「………」
「ん、どうしたの兎真君?」
「ハーリー先輩!…いや、最近負けが続いてて…」
「あー、最近はクリスくんとか獅子くんとか…兎真くん、負け試合が多いよね…」
「ジョバーなつもりもないし、台本やった後は好きにして!ってのが多いからさー、本気で挑むんだけど…」
ハーリーはふむ、と顎に手を置いた。兎真は年の割に体が小さい。それを武器にスピードを活かしたかく乱と蹴り技を主体とするが、逆に言えばパワー勝負に持ち込まれると押し切られることがほとんどである。
「どうしても組み合ったり投げ合いになったりするとなあ…とほほ…」
「…兎真くん、次の相手は?」
「え?獅子っすけど…」
「ならばさ…」
わぁぁぁぁぁぁぁっ!
「兎真―!これでも喰らえー!」
バッキィィィィィィッ!
「うわあっ!?」
数日後、会場。全てのブックの内容も終わり、あとは当人たちの実力勝負!
だが、獅子のパワーあふれるパンチをもろに受けた兎真は吹っ飛ばされ、コーナーを背負い———
「おりゃー!」
ドスゥゥゥゥゥゥッ!
「ぐえええっ!?」
獅子の串刺し式ドロップキック!兎真の小さな体がモロにそれを受けると———!
がっしゃあぁぁぁぁんっ!
兎真はコーナーを乗り越え、場外へと落ちていく!
「っしゃー!皆—!虎太郎先輩―!見たかー!」
…獅子はリングの中央でガッツポーズ!綺麗に技が決まったアピールをしていた。
「う…うぐぐ…!」
兎真はフラフラしながらリングへと戻っていく。…獅子はそんな兎真を見ると、にっと笑みを浮かべた!
「ま…まだだ…!」
「兎真―!ナイスがッツー!…でも、オレには勝てないぞー!兎真の非力パワーに負けるかー!」
「うっせえ!勝負はやって見なきゃ…わかねえだろうがー!」
兎真はダンッ!とリングを駆ける!そして!
「こんのおおおおっ!」
「おっ!」
ガシィィィッ!
兎真は獅子と手を重ね組み合う!
「ぐ…ぐぐ…!」
「へへー!」
体格でも筋力でも勝る獅子は、兎真を楽々と押し潰そうと力を入れていった———その時だった!
「おりゃあっ!」
ぱしぃっ!
「うわっと!?」
兎真は突如、力を抜くと獅子のバランスを崩す!そして!
「行ってこーーーい!」
ゲシィィィッ!
そのまま、兎真は獅子の尻を蹴り飛ばすと獅子はロープに向かい飛んでいく!そして、
「よーし、よーい…ドンッ!」
兎真もまた、獅子を追いかけるように走り———
くんっ!
獅子の体がロープを背負い、戻り!かけていく兎真と鉢合わせになりそうになった、その瞬間!
「とうっ!」
兎真は身軽に飛び上がる!そして、その足を延ばすと———!
「くっらええええええっ!レッグラリアットだぁぁぁぁぁッ!」
バッキイィィィィィィィィッ!
「ふげっ!?」
兎真のレッグラリアットが獅子の顎に直撃!獅子は脳震盪を起こしたのか、それをもろに受けるとふらり、と体のバランスを崩し———!
どたぁぁぁぁぁんっ!
「ふぎゅ…!」
目を回した瞬間!兎真はタンッ!と飛び上がり宙返り!
「獅子、覚悟ぉっ!」
ムーンサルトプレス!兎真は獅子の肩をがっつりと押さえると———!
「1!2!…3!」
カンカンカンカーンッ!まさに、大逆転劇!
「やった…やったああああああっ!」
久しぶりの勝利に兎真は兎のように飛び跳ねると、観客席のハーリーを見つけぐっとガッツポーズをとるのであった。
「いえーい!ハーリー先輩!やったっスよー!」
「おめでとう、兎真くん!…やったね!」