アオリとフカン。
Added 2022-07-11 09:40:28 +0000 UTC今まで描いたことのない娘や男性、そして背景とまではいわずとも、イラストを盛り上げるための小物くらいは、自分にとって多少ハードルを感じても『描いてみるか!』と挑戦しますが、どうしても描くことをためらってしまうものがあります。
それは『大きくフカン・アオリがついたイラスト』です。
イラストを見るのが好きな方で、この2つの言葉を聞いたことがないという人は少ないと思いますが、私の復習に少しおつき合いくださいね。
フカン(俯瞰)はハイアングルとも呼ばれ、カメラの位置(イラストならキャラや景色を見ている者の視線の位置)を、メインの被写体を見下ろすような位置に据えて撮る構図のことですね。
対してアオリは被写体を見上げるような位置にカメラを設置し、撮影する構図です。
こちらはハイアングルに対して、ローアングルと呼ばれることもあります。
じゃあその間の構図はなんなんだ?といいますと、メダカ(目高)や水平の構図と言われているようです。
一番オーソドックスな構図なので、わざわざ『これはメダカ・水平の構図で描かれたイラストだね』という人は少ないですから、あまり耳にしないと思います。
実はメダカで描かれているキャラクターメインのイラストでも、まったくフカンやアオリの描写が取り入れられていない、という作品はまれです。
上半身はわずかにアオリに、下半身はわずかにフカンを取り入れて描いたほうが、見栄えがするからですね。
フカンやアオリの描写が苦手な私でも、さすがにこれくらいは意識して描きます。
ですがカメラの位置がキャラの頭上にある設定の構図や、逆に腰より下にあるような構図だと、途端に頭を抱えてしまいます。
いつも描いている人体の見え方が、フカンやアオリが利くことで全然違ってくるからですね。
これは私が『パース』というものを、ほとんど理解していないことに由来します。
近くのものは大きく見え、遠くのものは小さく見える。
簡単に言えばパースってそういうことなんですが……。
でも、イラストを描いていく上でこれが理論や体感でしっかり理解できていない、キャンバス上で表現できない、というのはほとんど致命的なんですね。
まあ、描くことを避け続けていても実はある程度はなんとかなるのですが……いざ描かないといけなくなったとき、今の私のように思い切りつまずくハメに陥ります。
なぜ私が今そんな状況に陥っているのかといいますと……使っている資料が、思ったよりフカンで撮られている写真だったからです。
お前、そんなの資料を見たらわかるだろ、何年イラスト描いてんだ……ってツッコまれそうなんですけど、被写体の視線がはっきりわからない構図で撮られている物の上、場所も暗がりで、フカン・アオリの効き具合がよくわからなかったのですね。
これはどういうことかといいますと、例えば写真にタンスや障子が映っていれは、その映り方でどれくらいの角度で撮られたか、おおよそ判断がつきます。
今回はその基準が使えなかったので、『多少フカンっぽいけど、まぁ大丈夫やろ』と見切り発車で描き始めたのが、運の尽きでした。
いざ描き始めると思ったよりフカンが利いている構図で撮られていた写真だったらしく、『マジか……』と困惑しているわけですね。
気付いた瞬間『これは無理やわ』と損切りできればよかったんですが……。
顔はまぁまぁいい感じで描けていたのと、『アオリ・フカンを避け続けていたら、いつまで経っても描けないままじゃないか!』と立派な向上心(笑)を発揮し、ある程度のところまで描き進めてしまったせいで、サンクコストバイアスに囚われて右往左往しているのが現状です。
10時間以上の作業時間を『損切り』し、潔く諦めて最初から描きなおすか、こういうときこそグリッドを発揮してもう少し粘り強く描き続けるか……なかなか難しい局面に、今私は立たされているような気がしています。