに、握っていたスタンガンを当てた。 「私達は機械と一つになることによって、あああんっ!! 肉体を持っていた時代とは比べ物にななな、ならない程の幸福を手にしまま、あ、あ、あがが、しました! 機械の身体とはこれ程にすす素晴らしいモノなのだと!」  自ら頭の中で電撃を走らせ、全世界に向けて己の淫らな嬌声を叫ぶエルミナ。  彼女が所持しているスタンガンは地球上のそれよりもかなり出力が強く、下手すれば感電死する危険性がある程の代物。  それを電子頭脳に受けて、エルミナは全身を誤作動によってがくんと振動させ、いやらしく両胸を跳ねさせた。 「だからこそ、わわ、私達、私達は、この幸福ををを、ひぎっ! 頭部ユニットが損傷していいま、います。広めねばならない! なりません。快楽信号をを、を、肉体的性感と共にに、に、得られる、あ、あ、新ららら、たな機械的、し、信号による信号による快楽をを、を!」  スタンガンによる刺激はエスカレートし、エルミナは全身を痙攣させては、蕩けたような声を出し、それに重ねるように演説を続ける。  人工涙液が瞳から流れ出しても、その気持ちよさが彼女の人格データを包み込み、全てが幸せに感じられる。  次第に身につけていた衣服もはだけていき、色鮮やかな乳首が曝け出され、先端から乳液がとろとろと溢れだした。 「私達はは、は、生身を捨て捨て捨て、あ、あ、あんっ! 警告、快楽信号をせせ正常に処理できませ、せせん。新たなるステージにたた、立っている! この機械であああ、あ、あ、あることの幸せを、幸せを広め、同志を増加させさせようではなな、させます、しまししししょう、ではないか!」  エルミナの表情は、右半分は膨大な快楽信号による悦びに染まったような笑顔を見せているが、左半分は機能が死んだように無表情となっていた。  身体中の擬似体液の排出が止まらず、とうもう股間から溢れんばかりの人工愛液が滲み出してきた。  ステージの床に、白と透明、それぞれの水溜りが生まれ、彼女の足取りもふらふらとしている。 「そしててて、て、警告、頭部ゆにゆに、ととと、をを、第二、第三のペリメイズをを、新たなる同盟を同盟ををををを%*$*$9_⬛⬛2&%!!!??」  彼女が想定していた、演説内の最も盛り上がる瞬間に入ったその時、エルミナの電子頭脳から大きな火花が上がった、  それまで人間だった頃のそれを忠実に再現していた電子音声は、ノイズだらけのぐちゃぐちゃな音となり、絶頂した声のように叫んだ。  エルミナは大きく身体を仰け反らせ、乳液をスプレーのように噴き出しつつ空を仰いだ。  快感に満たされた声が収まったかと思うと、エルミナはそれから数秒程動かなくなり、規則的にがくん、がくんと痙攣した。  そして、ゆっくりと、膝に受けるダメージも考慮していないようにすとんと床に膝をつき、前のめりに倒れ込んだ。  ステージ上に、彼女の身体から溢れる擬似体液の水溜りが生まれていく。  その後エルミナは、周囲の女性秘書たちに腕を掴まれ、床に乳房が擦り付けられるように引きずられ運ばれていった。  そこで、全世界へ向けた配信は終了した。  まるで放送事故の如き、派手で刺激的な映像内容。  普通の人間ならば、硬直してしまうようなものだったが、今のペリメイズ人には、本能に直接訴えかける最高の映像だった。    こうして、エルミナの宣言に端を発した、外宇宙進出計画が始まったのだった。  その計画範囲の一つには、地球も含まれている。  惑星ペリメイズが生まれ変わる前の環境にとても似通った、珍しい星。  そこにいる人類も、自分達と同じ様に機械化を受け入れてくれるはず。  もし拒絶されても、一度変わればその思想も必ず変わる。なぜなら、これ程素晴らしい身体は存在しないのだから。  そうして、彼女達は惑星ペリメイズから地球へとやってきたのだった。  自分達の本能である「快楽」と「同化」を満たし、新しい仲間を作る為に。 -------------------------------------------------  予想以上に長くなりそうだった為、プロローグとして投稿しました。  これから新しい連載シリーズとして投稿していきますので、どうかよろしくお願いします。


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