レッド・デッド・リデンプション2。
すこぶる評判の良いオープンワールドゲーム。しかし自分は結局序盤でプレイの断念に至った。という思い出の文字並べ。
当時の記憶だよりの随想なのでところどころ実際のゲーム内容とは相違があると思われる。
繰り返しになるが、その評判は盛んに耳にしていた。西部開拓時代終了後まもなく頃のならず者ガンマンが主人公であり、なんでも本当に自由なゲームだそうで方々好みの生活をすれば良いという。狩りに努めるのもよし。愛馬と流浪するのもよし。指名手配犯を追うバウティハンターとして生活するもよし。といった具合のもの。そんなの心躍るじゃないか。面白そうすぎる。なんかちょうど狩人になりたかってん。
オープンワールドではこういった俗界を忘却させる旅情溢れる種のものを望むのが常であった自分は数年前にPS5でダウンロードをしてプレイと洒落込んだ。
冒頭は主人公の属するギャングめいた一味の集団(女性や子供などもたくさんいた気がする)のフロンティア精神だとかなんかしらの事情で、やれ西進するかやはり一旦後退するかなどと険阻な雪山の道中で喧々囂々といったふうに立ち往生をしている一幕から始まるのだが、そのムービー画面に映じる雪山に林立した針葉樹のグラフィックがなんかちょっとしんどいかもと思った。世界観のあるオープンワールドではグラフィックは決まって充実が目指されているということは周知だと思われるが、本作は発売がひどく以前のものであり相場では人気タイトルはだいたいにおいてPS5版が存在するにもかかわらず本作はなぜかPS4版一本で貫き通している様子であった。
まあしかし針葉樹がちょっとしんどめなことがゲーム全体重要な何かを左右するためしなんてない。むしろそもそも針葉樹など本来ちょっとしんどいものなのだ、杉とか。などと励みプレイに集中していく。
次に感じられたのがシステムが煩雑過ぎませんか?ということだ。このゲームの売りは選択できるそのおびただしい手段の数なのであろうが、やれることが多すぎる結果序盤のチュートリアルからけたたましく操作説明が跋扈し、操作説明につぐ操作説明といったありさまで、どうにもストーリー的にはモメているギャング組織とのやりとりも布石といわんばかりに激しく展開されている気配が認められるのだが、そんなことおかまいなしに操作説明。ギャングの数より多い操作説明。敵対しているギャングの襲撃を受けたらから反撃のリボルバー射撃の操作説明。やっとの思いで撃退し、去り際の敵ギャングが「俺達は◯◯にいるぞ✕✕なら△△だからな」みたいな情報を発している最中にすら横から割って入ってくる回復方法の操作説明。まったく恥知らずな操作説明。自分の処理能力ではとうてい追いつかず、結果次は何すれば良いのかも回復の方法もよくわからなくなってしまった。二兎追わされて一兎も得られなかったという空前絶後の体験を得る。
更に追い打ちをかけられたのは(恐らく)アクション要素が多すぎて、相場ではダッシュボタンが設定されるL3ボタン(左スティック押し込み)にしゃがみコマンドが割り当てられてしまっていることであった。
ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダムか。
なぜ古今あらゆるゲームが接敵などの緊張のみなぎりでプレイヤーの握るコントローラーの指の力が過大に及んでしまっても、ただダッシュの度合いに連動するという保険と直感性を尊んできたのに、そこにあえてしゃがむをもってきてしまうのか。指が緊張で鯱張ってもダッシュの度合いが強まるだけ、なぜその伝統を破るのか。そのせいで突如としてギャングに後ろを取られて慌てふためき距離を取ろうとして思わず左指に力が入ってしまって主人公が切ないほど狂おしいほどにその場ですぐにしゃがみこんでしまう。そんなしゃがみガンマンを数多排出してよいのか甚だ疑問である。幸いコントローラー設定でL3をダッシュに変更できたので、即変更した。ゲームの世界から一人でも多く戦闘中の危機に忽然としゃがみ出す存在がいなくなることが自分のささやかな夢だ。
風聞によるとプレイヤーの少なくない数が一章の雪山編で夢半ばにしてプレイを頓挫してしまうのがもっぱららしかった。しかし同時にそこさえ脱することが出来たのであれば、本作の真の姿を堪能できて神ゲーとの契約にありつけるという情報も自分は得ていた。自分は操作説明の多さと、ガンマンがしゃがみ出す以外のことでは特に何の憂慮もなく1章を終わらせることができていたのでこれには期待が持てた。
2章は田舎町近傍の山あいというか確か丘陵の頂きの林地帯にて主人公一味が拠点のキャンプを構えるとろから始まった。たいそう記憶がおぼろげで恐縮なのだが、このベースキャンプを拡充するために主人公やメンバーはこの町であれこれと物資や資金を獲得するのが目下の指針だといった流れだったと思われる。
自分はとにかくそんな資金どうこうの俗事より、ただひもねすスローライフを送りたかった。狩りで自給して余った皮や肉を売って金にする。あまった金で調度品や小間物など足りないものを少しずつ充実させていく。時には食に酒に宿などに財を散らしたりもする。そのような西部での生活。
早速まずは狩りに興じる。愛馬を駆り丘陵地から裾野に出る雑木林を経て街路へと連なる大道にわたると、そのあちらこちらで兎だのなんだの野生動物が盛んに往来している。わざわざ馬から降りるのも面倒なので馬上から拳銃の発砲を試みる。しかしこれが案に相違して動物にまったく命中しない。しきりに動物が動くからだ。特に一発を放ち標的を仕留め損なうとなると卑劣にも兎は主人公から遠く離れようといたずらに疾駆するので二発目を命中させることはほとんど不可能だと思われた。逃走を図る兎に馬乗した大のガンマンがマンキンでの追走を演じる。どうしても仕留めたくて、天才バカボンの両眼が失敗した目玉焼きくらい混ざり合っているあの警官のなす頻度で発砲を繰り返す。そうこうしていると町の付近だったからか、あるいは住人にめがけての発砲と誤解されたのかゲーム画面に通報中などと警告が表示され、たちまちそれは指名手配に切り替わった。兎を追いかけていて指名手配。うさぎ追いしかのやまで指名手配。あまりの唐突の出来事に当惑しよくわからないままその場をうろうろしていると、本場の保安官がやはりバカボンの世界観くらい発砲しながらこちらに一瀉千里の勢いで追跡をしてきた。記憶にないが恐らく射殺されてyou diedの運びだっただろう。この時点ですでに自分の思う狩猟スローライフがもしかすると甘い儚い夢想ではないのかといった予感が脳裏ににわだかまった。
このような苦いガンマン体験に至り、兎を狩る際には大人しくつつましやかに慎重に慎重に射撃に及び、失敗を予感すれば深追いをしないようにする。そうやって時間をたっぷりとかけて狩った獲物はその場で皮を剥いで肉とは別に保存するなど細かな作業が出来るのは大変よろしいのだけど、いざ町で成果物を売りにだすと時間経過で肉が駄目になっているだとか、発砲時の損傷が大きく皮が売り物にならないとかでずいぶん安く買い叩かれ二束三文しか得られなかった。
この段階では唯一のこの町は雑貨屋や宿屋や酒屋などの商業施設が充実しており何かと諸用で頻々立ち寄ることになるのだが、自分のプレイが悪かったのか時折ゴロツキとの衝突がおきてしまう、自分は「自らは手を出さないがやられたら徹底的にやり返す」といったような無頼のロールプレイをしていたので、しっかり殴り返す。するとたちまち画面にはまた通報中と表示され彗星のごとくの保安官が現れてただちに発砲のてい。いやでもだってあいつから殴ってきたんですよ!あいつらも撃ってくださいよという心持ちでばたばたと必死に逃走する。しつこく追跡してくるからわけのわからぬまま迷子になるくらい大地の彼方まで狂奔する。まるで脱兎のように。
町に狩りの成果物を売りに行く。なんかモメる。通報される。発砲に晒され追っかけまわされ、こちらはひたすらただ情けなくてんてこ舞いで逃げるのみ。こうしているだけで一日の大半が潰れてしまい狩りの稼ぎでは赤字に陥ってしまう。
ちょっと保安官のノリしんどくないか。たちまちにyou diedなのだが。
保安官の無慈悲な銃撃の雨を仮にぬけきって逃走に成功しても指名手配をかけられてしまったら結局のところ保安官に見つかり次第、了解即射殺されるので保安官事務所の構えてある町には近づけなくなってしまう。保安官という警察権力にびくびくと怯えながら生活するガンマンに自分は堕してしまっていた。
指名手配状態を解除するには役場か何かでどういう仕組みか金銭のやりとりで指名手配を取りさげてもらう、自分のプレイの範囲ではこうするしかなかったように思う。こうなってくると本格的な赤字だ。結局どれだけ小銭を稼いでも、町の保安官に目をつけられて指名手配されてその解除によって有り金のほとんどが失われる。通報、指名手配、とりさげ金。まるで保安官と町が一体となってよそ者の自分から富を吸い上げる完成されたスキームのようにすら感じられてくる。
この西部では自分も兎のように狩られる側だったということらしい。ニィ~(苦笑いの音)
如何せん金がない。金なのだ。まったくもって資金のやりくりに目処が立たず、まずは金。とにもかくにも金。かくのごとくして金。といった按配で、まるで俗界のそれと何も変わるぬような煩悶にさらされる。
人間そうなると結局いくつく先は安易な一攫千金である。頭も時間も労力もなるべく使わずして大金を得られるという手法の誘惑に思慮を省いて虜と化していく。そうなると結局は往々にして暴力に辿りつくのだ。どんどんと自分のマインドが19世紀末アメリカになっていくのを感じる。ゲームとして良いのか悪いのか。
せめて合法であり、西部劇のガンマンらしくもある賞金稼ぎにしようと指名手配犯の成敗を画策した。指名手配犯といってもギャングばかりじゃなく一般人や婦人すらいたと記憶している。その生々しさに躊躇の一念がよぎるがしかしこれは今だけだ。暴力の世界に身を置くのは今だけだ。そもそもこれは合法だ。なんだったら何よりも透徹した正しい行いだ。指名手配される奴なぞろくな者ではあるまい。そんな存在に暴力を憚る必要なんてない。邪悪はただ力をもって除かねばならぬ!(頭が19世紀末アメリカになっていく音)
小銭を得て装備を充実させて、暮らしを狩りだけで十分にやりくりできる安寧を得られればいつだって暴力から離れられる。簡単なことだ。こうして自分に言い聞かせるように保安官の事務所の門をたたく。
指名手配犯の情報を保安官から得る。クエストが発生し情報の通りに当該地域を捜索すると容易に指名手配犯を発見できた。武力を持たない一般の男性だった記憶がある。容疑は詐欺とかだったように思われる。この町の法律では指名手配犯相手にはガンマンにも逮捕権があるらしく見つけ次第手続きもなく逮捕が可能のようだった。指名手配犯は徒手空拳での逃走を図りこちらは乗馬でのチェイスが発生する。なんとか生け捕りを試みて、西部劇カウボーイのイメージといったらコレでお馴染みの有名な輪縄投げでの捕縛を操作説明が促してくる。このアクションも意欲的で気が効いてるとは思うのだけど、こちらはまだ全然ゲームに慣れてないのでどうせすぐに操作を忘れるのだろうなと虚しく予感しながら、輪縄で捕縛し指名手配犯を馬でひきずりまわして町への復路へと進む。縄で縛られ地面でうったりはねたりしている指名手配犯はまあまあ死にそうな気もするのだが、無事に保安官事務所に生け捕りとして差し出し牢屋にぶちこんでもらう。
報酬を保安官から受け取ると、ちょっとした世間話に談笑をする。保安官の方はデスクにくつろぎたおして自分は起立の状態だ。保安官の機嫌をとっておいて損なこともないだろう。情けない話だ、警察権力におもねるガンマンになりたくなんてなかった。
さて次はどうするかとコントローラーを置いて種々勘案する。もう少し指名手配犯を捕縛し小銭を稼ぐか、あるいはこの端金を手がかりにまた狩りの生活へ戻ることを努力するべきかなどと。そう逡巡しているとさっきまで談笑に応じていた保安官が「用がないなら出ていけ」と呟きはじめる。ゲームすぎる。さっきまで懇々とおしゃべりしてたじゃないですか。もう忘れたって言うんですか。なおも自分はその場にとどまって今後の思索にふけっていると、忽如としてその保安官がデスクから立ち上がり自分にむけてにわかに発砲しはじめた。画面には大きく指名手配の文字。
この町の保安官はヤバすぎる。絶え間なく保安官がヤバすぎる。もう一生ずっと保安官がこわい。動物界一の脱兎の勢いで事務所から飛び出してそのまま権力腐敗したこの町からも逃げだす。自分にとってこのゲームを困難に至らしめているのは、操作説明の煩わしさでも銃の命中率の低さでも急にしゃがみ始めることでもなく、ましてや針葉樹のグラフィックがちょっとしんどめのことでもない、ただ保安官が恐ろしい。保安官の行動の読めなさに常にびくびくと怯えている。なんかずっと町から大慌てで逃げてしかいないような気がするこのゲーム。you diedあまりにもyou diedすぎる。
結局のところこのゲームの世界で、お金の無さと、あらゆる暴力手段と、そしてそれをも上回る警察権力に悩まされ続けている。
金、暴力、権力。俗界から離れるどころかどこよりも俗界が凝集されており、めちゃくちゃ人間界すぎる。自分はただ水辺や小鳥や夜空なんかをゆっくりと楽しみたかっただけなのに。そして悪いギャングを時々成敗するくらいでよかったのに。
ずいぶんと冗長になってしまったがこのゲームをやめる決定的出来事を語って締めにしたい。
上述の話はキャンプの近場でこまごまとやっていたので、懊悩に身をくゆらせるこの閉塞感を打破するためにも、オープンワールドらしく旅に出てみようとふと思い立った。
気のむくままに愛馬を走らせてずいぶん遠くまでいく。
すると集落のような工場のような塀にぐるっと囲まれた建造物の一群に通りすがり、門となる入口には男が数名屹立している。新たな町だと思いこの中に入ろうと馬から降りて門に近づくと門近くの男たちが何かを呟いている。このゲームはどうもストーリームービー部分以外での英語セリフには翻訳をかけてくれないので、よくわからぬまま自分はさらに近づいた。すると発砲された。また出たよ発砲。どんだけ発砲好きやねん。まったくこの地域一帯の治安はどうなっているのか。平時の弾丸の消費量だけで南北戦争くらいありそう。
すると画面には通報中と表示がされた。そうか!自分はいきなり発砲されたのだ、誰がどうみても被害者だ。誰かが通報してくれたのだ。この時初めて保安官を頼りに思えた。男たちの発砲はまだ続いていたので、発砲が趣味のあの保安官たちにこのゴロツキどもをこらしめてもらおうと自身は近場の大樹の影なりに隠れて待機を試み、保安官さんまだかなまだかなと心を雀躍させていた。
すると保安官がようやく到着してさっそく伝家の宝刀の発砲をする。
こちらに向けて。
you died。
何が起こっているのかこのゲーム最大の唖然であった。何がどうなって発砲された側が通報されたのか。「保安官さん!あっちで発砲されてる不届き者がいます。発砲されてるなんて断じて許すことができない!保安官さん発砲されてる奴を射殺してください!」みたいに通報があったというのだろうか。
とにもかくにも、かくのごとくしてもうこの世界の警察権力に心が折れてしまってプレイを断念してしまった。という話。
主観のみで保安官の悪口を一方的に叙述しているので、もしかしたら何かいってやりという思う人もいるかもしれないので匿名用のコメント箱もあるという旨。(保安官擁護以外でも好きなことどうぞ。)
夜や昼や
2025-06-30 08:47:03 +0000 UTC