Final report of work in progress
イラストの進行状況最終報告。
こんにちは。
前回の報告で、「もう少しで完成する予定です」などと言っておいて、完成まで少し時間がかかってしまい申し訳ありません。
前回の時点で、一番手間のかかる三人分の体毛を全然描いていなかった事を忘れていました(笑)。
もうネタバレしても構わないと思うので、取り敢えずイラストの内容について御説明させて頂きますと今回のイラストの構図を含めた全体的な雰囲気というか風味は、私の尊敬しているイラストレーターである故・佐伯俊男氏の作風を思い切り意識して烏滸がましくも勝手にトリビュートの気持ちで、所有している佐伯俊男氏の画集をリファレンスガイドブックとして参照しながら作画していきました。
念のために佐伯俊男氏の事をご存知ない方の為に氏のウィキペディアと、おそらく生前最後のインタビューと思われるリンクを添付しておきますので御参照下さい。
佐伯俊男
【インタビュー】絵師として約50年、佐伯俊男が”現代の春画"を確立するまで
2018年02月12日
私が佐伯俊男氏を知ったきっかけは(今から思えば、おそらく1990年代の第1期リバイバルと思われる)1995年頃、本屋で平積みにされていた「痴虫」という画集でした。どこかで観た記憶のある作風に惹かれながら手にとって画集をパラパラとめくっていくと、そこに展開していた少女や淑女が陵辱されるエロティックな作画に魅了された・・・という訳では無く、それら女性達を攻める側に回っていた卑猥な表情を浮かべた中年或いは老年の男達の描写に魅了された私はもう己の性器が半立ちの状態で、当時としても決して安価では無かったその画集を抱えてレジに向かい即購入しました。巻頭に故・寺山修司氏のエッセイと、巻末に丸尾末広氏と(文筆家としての顔も併せ持つ)MERZBOWの秋田昌美氏のエッセイが掲載されていた事も購入しようと思った動機に寄与した記憶があります。
あと、その購入時にもう一つ忘れられない恥ずかしい記憶として残っているのが、その画集をレジの若い女性の店員さんが会計の時に(普通は栞のように書籍に挟まっている)書店売上カードを抜いて回収する作業に手間取って全ページをめくってその売上カードを探したあげくに結局発見する事が出来ず、思春期ど真ん中だった私の心がただ単に辱められて終わるという(笑)、あの時の女性店員さんの気まずそうな表情も込みで今も忘れられません。(おかげでその時ページの奥に入り込んでいて発見できなかった売上カードは何十年経た今も画集と共に私の手元にあります。)
後日、私の大学の先輩にこの画集を見せたら「ああ、この作家さん知ってる。三上寛のレコードジャケットとか描いてる人やんね?」と教えてもらい、それからTHE STALINの遠藤ミチロウ氏が影響を公言していて名前だけは知っていた三上寛氏の音楽も聴くようになったりして・・・。
そして最初に画集の表紙を見て私が感じた「どこかで観た記憶のある作風」というデジャヴな印象の正体は私が小学校低学年の頃に読んで震え上がっていた怖い話の絵本の挿絵として描かれていたイラストが佐伯俊男氏によるモノだったと、その何十年後かに実家に帰って本棚を整理していて気付いたりもして・・・。
こうやって異文化って、世代や立ち位置を超えて共鳴・連鎖・継承・更新されていくのですね。
話をイラストの作画工程の説明に戻しましょう。
普段なら最終的な仕上げとして陰影の表現としてメリハリのある影の描写を施したり、線画を肌色の部分は肌の色に近似値の線画に色変換したりという作業を行うのですが、敢えて今回は佐伯俊男氏の作風に習うという前提のもとに、線画も(一部のパートを除き)黒一色で、色塗りの段階でも陰影表現を行わず平坦に仕上げました。その理由は、佐伯俊男氏は時代的にも当然アナログの黒一色の線画を仕上げた後にトレーシングペーパーにそれぞれのカラーパートを色番号で色指定を行い外部に委託するという、なんとも印刷製版の職人さん泣かせの手法でカラーイラストを仕上げていたらしいのですね。
やはりここに佐伯氏の淫靡でグロテスクな描写なのにどこかポップでユーモラスに感じるという独特な作風というか読後に受ける印象の肝があるように私は思うのです。
以前にも言及しましたが、私は性的対象者の男性が苦しんだり痛い目に遭っている描写が苦手で自分でもあまり筆が進まないのですが、今回の私のイラストで被虐されている男性は、現実ならこの後身体は真二つ(Two Way)に引き裂かれ血塗れのバッドエンドを迎えることになるので、私の中ではこの後この男性には所謂「夢オチ」として目が覚めて「なんだ夢か・・・」というある意味で禁じ手のハッピーエンドを迎えて欲しいと願っています。
あとタイトルのには被虐対象の男性の身体が引き裂かれてふたつに分かれるという意味と、社会主義と資本主義のそれぞれのイメージカラーである赤と青の隠喩である二人の鬼達のダブルミーニングにも一応なっていますね。そんな赤と青の混合色である紫色のレール上を否応無く終点に向かい運ばれる人間・・・。ま、よくある凡庸な表現と言われればそれまでなのですけれど(笑)。
それと作画の過程で思った事は、ある意味で今回は音楽でいう所の「耳コピ」に近いやり方で作業して行ったので、「ここで自分ならこういう風に描写したいけれど佐伯氏がそう表現していないので自制せねば」と感じたり、「真似して描いているつもりなのにどうやっても佐伯氏のような絵にならない」といった良くも悪くも軌道上から逸れてしまう「何か」こそが、そのコピー(模倣)しようとしている本人が持っている「個性」なんだろうな、と自分で自分を励まして着地しておきます(笑)。
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さて、今回のイラストのタイトルである< Two Way System, Give Up A Future >の由来は何時もの通り音楽ネタから着想を得ています。なのでここから以下の解説文は前回と同じく「おっさんの独りよがりな昔話」になってしまうので興味のない方は読み飛ばしてください(笑)。
まず今回のこのイラストタイトルの前半部分の元ネタは、このバンド名になります。
One Way System - Give Us A Future
何となくCHAOTIC DISCHORDなんかと並んで日本では知る人ぞ知るマイナーな存在とされているような気がするUK80'sハードコアパンクのバンド、それがOne Way Systemです。
(これはあくまで私個人の主観なので熱烈なファンの方がいらっしゃったら申し訳ないです😅)
私も彼らの音源はこの曲、『Give Us A Future』が収録されている1stアルバム< All Systems Go >しか所有していない薄いファンです(汗)。
しかし今回こうして久しぶりに全曲聴きなおしてみると5曲目の『No Return』や11曲目の『Victim』とかイイですね!!
そして実はイラストタイトルの後半部分であるGive Up A FutureというフレーズはOne Way Systemの曲名のパロディでも私の発案でもなく、今度はこちらのHIPHOPユニット(と、カテゴライズして良いのか迷いますが)の「P.P.P.」という曲の中に出てくる
『Mother Fuck A Future, Give Up A Future』という歌詞からそのまま引用しています。
Space Invaders - P.P.P./99% PISS/HELLO BOREOOM
「UK80’sハードコアパンクのバンドと日本のHIPHOPユニットに一体何の関連性があるの?」
と思われる方の為に一応説明しておきますと、このSpace Invadersの中心人物であるWatch氏は以前にGAIや The Swankysのボーカリストとして活動されていた方なのですよね。
Gai - Extermination EP (1984)
The Swankys - The Very Best Of Hero (LP 1985)
(正確にバンド名の返還の歴史を記すならば、最初に初期パンク風サウンドを奏でるThe Swankysとして始まり、徐々に曲もルックスもハードコア化していく中でGAIに改名して、そしてまた曲調が原点回帰プラス新しいPOPなテイストへと変化して行き、再び元のThe Swankysに名前を戻した、という事らしいです)
それらのバンドを解散した後にWatch氏が結成したこのSpace Invadersの活動コンセプトのひとつに「パンクをおちょくる」という概念があった、と同メンバーの故・Comic氏(ex.LAST CHILD)が後年の懐古的インタビューの中で言及されていたのを読んで、長年私が勝手に「このP.P.P.って曲の歌詞、 One Way Systemのあの曲への皮肉というか彼らなりのマナーで表現されたアンサーソングなんかな?」と考えていたのもあながち思い込みではなかった・・・と膝を打ったのでした。
話が長くなりそうなのでこの辺で終わりにしますが、Space Invadersの他の曲も色々なパンクの大ネタからサンプリングしまくっていて、更に歌詞も最低で最高なので(笑)興味がある方は是非CD等を探して聴いてみてください!!
結局このセルフライナーノートも二日間かけて執筆するという「創作のエネルギー配分を明らかに間違えているのでは?」と自分でも思うのですが、固有名詞を伴う出典を必要とする解説は丁寧に考察や検証を重ねないと有らぬ方向の方々に御迷惑をかけてしまう事に成りかねないので、このような遅筆になってしまうのもどうか御容赦していただけると助かります。
そして願わくば支援者さんにもこれらの解説を楽しんでいただけたら幸いです。
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今回のイラストも全体バージョンは無料のSNS等で公開の予定はありません。
皆様からの金銭的なご支援に感謝しており本当に助けられています。
ありがとうございます。
As for the open plan, this illustration does not have the whole version in free SNS, too.
I appreciate the financial support from all of you and am really helped.
Thank you!
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急げばあともう一枚は今月中にイラストを描けるかな・・・。
それではまた後ほど・・・。