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サイレンススズカ。

今日は思い出話を少々。


今週末の東京競馬場では、秋の天皇賞が開催されます。


このレースでは様々な名勝負や感動のシーンが見られましたが、忘れがたいのはやはり、サイレンススズカが故障して天に召された98年の天皇賞です。


当時の私は競馬ゲームに熱中し、馬券が買えない年齢であったにも関わらず、日曜の競馬の時間にはテレビにかじりつき、夢中になって観戦したものでした。


サイレンススズカが出走する天皇賞の朝は、別に現地に行って観戦するわけでもないのに心の底からワクワクし、早く発走時刻にならないかなぁ、と楽しみにしたものです。


なんせ今年に入ってサイレンススズカは負けなしの六連勝。


前走の毎日王冠では無敗の外国産馬二頭(ウマ娘でもおなじみのエルコンドルパサーとグラスワンダーです)をまったく寄せ付けずに完勝していました。


今日のサイレンススズカは東京の2000メートルをどんなタイムで勝つのだろう?


どの馬が勝つのか、ではなく、どんな勝ち方をするのかなんて気持ちでG1レースを見ることなんて、そうそうあることではありません。


なんせG1には千頭に一頭以上の激しすぎる過当競争を勝ち抜いて出走してきた、エリート中のエリートの馬しか出られないからです。


それでも当時のサイレンススズカには、そう思わせるだけの実力とカリスマ性があったように思います。


レースが始まり、サイレンススズカはいつもと同じようによいスタートを切りました。


そしてグングンと後続を突き放していきます。


普通の馬なら絶対に途中でバテてしまうような、殺人的なハイペースです。


東京競馬場がどよめいているのが、テレビからでも伝わってきます。


でも、サイレンススズカなら。


武豊を背にしているサイレンススズカなら、きっと逃げ切ってしまうだろう。


サイレンススズカがゴールしたその時、どんなタイムが時計に表示されるんだろう?


それは結局、永遠にわからずじまいになってしまいました。


最後の直線に出向く直前、彼は失速し、コースの端に退いてしまったのです。


そのレースに勝った馬はオフサイドトラップという、これも私の好きな馬でしたが、どんなふうにゴールしたのかおぼえていません。


覚えているのはレースの直後、友人から『ソースケか。サイレンススズカが死んだ……』と暗い声で電話がかかってきたことだけです。


その電話の内容も忘れてしまいましたが、あの声だけは今もはっきり覚えています。


競馬がスポーツである以上、このような悲劇を100%避けることはできません。


それでも私はすべての馬に、天皇賞という大舞台を無事に走り抜いてほしいと願わずにはいられないのです。



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