1!2!
『おおーっと!羽地兎真!狐塚クリスによってリングサイドに投げ飛ばされた―!』
「兎真―!がんばれー!」
「う…ぐぐ…!負けねえッス…よ…!?」
「無駄なあがき。ばっか見たい。…大人しくしてなよ!」
バキィッ!バキィッ!バキィィィィッ!
———リングサイドで動けない兎真にとことんまでストンピング。クリスはこれでもかと踏みつけると兎真の悲鳴が木霊した。
「うぐああああっ!?」
「兎真ー!しっかりしろー!」
「く…くそ…!クリス…なんか…に…」
「ふふっ♪いい気味」
そして、カウント10。ぐったりと動かなくなった兎真、その両手をクリスは持ち上げると———
カチャンッ
「ぐ…これ…は…」
「ふふっ♪せいぜいそこで俺の勝ち姿でも眺めてなよ、まーぬーけ!ぺっ!」
取り出した手錠で兎真の両手をリングに固定!その顔に唾を吐きかけ、自分は悠々とリングへと戻ると、まだカウント途中だというのに勝利のガッツポーズを見せた!
「く…くそ!こんなの…こんなの…!」
相手に技で負けるのならまだしも、ばかにされ、唾を吐きかけられ、手錠までかけられて。
「こんなの…こんなの…うあああああああああああんっ!」
兎真は悔しさのあまり、大きな声で叫び声をあげると———!
「20!」
リングアウト。レフェリーは大きく手を振られ、ゴングが鳴り響き。
「兎真―!」
獅子の声が響いた。———誰よりも友達を大事にする獅子。いつものんびりとにこやかな獅子の顔は、いつしか憤怒の形相へと変わっていた。
「あいつ…あいつー!絶対に…絶対に許さないぞー!」
しばらく。
「この…単細胞のイノシシ野郎が…!」
「兎真の敵討ちだー!」
プロレス会場、リングサイドの場外乱闘。獅子に投げ飛ばされたクリスはなんとか、クラッチしようとする獅子の猛攻を避け———
「大人しくしてろっつの!」
ドッスゥゥゥゥゥッ!
鳩尾へのエルボー!クリスの肘が獅子の腹に突き刺さり、
「うぐッ…!?」
獅子がその衝撃に思わず、体をふらつかせた瞬間!
「ふん、調子に乗るからそうなるんだよ!大人しくしてな!」
クリスが獅子の後頭部狙ってのハイキック!
「獅子ッ!」
あまりにも危険な技に兎真の声が響いた———その瞬間!
バシィッ!
獅子の片手が、クリスのハイキックの足を掴んだ!
「なにっ!?」
「ついに…捕まえたぞ、クリス…!」
「は、離せ!」
「誰が離すもんか!」
慌ててもがこうとするクリスを抑え込むかのように!
「ぬおおおおおおおおおおっ!」
獅子はクリスを持ち上げる!そして!
「兎真を…!兎真をいじめるなあああぁぁぁぁっ!」
獅子は荒々しく、クリスを力任せに叩き落す!その先には———!
どっがぁぁぁぁぁっ!
「ぐえあっ!?」
会場のテーブル!獅子の怒り任せのパワーボムにより、テーブルは真っ二つにクラッシュ!———さすがのクリスも、この技をもろに受けたことにより目を回し。
「レフェリー!」
獅子はハアハアと息を切らせながら、リングへと戻ると———
「…20!」
カンカンカンカーンッ!
怒涛の獅子の勝利。
「へへー!兎真―!やったーよー!」
獅子は少し、ボロボロになりながらも兎真にぐっと親指を立てると。…兎真はふう、と安堵のため息を見せるのであった。
「…にしても、獅子、ブチ切れるとほんとあぶねーっすねえ…オレもあんま怒らせないようにしよ…」