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名誉朝鮮人

「それではまた明日、ごきげんよう。」


身なりのいい女学生たちが校門で別れの挨拶をし、それぞれ帰宅の途につく。

しかし道路を挟んだ反対側では対照的にみすぼらしい姿をしたデモ集団がプラカードや拡声器を手に彼女達に声を向けていた。


「売国奴の娘たちよ恥を知りなさい!」

「朝鮮人の狗め!やつらの手先になってお前たちには大和民族としての誇りはないのか!」

「この非国民のキムチ!」


男女入り乱れた集団は女学生たちに侮蔑と憎悪の言葉を投げつける。

一方、女学生たちはそんな汚い言葉もいつもの事と意に介さない。

生徒たちは朝鮮学校へ通う名誉朝鮮人である。

朝鮮国は、


・戦前戦中に日本侵攻作戦に参加した者

・戦後朝鮮国による日本統治に積極的に協力する者

・女学生たちの様に朝鮮学校へ通い次代の日本人統治協力者となるべく勉学に励む者


そうした人々を<名誉朝鮮人>と制度化し日本統治に利用している。

名誉朝鮮人たちは官僚として、公務員としてそして民間の企業でも、あらゆる分野で朝鮮人に代わり日本人を管理運用する責務を担っている。

彼ら名誉朝鮮人は認定された際に朝鮮民族としての姓と、一目見ただけで名誉朝鮮人と分かる様に旧日本国旗を侮辱するようなデザインをバッジを常に身に着けている。

胸に輝くバッジ、そして誇りを持って日本人統治の職務を全うする彼ら名誉朝鮮人の生活は敗戦国日本の一般人と比べ物にならないほどに裕福だ。


だからこそ彼ら名誉朝鮮人たちは一般の日本人達から憎まれている。


<国を敗戦に導いた裏切り者の非国民。朝鮮人に尻尾を振り媚びを売って裕福な生活を手に入れようとする恥知らず。>


これが名誉朝鮮人たちに対する日本人の共通認識なのは言うまでもない。

同じ民族でありながら階級で分断された日本人達は永遠に朝鮮国の支配から逃れることはないだろう。


「はあ、また薄汚いチョッパリが来てますのね。いつまでも朝鮮国に抵抗する過去の栄光に縋りつく哀れな民族ですこと。日本は偉大な朝鮮国と将軍様の手によって新しく生まれ変わる必要があるというのに。日本の為に働く朝鮮人の皆様方のお手伝いをする我々がどうして非国民と呼ばれなくてはならないか理解に苦しみますわ。日本の未来の為に学び働く私たち愛国者の邪魔をするあの薄汚いチョッパリ達こそ真の非国民ですわ。」


デモ隊が騒いでいるとサイレンの音が鳴り響く。


「チッ、警察か!みんな逃げるぞ!」


リーダー格の男がそう言うと集団は蜘蛛の子を散らすようにばらばらに逃げていった。


「本当に情けない民族ですのねチョッパリは。信念を持って抗議をするなら逃げも隠れもせずに堂々と主張すればいいものを。死を恐れずに日帝に立ち向かった、偉大な朝鮮の闘士とは全然違いますわ。」


あのような哀れなチョッパリ達を導ける立派な名誉朝鮮人にならなくては──そう胸に刻みながら生徒達は今日も家路につくのだった。


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