※クリアしたゲームについて綴るので重大なネタバレや画像など有り。
ドキドキ文芸部という海外インディーズ発の日本ライクギャルゲーが存在する。出来るだけ内容を知らずにゲームをプレイしようとする自分でもさすがにこのゲームの内容を一切知らずとはいかなかった。つまり古めかしいギャルゲーと思いきや、なにか様子のおかしい展開になっていくということを情報として得ていた。
一見かわいらしい無害そうである世界観に見えて実はその中に恐怖が隠れているというエンタメはインターネット文化で盛んであり正直珍しいコンテンツではないので、ドキドキ文芸部もプレイするのを後回しにしていたし余り過度な期待はしていなかった。
結果、想像を越えて怖い思いをしてしまった。演出自体はやっぱり予想通りなんだけど、予想通りなのに妙に疲れてちょいちょいプレイする手を止めてしまった。
ギャルゲーなので4人の女子高生が登場する。彼女たちは発足したばかりの文芸部を盛り上げるために主人公を勧誘し、主人公も流れでやれやれしょうがないと部員になることを承諾する。そして文化祭に向けてのこれからの活動として詩を制作しお互い選評し合うことになる。(この詩の制作がゲーム要素で女の子の好感度に影響するのだが詳細は割愛。)自分はなんとなくユリという大人しい清楚系のキャラクターと仲良くなろうとして、現実だときっとアホ面全開であろうことは想像に難くない度合いでどんな状況でも選択肢はユリにとって都合いいものにした。
ユリ。周りに配慮することを忘れるらしい。
そして無事ユリルートらしい展開になってきたのだが、このゲームはただのギャルゲじゃないので接近すればするほど、ユリの様子が異常になっていく。そこまでは前述した通り想定していたんだけど、このユリのノリが存外しんどくて、普通にうんざりしてしまった。良いように言えばそれがこのゲームの醍醐味なのだが自分はそこを超えた部分でユリという人物に対して辟易をしてしまってるような気がする。
いわゆるヤンデレらしく異常面を押し出してくるのは理解できるけど、そういったサイコパス的な演技というのは周囲との感情とマッチしないと空回りしてすべるだけだ。漫画やアニメではサイコパスキャラにまるで保育士さんが園児の行いに優しくリアクションするように「く、狂ってやがる…!」とどんな時どんな状況でも必ず添えてくれるモブが傍にいてくれるのだが、このユリという人物は非常に独りよがりで周囲は呆気にとられているにも関わらず自分の独壇場かの如く気持ちよさそうに異常面をただゴリ押してくる。その様はまるで町中で他人に迷惑をかけて自分たちだけしか笑ってないにも関わらず社会との温度差に気づかずその動画をアップしてしまう配信者の類のように。
ノリがしんどいユリ。隣にいるモニカ(真ん中)とナツキ(左ピンク)のこの表情見てみろとユリに言いたくなる。周囲は恐怖とかではなく、ただただぽかーんといった様子だ。
つまりユリに対する嫌悪感や恐怖は異常者だからということより、こちらの空気を無視し延々と独りよがりのノリを押し付けてくる種のものの可能性がある。酩酊しすぎてノリを誤った人間が空気ぶち壊しまくる最悪の飲み会のような種の。
ユリにはハンターハンターのヒソカでもいいし、座敷女でもいいんだけど是非読んでみてほしい。ウシジマくんの肉蝮でもいいし殺し屋1でもいい。そういったサイコキャラに対して、周囲は阿吽の呼吸で恐怖というリアクションを返しているから。決して彼らは一人でサイコキャラを成り立たしているわけではない。そしてユリには残念ながらそういったリアクションをしてくれる人間が文芸部にはいなかったという事実を受け止めるべきではないかと自問して欲しい。
絶好調になったユリが渡してくる詩。大はしゃぎすぎる。国政脊柱管ドンしたらしい。
ストーリーが終わらないうちにユリなんかより、年下なのにツンツンしてるナツキが反動で非常に真人間に見えてきて、次はナツキのルート行こう、ナツキの異常面なら是非どうなっていくのか見てみたいとか考えながらボタンを押していた。
そしてクリアし再スタートで爆速でユリに冷たくあたりナツキに気に入られるためだけの選択肢を連打する。ナツキルート入ってきたかな~という雰囲気のなか中盤なぜかまたユリルートに入ってしまう。またユリだ。ここにきてのまたユリだ。ナツキがよかったのに。今回のプレイではめちゃくちゃ冷たくあたったはずなのに。繰り返すかのように(実際ゲームなので繰り返しなのだが)悦に入って随分ご機嫌に目グルグルさせて暴走して、暴れまわって勝手に自死していく。
改めて本当その通りであった。しかし周りに配慮することを余りにも忘れ過ぎではないだろうか。
そのあとネットで検索してみると、どうやらこのゲームはあくまでギャルゲの皮を被ったホラーゲームということでルート分岐はほぼなく、ユリルートしかないようだ。結局つまりユリの独壇場の舞台だったのだ。いやもう本質はユリが主人公と言ってもいいのかもしれない。
このゲームを何度繰り返そうとも、どのルート分岐を選択しようとも、ユリは跋扈し大興奮し画面所狭しと縦横無尽に毎回独りよがりのパフォーマンスをぶちかましてそしてその余力のまま自分を刃物でめった刺しにして死んでいく。彗星のような衝撃とスピード感。
前述したがこのゲームは非常に怖かった。プレイする手が止まるほどに。そしてその恐怖したシーンは全部このユリのシーンなのだ。他のキャラでも恐怖演出は入るけど、ちょうどいい心地よい不気味さ怖さであった。しかしユリだけには異様に強い嫌悪を抱かされ、プレイするたびにやたら出張ってきて恐怖演出じゃない所でも嫌悪感を抱かされる。自分にとってドキドキ文芸部というゲームと向き合うことは恐怖と向き合うのではなくユリと向き合うことだったのかもしれない。
そしてこの日記を書いてて今思い出したのだが、自分がプレイしたコンシューマー版は正確にはドキドキ文芸部プラスであり、サイドストーリーが収録されているらしいのだが、プレイするのをすっかり忘れていた。もしかしたらまたユリとの恐怖に向き合わなければいけない日がくるのかもしれない。
夜や昼や
2023-01-14 13:05:01 +0000 UTC翡翠
2023-01-14 10:59:32 +0000 UTC