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けもケット13 サンプル⑤

こんにちはこんばんは、ぱぱを🐼🐾です


けもケット13で頒布する新刊「春来たる」のサンプル紹介もいよいよ今回がラストとなりました。……とその前に、通販についてのお知らせを一点させてください!


alice-books.com
https://alice-books.com/item/show/10150-5

いつものようにアリスブックス様へ委託しますので、こちらのページからお買い求めいただけます。そして来週予約4/29(土)夜21時〜予約開始となります!会場に来られないけど確実に買いたい……という方は是非予約をオススメします。当日イベント会場へ来られる方は間違いなく手にできると思いますので大丈夫です。もうこれでイベント参加は4回目ですからね、だんだん刷るべき部数もわかってきましたよ🐼ふふん。


最後を飾るのは笑顔が可愛らしくて丸っこい猪のおじさんが登場するお話です。ド田舎の駅で毎日暇そうに仕事をしている猪の彼と、その近くの村に住んでいる青年の人間。そんな彼らが共に歩んでいく十数年の物語の冒頭をお楽しみいただければと思います。本作はpixivへサンプルを載せる予定はないので、支援者の皆さんだけがお読みいただけるコンテンツです🐗


……ちなみにですが、この作品は本来収録する予定ではありませんでした。ちょっとあまりに王道すぎるストーリーだったかなぁと書き上げてから反省と後悔ばかりして、でもFANBOXに投稿するのもなぁ…と思いつつ、悩みに悩んで結局入れた感じ。私、こういうストーリー作るのめっちゃ苦手みたい……なんかしっくりこないというか、最初はウキウキで書いていたのにえらく難産でしたね。でも何やかんやでこのおっちゃん可愛いなぁと思えるぐらいには所々良い所もあるので、誰かの心に刺されば嬉しい…ということで🐼



これで全部のサンプル紹介が終了しましたね!いつもより薄味かもしれませんがその分お砂糖をたっぷりまぶしておきましたので、味変的な感じで手に取っていただけたら嬉しいなぁ!



…………そう、新刊のサンプル紹介"は"終わりました。ですがまだもう一点、あります。



それが会場限定で用意するオカズ券……いや、オカズカードです。いつもイベントでわざわざ買ってくださる方向けにちょっとした良いもの、ということでスマホやパソコンで読めるオカズ小説の電子書籍版としてオカズ券なる名刺サイズのカードをお渡ししているのですが、今回はバージョンアップしてオカズカードなるものを頒布予定です。


カードになったから何か変わるんかいとお思いの方もいらっしゃるでしょう。そう、ポストカードほどの大きさになると……表面に絵を印刷できるんですよ。そして裏面には私の文字、その小説の続きはいつものように外部URLへ飛んでいただいてスマホやパソコンでお読みいただく感じ。つまるところイベントで出す自分の頒布物に初めて獣人おっさん絵師の方に協力していただき、ポストカードの表紙絵兼小説の挿絵なるものを描いていただきました。ワーワー!



というわけでまた数日後ぐらいにオカズカードのサンプルをちょこっと載せようと思います。それでイベント前の紹介は終わりですね!あとはお品書きとかが出来上がったら報告するような形です。



長くなりましたが、サンプルの紹介にお付き合いくださりどうもありがとうございました。今回はサークル数も、そして時間入れ替え制ではなく前回のような自由入場スタイルとなったけもケット。全力で楽しんでいきたいです。



また次の記事でお会いいたしましょ〜〜!👋



※以下、サンプル本編。

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ド田舎駅員物語

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 僕が、男に目覚めた日。僕が、獣人の大人を好きになった日。それは今でもハッキリ覚えている。実家があのド田舎じゃなければ、そして自分が進学する学校が駅沿いになければ決して彼と出会うことはなかったであろう。運命の巡り合わせというものに、僕は感謝している。


「猪乃吉さん……」


 ふと呟いてしまった名前、この名前は口にすることもなくなってからもう十年ほどになる。ネットでいくら調べても出てこないその名前は、僕が一番尊敬している人物の名前。尊敬……だけではないけれど。尊敬や憧れから、人生で初めて恋という感情が芽生えた経験。あの時はちゃんと言えなかったけれど、今もし生きているのであれば……。


 ようやく彼の足取りを掴めそうなんだ。ここで諦めるわけにはいかない。僕は駅員さんに聞いた情報を元に、バスに揺られて山道を突き進んでいった。電波も届かず、そこらで人が住んでいる気配はない。次の停留所までかなり時間もありそうだからと、僕はバスに揺られながらウトウトし始めて……。


 そんな時、どこからか懐かしい声が聞こえたような気がした。頭がふわふわして、体から力が抜けて。……そうだ、あれはもう二十年前のことになるのか。




 ウチら家族が住んでいたド田舎は、村民にして約数十人程度の集落だった。子供なんか当然少ないし、周りはおじさんおばさんばかり。近所は畑や田んぼばかりで遊具のある公園などもない。むしろ近場の自然が公園だと言わんばかりに土地だけは裕福だと言える。野菜に関しては近くで農家を営んでいる住民も多くあまり困らなかったが、それ以外の食材は遠出しないと手に入れられない。スーパーはおろかコンビニすら徒歩で一時間歩かないと行けない場所にあったので、買い物に行く時はいつも体を動かしすぎてお腹がペコペコになる。本当に退屈な田舎で、だけど自然豊かなことはとてもいいことで。近所の人たちに付き纏って、昔の遊びなんかを教えてもらって暇を潰したこともあったっけ。


 小学校はその村で唯一の場所があったから全員そこへ通えば良かったのだが、中学からはそうもいかなくなった。電車を使って、一時間ほど揺られてようやくたどり着く場所だそうだ。今までそんな鉄の塊みたいな近代的乗り物に乗ったことがなかった僕は酷く不安になっていたけれども、全てはあの駅員さんが居てくれたから。彼が懇切丁寧に教えてくれたおかげで、僕はここまで大きく成長できたのである。


「えーっとじゃなぁ、定期券はこの用紙に記入して……そうそう、終着駅はなんて名前じゃったかの、んー……」


 駅員室と呼ばれるめちゃくちゃ狭い部屋で、僕は猪乃吉さんという猪の駅員さんに定期券の買い方を教わった。僕がオドオドしながら駅の入り口で困っている様子を見て、声をかけてくれたらしい。村では中々見かけなかった大柄な獣人に最初はうわっと大きな声を出して驚いたが、そのデカい図体に比べて随分と柔らかい印象を感じる顔付きに僕はなぜか安心しきっていた。心を許してしまった、と言えばいいだろうか。気がつけばなんか、友達みたいな近さで会話をするようになっていて。手を優しく引っ張るようにして中へと案内してくれ、今に至るというわけだ。


「そうそう土介部(どすけべ)駅! あの中学は土介部駅が最寄り駅じゃった!」


 おっちゃんの言う通りに僕は乗り始めの駅と通う予定の中学校から近い駅の名前を記入し、用紙を見せる。ふむふむ……と顎に手を当てて、それから――。


「おお、最近の子にしては随分とキレイな字じゃな! ワシもお習字ぐらいは習っておくべきじゃっただろうか……」


「でへへへ……それほどでも」


 偉い偉いと子供扱いするように頭をワシワシ撫でられたが、なぜか悪い気はしなかった。中学生になったのだからもっと大人扱いしてくれていいのにと普段から思っているのだが、このおっちゃんを前にすると子供でもいいかも……なんて感情が芽生えてくる。親戚のおっちゃんみたいに優しく接してくれるし、おかげで轟音を立てて猛スピードで走っていく恐ろしい電車の乗り方も何となく理解できた。


「この用紙を土介部駅の駅員さんに見せて、お金を払って購入するんじゃぞ。こんな小さな駅じゃ定期券は買えんからなぁ」


 定期券とはどこでも買えるものだと思っていたのだが、実際は大きな駅でしか手続きが出来ないらしい。それなのに申し込み用紙は各駅に配られているらしく、そのようにするならウチの最寄駅でも買えるようにしてくれと文句を言いたくなった。


「明日から、じゃったっけか」


「……うん」


「もう準備はしたんか?」


「まだ、してない」


「そうかそうか、じゃあ早いところ帰って準備せんとなぁ」


 そう、僕は明日から中学生になる。正式にはもう四月に入ったから中学生なのだけれど、入学式は明日だったから。


「学校はええぞ、学校でしか学べんことがたくさんある。友達をたくさん作……いや、無理にたくさん作る必要はない。気の許し合えるような生徒を複数人、いや、一人でも作れたら万々歳じゃ。それから部活は……ああ、流石にここから通うとなると入れんのお。それから給食がウマいからお代わりは三」


「あのっ、ちょっと、興奮しすぎ! 鼻息が……。おっちゃんが学校へ行くわけじゃないでしょ?」


「……ガハハハハ! こりゃ失礼。久方ぶりにこの駅から通学する子を見たからなぁ、ついつい」


 猪乃吉さん曰く、ここ十年ぐらいは見かけなかったと言っていた。それほどまでに村では子供が少ないんだ。小学校も、学校という名前はあったけれど生徒はほんの数人で。卒業後に子供の為を思って都会へ引っ越す家族も多いし、それ故中学からはまた一人ぼっちになってしまう。


「僕、友達作れるかな……。だって田舎出身だし、都会の子ってすごく怖そう……」


「まぁ友達が作れんでも、ワシらは友達じゃろ?」


「へ?」


「あれ……もしかしてワシらってまだ友達じゃなかったかの。うっうっ……」


 わざと号泣するように腕をガシガシ目元に当てる駅員さんに、僕は慌てて手をあわあわさせながらどうしようか悩んでしまった。今思えばあんなの子供騙しじゃないかとわかるのに、あの頃は本当に素直で嘘のつき方も知らない子供だったからなぁ……。


「ぼっ、僕友達! 猪乃吉さんと友達ですって!」


「ぐすっ……うっ……そっ、そうか、ほんじゃあ今日からワシらは友達じゃな! 若い子の言葉じゃと……ずっ友、とか言うんじゃっけか」


「ずっ友?」


「ああ、知らんか。都会ではよく若い子が言っとるぞ。ずっと友達、という意味らしい」


 結構歳老いているように見えるのだが、そんな若者言葉というヤツをいきなり発言しだして僕は思わずブッと吹き出しそうになる。白毛の混じった太眉で男らしい顔つきなのに、とても優しいオーラを纏った不思議な人だ。彼の歳の差をかんじさせないような接し方と話し方に、いつしか惹かれていて。僕らはこの日から高校卒業までの六年間、学校の日は毎日欠かさず挨拶をしては世間話をするお友達となった。



 蝉が土の中から這い出て、登ってきて、木の至る所に蝉の抜け殻が出没し始めた頃。おっちゃんは電車が来るまでの間、駅員の休憩室へ案内してくれた。エアコンがないから特大の扇風機をガンガンに回して僕の体を冷やしてくれたし、おまけに冷たい麦茶もよく出してくれたな。


 白い塊が空からたくさん降ってくるような凍える季節にはまた駅員の休憩室へ案内してもらって、大きなストーブに当たらせてもらったこともあった。夏場は毛皮が暑いじゃろうからと距離を取られていたが、冬場は逆にピッタリ寄り添うように近づかれて……。


「ひゃっ‼︎」


「んー? これまた随分とちべたい。しっかり温もってから学校へ行ってもらわんとな」


 休憩室の椅子で座っていた僕を赤子のように抱き上げ、おっちゃんは膝の上に乗せてからギュッと僕を抱きしめた。ゴワゴワで剛毛なのかあまり触り心地は良くなかったけれど、一枚分厚いタオルを巻きつけられたような。それに……ちょっと汗のニオイが、その。冬場だからあまりかかないと思っていたけれど、おっちゃんからはほんのり雄のニオイがした。


「あー、そうじゃ。ココアでも作ったろう。じゃけどワシが離れたらまた寒がるじゃろうし……」


「あっ、いっ、いいので、ココア飲みたいです!」


「そうかの? じゃあちっと待っとれよお」


 僕が拒否したのを不満に思っただろうか。だってあんなに密着されるとは思ってなかったし……それに……。なぜか股間がムズムズして、大きくなって、困ったから。ここが硬くなる理由も当時はイマイチよくわかってなかったし、この感情が何なのかもわからなかった。誰かに密着するぐらい近寄られると、たまにこうなるんだよな……。あの頃ぐらいからだったかな、性の知識というヤツを同級生に教えてもらったのは。


 中学へ通い始めて一年も経つと、僕は猪乃吉さんのことをより意識するようになっていた。


 ムチムチのボディ、はちきれんばかりの腹。駅員の制服が可哀想だと思えるぐらい前側のボタンが弾け飛びそうで、僕はいつ見てもヒヤヒヤ、ムラムラしてしまった。時折どんなタイプの人が好きかという話題で盛り上がる学校生活。僕は当然猪乃吉さんの影響を受け、ふくよかなタイプを推すようになる。顔はもちろん厳つめで、だけど内面はめっちゃ優しい人。種族は獣人で猪がいいな…………って、全部猪乃吉さんに当てはまることばかりだ。


 当然、友人にはかなり誤魔化した。人間が好きって言ったし、スリム系がいいなとも言ったし、おっぱいは……まぁ普通サイズ。髪は長髪かなぁって。正直猪乃吉さんとは真反対すぎて、全然萌えない。それに周りの人間たちは皆んな女性が好きだと言っていたが、僕は……男の方が……。


 自慰と呼ばれる行為を覚えた時も、頭の中には猪乃吉さんの優しい笑顔があった。だけど僕が見ているのは顔だけじゃなくて、その、ムチムチのお腹のところを妄想で思い浮かべて……。少し汗臭いあのニオイも鼻の記憶から思い出しながら、僕はせっせと射精を繰り返す。たまに性欲が強くなって 一日三回抜いた事もあった。そのせいかはわからないが、中学へ通って三年目ともなると猪乃吉さんを見るたびに半分勃起してしまうほどになってしまう。自分の体が成熟すればするほど、猪乃吉さんとどう接すればいいのかわからなくなっていった。



〜つづく〜

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